(FE紋章の謎の世界に転生したので)海賊王に俺はなる! 作:大目玉
城に突入する前に、俺はレナと戦士のヴィクターを呼んだ。羊皮紙に書いた大雑把な城内マップもとい城の間取りを見せる。オレルアン軍が誰も味方にならなかったんで俺の知識頼みなんだが、大丈夫かなこれ。
「レナ、ワープの杖で俺をここに飛ばすことができるな?」
俺は中央上にある部屋を指さした。アーマーナイトに守られ、アーチャーが二ユニットと司祭のいる部屋だ。宝箱も一つある。
何より重要なのは、この部屋が脱出路につながっていることだ。
盗賊に宝を持っていかせるわけにはいかねえ。
「できると思いますが……」
不安そうに言うなよ。石の中にいるみたいなオチになったら化けて出て犯してやるぞ。
「よし、やれ。ヴィクター、お前は手下どもを率いて正面から突入してこの部屋まで来い。マチスのやつにアーマーキラーを渡しておくから、アーマーナイトが面倒ならやつにやらせろ。宝箱の回収は後回しでいい。あと魔道士には気をつけろ」
そして俺は、鉄の斧と手斧と傷薬を持って脱出路へと通じる階段の前に立った。うん、問題ねえな。ワープはこれからもガンガン使おう。
脱出路を確保しようとしているのか、ソルジャーが2ユニット、そして盗賊が向かってくる。
俺は右手に鉄の斧を握りしめ、左手で手招きした。
さあ、海賊の時間じゃあ!
ソルジャーと盗賊をかたづけた俺は、ここへやってきた盗賊の一人を捕まえて尋問した。
「最近、この城に魔道士が忍びこまなかったか?」
何発か殴ったら、盗賊は素直に全部喋った。
「たしかにいた。青いローブの若い男だった。恐ろしい魔法で我が軍のアーマーナイトを何人も倒したので、殺して死体は井戸に投げこんだ」
「貴重な情報をありがとう」
俺は盗賊にとどめをさした。さらばエクスカリバーマン。
それからしばらくして、ヴィクターたちが到着した。
「すまねえ、親分。ハンターの部隊がやられた」
ヴィクターが頭を下げる。アーマーナイトに苦戦していたら、敵のアーチャーから壁越しに矢を射かけられ、魔道士の魔法をくらったそうだ。
まあ仕方ねえ。初の城攻めだからな、ある程度やられるのは覚悟していた。こう言っちゃ何だが、カシムやアイルトンがやられたんでないだけ、よしとしよう。
この城での戦闘は、敵の攻撃に耐えられるやつがワープで逃げ道をふさいじまえばほぼクリアといっていい。援軍もねえし、残ったやつは囲んで潰す余裕がある。
それでも、ハーディンたちとの戦闘に続いて兵力が減ったことに俺は頭痛がした。もう少しの辛抱だと思うんだが、それまでもつかどうか。
俺たちは盗賊を残らず倒したことを確認すると、玉座のある広間に向かった。アーチャーを誘い出して叩き斬り、マリオネスと相対する。
「お前が城主か」
「その通りだ、反乱軍の兵士ども」
鋼の槍を持って、マリオネスは俺たちを睨みつける。
「よくここまでたどりついたものだ。かくなる上は、この槍で一人でも多く道連れにしてくれる。マケドニアの戦士の力、その目に焼きつけるがよい! 死にたい者から前へ出よ!」
ほとんど囲まれてるってのにこの態度、たいしたもんだ。
問題は、本当にけっこうな数の手下が道連れにされそうなことなんだよな。こいつジェネラルだから。
こいつの守備力貫通できるやつ、手下にどれだけいんの? 実はステータスを見比べると、六章のハーマインや八章のジューコフよりこいつの方が強いんだぜ。
「お前の首をマケドニア軍に送りつけてやるのも一興だが」
俺はもったいぶった態度で話を持ちかける。
「どうだ? 武器を捨てて降伏すれば、撤退を認めてやるぞ」
マリオネスは俺の提案を鼻で笑った。
「戦士の心を知らぬやつめ。部下がことごとく死んだのに、そのような真似ができるか」
「じゃあ、ここでお前が死んだら、誰がお前の部下の戦いぶりを伝える?」
俺の言葉に、マリオネスは黙りこんだ。
「……貴様、何をたくらんでいる?」
「お前が強いのは認めてるってことだ。こっちもあまり血は流したくねえ」
勝てないわけじゃない。俺とヴィクターあたりが鋼の斧を持って、繰り返し攻め続ければ、まあ何とかなるだろう。ちと不安だが、マチスにアーマーキラーを持たせる手もある。そもそもこいつって、アーマーキラーと魔道士を使って倒させようって敵だろ?
だが、ヴィクターやマチスがやられるようなことがあれば、大損害なんてもんじゃねえ。今後の戦略が狂う。
マリオネスはしばらく考えていたが、やがて「わかった」と言った。鋼の槍を捨てる。
俺は手下に命じて食料や水なんかを用意させ、マリオネスに渡した。
「そういや、この城に捕まっているやつはどうする? 連れていくか?」
「貴様の自由にするがよい」
俺たちはマリオネスを解放した。
リカードはすんなり俺に従うことを承諾した。ジュリアンがいねえ分、羽目を外すと何をやらかすかわからないのが怖いが、名前ありの盗賊ユニットはもうこいつしかいねえからな。
ウェンデルは最初、俺への協力を拒んだ。
「私を解放してくれたことは感謝する、ガザック殿。だが、私は戦いは好まぬ。恩知らずといわれようとも、魔道の力を使っての協力はいたしかねる」
ガザック殿、だって。礼儀正しい楽しいジジイだ。この返事はちと残念だが、魔道だけじゃねえからな、このジジイは。
「仕方ねえな。じゃあ傷ついた兵の治療、回復をやってくれ。それならいいだろう」
「私を同行させようというのか?」
「見返りは用意してやる。カダインを取り戻したら、あんたにくれてやるよ」
俺が言うと、ウェンデルは目に見えて驚いた。
「失礼だが、ガザック殿はカダインの現状をわかっているのか。いまや魔王ガーネフに支配され、暗黒の都となっているのだぞ……」
「それは知ってる。その上で言ってるんだ。カダインも、ガーネフも、このままでいいとは思ってねえんだろ。あれだ、俺に従うんじゃなくてニーナ姫に従うと思え」
ウェンデルは迷ったが、最終的には俺に従うと言った。「他に道はないようだ」と。
これでオレルアンでの問題はかたづいたかに思えたが、そうはならなかった。