(FE紋章の謎の世界に転生したので)海賊王に俺はなる!   作:大目玉

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「レフカンディの罠」2

 次の日、俺はさっそく行動を開始した。

 まず北東の、岩山に囲まれた一帯へ全軍で向かう。リカードに扉を開けさせ、ヴィクターたちを一気になだれ込ませた。傭兵もハンターもみなごろしー。

 襲いかかってきたドラゴンナイト、ペガサスナイトたちもカシムとアイルトンで撃退する。ミネルバたちはちゃんと去っていったようだ。

 そして俺は村を訪ねた。

 

「赤いローブを着たジジイの旅人がいるだろう。人探しをしてるっていう。出せ」

 

 村人はすぐにバヌトゥを連れてきた。

 

「のお、あんた。チキという名前の幼い女の子を見かけなかったかね」

 

「見かけてはいねえが、どこでどうしてるかは知ってるぜ」

 

 俺が答えると、バヌトゥは目を丸くした。慌てて俺に詰め寄る。

 

「ど、どこじゃ? チキはどこにいる」

 

「落ち着けよ、ジジイ」

 

 俺は人払いをして、バヌトゥと二人きりになった。

 

「チキはガーネフにとっ捕まった。カダインかラーマン寺院のどっちかだ」

 

 カダインの名を挙げたのは、現時点ではラーマン寺院にいるとはかぎらねえからだ。

 バヌトゥは絶句して立ちつくしていたが、やがて真剣な顔つきで俺を見た。

 

「お主、何者じゃ。なぜ、そのことを知っておる」

 

「あいにく教えるわけにはいかねえ。チキのことをお前に教えたのは、取引をするためだ」

 

「取引?」

 

 警戒するバヌトゥに、俺はかまわず言った。用意してきた火竜石を差しだして。

 

「ジジイ。お前をチキのもとまで連れていってやる。だから、それまでは俺たちに力を貸せ。信じねえ、従わねえ、っていうならそれでもいいが、その場合は俺たちがチキを助けだしてもお前には渡さねえ」

 

「……チキが何者なのか、知っておるのか」

 

「ナーガ一族の生き残りだろう」

 

 後のシリーズではナギが追加されて唯一の、じゃなくなったんだっけな。ナギってちょっと扱いが雑なんであまり考える気にはなれないんだが。

 

 俺の答えに、バヌトゥは大きなため息をついた。

 

「わかった。お主に従おう」

 

 よしっ、竜族ゲットだぜ!

 今の俺たちには、火竜って戦力として滅茶苦茶でかい。パレスあたりまで温存しておく予定ではあるが、いざというときの切り札があると思うとこの上なく安心できる。

 俺はにやにや笑いながらジジイを連れ帰り、出迎えたニーナに聞かれた。

 

「その方は?」

 

「バヌトゥだ。竜族の」

 

 この場には俺とニーナとバヌトゥしかいないので隠さずばらす。

 竜族という言葉が分からなかったのか、ニーナは首をかしげる。だが、すぐに理解して叫んだ。

 

「マムクート……!」

 

 俺はニーナの片乳をつかんでにこやかに笑いかける。

 

「だめでしょー、ニーナちゃーん。りゅ、う、ぞ、く。ほら言ってごらん」

 

 りゅ、う、ぞ、くに合わせてぐにぐにぐにと揉みしだく。うーん、見事な弾力。

 ニーナは拳を震わせて俺を睨みつけていたが、諦めたように「竜族」と言った。名残惜しいがおっぱいから手を離す。

 

「どういうことです? どうしてマ……竜族がこのようなところに」

 

「人探しだとよ。しばらくうちに置くぞ、このジジイ。竜族ってのは、シーダとレナ以外には伏せておけ」

 

「もう少し詳しく説明してくれてもいいのではありませんか?」

 

「竜族って呼び名に慣れたらな」

 

 俺はそう言って追及をかわした。

 さて、あとはハーマインを叩き潰すだけだ。俺たちは山に囲まれた村をあとにすると、迂回して南下した。

 

 章タイトルにもなっているレフカンディの罠。それは、一定のラインを超えて進軍すると、四つの砦から一斉に敵の援軍が現れて襲いかかってくるという、ようするに初見殺しだ。不用意にマルスやシーダあたりがいるとやられちまう。

 

 だが、俺はそのことを知っているんでどうってことはない。原作知識を存分に活かして、四つの砦を完璧に封じこめてくれるわ。うはははは。

 

 俺たちは、敵の城が遠くに見えるぐらいの位置まで進軍した。

 俺は主だった連中を呼び、テーブルと地図を用意させて作戦を説明する。とはいえ、まさか伏兵について全部知っているなんてさすがに言えねえから、多少格好をつける。

 

「ここまで、敵の攻勢はドラゴンナイトとペガサスナイトしかねえ。ここから見える敵の数も少ねえ。たぶん、敵は伏兵を潜ませている」

 

 俺は地図の中の四つの砦を指さした。

 

「この砦の一つか二つ、もしかしたら四つ全部に伏兵がいる可能性がある。そこで、俺はこの四ヵ所を一気におさえる」

 

「伏兵がいるかもってのは俺も賛成ですが、そこまでやる必要がありますかね」

 

 ヴィクターが疑問の声をあげた。普通はそう思うだろう。だからこそ、この作戦はおっかねえんだ。ここのボスのハーマインは決して馬鹿じゃねえ。

 

「念のためだ。近くにある二つの砦はヴィクターに任せる。戦士部隊でおさえろ。お前自身は戦士部隊のそばにいて指示を出しつつ、いつでも動けるようにしておけ。敵の城の東にある砦にはマチスが行け。ナイトキラーを渡しておくから、敵の騎兵が出たらそれで応戦しろ」

 

「わかった」

 

 マチスは力強く頷いた。ナイトキラーが使えるの、こいつとシーダしかいねえからな。

 

「後は敵の城の西にある砦だが……。ここは俺が行く。海賊とハンターを連れていくぞ」

 

 少し考えて、俺は言った。歩兵中心の俺たちじゃ、どうしたって援軍が出る前におさえこめねえ。出てきた援軍を蹴散らして、力ずくで占領する必要がある。

 

「ニーナはここで待機。全部かたづいたら呼ぶ。レナとウェンデルはニーナのそばにいろ。レナにはリブロー渡してあるよな? 何かあったら連絡をよこす」

 

 リブローはオレルアン城で手に入れたものだ。なにせリライブはとっくに使いきったし、ライブもけっこう使ってるからな。リブローだろうがガンガン使う。

 

「シーダは俺についてこい。伝令だ」

 

 リカードとバヌトゥはニーナのそばで遊ばせときゃいいだろ。

 どうだ、それらしくなっただろう。俺は全員の顔を見回す。

 

「それじゃあ、おっぱじめるぞ」


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