(FE紋章の謎の世界に転生したので)海賊王に俺はなる!   作:大目玉

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NAISEI終わり! 長かった!
いただいた感想は全部見ています。ありがとうございます! もうほんと励みになります! 全然追いついてないけど少しずつ返していくので、すみませんがお待ちください。
次の更新は、二週間後ぐらいの予定です。


「ファイアーエムブレム」11

 リンダが血相を変えて俺の部屋に駆けこんできたのは、論功行賞を明日に控えた日の昼過ぎだった。

 

「ちょっと、これどういうことよ!」

 

 リンダの手には羊皮紙が握りしめられている。俺はそれを受けとって目を通した。

 ああ、リンダと一緒に買った奴隷のガキたちのやつか。

 半分は帰る家があるってことで金と食料を持たせて送りだすことにして、残り半分は戦火に家や家族を焼かれた連中だったので、パレスの下働きや城下町での住みこみの仕事を割り振ったんだった。

 だが、ここまで決まったところでごねた奴がいた。俺だ。

 だってさー、俺が買った奴隷じゃん? 肉奴隷にして側に置いておいてもいいぐらい可愛くて物分かりのいいやつも何人かいたし。そういうのはパレスでの下働きに割り振ったけど。今後、何かあるともかぎらないしな。

 ともかく、リンダが俺の部屋へ殴り込んできたのは、そういうわけだった。

 

「言っただろう。俺の奴隷をどうしようが、俺の自由だと」

 

 にやにや笑って俺は言った。リンダは怒りを隠さずに俺に詰め寄った。

 

「条件を言いなさいよ!」

 

「条件?」

 

「あんたのことだから、どうせ私やニーナ様に何かやらせたくてごねたんでしょ!」

 

 がっはっは、物分かりがいいなあ。俺は自分の顔を指さした。

 

「キスをしろ」

 

 リンダは唖然とした顔で俺を見た。俺は下卑た笑みを浮かべてもう一度言った。

 

「お前が助けたい人数分だけ、俺にキスをしろ。その数に応じて見逃してやる。全員だと二十九人だから、二十九回だな」

 

「……最悪!」

 

「お前、もう俺に抱かれてるんだし、今更キスの二十や三十、何でもねえだろ」

 

「そんなわけないでしょ! あんたって本当に最低のクズだわ!」

 

 おお、どこぞの姫騎士っぽい台詞。

 

「そうか、残念だよ。あいつらを助けたいというお前の覚悟はそんなものだったのか」

 

 ことさらに真面目ぶった顔で、俺はため息をついた。深刻な話や真面目な話ばっかだと胃にもたれるからな。エンジョイ&エキサイティング。これですよ、これ。

 リンダは顔を怒りで真っ赤にして俺を睨みつけていたが、鼻息も荒く叫んだ。

 

「わかったわ! ただし、約束は守りなさいよ!」

 

「おう」

 

 守るつもりはあるしな。役得、役得。

 俺たちは並んでソファに座った。リンダは俺を睨みつけ、ずいぶんとためらってはいたが、決心を固めると俺の肩に手を置き、唇を押しつけてきた。

 しかし、ちょっと唇が触れあったところで、すぐに離して小さく息を吐く。

 

「これで一回ね」

 

「これは許してやるが、次からはもっとゆっくり、感情を込めろ。でないと勘定に入れねえぞ」

 

 リンダは怒りと恥ずかしさとで顔を耳まで赤くする。だが、負けん気も燃えあがったようだ。

 

「いいわよ、やってやろうじゃない」

 

 ちゅっと音を出した二回目は、一回目より倍以上長かった。鼻息さえくすぐったい。いいね、いいね。

 

「次は唇を吸って、音を出してみようか」

 

 こんなふうに、俺はいちいち注文をつけていった。ちゅっ、だったのがちゅぷっ、とかちゅぱっ、とかあむっ、とかになり、唾液や吐息が混じり、舌を絡ませあうようになり、おたがいに顔が上気して赤くなる。

 俺の方も途中から積極的に唇を吸ったり、舌を入れたりしていったが、だんだん辛抱たまらなくなってきた。

 そして、約束の二十九回目を終えると同時に、俺はリンダを押し倒していた。リンダは嫌がるように身をよじったが、ほとんど抵抗はしなかった。

 

 

 翌日、玉座のある広間で論功行賞が行われた。

 俺とニーナにとって、これは、戦功のあった奴を評価し、褒美をとらす場ってだけじゃない。ニーナが他の国の人間を大事に思っていることを、アカネイア貴族に見せつける場だ。

 

 シーダ、アイルトン、カシム、レナ、マチス、リカード、ウェンデル、バヌトゥ、エステベス、ミネルバ、マリア、リンダ……。みんなが次々にニーナの前に出ては膝をつき、功績を読みあげられてお宝を受けとる。金貨の詰まった箱の場合もあれば、上等な毛皮だとか、宝石で飾った剣なんかもあった。

 また、シーダはタリスの代表として、アイルトンはオレルアンの代表として、ウェンデルはカダインの代表として、ミネルバはマケドニアの代表として、あらためて認められた。

 新たに地位をもらったやつもいる。リンダなんかは、戦いの功績を認められてニーナ付きの宮廷女官と、司祭見習いの地位をそれぞれ正式に与えられた。

 さて、最後に俺の番だ。名前を呼ばれて、俺はニーナの前に立つ。膝をつかない俺にざわめきが起こったが、ニーナはかまわず俺の戦功を読みあげた。

 

「ガザック殿。あなたはタリスをガルダの海賊から解放し、サムスーフ山の山賊を討ち、オレルアンではマケドニア軍と戦い、私を助けてくれました。レフカンディ、ディールでもグルニア軍を打ち破り、ワーレンを襲ったグルニア軍も撃退し、そして、パレスを取り返した」

 

 ボアが、ニーナに一振りの弓を渡す。神秘的な輝きを放ち、炎を思わせるデザインの、黄金の弓だ。

 

「この光り輝く弓はパルティアといって、我が王家に伝わる三種の神器の一つです。これをあなたに授けます」

 

 どよめきが起こった。いくら功績がでかいとはいえ、破格を通り越した褒美には違いない。俺は笑顔でパルティアを受けとった。

 更に、俺の前に金貨の詰まった箱やら絹織物やら毛皮やらと次々に財宝が積みあげられていく。ぱっと見て、ラングが持ってきた賄賂七日分相当だな。

 それがすんだところで、ニーナが静かな声で言った。

 

「次に、あなたの罪を問いたいと思います。一つ、パレス奪還の戦いにおける友軍への過剰な暴行、一つ、町の一画を狙った略奪命令、一つ、必要があったとはいえ町の一画を焼いた暴挙、一つ、アドリア公ラングを、彼に裏切りの罪があるとはいえ、私の許可なく、ええ、私の許可を待たずに処刑したこと、一つ、アカネイア王女である私に対する数々の不敬極まる態度……」

 

 ニーナは淡々とした口調で俺の罪状を読みあげる。また周囲の空気が一変した。俺は、めいっぱい神妙な顔をつくって、ニーナの言葉を聞いていた。

 制裁金という名目で、俺の前から財宝が次々に持っていかれていく。パルティアもボアに取りあげられた。

 アカネイア貴族はもちろん、カシムやマチスたちも唖然とした顔で俺とニーナを見つめている。ミディアも顔が真っ青だ。

 そうして残ったのは、金貨百枚の入った皮袋だけ。

 

「以上です」

 

 ニーナが言った。あっ、こいつ、頬がぴくぴく痙攣してやがる。慣れねえ腹芸なんてするからこれだよ。だ、駄目だ、まだ笑うな、こらえるんだ! 夜○光はがんばってたぞ! と思ったけど笑ってたな、あいつも。

 俺はしかめっ面を作って、皮袋を拾いあげた。

 

「ありがたくちょうだいいたします」

 

 これが、ニーナが墓地で俺に提案してきた「恩賞」だ。ミネルバとリンダが難色を示したのも分かるってもんである。

 しかし、つきあいの長いシーダとレナ、ニーナはともかく、マリアがどうして俺になら通じると思ったのかは謎だ。変な兄貴と姉貴を持って苦労してるせいか。

 俺の功績を評価しないわけにはいかない。一方で、俺を罰しないわけにもいかない。アカネイアの王女としての威厳を示す必要もある。また、ラングを殺したことについて執拗に言及し、他の諸侯(特にサムスーフ侯爵家の関係者)に釘を刺しておく必要もある。

 また、俺たちに反感を持っているアカネイア貴族も、これを見ればひとまず溜飲を下げるだろうという計算もあった。ひとまず、であっても大事だ。

 

 ちなみに、サムスーフ侯爵家に対してはとりあえず放置だ。ほんの数日叩いてみただけで埃が出まくったそうで、時間をおいて、裏切り以外の罪を問う方向で決めたらしい。

 まあ、ラングの処刑だけで十分効果があったというのもあるし、ここでサムスーフの関係者まで首を切りまくると、貴族全体が暴れだしかねないって懸念もあるからな。

 ミディアに説明したように、俺たちはパレスが攻められる前に行動を起こさないといけない。悔い改める時間を与えたと思っておこう。

 

 次いで、ニーナが今後の戦略を発表した。グラへ、そしてカダイン、アリティアへ。グルニア、マケドニアへ、最後にドルーアへ。つまり、俺の戦略だ。

 ニーナは同盟軍の総大将として出陣する。その間、パレスの留守はボアが預かる。ちょっと不安だが、他に人がいねえので仕方ない。

 あと、俺たちの軍に、ワイアットの他にもう一人、闘技場でスカウトされて加わった奴がいる。

 ワインバーグという傭兵だ。クラスはアーマーナイト。

 正直アーマーナイトにはいい思い出がねえんだが、必要なのはたしかだからな。エステベスの眼力を信じよう。

 ちなみに、こいつはそこそこ出来る奴で値が張ったので、サムスーフ、レフカンディ、メニディの三侯爵家に軍資金を出させて、それで雇った。

 この三大侯爵家はしょっぱい能力値の兵しか出しやがらなかったので、パレスの守備を任せた。まあ、三大侯爵家がパレスを守っているというと聞こえだけはいいからな。聞こえだけは。

 

「ドルーア、マケドニア、グルニア。いずれも並々ならぬ強敵です。ですが、皆が一丸となって立ち向かえば、勝利を得られると私は信じています」

 

 この場にいる全員を……俺たちだけじゃなく、アカネイア貴族たちも見回して、ニーナは言った。

 

「ガザック殿」

 

 再び、ニーナが俺の名を呼ぶ。持ってこさせた黄金色の小さな盾を、俺に渡した。

 

「あなたに、このエムブレムを託します。このファイアーエムブレムは、アカネイア王家の代理として世界を救う者に与える覇者の証。諦めずに戦い抜く私の意志でもあります。私たちの手で必ずやこの戦いを終わらせ、平和を、誰もが穏やかに暮らせる日々を取り戻しましょう」

 

 俺は穴だらけの封印の盾を受けとる。

 シーダとレナが拍手をした。他の連中もすぐに手を叩き、ミディアが続いたことで、アカネイア貴族たちもぱらぱらと拍手をする。

 それがおさまるのを待って、俺は全員を見回した。

 

「それではグラに向かう」

 

 見てろよ。

 誰に言うでもなく、俺は内心で呟いた。

 俺たちの名を、この大陸の歴史に刻んでやる。

 ここまで来て、ただの海賊だのなんだので終わらせてたまるか。悪名? 奸雄? おおいに結構。『○勝○敗 ○EXP ○○にて倒れる』なんて無味乾燥な一文で終わっちまうより何万倍もマシだ。

 前々から言ってることだが、ガーネフの野郎にいい目を見せるのももちろん嫌だ。

 凶悪な笑みを浮かべて、俺は言った。

 

「奪りに行くぞ」




ガザック軍編成
ガザック   シーダ        アイルトン
海賊     カシム        レナ
マチス    ニーナ        リカード
ウェンデル  バヌトゥ       エステベス
マリア    ミネルバ       リンダ
ララベル   ワイアット(傭兵)  ミディア
ワインバーグ(アーマーナイト)
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