(FE紋章の謎の世界に転生したので)海賊王に俺はなる!   作:大目玉

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「魔道の国カダイン」1

 その日の深夜、俺はテントの中でミネルバを抱いていた。

 たっぷり三戦まじえて、一息つく。ミネルバは、仰向けになっている俺に覆いかぶさるようにもたれかかっていた。俺を見て、いたずらっぽく笑う。

 

「今日はこのぐらいにしておくか?」

 

「……さて、どうするかな」

 

 俺は間をもたせながら、ミネルバの赤い髪を撫でる。

 ……いつかこうなるんじゃないかと思っていたが、まさか今夜だとはな。ぎりぎり間に合った、というところか。

 俺はテントの出入り口にすばやく視線を走らせる。ついさっきまで、テントの外には人がいた。立ち去ったらしく、今はもういない。

 この態度を見る限り、ミネルバは気づかなかったようだ。まあ、気づかせないために積極的に攻めまくったしな。

 

「それじゃあ、もう一戦やるか」

 

 ふてぶてしく笑って、俺はミネルバを抱きしめると、その体をまさぐりはじめた。

 

 

 翌朝、俺はパオラとカチュアの二人を自分のテントに呼んだ。なんでかマリアまで一緒に来た。パオラは気まずそうに、カチュアは責めるように、マリアは何か決意を固めたって顔で俺を見ている。

 

「どうだった? なかなか楽しい見世物だっただろう」

 

 俺は下卑た笑みを浮かべてパオラたちに聞いた。パオラは頬を赤く染めながら、怒りと軽蔑を込めた目で俺を睨んだ。

 

「どういうつもりなのか、聞かせていただけるのですか」

 

 昨夜、俺はミネルバを抱く前に、ひそかにパオラとカチュアを呼んで伝えたんだ。

 夜遅くになったら俺のテントまで来るように。ただし中には入らず、外から気配を殺して中の様子を覗くように、ってな。

 いつだったかも言ったが、女を抱いてるところを他人に見せつける趣味はねえ。だが、今回は必要だった。現実を突きつけるために。

 俺が黙っていると、パオラは更に言い募った。

 

「あなたはミネルバ様と……つまりそういう仲なのですか? 恋人同士というか……」

 

「そんなわけねえだろ。ミネルバの俺への態度を見ろよ」

 

「では……」

 

 困惑するパオラとカチュアに、俺はミネルバを味方にする際にかわした契約について話してやる。ミネルバ一人で五人分の奉仕を俺に行うというその内容に、三姉妹の長女と次女は当然というか激怒した。

 

「ミ、ミネルバ様が、そんな卑劣な条件を呑むはずがありません……!」

 

「いい加減なことを言うと、私たちにも考えがあります!」

 

「それが呑んだんだよなあ。敬愛するミネルバ様に確認してみたらどうだ?」

 

 俺は余裕たっぷりに答えてやる。パオラとカチュアは立ちすくんだ。マリアが申し訳なさそうな顔で二人に頭を下げる。

 

「ごめんなさい、二人とも。ミネルバ姉様はわたしのために……」

 

「別にお前のためだけじゃねえ。あの時も言っただろ」

 

 俺はパオラたちに説明してやる。ようするに、同盟軍につかなかったらミネルバにもマリアにも行き場がなかったという話だ。

 

「お前たちはミネルバの置かれていた状況を知っていただろ? マリアを人質にされ、兄貴と対立しながらも、結局はいいように使われていたミネルバに先はあったか?」

 

「それは……」

 

 パオラは唇を噛んで言いよどむ。その隣でカチュアが懸命に反論した。

 

「都合のいい主張とは分かっていますが、それ以外の条件でもって迎えいれてくださることは不可能だったのでしょうか」

 

「ニーナは喜んでいいって言うだろうが、俺が嫌だ」

 

 うわっ、二人揃っておっかねえ顔で俺を睨んできた。俺はしかめっ面で言った。

 

「お前だって、都合のいい主張って言ったじゃねえか。自分で言うのも何だが、それ以外はかなり好待遇だと思うぞ」

 

 基本的に、ミネルバをないがしろにしたことはねえ。貴重なエース枠だからな。

 戦士としてのミネルバは、サムソンやアストリアといった一流どころには及ばねえ。だが、戦場全体を見渡すことができる。少々の劣勢じゃへこたれねえ。これはでかい。

 やがて、パオラが言った。

 

「昨夜のことを私たちに見せたのは……ミネルバ様の代わりを務める覚悟があるか、ということですね?」

 

 呑みこみが早くて助かる。俺は笑って言った。

 

「代わりとまでは言わねえさ。五人分の奉仕を一人でしているミネルバの負担を減らす覚悟があるか。ミネルバにも相談してきていいぞ」

 

「わたし、やります!」

 

 真っ先に叫んだのはマリアだった。待って、お前はお呼びじゃないの。

 パオラもカチュアも顔を真っ青にしたが、俺も困った顔になる。

 

「……お前の出番は、そうだなあ、三年後かな」

 

「いや! 今晩からやります!」

 

 ええー。俺は純白の法衣を着ているマリアの、頭のてっぺんから爪先まで見つめた。

 ディールで助けたときよりかは肉付きがよくなってる。血色も。というか、ディールにいた頃が痩せすぎてたんだよな、やっぱり。

 今はミネルバがそばにいるし、食事はそこそこまともなのが出るし、安心できる人間がまわりにいる。まあ改善されているわけだ。

 だが、急に背が伸びるわけでもねえし、胸がでかくなるわけでもねえし、色気が出てくることもねえ。とりあえず試してみるか。

 

「お前さ、ちょっとこう、しなをつくって、うふーんて色気たっぷりに笑ってみせろ」

 

 どうにかポーズをとらせる。

 

「うふーん」

 

 むせた。

 俺はしばらくの間、腹を抱えて悶絶した。

 子供のお遊戯会? いや、可愛いよ、うん。可愛い可愛い。

 だめだこりゃ。次行こう。

 気を取り直して、俺はパオラとカチュアを見る。パオラは笑いをこらえようとしてか顔を引きつらせていて、カチュアは何とも言いがたい顔で俺を見ていた。

 

「とにかく、何日か時間やるから考えろ。ミネルバに相談してもいい。しなくてもいいが」

 

 そう言って、俺は三人をテントから追いだした。

 次にミネルバを抱くのは先のことだろうから、猶予はあるだろう。

 さて、なんで俺がわざわざミネルバとのセ○クスをパオラたちに見せつけたのか。

 そりゃまあパオラとカチュアをさっそく抱きたいって欲望ももちろんあったが、もうちょい切実な理由がある。

 昨夜の、三戦まじえたあとのミネルバの台詞を思いだしてほしい。

 

「今日はこのぐらいにしておくか?」って言ったんですよ、ミネルバ様。

 

 こんな余裕にあふれた台詞、他の女の口からは出てこないね。ニーナとか疲れてそのまま寝ちまうしな。

 慣れてきてんだよ、あいつ。俺とのえっちに。それでいいのか紅い竜騎士。

 

 まあ、考えてみればおかしなことじゃない。

 俺が抱いている女の中で、一番体力があるのは間違いなくミネルバだ。

 シーダは戦士としての訓練も積んでいるとはいえ、腕力や体力で勝負するタイプじゃねえ。レナは旅慣れているからそれなりに体力はあるが、鍛えあげた戦士と比べたら断然劣る。

 ニーナは一般人とレナの中間ってとこだ。リンダもそうだな。

 そこへいくとミネルバは別格だ。前に聞いたら、七つだか八つの時にはもう馬に乗る訓練をしていたらしい。剣や槍の訓練はもうちょっと後だそうだが、とにかく小さいころから真面目に鍛えていたわけだ。しかも実戦経験まで豊富ときてる。

 それに、まず脅したり、問答無用で押し倒したりしたシーダたちと違って、ミネルバとは事前に話をした。メンタル的な消耗がないとは言わないが、他の奴よりほんの少しはマシだろう。

 ちなみに、五人分の奉仕とはいっても、本当に一晩で五戦やったことは今までに一度しかない。翌日のミネルバがほとんど使いものにならず、丸一日休ませることになったからだ。あのときはさすがに反省した。戦力に乏しいうちじゃ、笑いごとじゃすまねえ。

 だったら抱くなと言われそうだが、それは嫌だ。

 

 話を戻そう。

 ミネルバが、あきらかに慣れてきたわけだ。となると、いずれは五人分の奉仕を楽々こなすようになるかもしれない。それどころか、俺が先に力尽きる未来がくるかもしれない。

 

「何だ、もう限界か、情けない。威勢のいいのは口だけだったようだな」

 

 もしそんなことを言われたら、たぶん俺は一生立ち直れない。

 そういうわけで、俺は三姉妹の二人に情事を見せつけたのである。

 さて、どうなるか。パオラもカチュアもミネルバへの忠誠は本物だから、俺の思う通りに転がってくれるはずだが。

 話を聞いたミネルバが奮起して、俺から生命力を搾り取るなんて展開になりませんように。

 そして俺たちはカダインに着いた。


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