(FE紋章の謎の世界に転生したので)海賊王に俺はなる!   作:大目玉

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すみません。ちょっと色々間に合わなかったので、この続きは13日になります。


「海賊王・ガザック」1

 俺たちが王宮に突入すると同時に、玉座の間に通じる扉が勢いよく開け放たれた。アーマーナイトの大軍が現れる。その後ろにはアーチャーの部隊もいた。グルニア兵だ。

 ガチャガチャと甲冑を鳴らして、連中が向かってくる。

 

「出だしからたいそうな歓迎をしてくれるじゃねえか」

 

 先手を打てれば、玉座の間の壁際にいる司祭たちを弓矢で射倒して、定石通りにメンバーカードとリザーブの杖を奪っていたんだがな。

 まあ、このぐらいのことはしてくると思っていた。

 

 俺はシーマと、アーマーナイトの傭兵ワインバーグを前へ出させた。奴らを食い止めてもらわにゃいかん。

 狭まった廊下で、敵味方のアーマーナイトたちが激突した。槍と甲冑がぶつかりあう。それぞれの背後で、敵のアーチャーとこちらのハンターが矢を飛ばしまくる。

 

 それにしても数が多い。モーゼスめ、援軍を逐次投入するんじゃなくて一気に押しだしてきやがったな。たしか、アーマーナイトが20、アーチャーが10ユニットだっけか。

 

「ガザック殿、いつまでも支えるのは難しいぞ!」

 

 シーマが訴える。大軍ってのは見た目だけでプレッシャーがすさまじい。気が抜けないと思えば、疲労だっていつもより溜まる。

 それに、いつまでもここに留まっているわけにもいかない。

 

 俺たちがいる場所からは、右手、中央、左手の三方向に廊下が延びている。そして、右手からアーマーナイトの大軍が押し寄せているわけだ。

 もちろん、中央と左手の廊下の奥にも敵は待ちかまえているので、ぐずぐずしていると三方向から攻められることになる。

 

 俺は中央の廊下を進むよう、ミネルバとパオラ、カチュアに命じた。左手の廊下の方が狭くて有利に見えるが、宝物庫にいるスナイパーや魔道士に狙われるからな。

 ちなみに城内の見取り図はアランに協力させて、かつ俺の知識で補完して作った。アランは北西の隠し通路についても知っていたので、かなり信頼されていたんだろう。

 

「このような形で、再び王宮に足を踏みいれることになるとはな……」

 

 中央の廊下を進みながら、アランは感慨深げに言った。

 地図を作る際に簡単に聞いたんだが、元騎士として、コーネリアスやリーザ王妃、さらにマルスやエリスのことについても責任を感じているということだった。

 ようするに、背負いこみすぎる性格なんだな。こいつ。

 解放同盟でも、最初はあまり重要な立場じゃなかったらしい。なぜ勇敢に戦わなかったのかと責められたこともあったとか。

 だが、その責任感から必死に役目を果たしている間に認められ、リーダー的存在になってしまったんだそうだ。モーゼスの粛清で人材が底を突いていたという事情もあったにせよ、こいつはやっぱりパラディンになれるだけの人間ではあったんだな。

 まあ、それで体悪くしてりゃ世話ねえんだが、俺がそれ言ったら間違いなくブチ切れるだろうな、こいつ……。いや、嫌いじゃないけど。

 だが、やはりアランの相手はニーナに任せるべきだろう。

 俺はアランから視線を外してマリアに声をかけた。

 

「今回、お前にはいつもより働いてもらうことになる。いいな?」

 

「うん、大丈夫! 精一杯頑張る!」

 

 小さな両手を握りしめて、マリアは答えた。小声で付け加える。

 

「レナのこともちゃんとわたしが見てるから、ガザック様は戦に集中して!」

 

 ああ、俺を励まそうとしてくれているのか。辛気くさい顔はしないようにしているつもりだったが……。頼もしいお姫さまだ。

 

「あ、あと、夜のお務めも頑張る!」

 

「意気込みだけもらっておく」

 

 こいつがあまり危なっかしい言動をしないよう、今度ミネルバに言い聞かせておこう。

 くっちゃべりながらも、俺たちは中央の廊下を後退するように進んだ。

 襲いかかってきた魔道士の部隊は、ミネルバたちマケドニア勢が斬り捨てた。事前に聖水を使わせていたのでダメージもない。

 ちなみにミネルバには、キルソードの他にサンダーソードも持たせてある。灯台を守備していた勇者部隊から手に入れたものだ。

 

「しかし、魔道士の数が少し多かったな」

 

 増員されていたんだろうか。そんなことを考えていると、廊下の奥からスナイパーの一団が姿を現した。

 こんなところにスナイパー?

 そうか、モーゼスの野郎、兵の配置をいじったのか。

 矢の雨がミネルバに襲いかかる。体に何本も矢を受けながら、ミネルバは耐えて踏みとどまった。重傷ではないが、軽傷とも言い難い。

 

「ミネルバ様!」

 

 パオラとカチュアが左右からスナイパーたちに斬りかかる。その間に、レナがリブローでミネルバを回復させた。よし、いつもより動きは鈍いが、どうにか回復役はやれる。

 

 一方、南側の廊下を埋めつくしながら、数の力で攻めてくるアーマーナイトどもだが、その中にアーチャーの部隊が混じりはじめた。

 中央の廊下は、三つの部隊が並ぶことができるぐらいには広い。奴らは数を活かして、隊列を広げてきたんだ。

 

 シーマとワインバーグはよく防いでくれているが、矢の雨を浴びて傷が目立ちはじめた。二人を援護しているアイルトンやカシムたちにも矢が飛んでくる。

 さらに敵のアーマーナイトたちが、シーマたちの脇をすり抜けてこようとする。

 アーマーキラーを持ったミディアや、解放同盟の騎士アランがそいつらを迎撃するが、とにかく敵の方が数は多い。しかも、急にしぶとくなった。一撃や二撃くらっても持ちこたえる。

 

「何があった?」

 

 首を傾げていると、ワインバーグが言ってきた。

 

「敵は回復魔法を使っていると思われる。対処を願う」

 

 リブローとリザーブか! しかし、目の前の敵の様子だけでよく分かったもんだ。大枚はたいて雇った価値があったぜ。

 しかし、どうしたもんかな。これだけ矢が飛んでくると、うかつにリンダやエステベスを投入できねえ。すぐハリネズミにされちまう。

 シーマに疲れが見えはじめた。まだ経験が足りてねえか。グラの籠城戦が初陣だったからな。

 

「チェイニー。出番だ」

 

「これだけこき使うんだから、どうして俺の力を知っているのかちゃんと説明してくれよ」

 

「してやるしてやる。生きて帰ってくればな」

 

 チェイニーがワインバーグに変身して前に出る。シーマと交替した。

 こいつはあまり長く使えねえ。変身が切れた途端に槍で刺されてお陀仏とかいうオチを避けるために、早めに下げる必要があるからだ。まあ、シーマが休むぐらいの時間は稼いでくれるだろう。そうでないと困る。

 

 俺は傷薬を使っているミディアとアランを見た。アランは間違いなく強いんだが、早くもグロッキー気味で、ミディアに心配されていた。3分間しか戦えない宇宙人か、お前は。もう、難アリばっかだな、うちの軍は!

 

「ちくしょう、マチスやワイアットがいればもう少し楽なんだが……」

 

 口の中でつぶやく。他のやつに聞かれちゃならねえ言葉だ。

 ミディアとアランを下げて、手下たちとシーダを投入する。なんだかんだで戦わせちまってるから、シーダは戦士としてかなり成長していた。少しの間はもたせられるだろう。

 

 まだ投入していない戦力としてバヌトゥがいるんだが、こいつは敵の火竜に備えて温存しておきたい。

 少し休ませたシーマを、ワインバーグと交替させる。ワインバーグはだいぶ戦い慣れているが、だからこそ、こんなところでばてさせるわけにはいかねえ。

 

「ガザック様! 奥の廊下は確保しました!」

 

 奥の廊下と中央の廊下を結ぶ場所から、パオラが叫ぶ。

 うん? 火竜は出てこなかったのか? どこに配置したんだ。

 俺は念のためにバヌトゥに火竜になってもらい、奥の廊下へ行かせた。

 それから、魔道士たちとハンターたちに合図する。

 

「ぶちかませ!」

 

 一度だけの、強烈な反撃。エルファイアーやサンダーがアーマーナイトたちに炸裂し、矢の雨が降り注いだ。ミディアたちもアーマーキラーを振るって先頭にいるやつらを斬り伏せた。

 その勢いに、敵の動きが鈍る。俺はすかさず命じた。

 

「全員、奥の廊下へ走り込め!」

 

 俺たちの意図に気づいて、グルニア軍は慌てて動きだす。だが、そのせいで左右の味方とぶつかりあい、混乱した。その隙に、俺たちは奥の廊下に逃げこむ。助かったとはいえないが、一息はつける。

 

 俺はシーマとワインバーグ、それからチェイニーに引き続き壁となるよう命じ、奥の廊下を抜けて、宝物庫へ通じる広間に出た。そこにはミネルバとパオラ、カチュア、そして火竜状態のバヌトゥが待っていた。

 

「みんな、無事に逃げ切れたか?」

 

 ミネルバに聞かれて、俺は頷いた。それから尋ねる。

 

「火竜を見たか?」

 

 ミネルバたちは首を左右に振った。てことは宝物庫か。

 

「……ドラゴンがお宝を守るたぁ、ずいぶん古典的じゃねえか」

 

 他にいるのは勇者と盗賊あたりか。俺はミネルバに言った。

 

「この場は任せる。俺はちょっくら宝物庫を見てくる」

 

「この状況で宝物庫を……?」

 

 カチュアが眉をひそめた。パオラが妹の肩を叩いてなだめつつ、俺に聞いた。

 

「何か理由があるのでしょうか、ガザック様」

 

「宝物庫をおさえたって敵味方に教えてやるとだな、金や財宝目当てで戦ってる連中は、褒美の保証がされて奮い立つし、敵は焦るんだ」

 

 パオラとカチュアが納得した顔になったところで、俺は嫌味な笑みを浮かべる。

 

「俺の場合は、海賊として略奪は欠かせねえってだけだがな」

 

 ミネルバが呆れたようにため息をついた。

 カチュアはむくれた顔で俺に何かを言おうとしたが、宝物庫のある方向を見つめて言葉を呑みこんだ。俺もカチュアから視線を外して、そちらへと目を向ける。

 宝物庫から、敵の勇者が現れた。

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