(FE紋章の謎の世界に転生したので)海賊王に俺はなる!   作:大目玉

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ようやくタイトル回収できた! かな……?
この4が他より長くなりましたが、どうしても一話にまとめたかったのでそうさせていただきました。読みづらかったらごめんなさい。

そして、すみません。再び書き溜めに入るので、次の更新は10月予定にさせてください。ラーマン神殿はともかくカミュとかもうどう戦うのって感じのアレで……。

あと感想はもう全然返事を書く余裕がなくなって申し訳ない限りですが、すべて見ています。ありがとうございます! 伊勢長島云々はドリ○ターズの台詞でそれ以上の意味はないやで!


「海賊王・ガザック」4

 最初、レナは自分一人でマチスを埋葬すると言ったんだが、俺はカシムとリカードを手伝いに行かせた。ワイアットは、エステベスとワインバーグが埋葬した。

 その間にニーナはアランと会い、今後のことを話しあった。アカネイアはアリティアの復興を承認し、支援を約束し、アランをアリティア総督として統治を任せることになった。無事にエリスを救出できたら、エリスがアリティアの統治者になる。

 

 その夜、王宮では盛大な宴が催された。

 ドルーアの連中が王宮に蓄えていたので、酒も肉も小麦も大量にあった。

 厨房で作ってちゃ間に合わねえから、鍋を持ってきて肉と小麦をてきとうに持っていって各自で好きにやれって感じだ。パンを焼いてかじるやつもいれば、粥みたいなのをつくってすすっているやつもいる。

 何せ、長年の圧政からの解放だからな。王宮の中でも外でも、町のある島でも、あっちこっちで誰かが楽器をかき鳴らしたり、下手な踊りを踊ったりしている。焚き火だけで、王宮のまわりも町も昼並みに明るかった。

 

 アリティア解放同盟の連中とのお話はニーナに丸投げして、俺は王宮の外で手下たちと酒を飲んでいた。マルス殺しの俺が、やつらの前に出るのはあまりよくないしな。

 たくさんの焚き火の上では、鍋がぐつぐつと煮えたぎっている。肉に野菜に魚を適当にぶちこんで塩で大雑把に味つけをしたものだ。まあ宴だから何でもうまい。

 ミネルバ達が混じったり、カシムとリカードが飛び入り参加したり、説明説明うるさいチェイニーをあしらったり、エステベスやワインバーグも顔を出したりして、俺たちは飲み、歌い、騒ぎ続けた。

 レナはひとりで神殿にこもっているらしい。明日か明後日にでもシーダに連れださせるか。

 

 真夜中になったころには、さすがに騒ぎ疲れたのか、だいぶおとなしくはなった。

 まだ焚き火はほとんど消えてねえし、騒ぐ声もかすかに聞こえるが、その程度だ。

 俺のまわりには、手下たちだけが残っている。他の連中はどこかで休むか、まだ飲んでいるんだろう。酒も料理もまだまだあるから、俺たちはだらだらと酒を飲み、肉をかじっていた。

 

「親分」

 

 不意に、真面目な声が聞こえて、俺は我に返った。

 見ると、アイルトンがいつになく真剣な顔で俺を見ている。何だ、こいつ。いきなり。

 

「親分、大事な……大事な話があるんだ」

 

 姿勢を正し、両手を膝の上にのせ、緊張した顔でアイルトンは言った。俺は視線を左右に泳がせて、水瓶を見つけて立ちあがる。青銅製のジョッキで水を汲んで一気に飲んだ。

 それから、アイルトンの前に座り直す。

 

「何だ」

 

 そのとき気がついたんだが、アイルトンだけじゃねえ、俺たちを囲んでいる手下のほとんど全員が、やはり緊張した顔で俺を見つめている。何だ、これ。

 アイルトンは俺をまっすぐ見つめて、ためらうように十秒近く間を置いたが、何かを決意した目で、はっきりと言った。

 

「親分、俺……いや、俺たちは、軍を抜けたい」

 

 時間が止まったような気がした。もちろんそんなことはなく、アイルトンは続けた。

 

「ガルダに帰りたいんだ」

 

 ………………は?

 

 俺の手から、ジョッキが落ちて地面に転がった。

 えっ? え? えっ?

 何だって? えっ? さっきからえっ、ばかり言ってるぞ、俺。落ち着け、俺。

 

「そいつは、どういうわけだ」

 

 俺の声は、自分でも驚くほど低かった。かすれて、力に欠けていた。死霊みたいだった。酒のせいだと思いたいが、違うんだろう。

 アイルトンはびくっと肩を震わせた。だが、自分を奮い立たせるように首を激しく振って、空を見上げた。

 

「見てくれよ、親分。この空を」

 

 俺は空を見上げる。月と、そして満天の星が輝いていた。吸いこまれそうな夜空。

 だが、それは俺に何の驚きも感銘も与えなかった。

 アイルトンは必死に声を絞りだす。

 

「ガルダの夜空とは、全然違う。たぶん、同じ星なんて一つもありゃしないんだ。一つも」

 

 何言ってんだ。

 ガルダを発ってから何ヵ月たったと思ってる。季節だって変わってるはずだ。同じ星がねえなんてのは、てめえの錯覚だ。朝までかかってでも天動説を教えてやろうか。

 そんな言葉が俺の胸の中に浮かんだが、口をついて出たのは一つもなかった。

 アイルトンの言いたいことは、そんなことじゃねえ。それぐらいは俺だって分かってる。

 

「飯だってそうだ。この飯はうまいよ。麦の粥も。パンも。肉も。魚も。でも、ガルダの食いものと違う。匂いも、味も。料理の仕方だけじゃない。そのものが違うんだ」

 

 まわりに残っている料理を、アイルトンは見回した。

 ガルダの味。もう覚えていない、俺の知らない味。

 

「それに」と、手下達の誰かが言った。

 

「親分、最近はガルダのころの話を全然しなくなってさ……」

 

「おい」と別の誰かがたしなめて、そいつは口をつぐんだ。

 だが、たしなめたやつも、決して否定的ってわけじゃなかった。代表として話しているアイルトンの邪魔をするなって感じだ。

 アイルトンが身を乗りだして言った。

 

「親分はいつも前だけを見て、迷わないで、どこまでもまっすぐ進んでいってさ……。親分はすげえよ。本当にすげえ。誰にだって自慢できる最高の親分だ。だけど、だけどよう……」

 

 その台詞は最近も聞いた。アイルトンの本心なんだろう。表情でわかる。

 だが、あの時と、どうしてこれほど違って聞こえる。誇らしげというだけじゃなく。

 

 前だけを見て。迷わないで。

 

 誰だよ、そいつ。俺じゃねえよ、少なくとも。

 だが、そうか。

 お前たちからは、俺はそう見えていたのか……。

 

「時々、俺たちは途方に暮れちまうんだ。いったい、親分はどこまで行くんだろうって。ドルーアを倒したら帰るってのは、なんべんも聞いたぜ。でもさ、何て言うか、まるでガルダに戻る気がないみたいに、西へ、西へ、西へって……」

 

 アイルトンの声には不安が混じり、涙が混じっている。

 

「いつか、親分は地図の外まで行っちまうんじゃねえか、って……」

 

 俺は一言も発さず、アイルトンの言葉を聞いている。

 こいつらとの、これまでのことを思いだしていた。

 できるかぎりのことをしてきた。褒美もやった、女も用意した、飯だって食わせてきた。文字通り同じ釜の飯を食い、酒を飲み、肩を組んで騒いだ。血を流してきた。

 

 だが、故郷について考えたことはほとんどなかった。

 

 俺にとって、ガルダはただのスタート地点でしかない。

 さっき、誰かが言ったように、話したこともほとんどない。それどころか、記憶にもうわずかしか残ってない。

 本当のガザックなら、違ったのだろう。

 アイルトンの顔にも、声にも、俺に対する敵意や不満、反感は感じられない。手下たちからも。

 これが敵意や不満なら、まだよかった。待遇改善の要望ならどれだけマシだったか。聞いてやることも、ねじふせてやることもできた。

 だが、違う。

 こいつらの顔に浮かんでいるのは郷愁だ。

 生まれ育った村や町を飛びだし、家族のもとへも帰れないお尋ね者が、俺たちだ。

 その俺たちの数少ないよりどころ。故郷。

 故郷への思いが、俺に従う気持ちを上回った。上回っちまった。

 ふと、ヴィクターのことを俺は思いだした。勇敢なサムシアンの戦士。

 

「親分に従って、ずいぶん遠くに来たもんだなあって思ってよ。サムスーフ山で生まれ育ったこの俺が、だぜ。あのころは、あの山から離れることはねえ、って思ってたんだが」

 

 アカネイアについて間もない頃だった。あいつがあんなことを言っていたのは。

 あのしっかりした奴でさえ、サムスーフ山からアカネイアまでの距離で、そんなことを思っていた。

 アイルトンたちが歩いてきた距離は、それ以上だ。

 

 大陸の東の端のガルダから、アカネイアより更に西。

 

 しかも、ずうっと歩いてきた。歩き続けてきた。

 風景の変化を見ながら。星々の変化を見ながら。

 遠くへ来たという実感は、俺なんかよりもはるかに強いものだったろう。カダインの砂漠で見せた疲れは、肉体的なものだけじゃなかったんだろう。俺は、今の今まで、アイルトン達に言われるまで、それに気づいてやれなかった。

 あと少しだ。

 グルニアへ行って、マケドニアへ行って、テーベに飛んで、それから……。

 本当に、あと少しなんだ。あと少しで終わるんだ。

 だが、そう説得しても、こいつらがついてくるとは思えなかった。こいつらだって、それは分かっているはずなんだ。地図を見せながら何度も語ってきたんだから。

 あと少しというところまで来たから、ついに力尽きちまった。そういうことなんだ。

 

「マチスやワイアットのことがあったばかりで、こんなことを言うのは申し訳ないと思ってる。どう言われても、いや、殺されたって文句を言えねえ。そんなことは分かってるんだ。分かってるんだけど……」

 

「……ガルダに帰って」

 

 ようやく、俺は声を出した。しわがれた、ジジイみたいな声だった。

 

「ガルダに帰って、どうすんだ?」

 

「できれば」

 

 アイルトンは目を輝かせて言った。

 

「できれば、やり直したいと思ってる。海賊に戻るの、親分だって賛成じゃないだろ。だから、とりあえずは漁師からはじめてさ。真面目に生きたいと思う。ガルダの隅っこで畑を作ったり、森の中で薬草を採ったり……」

 

 ばーか。

 なに甘いことぬかしてやがる。

 セカンドライフやスローライフなんてなあ、一握りの金持ちか、小説家にな○うの中でしか上手くいかねえんだよ。

 だいたい、タリスの民にとってはお前らは海賊のままなんだぞ。それが急に改心しました、やり直しますって、信じてもらえるわけねえだろ。マルス達に協力していた民兵、タリスの人間じゃねえか。それを蹴散らしたんだぞ、俺たちは。

 真面目に生きるって心がけだって、いつまでもつか。ガルダに戻って十日もしたら、海賊の方がよかったとか言いだすぞ。俺についてきた方が絶対にいい。断言してやる。

 

 しかし、それらの愚痴や恨み言も、俺の口からは出てこなかった。

 こいつらは馬鹿だ。どうしようもない馬鹿で、ろくでなしだ。

 だが、ちゃんと見てやれば、問題を起こさなかった。根性も見せてきた。

 今日までの間に、ガルダにいた頃の、ただの海賊じゃなくなったはずだ。

 今回のことだって、よくよく考えてのことなんだろう。

 むしろ、悩み続けてここまで来ちまったんだろう。悩まなければ、それこそパレスあたりで言っていたんじゃないか。

 

「わかった」

 

 適当な酒瓶を引き寄せ、そのまま飲みながら俺は言った。

 

「お前たちはガルダに帰れ。いいか、タリスの民に迷惑をかけるな。俺が帰ったときに、そんな姿を見せてみろ。ただじゃすまさねえからな」

 

 明け方まで、俺たちは飲み明かした。

 ガルダの話を、ガザックの昔話を、アイルトンたちの話を、俺はたくさん聞いた。

 そして、あらためて思わざるを得なかった。

 俺にとって、ガルダは故郷じゃない。

 いや、かつてシーダに言ったように、この世界のどこにも、俺の故郷はないんだろう。

 

 

 二日後、俺はシーダに頼んでタリス王への手紙をしたためてもらった。

 ガルダの端、サムスーフ山により近いところに、手下たちの居住区を用意してほしいと頼んだんだ。なんで端かっていうと、いざというときにアイルトンたちがサムスーフに逃げられるようにするためだ。

 

 正直、タリス王とタリス民が俺たちを許すとは思えない。

 俺たちのことはシーダ経由で向こうの耳に届いているだろうし、しばらくは妙なこともしねえとは思うが、何が起こるか分からねえからな。揉めごとになったら逃げろというのは、アイルトンにも厳しく言ってある。

 むしのいい話だが、あとはどう思われようと、時間をかけて溶けこんでいくしかねえ。

 

「本当によろしいのですか?」

 

 話を聞いたシーダは驚いて俺を見上げたが、俺は黙ってうなずいた。

 俺がやつらの「親分」としてやれることは、もうこれしかねえ。

 手紙は、ニーナにも頼んだ。シーダを信頼してないわけじゃねえが、こういうのは数があった方がいいからな。ニーナも「それでいいのですか」と聞いてきたが、俺は黙ってうなずいた。

 

 さらに二日後、アリティアの港のひとつで、俺はアイルトンたちと別れをすませた。

 手下達の中には、俺のもとに残るって言ったやつもいた。だが、とても一部隊を編成できるほどじゃなかったし、そいつらとアイルトン達との間に溝が生まれることも避けたかったので、まとめて帰らせることにした。

 一人一人手を握り、肩を抱き、あるいはかたく抱きあう。

 最後に、アイルトンと握手をした。

 

「変な寄り道とかしねえで、まっすぐ帰れよ」

 

 俺がそう言うと、アイルトンは泣きそうな顔で無理矢理に笑った。

 

「親分が帰ってくるまでに、タリスの連中に俺たちのことを見直させてやりますよ。親分はどんな奴が相手だろうと、必ず勝てるって信じてる。だから……」

 

 俺は苦笑した。苦笑しかできなかった。これから先、とんでもない敵しかいねえんだが。

 

「まあ、あまり気張るな。それと、腹が立つことがあっても俺の顔を思いだして我慢しろ」

 

 ふと、俺はこれが今生の別れになるんじゃないかと思った。

 たぶん、俺がこんなことを言いながら、ガルダに戻るつもりがねえからだ。

 アイルトンの手を握る俺の手に、力がこもる。アイルトンが笑って言った。

 

「親分、痛いよ」

 

「これぐらい我慢しろ」

 

 すると、アイルトンも力強く握り返してきた。

 

 

 アイルトン達を乗せた船が小さくなっていく。

 まっすぐガルダに行くわけではもちろんなく、あまり陸から離れないように進むそうだ。アリティアのいくつかの港に立ち寄り、グラを通り、アカネイアを抜けて……という感じらしい。

 船を見送った後も、俺はずうっと船着き場から動かなかった。

 物資の調達はララベルに任せればいい。アラン達との折衝はニーナがやってくれる。アリティアをどうするのかも、ニーナとアランとで大まかに決めるだろう。他の連中も、まあみんなそれなりにやっているだろう。

 日が暮れてきても俺はそこから動かなかった。ただ、さすがに疲れたので座った。

 ふと、人の気配を感じて顔をあげると、すぐそばにシーダが立っていた。手には毛布を持っている。俺の肩に毛布をかけながら、シーダは笑った。

 

「冷えますよ」

 

「……レナはどうした?」

 

「レナには、マリアやリンダがついてくれていますから」

 

 そして、シーダは俺の隣に座った。

 お前、最古参になっちまったな。

 そんな言葉が思い浮かんだが、俺は言わなかった。こいつは、自分からついてきたわけじゃねえ。人質にして連れてきたんだ。ここまで。

 そんなことを思っていると、俺に寄り添いながらシーダが言った。

 

「私、最古参になってしまいましたね」

 

 俺はシーダの肩に手を置いて、抱き寄せた。

 潮騒と海鳥の鳴き声が、静かに聞こえていた。

 

 

 翌日、王宮の玉座の間で論功行賞が行われた。

 まずはアランだ。正式に、ニーナからアリティア総督に任命された。アランもアリティアの代表としてアカネイアに忠誠を誓う。

 ニーナは褒美としての財宝の他に、騎士勲章とオリオンの矢をアランに与えた。見所のある騎士や弓兵に渡せということだ。まあ、そんなのがいるかどうかは難しいんだがな。

 

 昨日、俺はアランに使えそうな奴がいないか聞いたんだが、アランは首を横に振った。

 一つは、モーゼスの野郎が派手に粛清をやったこと。

 もう一つは、俺の悪評。王宮奪還の戦いで俺がアリティア騎士を殺したって、もう噂になっててさー。あのデビルソード持ちの四騎士のことな。俺だけかよと言いたかったが、ミネルバやアランもやったってわかったら外聞がなあ……。

 

「もちろん正確な情報を知っている者もいます。ですが、そうした者はいずれも有能で、手放すとアリティアの統治に少なからず支障が出ます」

 

 そして、正確な情報を知らない者は、戦力として使うには危なっかしいと。

 仕方がないので、オレルアン式を使って、俺がアリティアの下級貴族の称号をもらった。

 

 うちのメンバーって、だいたいどこかの国の要人だからな。そうじゃないのってカシムとリカードと傭兵組ってとこなんだが、平民や盗賊、傭兵よりは、ニーナから総指揮官に任命されている俺の方がまだまし、って結論に落ち着いた。

 下級貴族なのは、総督の権限の限界ってとこだ。頑張ればもうちょっとできるんだろうが、どうせ肩書きだし、アランの胃に穴が開くかもしれないと思うと、俺もあまり強くは出られなかった。

 しかしマルスも何だって第二部でこいつを起用したんだ。新妻といちゃいちゃ武器屋ックスしてるあの元出っ歯でよかったじゃねえか。新妻同伴で。そうすりゃ三章からトライアングルアタックが使えたのに。くそっ、死人に八つ当たりしてるな俺。

 

 そして、ミネルバやミディアなどが次々に名を呼ばれ、ねぎらわれて褒賞を与えられる。

 マチスへの褒賞はレナが受けとった。

 レナの手には、小さな丸い容れ物がある。そこにはマチスの遺髪が入っている。マケドニアの家に帰ったら、そこに埋めると言っていた。

 

 俺はそれらの光景をぼんやりと眺めていた。

 アイルトンたちは無事に船旅を続けているだろうか。

 それにしても、今後のことを考えると頭が痛い。これだけ味方が減った状況で、ラーマン神殿はともかく、カミュ、ミシェイル、ガーネフが控えている。どんな無理ゲーだ、くそ。

 エステベスと相談して、ここの闘技場からまたスカウトしなくちゃならねえだろう。だが、マチスやアイルトンの代わりが務まる連中はいないだろう。厳しい戦いを覚悟しなくちゃならねえ。

 グルニアとマケドニアにも、あらためて降伏勧告をしておく必要がある。

 ああ、それに……他に何があるっけか。

 

「ガザック殿」

 

 ニーナに呼ばれて、俺は我に返った。早足で歩いて、アカネイアの王女らしいドレスをまとったニーナの前に膝をつく。

 

「アリティアがドルーアの手から解放されたのは、多くの戦士達の奮戦によるもの。その中でも、あなたの働きはとりわけ大きい。ここにあなたの戦功を讃え、海賊王の称号を授けます」

 

 海賊王。結局、俺はその名前を称号として望んだ。

 

「嵐の中でも勇敢さを失わず、まっすぐ前に突き進む船の主。海のすべてを知り、すべての海を知る者。それが海賊王です。とくに、この地であなたが見せた戦いぶりは、この称号を与えるにふさわしいものだと考えます」

 

 ちょっと俺は感心した。海賊王の意味をニーナに聞かれた時、宿題として押しつけたからだ。上手く考えたじゃねえか。

 拍手。歓声。俺はニーナに頭を垂れながら、ひとつの光景を思い浮かべていた。

 麦わら帽子がトレードマークの、日本人なら知らない者などいないだろうあの少年。

 あの笑顔で、あの声で、少年は言った。

 

「この海で一番自由な奴が海賊王だ!!!」

 

 俺は今、むしょうに「海賊王」になりたかった。




ガザック軍編成
ガザック  シーダ     カシム
レナ    ニーナ     リカード
バヌトゥ  エステベス   マリア
ミネルバ  リンダ     ララベル
ミディア  ワインバーグ  パオラ
カチュア  シーマ     チェイニー
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