ヤンデレ地雷女神に惚れられた結果超人になったがそれ以上にやばいことになった件   作:ZENOS

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山吹の想い

 私は山守姫。この地を治める土地神です。

 

 実は私には将来を誓った相手がいます。彼の名前は小鳥遊京谷というとても素晴らしい方です。

 

 彼との出会いはそうですね。ある冬のことでした。

 

 実は私は少し前まで消滅寸前まで弱ってました。

 

 何せ神秘の少ないこの現代にあり、さらに追い打ちをかけるようにこの寂れた社。信仰も消えもう何時消滅してもおかしくないという時に彼は来ました。

 

 彼は朝早くに私の神社に来ると境内の掃除をしてからお賽銭箱にお金を入れると手を合わせて礼をした後、去っていきました。

 

 私は急なことに驚きましたがまたすぐに驚かされることになりました。

 

 なんと朝に来た彼が お昼にまた来たのです。そしてまた手を合わせると、元居たほうへ走っていきます。

 

 そして夜にもまた来ました。

 

 そんなことされたら流石に印象に残ります。

 

 そして驚くと同時に嬉しくもありました。この近くには桜川神社というこんなぼろい神社よりもっときれいで有名な神社があります。

 

 しかしそれにもかかわらず彼は私のもとに来てくれました。それが溜まらなく嬉しかった。

 

 次の日もそしてそのまた次の日も彼は来てくれました。そんな彼を見ているうちになぜか彼を見ると胸がどきどきとなり頬が熱くなるのを感じました。

 

 ですがきっと気のせいです。だって私は神様で彼は人間。そんなこと許されるはずがありません。なのでこの気持ちは気のせいなのです。

 

 

 

 

 

 

 そして彼がここに朝昼晩と通い始めてから5か月が過ぎようとしたころでした。

 

 彼が神社に来なかったのです。 

 

 朝、私はいつも彼が来るぐらいの時間にいつも彼が参拝する場所の丁度正面の彼の顔がよく見える位置に座って彼を待っていました。

 

 しかしいくら待っても彼は来ません

 

 昼 来ません

 

 夜 来ません

 

 翌日の朝 来ません

 

 私は彼を待つ場所から一度も動かずに彼を待ちます。

 

 昼 来ません

 

 夜 来ません

 

 その日も結局彼は神社に訪れることはありませんでした。

 

 それでも待ち続けます。 

 

 

 

 

 

五日後彼はまだ来ません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!

 

 なんで来てくれないんですか?私はこんなにも待ち続けているのに!もしかしてもう私は!この神社はいらないんですか!あなたまで居なくなったら私本当に消えちゃいます。いやもうそんなことどうでもいいんです。あなたに会いたいんです!なのにどうして!

 

 ……もしかして桜川神社の方に行ってしまわれたのですか?こんな力も信仰もない私に愛想をつかしてしまわれたのですか?

 

 いやだ! いやだいやだいやだいやだ!捨てないでください!あなたなしではもう駄目なんです!もうあなたがいないと生きていけないんです!

 

 

 ……どうか……どうか捨てないで……

 

 

 

 

 

 

 

 更にその二日後初日に彼を待っていた場所から一歩も動いていない私はほとんど消えかかっていました無理もありません。寧ろここまで生きていれただけ奇跡というものです。

 

 少し前の私ならその事実を受け入れていたでしょうが今は違います。

 

 「消えたく……ないなぁ……」

 

 彼にもう一度会いたい。

 

 しかしもう叶わないでしょう。

 

 おそらく後持っても数分。ここ一週間来なかった彼が突然訪れるとは思えません。

 

 神の子。山吹として居たころは生まれ持った力が大きすぎて周囲から神の子だと崇められて、ひたすらそれに応えようと、他のことには目もくれずに努力していた。

 

 そして神として昇華したあともこの地を守るべくたとえ信仰が小さくなり神としての格が落ち、力が少なくなっても、消滅を早めるほどの全力を注ぎこんだ。

 

 そして最後に力尽き消えようとしていたところに彼が来てくれた。あの時は本当に嬉しかったなぁ。そして彼のその信仰にも素晴らしいものがあった。

 

 なんともうすぐ消えそうな体がある程度まで回復したのだ。

 

 私は彼のことを見ている時。初めて自分からしたいことが出来ていたと思う。

 

 私を神の子や神様から初めて人間に戻してくれた。初めて楽しみをくれた。そんな彼のことが私はとてつもなく好きなんだろう。

 

 でももう遅い。

 

 もう体の形すら保てないや……

 

 自然と私の目から熱いものが込み上げてくる。

 

 「最後に……一目でいいから……会いたかったなぁ……」

 

 最後の言葉を残し後は消えるのを待つだけとなった時、何者かが走ってくる音が聞こえた。

 

 私は最後の力を振り絞りそちらを見る。

 

 あっあぁぁぁっ!

 

 「ふぅ。まさかこんな時にインフルにかかるとは入試が終わって油断してたか。」

 

 彼がいた!やっと会えた。涙があふれてくる。

 

 彼は私の目の前まで来ると口を開く。

 

 「神様。この一週間来ることが出来なくて申し訳ございません。病にかかってしまい動くことが出来ませんでした。」

 

 そういうと彼はいつも通り手を合わせる。

 

 よかった。桜川神社に行ったわけでも嫌われたわけでもなかったんだ。

 

 それだけで心が軽くなる。

 

 すると彼の物凄い信仰の強さで消えかけていた体が回復する。

 

 本当に凄い。やっぱり信仰がこんなに強いってことはそれだけ私のことが好きということよね。私たちはきっとお互いに居なければならない存在。

 

 今はまだ無理だけどもっと回復して実体化できるようになったらここで彼が来る前に待って居ましょう。そう。いつもみたいに。

 

 彼もそれを望んでいるはず。

 

 きっとそうでしょう。

 

 ねぇあなた様。


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