夢物語 幻 ~ゆかりドリーム~   作:ティンダロスの駄犬

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処女作な上に見切り発車ですがなにとぞよろしくお願いします。


こよみプレフィス ~その1~

 ~001~

     

 僕の同級生とその友人、そしてあの箱庭の小女達を巡るひと夏の大冒険のことを話す時が、、もうそろそろ来たのかも知れない。幻想は、語り継がれなければただの空想・妄想にすぎないのだから。

 だがその前に、ここでひとり、紹介しておきたい女子がいる。と言っても、彼女はその大冒険に同伴したと言うわけではないし、どころかその大冒険に、彼女が何らかの形で関与するということもない。それどころか僕が彼女と知り合ったのは、夏なんてとうの昔に終わっており、春の終わりが着々と近づく、そんな季節のことだったのだから、同伴のしようも、関与のしようもあるはずがないのだ。

 まあつまり、彼女は僕が今から語ろうとしている物語にはまったく関係がないのだけれど、ならなぜそのような関係のない人物のことを、このように冒頭で紹介しようとしているのかと言えば、正直僕にはそのことを正確に伝えられる自信はないのだが、なんというか、彼女はどこか僕に似ているのだ。周りの人達――――特に彼女の保護者のような存在である二人の女性は、そのことを否定するのだろうけど、僕と彼女はまったく違う存在でありながら、どこか根本的な何かが似通っていた。それはさながらトランプのキングのカードと、タロットの死のカードのような関係だ。お互いに意味することはまったく違うが、その根底にはどちらも13と言う数字が潜んでいる。

 そんな彼女を見ていると、まるで自分自身――――過去の自分を見ているようで、つい色々なことを思い出してしまう。

 困ったこと。

 悩み事。

 トラブル。

 そして失敗、後悔。

 そんなあれこれを思い出させてくる後輩こそ、彼女――――僕の新しい友人にて、僕と同じ怪異もどきの風祝(かざはふり)東風谷(こちや)早苗(さなえ)なのである。

 僕と彼女は実に些細(ささい)なことが原因でであったのだが、僕があの出会いを忘れることは絶対にないだろう。

 なにせ、出会いがしらに人体のありとあらゆる急所を御祓(おはら)(ぼう)でど突かれたのだから。

 どうして僕と彼女が出会うことになったのか、そしてなぜ彼女が僕に対してそのようなえげつないことをしたかについては、いずれ時系列がそこに追いついた時に(もっとも、それ以前にそのような機会に恵まれたらの話だが)語るとしよう。

また、彼女が過去を思い出させるように、過去を思うと時たま彼女のことを思い出すことがある、そしてあの大冒険のことを思うと思い出す彼女の言葉といえば、

 

 「阿良々木さん、阿良々木さん。実はカラオケのムービーには絶対に映らないものがあるんですけど、ご存知でしょうか?」

 

 である。

 

 「なんだそりゃ。版権的にアウトな物とかか?」

 「いえいえ、そのような在り来たりな答えじゃありませんよ――――阿良々木さんだって毎日のように見ているはずですし、もっと身近なものですよ」

 「毎日のように……いや、わからねーな。つーか僕はカラオケに一回しか行ったことがないからそういう細かいことはわからねーぞ」

 「私としては、ぼっちの阿良々木さんに一緒にカラオケに行くような友人がいたということの方が驚きですが……。いえいえ、種を明かせば簡単な話なんですよ、阿良々木さん。『携帯電話』と『自動車』です。この二つ、特に携帯電話のほうは流れが、時代の移り変わりが激しいんですよ。今日買った最新機種も、数年たてば大抵は旧型になってしまうでしょ?ですから、そういうのを映すと中途半端に古い映像になってしまうんです。ですから携帯電話などは最初から映しませんし、車は機種がわからないように編集するんですよ。それに、機種がわかると大体のその映像を取った年代がわかっちゃって映像の雰囲気が損なわれちゃいますしね」

 「……小説とかアニメで、正確な時代背景や地理をあえて描写しないことがあるのと同じ感じか?」

 「そうです、その通りですよ、阿良々木さん。隠して、ごまかして、騙すことで、情報を不十分にして、余計な詮索をさせない。時代背景を曖昧(あいまい)にしているんです。産地偽装ならぬ、産時偽装をしているんですよ」

 「産時偽装……いや、騙すっていうのは言い過ぎだろ。それも言っちまえば演出の一つじゃねえか」

 「揚げ足を取らないで下さいよ、やっぱり貴方はそういうことにしか頭が回らない変体さんなんですか、阿良々木さんは?……まあ、演出の一つだということに関しては私は賛成ですね。一々全てに細かい時期や場所を明記するなんてことしても、堅苦しいだけじゃないですか。そんなことをして喜ぶのは一部の人達だけです。中途半端でいいんですよ、そういうのは」

 「そういうもんなのか?……まあ、確かにそんなことをすれば日本中が聖地だらけになるし、『アトムが生まれた日』が大量にできちまうしな」

 「そうですよ。たぶん二十一世紀で、月面旅行なんてものが実現するほど未来でもない、とある辺境の町での物語、そんな感じでいいんです。それは所詮現実ではない、夢のような物、夢物語なんですから」

 

 そんな感じだった。

 本人は『カラオケのムービーには携帯電話と自動車は映らない』というトリビアを僕に話して自慢したかっただけらしいけど、それをわざわざくどい言い方で語ってくるのが、東風谷早苗という十六歳の女の子だった。

 そして僕は、そんなトリビアをあの箱庭の小女達とともに思い出す。

 境界に囚われ、幻想となった少女とともに思い出す。

 夢の如き現実の中、曖昧な幻想に守られながら。

 幻想の(さと)で生きる小女達との思い出と共に。

 あのひと夏の大冒険のことを思うたびに、思い出す。

 すでに忘れられ、終わってしまったこの物語を語ることに何の意味があるのかはわからない。

 無意味かもしれない。

 無駄なのかもしれない。

 それでも、僕は語らなければならないのだ。

 それが、僕と共にあの箱庭を歩いた少女の願いなのだから。

 これは単なる前日譚だ。

 八雲(やくも)(ゆかり)という妖怪が、八雲紫と名乗った少女が。

 幻想を紡ぐに至るまでの、夢物語だ。




ついに、ついにやってしまいました!
長年夢見てきた小説の投稿を!
書いた第一話が1000文字に足りなくてパソコンの前でorzしたりルーズリーフに書いた原稿をタイピングする作業に2時間以上かかったりと色々ありましたが、とりあえずこれで第1話は投稿できました。
駄文な上に亀投稿、しかも見切り発車ですががんばります。
なにとぞ生暖かい目で見守ってくださいな。
これからもよろしくおねがいします。ではノシ
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