7つの歌姫と音楽の仮面ライダー “ビート”   作:よなみん/こなみん

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幕間のお話です。


(作者の息抜き)闇鈴夢。

「と言うわけで今日は休暇です」

 

鈴夢は何も無い、青い空に向けて突然言葉を告げる。

時は休日。ひと時の平和を鈴夢は噛み締めていた。理由は言わなくても分かると信じたい。

人気のない場所。廃墟となったビルを占領し、鈴夢は仕事を終えたかのように一息つく。

 

「いやー、平和っていいな・・・」

 

今頃機動二課では突然いなくなった鈴夢を探しているだろうが鈴夢には知ったことではなかった。

異世界の仮面ライダーたちが集まる中、鈴夢の件で怒られるのは帝か一海もしくは玲音なので鈴夢はあんまり気にしないでいた(後で鈴夢は怒られるのだが)

 

「・・・ん?・・・そこにいるのは誰だ」

 

ふと、違和感を感じる。何かに見られているような、冷たい視線を直感で感じ取る。

何があっても良いようにドライバーを装着する。手にはすぐ変身出来るようにメモリも常備されていた。

時間を置いても姿を表す気配はない。痺れを切らした鈴夢はため息をつく。

 

「・・・出てこいよ。今なら許してやる」

「・・・流石は俺だな」

 

そう言い、会話に入ってきたのは鈴夢の分身であり肉体を構成している怪物、ビートだった。仮面ライダーになるためにも必要不可欠な存在であり、鈴夢にとっては兄弟当然の存在だった。

視線を感じても姿を表さないのには納得した。それもそのはず、自分が自分から監視されているなんて普通なら思いもしないからだ。

 

「なんの用?ただ疲れたって言う訳では無いだろう?」

 

呆れた物出で鈴夢はビートに要件を尋ねる。正直鈴夢からしたらビートは邪魔な存在でもあったので、だいたい関わってくる時は碌でもない事だなと諦めていた。

 

「俺にも遊ばせろ」

「・・・は?」

 

思考が止まる。その時間僅かに3秒。

鳩が鳴くような時間を置いて、鈴夢の思考は再び動き、言葉を理解する。

 

「俺にも遊ばせろと言ったんだ」

「ずいぶん直球だなおい」

 

2回目、再び投げかけられる言葉にゆっくりとした返答を返す、その言葉にビートは「けけけ」と悪者笑いで返してくる。

 

「この狭い体は飽きねぇからなぁ。しかも、お前は相当の修羅場を作ってると見えた」

「それは褒めてるのか貶してるのか」

「むしろ褒めてる方さ。なぁに。悪いようにはしない」

 

しかし鈴夢からしたら貶されているような気がして堪らなかったが、正直なところ否定出来ないのが現実である。

二課に行けば嫌でも修羅場が出来るだろう。それこそ英霊やライダーチーム、さらには暇にしてる元アイドル達が待っているのだから。

 

「・・・勝手にしてくれ。だけど悪いようにはしないでくれよ?」

 

そんな現実から逃げたいのか、祈願とも言える言葉をビートに投げかける。正直鈴夢からしたらこれは悪い提案ではなかった。

まず鈴夢の身体だが、ビートが意識を乗っ取っている間は鈴夢の意識は別の所へと保管される。

要するに部屋から交代交代で出るようなものだ。しかし部屋から出る時・・・つまり意識が戻る時には記憶は共有される。

 

鈴夢は定期的にビートと入れ替わり、情報を弦十郎や剣崎、戦兎と共有していた。

 

「わかったわかった。勝手にしてくれ」

 

そう言うと鈴夢は諦めたかのように身体を明け渡す、少しの時間を置いて、ビートの意識が覚醒する。

 

「あっ。一言忘れたが、できるだけ彼女たちとの接触は避けてくれよ?お前が関わると碌でもないことになる」

「わかってるよ。テメェみたいな修羅場に巻き込まれるのはごめんだ」

「やっぱ貶してんだろ」

 

この時、鈴夢は悪魔が解き放たれたなんて知る由もないのである。

 

 

 

 

「ここが機動二課ってヤツか」

『おう。俺たちの現在の拠点だ。ノイズ対策、サーヴァントの探知までここでこなしてる』

 

まず来たのは機動二課本部。正直ビートにとっては嫌なところだと思っていたが本人はそうでも無いらしい。むしろ興味があるとの事だった。

ぐちぐち言ってもられないので鈴夢は道案内をしながらビートにある程度の内情を話していた。

 

「ってことはここも修羅場ポイントか」

『むしろ日常的に起こるからな。ほら、早速お出ましだ』

 

ゆっくり話していると、通路の先から二人こちらに向けて歩いてくるのが見える。

歩いてきた人影の正体は仮面ライダービルド、如月 戦兎と仮面ライダーオーガ、天地 帝だった。

 

「おっ。鈴夢」

「鈴夢!元気か?」

「ええ。いつも通りですよ!ところでおふたりはどちらへ?」

 

以外にも自分の真似が上手くて鈴夢は少し嫉妬してしまうが構わず意識の中から監視を続ける。どうやら2人は玲音からのお願いで食材の買い出しに行くところらしかった。

 

「・・・大食いがいるのか?」

『いるよ。若干1名ほどね』

「ちなみにどのくらいだ」

『・・・食堂へ行けばわかる』

 

そう言いながら食堂へと足を入れると、入った途端カルナに肩を叩かれる。

カルナは戦闘時の軽装ではなく、まるで農家でも営んでいるかのような服装だった。

 

「マスターか。よかった。助けてくれないか」

「どうした?」

「・・・あれを見てくれ」

 

カルナが指を指した先には食堂の真ん中で1人丼を食べ続ける騎士王、アルトリア・ペンドラゴンと、キッチンで黙々と料理を作り続ける弓兵、エミヤと仮面ライダーディケイド、双龍 玲音の姿があった。

 

アルトリアの机には丼の山が。玲音とエミヤは汗を隠してテキパキと作業をしていた。後ろでは緒川さんが野菜の下ごしらえをしているのが見える。おかしいな。緒川さんが10人見えるけど気の所為?あの人、人間だよね。

 

「・・・アイツは女なんだよな?」

『そうだよ(便乗)』

「なのにあの机の丼の量はなんだ?」

『そういう奴なんだろ』

 

ちょっとまて俺も突然のこと過ぎて目の前の光景についていけないぞ。ビートよ。固まってないでなんとか言ってくれ。いつもの煽り癖を忘れないでくれってこいつ失神してやがる!クソ!だったら体返せよクソが!

 

「ヤダ。返さんぞ」

 

そうだった!心の声も聞こえてるんだった!思考共有してたんですね忘れてましたわあははほははははっ泣

 

が、ここで折れてはせっかくの休日が台無しだ。それに親睦を深めるのも悪くない。何かのぼろでコイツが出でもいいようにみんなとの絆を深めないといけないなこれは。

 

『つーわけでいけ』

「わかったよ」

「おやマスター!ご飯ですか?」

 

ご飯粒を口周りに付けながらアルトリアが笑顔で答えてくれる。返事に戸惑っている間も彼女の橋は止まらなくその勢いはさらに加速する。今気づいたが料理を運んでいるのはエリザベートだ。彼女の私服はもこもこ服だから可愛いな。たまには新鮮な彼女を見るのもいいかもしれない。

 

「いや。朝ごはんはもう食べたんだ・・・アルトリアは・・・大丈夫かい?」

「それはもちろん!いつかマスターと食べたいものですね」

「まあいつかは・・・ね。」

 

まぁ、サーヴァントよりも早起きしてる自分が言うことじゃないんだが。こんなに朝ごはんを食べているのを隣で見ると俺がなんか申し訳ないし劣等感に駆られてしまう。なるほど、クーフーリンが言っていたのはこういう事だったのか。

 

「・・・「アイツは悪魔なんだ」っけ?」

「気がついたら自分のご飯まで消えてるんだよ。ほんとに困るよなぁ」

 

いつの間に俺の隣にはクーフーリン(術)が立っていた。戦闘中に来ている上着や服はなく、派手なシャツと半ズボン・・・そして何故が釣り具が手にあった。

 

「釣りか?」

「あぁ。アイツ(槍)がよ一緒にどうだって言うからこれから行くぜ。ついでに師匠も一緒だ」

『スカサハが?』

「珍しいこともあるんだ?」

「まぁな。たまには息抜きもしないと女って爆発するだろ?それだよ。じゃあな」

 

クーフーリン(術)はそれだけ言って食堂を後にする。その後にすぐエリザベートが俺の足にすがりついてくる。

 

「ねー!子ブタ!たすけなさいよ!お願いぃぃぃ!」

「どうすんの」

 

泣いているように見えるが実際は巻き込んでやろうという意志の表れだ。ここで妥協すると俺まで被害を被ることになる。

 

『スルー安定で。関わってもろくな事ないよ』

「じゃあ帰るわ」

 

エリちゃんには申し訳ないがこのまま働いてもらおう。突っかかって来たら満足するまでなでなでしてやろう。そう思いながら俺たちはその場を後にする。危険だが・・・こいつを外に出してやらんとフラストレーション溜まるだろうしな。

 

 

――――――――――――

 

 

俺たちはまぁ色々あって外に出た。ちょうど雨なのでバイクをできるだけ走らせたくない・・・なので暇な黒服さんを呼んで車を走らせることにした。

 

ちなみに今の時間はマリアさん、翼さん両名が仕事中らしく。それのお迎えに行くという。

 

「こちらです」

「じゃあお迎え行ってきますわ。あとお願いします」

 

スタジオ向け建物内を歩き回るが、ビートはウロウロしている。右へ行くが違うと言い戻る。左へ行くが違うといい戻る。まさに今迷子の状態だった。ちなみに鈴夢は黙っており心の中では笑っていた。

 

「おかしいな。こっちじゃないのか」

『違うぞ』

「お前の記憶は曖昧だな」

 

嫌味を言いながらしっかり案内すること数時間。やっと翼さんたちが待機してるお部屋にたどり着いた。たどり着いた時にはもう満身創痍だった。

 

ともかく部屋を開けるとそこには綺麗な衣装に身を包んだ翼、マリア両名が椅子に座ってくつろいでいた。

 

「「鈴夢!」」

「うわっ」

 

瞬間。俺の視界は暗くなる。手の周り具合からして俺はどっちかの胸の中だろう。まぁ分かりきっていた事だが、それでも第三者となるとまぁなんだ。めっちゃ恥ずかしく感じる。

 

上でこれは・・・マリアさんか。の吐息が聞こえるがその息は荒く、まるで興奮しているようにも聞こえる。翼さんはなんか焦ってる感じだ。

 

「はぁ・・・鈴夢の匂いが」

「ま、マリア・・・変わってくれないか」

 

いつも以上にキツい。そして長い。これだから俺の胃が次々と蝕まれていくんだよなぁ。また了子さんから胃薬貰わなきゃな。

 

しかし、マリアさんもなかなか手放してくれない。困ったなぁ。好かれるってのはこれ以上に怖かったものか。自分の身で理解するのは癪だが・・・まぁ仕方ないな。

 

「・・・俺の心が折れそうだが」

『頑張ってくれ』

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