7つの歌姫と音楽の仮面ライダー “ビート” 作:よなみん/こなみん
投大幅遅れました小南です。
最近シンフォギアやってなかったからすっぽりストーリーが頭から抜けてました。なので今はウルトラマンコラボやりながら書いてます。
それではどうぞ
「案の定、先に進まれちゃいましたかー」
フロンティアの奥にある制御室、そこには伝承であるヴァンパイアのような格好をした美、が付くほどの美少女。自称先輩の這い寄る混沌、BBちゃんである。
訳あって復活した彼女はムーンセルの管理区よりこの地上に降り立っていた。理由は「先輩は私のです!」と言うことらしい。
妹2人はその時はそれぞれの反応を示したらしい。メルトリリスは「うぅん」と唸るように、パッションリップは「ふぇぇ」と少し驚いた感じで。
現在彼女はメルトリリスと交戦している鈴夢の様子を見ていた。ビートとして戦っている彼はもう彼女たちの知っている「先輩」と呼べる存在ではなかったが。彼を手に入れるにも理由があった。
(ふふふ・・・先輩の魂をあの忌々しい身体から離してぇ、ムーンセル中心にある先輩の身体にぶち込めばぁ・・・晴れてBBちゃんのものですね!あの女狐や暴君皇帝の好きなようにはさせませんよ!ふふふっ)
とまぁ彼女が今心の中で考えたように鈴夢の本体、元の身体と呼べる存在はムーンセルの中心、管理区に存在している。ムーンセルの王となるには少し古いシステムだが、レガリアと呼ばれるマスターのみが持つ指輪が必要になる。
しかし、意識がない身体だけのレガリアなど彼女たちには興味がなく、彼女たちが狙っているのは鈴夢本人の
そうすることで小うるさい皇帝と女狐を黙らせよう☆って言うのがこのBBちゃんの考えである。
「・・・っと。邪魔をする怪物もどきが来ますか」
剣崎一真、彼のことは調べ尽くしている。仮面ライダーブレイド、長引くバトルを繰り返し、彼は最後無いはずのアンデットになってしまった。
しかも同世界のライダーたちに適合したその身体。BBちゃんにとっては研究素材そのものだった。
「バトルファイトの異物・・・ですが不死は目を見張るものがありますね、先輩の延命には役に経ちそうですね」
マウスカーソルらしきものをコロコロ転がしていた指はいつの間にか手を握りしめていた。先輩を邪魔する邪魔者、今の彼女には剣崎一真はその程度の男と認識されている。
彼女は愛する人間には慈悲を与える。例えその人間が死んでいようと、死に損ないだろうと、可能な限りの慈悲を与える。
しかし、その愛を邪魔されれば一部の人間はどうなるか。強行に出るか、あるいは素直に待つかの二択だが彼女はその通常の人間の思考を遥かに超越した悪魔である。
「殺します。先輩と私の愛を邪魔する人間は。・・・待っててくださいね?私の触手は残忍ですので」
◇
「・・・お前がBBか」
「あら、随分お早い到着ですね。剣崎一真さん。立花 響さん」
「私たちの事を知ってる・・・!?」
「ええ。ムーンセルの技術をもってすればあなた方の事を調べあげるなんて造作もないことです。まぁ・・・どーでもいいですけどね」
何処からか生み出した黒い鎌、その刃の向く先は迷いがなく、響だけを一点。睨みつけるような目で見ていた。
彼女の感情を読み取ってか、触手たちの動きも激しくなる。
「私がイラつくのは貴方ですよあ・な・た」
「私!?」
「えぇ。貴方、先輩の事がだーい好き♡みたいですね」
ちょくちょくお茶目な所を見せるBBに剣崎は攻撃のタイミングを見失っていた。響も「どうすればいいんですか」と言った顔だ。しかし剣崎は警戒だけはするぞとキングラウザーの先をBBに向ける。
「ええ。BBちゃん、上からしっかり見てたんですがあなた方大層先輩の事が大好きみたいですね。夜な夜な○○○ーや先輩の○○○で○○○○してるのを知ってるんですよ?」
「・・・はぁ」
唐突なカミングアウトに響が茹で上がったトマトのように顔が赤くなり、やがて頭から蒸気が吹き出てしまう。剣崎がこの状況で出来ることと言えばこの会話の終着点を探し、早くこのイライラを目の前の悪魔にぶつけることだけだった。
その後も関係の無い会話は続いてしまう。BBがあれやこれやと響たちの秘密をばらし、響が代表して反論する。置いてけぼりの剣崎は「大変だな」と考えながら警戒するしかやることがなかった。
「まぁ、こんな事を言いに来たんじゃありません」
「なら本当の目的を聞こうか・・・わかるが」
「ええ。私たちは先輩が欲しいんです」
「・・・どうして」
「どうして。ですか。簡単に言いましょうか。ムーンセルは元々先輩が王となって管理していたものです。その先輩の魂が突如欠如。気づいた私たちはその装束を確かめたら・・・まぁ。地上にいるわけですよ。本来行けるはずのない地上に。直ぐ呼び戻そうと考えました。でも先輩の肉体はムーンセルの中で眠ったまま。・・・そう。魂が欠如していたんです。そしてその魂はあろう事か新たな肉体、魂と融合して、私たちでは取り出せないんですよ」
鈴夢の魂とビートの肉体は融合している。それは櫻井了子の研究、そして解析で分かっていた。そのデータは二課全体に共有されており、マリア、奏の両名に話していた。
しかしビートの話により、弦十郎と了子の両名はそれよりさらに確実な話・・・鈴夢の魂のありどころを聞いていた。
天霊の肉体。魂との融合。そして仮面ライダーへと適合すること。
シンフォギアと同じテクノロジーが使われている仮面ライダー ビートのシステムは通常の人間では適合しなかった。かつて、月の事件の際にフィーネがレインボーメモリとの適合を試みたが失敗・・・つまり、シンフォギア装着者以上の適合率がこの仮面ライダーシステムには求められることが判明していた。
しかし霧夜 鈴夢だけは適合率が他の装者を超えており、ライダーシステムに適合していた。他のシンフォギアとのシュミレーションでも各聖遺物にも適合していた。それはシンフォギア装者の各パラメーターよりも安定していた。
ビートの肉体補助のおかげか、あるいは鈴夢の魂が適合させているのか。それは誰にも、いや、本人を除いて理解出来なかった。
しかし、ビート本人だけはその意味を理解しているらしい。弦十郎が聞きに言ったが「答えるつもりはない」の一点張りだった。
「・・・つまりお前たちは」
「あなたの考えの通りです。剣崎一真さん。私たちは聖杯を使おうと考えています」
聖杯。願いを叶えると言われている聖遺物だ。ヨーロッパを中心に伝説を残したと言われている。
黄金の聖杯、白の聖杯、黒の聖杯など、いろいろな話が鈴夢たちの口から漏れていたが、所詮は空想の産物と思っていた。しかし、BBの口ぶりから実在するものだと改めて思い知らされた。
確かに、あらゆる願いを叶える聖杯を使えば鈴夢の魂を取り戻すことは出来るかもしれない。しかし、そうした所でビートはどうなる。
「ビートさんにはご退場願います。天界に戻してもいいんですよ」
「・・・初めから鈴夢目当てか」
「最初からそう言ってたじゃないですか!もう!」
そう言いながらも手には黒い鎌、足元には触手が出現している。どうやら戦う気のようだ。
「私から先輩を奪った罪。血で贖え。人間が」
「響。来るぞ」
響が「え?」と言った次の瞬間、彼女の視線の先では火花が散った。キングラウザーとBBの鎌がぶつかった音だ。右から、左から剣をBBに当てようとするが、彼女の鎌がそれを防ぐ。
キングラウザーで鎌を落とし、そのまま柄を滑っていくように剣をBBに当てようとするが、まるで血のようにドロドロに鎌が溶けたと思ったら、再びBBの手の中に鎌が生まれた。
「残念でしたね☆」
「剣崎さん!下がって!」
剣崎が蹴りでBBを吹き飛ばすと剣崎の後ろから響が猛スピード出詰めてくる。右拳を構え、そのまま前に振り出すがBBは受け流すように躱して触手で彼女の背中を叩いて吹き飛ばす。
吹き飛ばされた響は両手を地面に付け飛んで見事に着地する。直ぐに後ろを振り向き、戦闘態勢をとる。
「・・・困った人達ですね。先輩をくれるだけでいいのに」
「・・・やらん」
「剣崎さん!?今ちょっと考えましたよね!?」
その響の悲鳴を無視して剣崎はキングラウザーを振るう。しかし、振るわれる黄金の剣はBBに当たることはなく、全て彼女の操る鎌に吸い込まれていくように受け止められてしまう。
続いて響が突撃して行くものの剣崎と同じ。攻撃が全てBBではなく鎌に吸い込まれていくように当たってしまう。
「どうして!?狙いは完璧のはずなのに!」
「・・・全てBBに吸い込まれている」
「そうです。まぁここは私の領域ですし。勘のいい剣崎さんなら初めから分かっていたのでは?」
「・・・」
剣崎も響も初めは理解出来ていなかった。しかし今、彼女の言葉でようやく納得した。フロンティアは彼女たちの
「私はこの現象をBBハプニングって名付けたいんですけどどうですかね!先輩と早く会ってあんなことやこんなこと・・・」
「よそ見を・・・するなっ!」
彼女の視界の端、斜め後ろから剣崎が剣を担いで飛んでくる。そのまま地を踏み込み、大きく剣を振ろうとするがBBの触手が剣崎の身体を軽々と吹き飛ばす。
大きく吹き飛ばされた剣崎は部屋の入り口のドアに身体をぶつける。そのまま力なく身体は落ちて倒れてしまう。
「剣崎さん!」
「立花さん?あなただけは助けてあげてもいいですよ?先輩のお気に入りみたいですし。抵抗を止めて先輩を差し出してくれれば・・・ね」
「・・・剣崎さんはどうなるんです」
奥で倒れている剣崎を庇うようにして響がBBの前に立つ。BBはその冷たい視線を響から奥で倒れている剣崎に向ける。
「さっきも言いました、この男は殺して研究材料にしますよ。不死の力・・・それが分かれば先輩を不死にして永遠に私たちの傍に置けますし」
「それは鈴夢くんは望んでない!鈴夢くんは本当は戦いたくないんだよ!」
「なら私たちに渡すべきです。私たちなら未来永劫、絶対永遠に先輩を愛せますから。邪魔な小娘たちは消えていいですよ?」
「それじゃあ鈴夢くんが余計に苦しむだけだよ!そんな人たちに鈴夢くんは渡せないっ!」
響は首元のペンダントを取ると、祈るようにして歌い出す。大切なものを守る。彼女の仲間を・・・友達を、そして大事な恋人を・・・。
その時。ガングニールが答えた。彼女の思いに答えるように赤く輝く。
「行くよ・・・ガングニール!イグナイトモジュール!抜剣ッ!」
ペンダントの形が変わり、響の身体に黒いモヤが吸収されていく。それは魔剣の力だけではなかった。
「まさか・・・私の魔力まで!?」
「がぁぁぁぁっ!」
―――魔剣―――
それはあらゆる生命を奪う呪いの剣。しかし、それが呪いだと誰が決めた。
呪い―――それは魔剣を間違った使い方をしているから言われた様なもの。なら間違った使い方をしなければ。決して呪いにはならない。
「大事な人を守るんだッ!だから!ガングニール!私にいぃぃっ!力をぉぉぉぉっ!」
「響・・・!」
後ろでは剣崎が再び立ち上がる。ブレイドの仮面は半分が割れており、顔、額からは緑の血が流れていた。
彼の目の前。BBの正面には黒いガングニールに身を包んだ響が立っていた。剣崎はこの姿を知っている・・・そう。
「響・・・なのか」
その姿は。その大事なものを守ろうとする後ろ姿は、自分の世界の立花 響に似ていたのだ。
「行くよッ!」