冴えない彼女の育てかたアフター   作:青嵐未来

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紅坂さんが絡むと、地の文が重くなる…………。


第七話 才能と嵐の邂逅

「──うわ」

 

 僕は思わず、感嘆の声を上げた。

 

「──すごい広いですねぇ」

 

 出海は、広さの程度を口にした。

 

「──本当に、無駄にね……」

 

 倫也先輩は、その場の人口密度の異常さを的確に指摘した。

 

「お、来たか」

 

 そして紅坂朱音は、こちらを見て軽く手を振ってきた──。

 

 

 というわけで、今僕達がいるのは株式会社紅朱企画の仕事場(?)だ。

 

 といっても、そこにあるデスクのほとんどは、だれもいないどころか、物すら置いていないので、ぶっちゃけ、紅朱企画の仕事場というより、紅坂朱音個人の仕事場って言われた方がしっくりくる。

 

 実際、この昼間の時間帯でも40席くらいあるデスクのうち、5席しか使われてない。

 

 ……そのうち紅坂さんは2席使っていたけれど。

 

「えと、初めまして。blessingsoftwarシナリオライターの竹宮真司です」

 

「は、初めましてっ! 原画の波島出海ですっ」

 

 この人がこれからのクライアントということになるので、一応、挨拶はしっかりしておく。

 

 確かに、すごい人だけれど、尊敬する気持ちはあるけれど、これから、対等に付き合っていかなくちゃいけない存在だ。

 

「っあ~、初対面ってことで一杯やるか?」

 

「真司達は未成年ですよ!? いや俺もだけど!」

 

 付き合っていかなくちゃ、いけないのかぁ……

 

「──まあいい。今日おまえらを呼んだのは、ま、そこの二人と会っておくってのもあるが、ゲームの仕様決めが一番だ」

 

「──? 紅坂さんのことだから、細部はともかく、おおまかな仕様はもう決めてると思ってましたけど」

 

「ま、最初はそのつもりだったんだけどな~。少年たちがサークルごと参加するってんなら、話は別だ」

 

 倫也先輩や伊織先輩から軽く話は聞いていたけれど、実際に相対してみると、この人すごいフランクだな。

 

 姿勢が凄い。

 

 椅子に左足を掛け、背もたれの後ろに両手を放り出してふんぞり返っている。

 

「企画書見たなら分かってるよな? このゲームは恋愛シミュレーションゲームにする。そしたら、ライターの色によって仕様もかなり変わるだろ?」

 

「それは、確かに」

 

「霞センセみたいなタイプだったらシナリオ重視のADVになるだろうし、少年みたいなタイプだったら、選択重視のゲームになるだろうし。ま、つってもおまえは霞センセよりだろ?」

 

 

「そう、ですね」

 

 

「じゃ、その方向でプロット組んでくれ」

 

 

「……紅坂さん」

 

 そう声をかけたのは倫也先輩だ。

 

「シナリオとイラストと音楽はこっちの制作でいいんですけど、ゲームのプログラムはどこに頼んだんですか? 俺たちがプログラムするなら1年以上かかりますよ?」

 

 いくらいい素材が上がっても、それを形にできなければ決してゲームにはならない。

 

 だからこそ倫也先輩はそれを確認する。

 

「それは心配すんな」

 

 そう言った紅坂さんはこう続けた。

 

「スクリプトはうちの社員にやらせる。数にしたら、そうだな、50人はいるか」

 

 そんなにいるのか……。今は4人しかいないのに…………。

 

「そういうこった。じゃ、次の打ち合わせは……2週間後でどうだ? それだけあれば形にはなるだろ?」

 

 

 カチンときた。

 

「──はい、分かりました。それでは2週間後にプロットの確認とキャラデザの方向決めをしましょうか」

 

 

「──霞センセにはもう話してある。しっかり話し合うんだな。波島出海、お前はプロットが上がるまで特に何もない。ただし動き始めたら死ぬほど忙しくなるから覚悟しておくんだな」

 

「……………………」

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 そんなこんなで、僕と出海と紅坂朱音の嵐のようなファーストコンタクトは終わったのだった。




「──ところで倫也先輩。なんで氷藤先輩達は呼ばなかったんですか?」

「そうですよ。美智留先輩たちも呼んだ方がよかったんじゃないですか?」

「──実は、美智留、今長野の自分ちに帰ってんだよね」

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