神は世界の管理者であるが、世界に直接関わることを禁じた。
つまりは、間接的に世界の管理を行うことにした。
例えば、死んだ人間の魂の回収は行わないけど、死んだ人間の魂がこちら側に来る分には管理する。そして、魂の記録をリセットし、また現世に送り返す。
また、どうしても神様が現世に降りなければならない場合、神様はあらかじめ作っておいた人間の肉体へと入り込み、降り立つ。この時、神様は神様ではなく、あくまで『人間』であるため、特別な力とかは使えないに等しい状態となる。(こうすることによって直接不干渉の規約から逃れることができるらしい。)
そして、ここからが本題である。
僕に与えられた選択肢は二つであり、神の入れ物肉体を使って第二の人生を送るか、さっき書いた通りに記憶を全部無くして赤ん坊からリスタートか………。
「ふむ……ぶっちゃけた話、どっちの選択をしても構わないよな。」
僕としては(人生どこからスタートしようが、どうせ楽しい時は楽しいし、苦しい時は苦しい。そして、いつかは死んで記憶や意思を無くして再スタート。)なんて軽い気持ちでいる。
死ぬ前の僕ならこんなこと思わなかったとだろうが、いざ死んで冥界に来ると(あぁ、人生ってそんなもんなんだなぁ)とどこか冷めた感情が芽生えてしまう。
「………圭一くん。もし君が迷っているなら、僕が助言をしてあげようか。」
すると、しばらく僕の思案を待っていてくれていた神様が口を開いた。
「赤ん坊からのリセットをしたとして、良い人生を送ることができる確率は10%にも満たないんだよ。」
「それは……?」
「ふむ、分からないといった顔をしているねぇ。それじゃあ、もっと分かりやすく例え話を言ってあげよう。………世界人口の90%が飢餓で苦しんでいる。」
その言葉を聞き圭一の顔が青くなる。
(つまり……神様は……こう言っているのだ。)
来世が幸せになる確率は低い。
さらに言ってしまえば、この9割という数字はあくまで『飢餓に苦しんでいる人たち』の話である。
それでは、飢餓以外の理由で苦しんでいる人たちも含めてしまうとどれほどの割合になるのだろうか。
幸福の確率――そんな言葉が存在するのかは知らないが、僕は頭の中でこの字列が思い浮かんでしまった。
「僕の神としての管理管轄対象は『人間』ではない。僕の隣にいるペットを見れば分かると思うけど。………それでも、僕は人間と同等の意思を持っている……世界に対して気の毒に思っているよ。」
神様がうつむき、その隣に座っているゴリラもうつむく。
しばらくの沈黙が起きる。だが、その沈黙は先程までの沈黙とは違い、大きく重く僕の背中にのしかかってくる。
そんな沈黙を破ったのは、またしても神様の方であった。
「もし、圭一くんが神の入れ物肉体を使うと言うのならば、転生先は僕が保証をする。……君が転生した人間であることを受け入れてくれることができる場所だ。」
「…………………分かりました。」
ホッとした感情、そして同時に、申し訳ないという感情。そんな心情でありながら、僕は転生の選択肢を選ぶのであった。
To be continued………