深海棲艦提督は動かない 作:深海棲艦大好き棲姫
戦艦水鬼は一旦、他の深海棲艦を集めた。
ことのあらましを説明しよう、というわけである。
「――というわけだ。私達の主人は曙、ということにしておいてくれ」
説明を聞き終えた深海棲艦達はいい顔をしなかった。
当然である。
彼女達の提督は宗一郎ただ一人なのだ。
例え演技だとしても、他の者に傅くなど虫酸が走る。
「言いたいことは分かる。私も同じ気持ちだ。だが、今回だけは――」
「戦艦水鬼ちゃん。そこから先は言葉を気をつけた方がいいよ。私、これでも結構“きちゃってる”から」
空母棲姫の艤装が戦艦水鬼に向く。
いつもの彼女とは違い、その声は冷たく静かだった。
……最悪、殺し合いになるかもしれないな。
戦艦水鬼はそのことを少しだけ覚悟しながら、話を続けた。
「今回だけは見逃してくれ。私の発言は、確かに少し迂闊だった。しかし提督からの命令を遂行するには必要だと判断した結果なのだ」
「ふ〜ん……私馬鹿だから分からないけど、提督からの命令なら仕方ないかな」
「……感謝する」
「次はないよ?」
「ああ」
「じゃあ今回は許してあげる!」
その言葉を聞いた後、空母棲姫の顔が無表情からいつもの明るい笑顔に戻った。
「それで、何したらいいのー?」
「元帥と大将をショートランド泊地に送ってくれ。後は向こうの奴らがなんとかする」
「分かった! ってあれ? 戦艦水鬼ちゃんは一緒に来ないの?」
「私は一足先に鎮守府に戻る。もう五時半だ。夕食の用意をしなくてはいけない」
宗一郎の家にいた時から、夕食の用意は戦艦水鬼の当番だ。
それはショートランド泊地に引っ越してからも変わらない。
「それではな。鎮守府で会おう」
戦艦水鬼は足に力を込めた。
武蔵を吹き飛ばした時の軽いものとは違い、本気のそれだ。
向かう先はスーパーである。
「(今日の献立は何にしようか……。
引っ越したばかりでほとんど食材がない。買い足さねばならないな)」
提督の食事を作るのは、戦艦水鬼にとって最も大事な仕事の一つだ。実際のところ今日元帥を襲撃したのも、内地にある品揃えの多いスーパーに行くついでという側面が強い。
戦艦水鬼は溜めた力を解放し、スーパー目掛けて全力の飛翔をした。
◇
――――元帥は考える。
深海棲艦は何かを話し合うために、今この場を空けている。
そのおかげで、元帥はいくらか冷静になることが出来た。
この僅かな猶予の間に何ができるだろうか?
逃げる、という選択肢はない。
あの悪魔じみた索敵能力と速力を持つ奴らなら、例えどこに逃げても一瞬で追いついて来る。
それならば、と。
元帥は己の艦娘で最も怪我が軽い吹雪に無線を飛ばした。妖精さんの力があれば、無線機がなくとも電波そのものを創り出すことが出来る。
『吹雪、聞こえるか?』
『! ――は、はい。司令官!』
『時間がないから手短に言う。僕達は拉致された。行き先はショートランドだ』
『分かりました! 助けに行けばいいんですね? 吹雪、頑張ります!』
『違う。僕達の救出は不可能だ。戦力を無駄に消費することはない。僕達が戻らなかったら、その時は見捨てて欲しい』
『し、司令官!?』
司令官が合理主義なのは知っていた。
しかし自分の命でさえも、合理の為なら捨てるとは思わなかった。
吹雪は少なくない衝撃を受けた。
『それからもう一つ。僕が戻らなかっなら、あの男を元帥に据えてくれないか』
あの男――というのは、行方不明の大将だ。
元帥は常日頃から、後継者を選ぶなら彼だと考えていた。
『分かりました。司令官の言う通りにします。ただ一つ、いいでしょうか?』
『なんだい』
『全ての仕事が終わった後で……私一人でもいいんです。だから、司令官を助けに行かせて下さい!』
元帥には艦娘の気持ちが分かる。
大本営にいる艦娘のほとんどは深海棲艦の圧倒的な力を目の当たりにして、心が折れていた。
無理からぬ話だ。
元帥とて一度は絶望した。
しかしそんな中で、吹雪の心だけは折れていなかった。
――否。
少しの歪みさえ見当たらない。
吹雪だけは、ずっと前を向いている。
『駄目だ』
だからこそ、少しの迷いもなく元帥は吹雪の提案を断った。
吹雪が来たところで、元帥を助け出すなど不可能だろう。
擦り傷の一つも負わせられればいい方――いや、それさえ難しいかもしれない。
今吹雪を失うことは、今度こそ海軍に立ち直れない傷を与えることになる。
また元帥の個人的な感情で、吹雪を沈めるようなことはしたくなかった。
まだ学生だった頃。
吹雪は元帥のお付きの艦娘だった。
一番付き合いが長い艦娘だ。
一番愛着のある船だ。
最初に指輪を捧げたのも吹雪だ。
彼女を地獄に連れて行くわけにはいかない。
『司令官! でも、私は――』
『深海棲艦が戻って来た。通信を切るよ』
『
吹雪が元帥の名前を呼んだ。
元帥は学校を卒業すると同時に、名前を捨てた。
家族や親しかった友人を人質に取られることを恐れて、全ての経歴を抹消したのだ。
今ではもう、元帥の名前を知っているのは吹雪だけだ。
名前を呼ばれるのは、これで最後かもしれないな……。
元帥はそう思った。
しかし同時に、元帥は冷静さを完全に取り戻していた。
吹雪に名前を呼んでもらったことで“自分”というものを再認識出来たのだ。
「さあ、深海棲艦。僕は覚悟を決めた。何処へなりとも連れて行ってくれ」
決意に満ちた顔で、元帥が言った。
反対に空母棲姫は、驚いた顔をしている。
「へっ? 覚悟ってなんの覚悟? 曙ち――様とお話しするだけだよ?」
なんだ、話をするだけか。
などとは思わない。
恐らく曙が空母棲姫に真意を話していないだけだ。
むしろ元帥は空母棲姫の言葉を聞いて――心底恐ろしいと思った。
最初に力を見せてから交渉に臨むのは、確かによくある手だ。実際元帥自身も何度かしたことがある。
しかし、いきなり本丸を吹き飛ばすような交渉術はしたことがないし、聞いたこともない。
これだけのことをしておいて、目的は対話だと嘯く――深海棲艦の主人である『曙』は一体どれだけ残虐な性格なのだろうか。
元帥は奥歯を強く噛み締めた。
しかし同時に、こうも思う。
曙の戦術は非常に理に適っていた。
現実として元帥は、曙がどのような要求をして来たとしても断れない。
目的のためならば容赦なく武力を行使する高い残虐性、
と同時に、
指揮官としても高い能力を有している。
元帥は曙のことをそうプロファイルした。
きっと送り込んだ新人提督も、曙の制御下に置かれていることだろう。最悪、殺されているかもしれない。
そもそも深海棲艦ひしめくショートランド泊地にいて、正気を保てるとは思えないが。
「じゃ、いっくよー!」
空母棲姫はフロアの床をひっぺがし、元帥達ごと担ぎ上げた。
「あっ、まず! 天井気に入ってたんだよね? もしかして、床のデザインも気に入ってた?」
「……いや。大丈夫だ」
「よかったあ! てゆーかさ、深海海月姫ちゃんの艦載機に乗せて貰えばよかったね」
「断る。私はあの方以外に身体を許す気は無いんでね」
「うわっ。その言い方、なんかいやらしいね」
「いやっ!? いやらしくないわい!」
「あははは。ごめんごめん」
……二隻の会話を聞いてると、覚悟を決めた自分が阿呆らしくなってくる。
元帥は頭を抱えた。
こんな奴らが強いなんて、世の中間違っている。
「それじゃあ改めて、出発進行ー!」
空母棲姫が床をぶん投げた。
方向はもちろん、ショートランド泊地である。
超高速で飛ぶ床の上で、元帥はやっぱり死を覚悟して正解だったと思った。
◇
「いやぁ、ごめんね! ほんっとごめん!」
空母棲姫は両手を合わせて謝った。
人間の弱さを、彼女はすっかり忘れていたのだ。
床ごとぶん投げられた元帥達は、一瞬で風圧に負けて落下した。慌てて空母棲姫がキャッチしたが、うっかり死んでいたところだ。
「それじゃあ気をとりなおして、行こっか!」
空母棲姫を先頭に歩き出す。
ショートランド泊地自体は、意外にも普通の鎮守府だった。
深海棲艦の手により改造され、悪魔城の様になっていると思っていたのだが……変な言い方だが少し拍子抜けだ。
――と思っているところに。とんでもない光景が飛び込んで来た。
食堂の側を通りかかった時、元帥は確かに見た。
海軍が誇る最強の二隻を一蹴したあの戦艦水鬼が、料理を作っているのを。
まさかとは思うが、あの馬鹿げた戦闘能力を持つ戦艦水鬼を間宮代わりに使っているとでも言うのだろうか……。
そんな馬鹿な――と思うが、現実として目の前で戦艦水鬼はオムライスを作っている。
元帥は心のどこかで、こんなことを思っていた。
自分達の主人は曙だと、深海棲艦は言った。
しかしそれは嘘であり――何故嘘をつくのかは分からないが――実際は深海棲艦がこの鎮守府を支配しているのではないか、と。
だがそれも、ああしてオムライスの出来栄えに満足そうにしている戦艦水鬼を見ると、間違いだったと言わざるを得ない。
この鎮守府内では、あくまで深海棲艦は曙の部下なのだ。
「元帥閣下、あれ……」
火憐が指差した先には、空母ヲ級がいた。
ただのヲ級ではない。
flagship級と呼ばれるヲ級の最上位個体だ。
かつて海軍は、たった一隻のヲ級flagshipに壊滅寸前まで追い詰められたことがある。
その時は元帥自らが迎え撃ったが、死闘の末なんとか撃退した。
そのヲ級が、花に水を上げていた。
まさか趣味でガーデニングしているわけではないだろう。
ヲ級でさえ、ここでは庭師……。
「は、はは……」
乾いた笑い声が出た。
――吹雪、秋人くんはもうダメかもしれないよ。
元帥はそう思った。
「着いたよ!」
連れて来られたのは執務室――ではなく、どこかの小部屋だった。
曙の姿はなく、二隻の深海棲艦がいるだけだ。
二隻とも、まだ確認されていない深海棲艦だった。
まさか……あの二隻も空母棲姫と同じくらい強いのだろうか?
元帥は心の中で首を振った。
そんなことあるわけがない。
精々ヲ級flagshipと同じか、それ以下だろう。
大本営を攻めさせるくらいだ。あの四隻が深海棲艦の頂点と見て間違いない。
「それじゃあ離島棲姫ちゃん! 後はお願いね!」
そう言って空母棲姫は去っていった。
深海海月姫、南方棲鬼もそれに続く。
彼女達さえいなければ、あるいはどうにかなるかもしれない……元帥はそう思ったが、騒ぎが起こればすぐさま奴らが戻ってくるだろうと考え、結局やめた。
「ごめんなさい、遅れたわ!」
ややあってから、曙が遅れてやって来た。
海軍では上下関係が絶対だ。
下の者が遅刻することは許されないが、上の者は許される。
曙はわざと遅刻して、自分が上だと示したのだろう。
――残虐性・指揮能力・交渉術だけでなく、海軍のやり方にまで精通しているとはな。
元帥は曙への評価をまた一つ上げた。
曙は元帥と大将達を見ると、にっこりと笑った。
それだけ見ると普通の駆逐艦のそれだが、元帥達は曙がどれだけ恐ろしい存在か知っている。
詳しいところは分からないが、これから元帥達にさせる“何か”を想像して笑ったのだろう、と元帥は予想した。
また元帥は、己の考えが正しかったことを確信した。
元帥は謂わば、突然変異で生まれた特別な提督である。
同じように艦娘にも、ごく稀に一際強い力を持った個体が産まれる。
例えばアメリカにいる戦艦『Iowa』がそれだ。
普通提督一人で何十人もの艦娘を指揮するのだが、それとは真逆。何人もの提督が交代で彼女の指揮を務めているそうだ。
Iowaは力が強すぎるあまり、提督の力を吸い尽くしてしまう。これはその為の措置だ。
他にもイギリスの豪華客船『タイタニック』やドイツの正規空母『グラーフ・ツェッペリン』などがこれに該当する。
過去元帥は何度かそうした特別な艦娘にあったことがあるが、己でも御しきれるか分からない、強い力を持っていた。
目の前の曙を見る。
何も感じない。
そう、何もだ。
それは曙の力が弱すぎるため――ではないだろう。
彼女もまた、突然変異した艦娘なのだ。
その力が強すぎるあまり、元帥でさえ力を感じ取る事ができないのだろう。
この仮説が正しいとするなら、深海棲艦を部下に持っているのも納得がいく。
先ほど言った通り、突然変異した艦娘は複数の提督を必要とする。
率直に言って燃費が悪いのだ。
だがタイタニックなどは豪華客船としての性質上か、提督の力を持たない者からでも力をもらう事が出来る。
曙は恐らく、前提督が戦死した時覚醒したのだろう。
――強い無念と怨嗟によって覚醒したのだ。
それ故に、海に沈んだ悪意で出来ている深海棲艦から力をもらう事が出来るのだろう。
だから深海棲艦を手元に置いているのだ。
覚醒するほどの怒りを持つ曙の目的は何か?
考えるまでもない。
間違い無く、大本営への復讐だ。
前提督の死は仕方がない事だった。
ショートランド泊地を救う余力は大本営にはなかったんだ。
そう言っても、曙は納得しないだろう。
これはいよいよ、死んだかもしれないな。
元帥は改めて覚悟を決めた。
「先ずは、ありがとう。あの提督を送ってもらえて、嬉しかったわ」
あの提督――ショートランド泊地に送り込んだ新米提督のことだ。
彼の存在は、大本営がショートランド泊地を見捨てた証拠になる。曙はそのことを言っているのだろう。
「話は聞いてるから、とっとと済ませちゃいましょう」
空母棲姫からの報告は、既に受けているらしい。
済ます、というと元帥達を殺すという意味だろうか。
「確認よ。ショートランド泊地に攻め込んで来た深海棲艦を倒したのは私達。提督は関係ないわ」
最初に曙の口から出たのは、予想外の報告だった。
――どういう意味だろうか。
今更そんな分かりきった事を言って、何を求めている?
「じゃあ、話し合いはこれで終わりね!」
「……は?」
終わり?
本当にただ元帥をここに呼び出して、報告をしたかっただけ?
たったそれだけのために、あれだけの蹂躙を……?
いや確かに、普通元帥といち駆逐艦である曙が直接話すことは難しい。
しかしだからと言って、その為だけにあんな事をするとは思えなかった。
「あっ! 一応、勲章か何かを送ってよね!」
……待て、今なんと言った。
勲章が欲しい?
なんの為に?
今や曙は――ショートランドは大本営より立場が上だと言うのに。
その理由に、元帥は直ぐに思い当たった。
勲章を贈るということは、ショートランド泊地の功績を大々的に認めるということだ。
つまり大本営を滅ぼしかけた深海棲艦を褒め称えろと、そう言っているのだ。
ここに来て、やっと元帥は曙の真意を理解した。
曙は海軍を直ぐに殺さず、いたぶろうとしているのだ。
最初に「お前らなんかいつでも殺せるんだぞ?」と武力で示しておいて、目的を告げずにショートランド泊地に呼んだり、勲章を渡せと言ってきたり――これまでのことを考えると、そうとしか思えなかった。
これからずっと、いつ殺されるかも分からないまま、命令を聞きながら生きろ。
要約するとこんな感じだろうか。
最悪の発想だった。
彼女は正しく――深海棲艦の主人だ。
改めて曙の恐ろしさを感じながら、元帥はショートランド泊地を後にした。
◇
「ふう……」
元帥達がいなくなった後で、曙はため息をついた。
海軍のお偉いさんが来るとは思っていたが、まさか元帥と大将数人が来るとは思いもしなかった。
全員、曙では手が届かない存在だ。
それなのにこうして向こうから出向いてくれるなんて、提督は一体どれだけ偉い人なのかしら?
曙は疑問に思った。
同時に、嬉しく思う。
やはり大本営は、ショートランド泊地を見捨ててはいなかった。
有能な提督を送るだけでなく、元帥自らが来てくれた。海軍では最高に名誉なことだ。
その上勲章をくれることまで約束してくれた。
……まあこれは、曙自身が要求したことだが。
だってしょうがないじゃない。戦死した前提督の名誉のために、何か残しておきたかったのだから。
向こうもすぐに了承してくれたし、もしかして最初から贈るつもりだったのかもしれないし……うん、私は悪くない。
「でも、遅刻したのはちょっとまずったわね」
曙は反省した。
元帥が訪問して来るのがあまりに早かった。
しかも誰も事前に連絡してくれないものだから、遅刻してしまったのだ。
しかし元帥は許してくれた。
寛大な人だ。
あんなに来るのが速かったのも、それだけ急いでくれたということだろう。
思っていたよりずっと、大本営は優しかった。
話し合いもスムーズに終わった。
予め決められていた通り、提督のことは出さず、ショートランド泊地防衛を艦娘の手柄として報告した。
向こうも決められた通り、特に疑問を挟むことなく受け入れた。
普通に考えれば駆逐艦や軽巡洋艦しか残っていないショートランド泊地があれだけの深海棲艦を退けるなんてことはあり得ない。それなのにあの対応ということは、やはり大本営と提督は繋がっていたのだ。
自分の考えが正しかったことを確信して、曙はまた少し嬉しくなった。
「キヒヒッ! 滑稽ねえ……」
後ろで離島棲姫が下品なあの笑い方で笑った。
最後の方はよく聞き取れなかったが……なんとなく、つられて曙も笑った。
◇
大本営に戻った元帥は、改めてその惨状を知った。
人や艦娘もそうだが、建物が崩壊し尽くしている。
復興にいつまでかかるのか見当もつかない。
「元帥閣下……」
大将達がすがるような目つきで見てくる。
そんな風に見られても、元帥にだってどうしていいか分からない。
元帥の艦娘達はあの深海棲艦と真正面から戦った。『指輪』と同じく元帥にのみ造る事が出来る装備――『応急修理女神』の効果で身体は治っているが、心の傷が深い。
今すぐに復興を、というのは無理だ。
「司令官! ご無事だったんですね!」
そんな中、吹雪が駆け寄って来た。
顔が煤に塗れている。
瓦礫の撤去作業をしていたのだろう。
「うん。なんとかね」
「よかったです! 本当に!」
吹雪は向日葵のような満開の笑顔を見せた。
この惨状の中でそんな風に笑えるのは、奇跡と言っていい。
「それじゃあ早速、今から復興を頑張りましょう!」
「えっ」
「えっ、じゃないですよ! やることは山積みです! それなら、動くのは早ければ早いほどいいに決まってます!」
吹雪が元帥の手を引く。
その手は力強い。
彼女が艦娘だから――ではないだろう。
心が強いのだ。
自分の手を引く吹雪を見て、元帥は昔を思い出した。
そうだ。
僕の力は成長し続けている。
昔――最初に吹雪と出会った時と比べれば、今の僕は凄く強くなった。
五年後か、十年後か――もっと先になるかもしれない。
だけどいつか、きっと深海棲艦を倒してみせる。
諦めないことを誓おう。
今ここで、吹雪に。
「復興、頑張ろうか」
「はい!」
吹雪の元気な返事が、廃墟と化した大本営に響いた。
【補足説明】
実際のゲームでも深海棲艦の練度は全て1で搭載されています。
例外として、潜水艦型だけで50に統一されています。