最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~ 作:イリーム
「おい、リグド……俺はやっぱり納得できないぜ」
「ああ、俺も気持ちは同じさディラン」
「まったく、男どもは……」
ナラクノハナのディランとリグドの会話だった。オードリーの村での会話ということになる。彼らの会話は春人の現状に関することだった。
「高宮 春人……ったく、羨ましい限りだな!」
「まあ、彼はそのつもりではないんだろうけどね。タイミングが悪かったね」
ディランとは違って、リグドは春人に寛容的だった。まあ、それでも我慢できない点はあるようだが。その要因は春人の周囲の環境に寄るところが大きかった。
「へ~~、あんたが高宮春人なんだ」
「え……そうだけど。ええと……?」
「ああ、私はリッカ・マクマホンよ。年齢は17歳だからあんたと同じかしら? よろしくね!」
「あ、うん。リッカね……よろしく」
Bランク冒険者であるネオトレジャーのリッカ。春人に会いにナーベルやミーティアと共にオードリーの村を訪れていたのだ。その中でもリッカはややテンションが高かった。お気に入り……というか、自分と同じ歳で上位にいる春人に興味が湧いていたというのが大きいが。
「へ~~~、ふ~~ん」
「な、なに……?」
リッカはマジマジと春人の顔を見ている。そのしぐさに春人は顔を赤くした。近くに立っているアメリアやレナ、ルナはあまり面白くない表情をしているが……。
「レナ、あの女は危険だと思う」
「まあまあ、ルナ。そんなこと言うものではないですよ。Bランク冒険者のネオトレジャーの面々がお越しになったのですから」
「でも……」
普段は無口なルナだが、リッカの態度を見て少し慌ただしくなっているようだった。彼女にしてはめずらしいことと言えるだろうか。本気の意味合いで春人のことが好き、というわけではないだろうが、それでも容認できない何かを感じたのかもしれない。そういう意味ではレナの方が冷静だった。
「意外と春人さんのこと本気なんですか? ルナは」
「え……ど、どうだろう……」
レナの質問に顔を赤くしてしまうルナ……そんな様子を冷静に見ているのはアメリアだった。
「まったく春人は……あのスケコマシ」
アメリアはやはり面白くないという様子で春人を見ているのだった。正式に付き合っているわけではないにしても、心を通わせている関係だ。面白くない部分はどうしても出てしまうのだった。彼女はまだ正妻の余裕を見せることはできないのかもしれない。
「けっこう好みの外見かも! 二枚目かどうかは置いといて可愛らしいし!」
「え、ええ……それって俺のこと?」
「当たり前でしょ、他に誰がいるのよ」
春人の周囲には基本的に女性しかいない。リッカが言った言葉は全て彼に集約しているのだ。いじめられた経験もある春人としては受け入れがたい言葉だった。好みの外見……こんな美人に言われれば猶更、受け入れがたいと言えるだろう。実際問題、春人の外見は高校生をしていた時と比べてかなり違ってはいるのだが、本人にその自覚はないのだ。少し筋肉質になりポジティブな表情になっている。それだけで人間は変われるということを彼はまだ分かっていなかった。
「春人ってアメリアと組んで、ソード&メイジを名乗ってるのよね?」
「う、うん……そうだけど」
「アメリアってあの女よね。流石に美人ね……その近くにいるのはビーストテイマーの二人かしら?」
「そうだよ。レナさんとルナさんだね」
「ふ~~ん。これは強力なライバルかもしれないわね。ちょっと挨拶に行ってくるわ」
「えっ、ライバル……?」
春人としては意味が分からないことだったが、リッカにしてみれば強力なライバルであることは間違いなかった。ここに春人を巡る女の戦いが繰り広げられることになるのだ。
「おい、リグド……」
「あれは……羨ましいね。許せないよ」
「まったく……男って連中は……」
ニルヴァーナは溜息を吐いていたが、リグド達にとってこの光景は許しがたいもののようであった。自然と敵を作ってしまう春人なのかもしれない……。