最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~   作:イリーム

130 / 152
130話 モテる春人の不幸物語 その2

 

「くそ、高宮春人め……! また新しい女が来たぞ!」

 

「まあ、彼女は連れもいるみたいだし、いいじゃないか」

 

 

 ナラクノハナのメンバーであるディランとリグドの二人。先ほどからの春人の状況について話しているようだった。

 

 

「まああの女はともかくとして、なんでルナまで春人に近づいているんだ?」

 

「ルナに関しては単に対抗心からかもしれないな。う~ん、これは……」

 

「あの野郎! アメリア・ランドルフだけでは飽き足らないとでも言うのか?」

 

 

 リグドはともかくとして、ディランは本気で春人に腹が立っているようだった。彼のモテ振りに言いたいことがあるのだろう。

 

「この男どもは本当にどうしようもないね。単に嫉妬してるだけじゃないか」

 

「おいおい、ニルヴァーナ。俺は別に嫉妬しているわけではないぞ? ディランと一緒にしないでくれ」

 

「おい、リグド! 適当なこと言うんじゃねぇよ!」

 

 

 リグドの答えにディランは不満を持っているようだった。単なる嫉妬ではない。これは男として重要なことだ、とディランはニルヴァーナに語った。ニルヴァーナからしてみればどうでもいいことだが。

 

 

「しかし、ルナ・イングウェイもどうやら春人にはご執心のようだ。ここはニルヴァーナも参戦したら面白いんじゃないかね?」

 

「は? なに言ってんの?」

 

 

 突然のことに驚きを隠せない彼女だった。普段は冷静ではあるが、この時ばかりは動揺していた。自分がリッカやルナと同じく春人争奪戦に参加しろ、というのだから驚くのも無理はないと言える。

 

「いや……別に高宮春人に興味なんてないし」

 

「そうは言ってもな、ニルヴァーナ。あいつのあの強さには興味あるんじゃないのか?」

 

「強さ……」

 

「レベル1000越えと呼ばれているが、最早、信じられないレベルだ。あのアメリアが相手にもならないレベルだからね」

 

 

 ディランとリグドの言う通り、春人自身に興味はなくとも、戦闘に身を置いている立場としては、彼の強さには興味があった。自分も今では負けなしとして活躍しているスナイパーなのだから。1度くらいは話をしてみたいという思いはあったりする。

 

「ま、機会があれば話してみるのはいいかもね」

 

「なんだよ、つれない言葉だな。あいつらから春人を奪うくらいのことを言って欲しいもんだぜ」

 

 

 ディランは単純に春人が許せないだけだ。あんな可愛い子達を連れている……男としては何か思うところがあるのだ。だからこそ仲間であるニルヴァーナに奪って欲しいと思っているのだった。ディランはニルヴァーナの美貌であれば不可能ではないと考えているようだ。

 

 

「……」

 

 

 ニルヴァーナは無言で春人たちに目をやっていた。楽しそうに料理を作ったり食べたりしているようだ。闇の軍勢と戦ったこの場所で料理をしている辺り、随分と肝が据わっていると考えているわけだが……。

 

 

「春人、ウサギを捕らえて来た。すぐに料理するから待っていて」

 

「ルナさん……あ、ありがとうございます」

 

「調理器具とか用意してあるの? なんなら貸してあげようか?」

 

「いらない。あなたの世話にはならない」

 

 

 そう言いながらルナはリッカの提案を断った。それと同時にレナと同じような魔空間を作り出し、そこから調理器具を取り出した。

 

「ずいぶんと便利な能力ね、それ」

 

「私とレナ以外の人はできない……とまでは言わないけど、それなりにめずらしい魔法のはず」

 

 

 ルナは自信満々に語るが事実、魔空間はかなり便利だった。大量のお金や結晶石などもしまっていた時期もあるのだから。

 

 

「すぐに料理を作るから待っていて欲しい」

 

「わ、わかりました」

 

「じゃあ、春人。先に私の料理を食べてよね」

 

「う、うん……」

 

 

 めずらしい獣を仕留めたリッカはとっくに料理を完成させている。アメリアの方向を見ると明らかに睨まれているような気がする春人だったが、ここまできて食べないわけにはいかなかった。単純に好意を示してくれているリッカに悪いということもある。

 

 春人の内心は穏やかではなかったが、戦場ではあり得ない平和な一時が訪れているようだった。

 

 

---------------------

 

 

「高宮春人は忙しいようだな」

 

「まあね。あれを忙しいというのなら、ね……はあ、春人の馬鹿」

 

「うふふ。アメリアの内心も穏やかではありませんわね」

 

 

 春人から少し離れたところに待機しているミルドレアとアメリアとレナの3人。ミルドレアは春人の現状に特に興味がないようだった。彼の興味は別のところにあるのだから。

 

 

「今は闇の軍勢の気配はないのだな。それならばいつまでもこの村に居る理由はないんじゃないのか?」

 

「それはそうなんだけど……レヴィン達の足取りが分かればいいんだけどね」

 

「俺としては東のアルカディア島への遠征に参加したいものだがな」

 

「アルカディア島……今回の闇の軍勢の襲撃とも関係が深そうですものね」

 

「ああ、そういうことだ。なにかしらの手がかりが掴めるかもしれないからな」

 

 

 アルカディア島は現在は文明が滅んでおり、未知のモンスターが闊歩する群雄割拠の場所とするのが通説だ。それだけに遠征に行く場合でも未知の危険が潜んでいた。報奨金の多さでは測れない何かがそこにはある。

 

 

「マシュマト王国が募集してるらしいけど、実際はどんな感じなのかしらね」

 

「なかなか、難しい問題も多いようだよ」

 

 

 アメリアの疑問に割って入って来たのはリグドだった。いつの間にかこちらに接近していたのだ。

 

 

 

「アルカディア島への進軍はマシュマト王国の軍隊が中心で行われる予定だ。つまりは第一陣、第二陣に冒険者で組んだパーティーを乗せるみたいだよ」

 

「二つに分けて出発するってことね」

 

「そういうことだ。船自体は巨大な物を用意してくれるらしいけどね」

 

「ふ~ん」

 

 

 二手に分かれての調査ということだった。アメリアとしては納得はしていない。ミルドレアも同じだろうか。つまりは王国は手柄を独占しようと考えているのだから。マシュマト王国の軍隊が大陸最強であることは分かってはいるが、それでも納得できなかった。冒険者を軽視しているのだから。

 

 

「マシュマトでは裏組織のアンバーロードが動き出しているとの情報があった。これは非常にまずいことだ」

 

「それってつまり、闇の軍勢の台頭と関係あるってこと?」

 

「レヴィンが裏組織の中心的人物。ランファーリの方が闇の軍勢を率いている人物と考えれば合点がいく」

 

「まさかそれって……マシュマト王国を内部と外部から潰そうって考えているんじゃ……」

 

「おそらくそうなんじゃないかな。本来であれば闇の軍勢はもっとマシュマト王国に近づく計画だったと思うよ」

 

「……」

 

 

 オードリーの村を救った為に計画がズレているというところか。アメリアはリグドの考えを纏めていた。

 

 1億5000万ゴールドの依頼だけに簡単にはいかないようだ。それはアメリアにも分かっていたが。彼女の予想よりも大きな事態になるかもしれない。そのような予感も生まれていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。