最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~ 作:イリーム
「きゃーーーーーー!」
急遽、引き起こされた大爆発。場所はマシュマト王国の首都、アルフリーズであった。近くの住民はパニックを起こし混乱状態だ。爆発の影からは二人の男が姿を現していた。
「さて、マシュマトの軍隊が集結する前に首都を陥落させてしまうか」
「レヴィン様、そのお手並みお見事でございます」
「ありがとう、シルバ。お前にそう言われると自信になるな」
「ご冗談ですかな?」
「ふはは、まあ気にするな」
裏組織アンバーロードのボス、シルバとその主であるレヴィンがそこには立っていた。本格的に攻めの攻勢に転じていると思われる。
「北からは闇の軍勢を一斉に突入させる……これではいくらマシュマト王国といえどもひとたまりもありますまい。現在は東のアルカディア島への調査関連で精鋭部隊が出払っている状況ですからな。タイミングといい、完璧かと思われます」
「マシュマト王国は馬鹿な国だ。東の調査を進め過ぎるがゆえに自国を危険に晒しているのだからな。陥落させた後にたっぷりと教え込んでやるか。この大陸を掌握するのはマシュマトではないことをな」
「よろしいかと思われます」
現段階ではマシュマト王国が強力な軍隊を率いていることもあってか、マッカム大陸最強という意見が多いのだ。それを否定しているのがレヴィン率いる連中ということになる。
マシュマトは現在、東の島への調査関連で手薄になっている。言ってしまえば単純な話だが、マシュマト王国はかつてないほどの危機を迎えていた。相手が強大な戦力を保有しているところが大きいのだが。
「北の攻撃は闇の軍勢やランファーリ達に任せてありますが、良かったのでしょうか?」
「まあ、その辺りは戦力分散だな。俺達の能力であれば十分にアルフリーズを制圧できるだろう。Sランク冒険者は、どうしても闇の軍勢に注力するだろうからな」
アルフリーズを制圧する上でSランク冒険者の存在が一番の障壁ではあった。レヴィンはその辺りも読んで闇の軍勢を全て北の地域に召集したのだ。そうすれば多くの戦力が北に集中すると考えてのことだった。言うなれば北は囮と言えなくもない。
「そういうことだったか。まあ、戦力の分散は上手くいったと言えるかな?」
「私と春人がここに残ったことは成功と言えるわね」
「マスター、上手く行ったと思われます」
レヴィンとシルバの前に現れたのはソード&メイジの面々だった。その他の人物の姿はない。
「これはこれは、久しぶりじゃないか。そうか……お前がこちらの担当になったわけか」
「確かレヴィンだったよね。俺とアメリア……それからサキアでお前達を止める。そのために来たんだ」
「くくく、随分と舐められたものだな」
「後悔させてやりましょう」
アルフリーズ内部でテロ行為などは起こさせない。ギルドマスターであるザックを通して春人達は準備をしていたのだ。いつでも出撃できるように。彼らの仲間の姿は他にはない。必然的にオードリーに向かったことになる。
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「私達の行動は読まれていたようですね……」
「そうみたいだな。どうでもいいことだが……これで思う存分暴れられるというものだ」
「なかなかの強敵が混じっているようだよ。油断はしないようにね」
「おいおい、闇の軍勢まで従えている俺達が負けるはずないだろうが? せめて蹂躙にならないように祈るばかりだな」
オードリーの村からは一定の距離が離れた荒野……そこが戦いの舞台となっていた。敵はランファーリ、グロウ、アインザーの3人に加えて2000体以上の闇の黒騎士が存在していた。
対するは……。
「あいつらが悪者なわけよね?」
「ああ、討伐対象はリーダー格と思しき3名だな。残りの連中は魔法で作られた傀儡に過ぎん」
レベル80のリッカがレベル600越えのミルドレアに質問をしていた。レベルははるかに劣る彼女だがやる気は一人前だった。
「合流地点までおびき出せば勝利になります。皆さま、どうか深追いはしないように……」
「そう、深追いは良くない」
レベル410相当のレナ、ルナも前線に立っている。これだけでもかなり豪華な面子を言えるが……。そのはるか後方にはナラクノハナのメンバーも待機していた。
「ニルヴァーナ、準備は大丈夫か?」
「心配はいらないよ。いつでも行けるさ」
リグドとディランの二人は通信機でニルヴァーナと会話している。どうやら彼女は更に距離が離れた地点にいるようだ。遠距離射撃を上手く使うのだろうか。
それ以外のメンバー……アルマークとイオやナーベル達はオードリーの村の住人を避難させる役割を担っていた。レベル換算での配役というわけだ。
お互いの目的ははっきりとした戦闘というわけだ。蹂躙を望む者とそれを阻む者……ある意味では国家間の戦争と似ているかもしれない。そんな戦いがまさに始まろうとしていた……。