最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~   作:イリーム

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14話 同じ頃 その1

 春人とエミルがデートを満喫している間、アメリアはバーモンドから言われていた両親の墓参りへとやって来た。春人たちのことは気にはなっていたが、さすがに水を差すほど愚かなことはしない。丁度、時間もあったので、なんとなく立ち寄ったことになる。

 

「母さん、久しぶりね。あ、父さんも。二人の命日ではないけど大丈夫よね」

 

 アメリアは盗賊団に襲われた日を克明に覚えている。だからこそ、その命日に墓参りはできないでいた。どうしてもあの頃の情景を思い出すからだ。

 

「前から言っているけどさ。盗賊団は私が滅ぼしたから心配しないで。全員殺したから」

 

 同じ人間を殺害……彼女が15歳の時だ。既に相当な実力者として知れ渡っていたアメリアにとって、ただの盗賊団など敵ではない。捕まれば死刑は免れない連中、そう言い聞かせ彼女は復讐を実行したのだ。そのあとは5日は眠れない日々を送った……罪人とはいえ人の命……彼女が初めて人殺しをした瞬間であったのだ。

 

「そういえばさ、パートナーが出来たよ。運命的って言うのかしら? 初めて背中預けられる奴に出会ったかも。他にも強い人はさ、レナとかジラークさんとか居るけど……パートナーとは少し違うかな。信頼はしてるけどね」

「それは残念だ」

 

 墓場でのアメリアの独り言。それを聞いていたのか、彼女に話しかける人物が居た。アメリアは声で既にわかっていたが、後ろを振り返った。

 

「ジラークさん」

 

 現れた男は黒い甲冑に身を包んでいた。角刈りのような黒い髪を整髪料で適度に固めている。表情はバーモンドを超える武骨なものであり、モミアゲから口元に髭が揃えられていた。背中には巨大な斧を背負った、ジラーク・ヴェノム 36歳がそこには居たのだ。

 

 アメリアと同じくSランク冒険者であり「ブラッドインパルス」を率いている。そして、その背後からは白い鎧をつけた者も居た。

 

「アメリアちゃ~ん、今日もイケてるね~~!」

 

 金髪の髪をキザに掻き上げながらアメリアに声をかける男。ブラッドインパルスのメンバーであるロイド・シュターク 27歳だ。長身の二枚目という印象だが、やや軽い雰囲気を持つ。

 

「ロイドさんも……それに老師まで」

「フォッフォッフォッ、ワシらも丁度墓参りでな。奇遇じゃの」

 

 そしてもう一人、冒険者の中での最年長、オルゲン・バルサークがそこに居た。今年で78歳を迎える彼ではあるが、未だに現役の頃の力を有している。現役時代は単独で行動をしており、アメリア以外で冒険名誉勲章を得た人物でもある。

 現在は引退しているが、たまにブラッドインパルスに加入しては、各地の依頼をこなしているので、まだまだ現役との見方が強い。

 

「悪かったな、お前の墓参りを邪魔する気はなかったが」

「別にいいですけど。ジラークさんも墓参り?」

「ああ、10年前のメンバーのな」

「そっか」

 

 そう言いながら、ジラークは少し離れた墓に向かった。それに続くようにロイドも歩いて行く。ブラッドインパルスは10年前に死者を出している。現在は2人の団体だが、老師も入ることがある為、その人数は固定ではない。

 

「ふむ、ご両親の命日だったかの」

「いいえ、違うわ。今日はたまたま墓参りに来ただけ。あんまり命日に来たくないし」

「ふむ……そうかもしれんな」

 

 老師は冒険者歴50年にもなるベテランだ。アーカーシャの街が生まれる前から生きている為、街の者で知らない人間はいないほどだ。当然、彼女の両親も面識はあった。

 

「お主は一人じゃったからの……だが、今はどうじゃ? 少しは変わってきているか?」

「うん……バーモンドさんとかレナ達も、心配してくれたし。今は、春人がいるし」

「あの少年じゃな。恐ろしい才能の持ち主じゃて、若き天才が出てきているようで安心じゃわい」

 

 オルゲン老師は春人とはまだ話したことはないが、彼に対しての感想を口にした。遠目からでも分かる恐ろしい才能というところだろう。同じSランク冒険者間でも春人は既に知られている存在だ。

 

 

「アメリアよ、お主もまだ17歳じゃ。あまり思い詰めずに人生を楽しむようにな。春人くんと仲良くしなさい」

「うん、ありがとう老師」

 

 

 アメリアは単独で様々な遺跡を回り、多くの功績を短期間であげてきた。しかし、思春期の時期をそういったことに費やすのは老師としてもあまり気乗りはしない。アメリアもそれを理解しているのか、老師に対して笑顔で返した。

 

「そういえば、アクアエルス遺跡の調査って終わったの?」

「アクアエルス遺跡か? ……ふむ」

 

 

 そして、話は一変する。

 アクアエルス遺跡……アメリアが口にした遺跡は南の海岸地帯に存在する遺跡だ。全4階層と言われており、そこまで強いモンスターが登場しないことから、比較的ランクの低い冒険者でも挑戦しやすい遺跡になっている。また、観光地のような外壁や内部の荘厳かつ美麗な壁画からも、モンスターがいなければ確実に観光スポットになっていたであろう造りをしている。

 そしてアクアエルスという名称、この星の名称と同じことから、フィアゼスの遺した遺跡の中でも特別な宝が眠っているのではないかとされている。

 

 

「そう言えば、お前は嫌な予感がすると言っていたな」

 

 アメリアの質問に老師より先に答えたのが、墓参りを終えたジラークだ。手に持ったお供え物はなくなっていた。

 

「まあ、予感ってだけだけどさ」

「お前の予感ならば用心するに越したことはない。お前の心配はより強力な魔物の存在か?」

「そう、ちょっとした情報で各遺跡には隠し扉……つまり隠されたエリアがあって、さらに強いモンスターが希少な宝を守ってるって聞いたから」

「どういうことだ?」

 

 ジラークは意味がわかっていなかった為、アメリアは賢者の森でリガインから聞いた情報を話した。

 

「ほう、アルトクリファ神聖国が……それにお前達が襲われたグリーンドラゴンの存在。確かにシュレン遺跡の隠しエリアが開放された可能性は高いな」

「でしょ? さすがにレベル110のモンスターの出現はタイミングが良すぎるし、神官長のミルドレア・スタンアークはシュレン遺跡の隠しエリアの攻略を終えた可能性が高いわよね」

「そうなると、お前たちが攻略中のオルランド遺跡、俺たちが主に攻略を進めているアクアエルス遺跡……この二つにも、当然隠しエリアはあるな」

 

 アメリアは頷く。ジラークだけでなく、老師とロイドも彼らの話を理解した。

 

「ふむ、そうなるとワシらも注意せねばならんの。アクアエルス遺跡は既に4階層を探索中じゃ。その荘厳さは明らかに他の遺跡を上回っておるしな。なにか、得体の知れない物が潜んでいるかもしれぬ」

「アクアエルス遺跡は4階層でレベル50程度のモンスターだね、正直Aランク冒険者でも踏破できそうな感じだよ」

 

 オルゲン老師とロイドも各々感想を述べた。老師に比べて、ロイドはやや緊張感に欠ける意見だ。

 

「オルランド遺跡は現在7階層よ。春人が怪我してるから、単独で様子見に行っているけど……レベルは60~70程度のモンスターってところかしら」

「60~70か……」

 

 ジラークはアメリアの言葉を聞いてなにやら考え事にふけていた。アクアエルス遺跡は事前の魔法での調査から、4階層が最深層と言われている。その段階でレベル50。

 一方、オルランド遺跡は8階層構造になっており、あと1階層残っているのだ。そう考えると、オルランド遺跡のレベルは相当に高いことになる。

 

「まあ、単騎の撃破もできるレベルだから、まだまだ余裕だけど」

「さすがアメリアちゃんだ。レベル70のモンスターも全く相手にならずか」

 

 アメリアのオルランド遺跡7階層を攻略中にもかかわらず、その余裕な表情に、ロイドは素直に驚いていた。

 

「アクアエルス遺跡は、俺とロイド、オルゲン老師の3人での攻略だ。アメリアも念の為、単騎での攻略は控えるようにな。高宮春人に背中を任せた方がいいだろう」

「春人と二人で戦う時も、もしかしたら来るかもね」

 

 アメリアはジラークの忠告に感謝しつつも、余裕の語りを展開した。春人とアメリアは協力が必要ないのだ。各々の能力が非常に高いことが原因ではあるが。

 だが、もしも協力して戦えばどうなるか……どのくらいの強さを発揮するのか、アメリアはその力も楽しみではあった。

 

 と、そんな時、街中に響く警報音があった。

 

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