最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~   作:イリーム

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140話 闇の軍勢、討伐戦 その4

 

 

「行きなさい、闇の騎士達よ」

 

 

 オードリーの村からかなり離れた地点にて、その攻防は行われていた。闇の軍勢とレナ、ルナの戦いだ。

 

 

「タナトス、騎士達を蹴散らしなさい」

 

「行け、タナトス」

 

「ヴヴヴヴヴ……」

 

 

 ダブル召喚で生み出したタナトスの久しぶりの戦闘と言えるのかもしれない。タナトスは直接攻撃タイプではないので、鉄巨人を呼び出して攻撃させるのが主流だ。

 

 3000体にも及ぶ黒騎士たちと呼び出された数体の鉄巨人の攻防が繰り広げられていた。

 

 

「鉄巨人とは厄介なものです」

 

 

 その騎士達を指揮するランファーリはタナトスに向かって攻撃をしていた。

 

 

「……」

 

 

 タナトスへのランファーリの槍による一撃だが、それは鉄巨人によって阻まれてしまった。喰らった鉄巨人は大ダメージを負って消えて行く。

 

 

「鉄巨人を盾代わりに使用するとは……贅沢なことです」

 

 

 簡単にタナトスを仕留めることは出来ない。ランファーリはそのように考えていた。ならば……。

 

 

「召喚している本体を攻撃いたしましょうか。タナトスに比べればかなり弱いようですので」

 

 

 ランファーリはレナとルナに焦点を合わせたのだ。当然、その間にも攻防は続いている。ランファーリは闇の軍勢全体を囮に使っていた。鉄巨人たちの足止めをさせているのだ。

 

 

「こちらが何十体殺されたかわかりませんが、鉄巨人を新たに1体仕留められたようですね。上出来です」

 

 

 足止めは十分に出来ている。そう確信したランファーリは双子に狙いを絞ることにした。

 

 

「結界を張ってはいるようですが、私であれば破ることができるでしょう」

 

 

 ダブル召喚中のレナとルナは強力な結界を張って身を守っている。しかし、その強度にはどうしても限界があった。ランファーリからすれば破れるという認識だったのだ。かなりのピンチということになるが……。

 

「では早速……ん!」

 

 

 突然、ランファーリを襲ったのは凶弾だった。魔法で作られた弾丸が高速でランファーリを攻撃したのだ。避ける彼女ではあるが動揺は隠せなかった。

 

 

「遠距離からの射撃……なかなか厄介ですね……」

 

 

 遠距離攻撃をしたのは2キロメートル離れているニルヴァーナだった。その後も連続で攻撃がランファーリを襲う。その全てを躱す彼女であったが、これでは攻撃に転ずることができなかった。戦局はかなりレナ達に向いていた。しかし……。

 

「仕方ありませんね……あの手で行きますか」

 

 

 ランファーリがそう言うと、何体もの黒騎士達が彼女の前に立ち並んだ。壁役を担っているというわけだ。彼女は思念のようなもので複雑な指令を行ったことになる。そういうことも可能なのだ。

 

 

 

「これで私だけを狙うことは難しいはず」

 

 

 ランファーリの言った通り、ニルヴァーナの弾丸は黒騎士達に命中するようになってしまった。命中した黒騎士達は死亡していくが、3000体の前では焼け石に水といったところだ。

 

 

「ランファーリという女……かなり強いと思う」

 

「そのようですわね。私達のところまで来る前になんとかしないといけませんわ」

 

 

 レナとルナの二人も自分達が狙われているということに気付いていた。各々の戦力ではランファーリに勝てないことは分かっているのだ。とすれば行うことはただ1つ。

 

 

 彼女達はランファーリの進む先にタナトスを配置した。

 

 

「ヴヴヴヴヴ」

 

「やはりタナトスが配置されましたか。こちらの行動は読まれていたということですね……仕方ありません」

 

 

 ランファーリはタナトスが相手でも物怖じしている気配はない。互いに武器を構えて攻撃に転じた。

 

 

「ヴヴ!」

 

「くっ……!」

 

 

 鎌と槍……互いの攻撃は互角におわり……はしなかった。ランファーリの武器は砕かれ肩付近から煙が出ている。人間でいう出血のようなものだろうか。この段階でランファーリが人間であるということは怪しくなっていた。

 

「タナトス……流石に強いですね。レベル900を誇るというのは伊達ではないということでしょうか。直接の戦闘タイプではないとのことですが……」

 

 

 攻撃結果はタナトスに軍配が上がった。ランファーリは勝利を諦めているといった印象だ。その割には焦っている様子はなかったが。

 

 

「この場は負けを認めましょう……タナトスがいる以上は貴方達を殺すことはできない。闇の軍勢を総動員しても逃げられるのがオチでしょうし……仕方ありません」

 

「潔いことですが……死ぬのは怖くないのですか?」

 

「ふふ、幻影素体ですので、お気になさらないよう……ふふふ」

 

  レナからの質問にランファーリは笑っていた。仮面を外していたからわかったことだ。ポニーテールのロングな髪形をしており、色は銀髪だった。非常に端正な顔つきながらも、その瞳はどこか不気味だった。放った言葉も意味が分からないことから余計に不気味なのだ。

 

 その後、彼女はタナトスの鎌で首を切り落とされた。倒された彼女は他のモンスターと同じく結晶石に姿を変えた……。

 

 

「モンスター扱いだったということ……? これって……」

 

「人間のように振舞っていましたが、どうやらそのようですわね」

 

 

 モンスターの中には人間のような外見の者もいるにはいるが、それと比較してもランファーリは異質だった。完全に人語を操っていたからである。さらに、幻影素体という聞き慣れない言葉……。レナとルナは意味が分からないながらも警戒に値することだと感じていた。

 

 

「わからないことがありますが、今は闇の軍勢を始末することに注力しましょうか」

 

「うん、レナ。わかった」

 

 

 レナとルナは戦っている鉄巨人たちに視線を合わせた。レベル120とレベル400という差はあるが、あまりにも数が違い過ぎる……鉄巨人たちでは勝つことは難しかった。

 

 

「指定ポイントには達しました。鉄巨人たちを囮にするようで申し訳ないですが……やりましょうか、ルナ」

 

「そうだね、レナ」

 

 

 闇の軍勢を前にしてさらに距離を離す二人……タナトスを亜空間に戻し指定ポイントから離れたのだ。その後に巻き起こるは非情なる一撃……レナとルナの合図を元に上空で待機していたカースド達がテラーボムを投下したのだ。

 

 鉄巨人と闇の騎士達のど真ん中に爆弾は投下され、一気に周囲1キロメートルが灰燼に帰すのだった……。

 

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