最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~   作:イリーム

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141話 闇の軍勢、討伐戦 その5

 

「相変わらず、凄まじい威力ですわね。テラーボム……」

 

「うん、すごい威力だと思う」

 

 

 1キロメートル以上離れた地点からレナとルナは話していた。彼女達はガスマスクを被っており、10キロ地点まで効果があるという毒ガスに対策済みだ。彼女達の闘気であれば防げる可能性は高かったが念のためといったところだろうか。

 

 

「地点は離れていますが、ナラクノハナの方々は大丈夫でしょうか?」

 

「通信機で連絡してみる……ええと、そっちは大丈夫?」

 

 

 ルナが通信機を使ってナラクノハナのメンバーに連絡を取った。ちなみに通信機はリグド達から渡された物だ。

 

 

「ああ、こちらは大丈夫だよ。十分な距離を離していたからね。そっちは大丈夫なのかい?」

 

「うん、こっちも平気。あとは残党狩りで済むと思う」

 

 

 リグドとルナの二人はお互いの無事を確認するのだった。テラーボム一撃で全ての黒騎士を倒したとは考えにくい。これからは残党狩りが始まるのだ。

 

 

「ヴヴヴヴヴ……!」

 

「……! 鉄巨人はどうやら生きているみたいですわね」

 

 

 タナトスから生み出される鉄巨人を消耗品のように考えていたレナとルナだったが、テラーボムの一撃に耐えたことに安堵の表情を見せていた。

 

 

「テラーボムの攻撃の威力を測る上でも良かったと言えますでしょうか」

 

 

 流石に人間を実験台にするわけにはいかない。強力なモンスターである鉄巨人を実験台にできたのはとても重要なことだった。鉄巨人が生き残ったということであれば、レナとルナの二人も全力で防御すれば生き残れるということだ。そういう指標は大事であった。

 

 

「とりあえず鉄巨人には戻っていただいて……さて、残党狩りを開始いたしましょうか」

 

 

 100体以上は生き残っているようだが……それらの狩りであれば、レナとルナだけでもなんとかなりそうだった。無傷の者はいないわけだし。しかし、その時だった。

 

「レナ、何かがいる! 気を付けて!」

 

「ルナ! 私も感じましたわ! とてつもないモンスターのようですわね!」

 

 

 煙でまだ視界が悪い状況……そんな中を高速で走るモンスターの存在があった。四足歩行の魔獣のようだ。蒼い外観をした魔獣は無差別に攻撃を開始しているようだった。

 

 

「あれは……オードリーにいたという蒼い魔獣ではないですか?」

 

「おそらくそうだと思う。主が倒されたから制御が効かなくなっているのかもしれない」

 

「グオオオオオオオ!」

 

「ヴヴヴヴヴヴ!」

 

 

 蒼い外観の魔獣はランファーリに付き従っていた。そのランファーリが消えた為に暴走しているのだ。黒い騎士と鉄巨人に襲い掛かっていた。

 

 

「ガルルルルルル!」

 

「ゴ、ゴアアアアア……!」

 

 

 生き残っていた鉄巨人が次々に倒されて行く。万全の状態ではなかったのは事実だが、それにしても倒され方が尋常ではない。黒騎士はさらにたやすく倒されて行くのだから。

 

 

「マズい……! あの魔獣はかなり強い……タナトスを呼ばないと……!」

 

「いいえ、先ほどまでの戦いで消耗しました。しばらくは呼び戻せませんわ。無理に呼び出すと暴走させてしまうかもしれません」

 

「そんな……! 私達だけであの魔獣と戦うの……!?」

 

 

 レナはタナトスがすぐには呼べないことを分かっていた。彼女達もそれなりに消耗していたのだ。ランファーリと闇の軍勢が強かったとも言える。タナトスを呼べない状況で蒼い魔獣のレオタイガーと戦わなければならなかった。

 

「グオオオオオオオ……!」

 

 

 相手も既にレナとルナの存在に気付いているのだ。戦いは避けられない……。

 

 

「ガッ!」

 

 

 そんな時に飛んできたのは音速の弾丸だ。ニルヴァーナからの援護射撃であった。レオタイガー相手には避けられてしまうが、援護射撃としては十分すぎるものだった。

 

「援護射撃がある状況……これならなんとかなるかもしれませんわ! 一気に仕留めますわよ、ルナ!」

 

「わかった。一気に仕留める……長期戦は不利だろうから」

 

 

 自分達も万全の状態ではない。援護射撃付きの二人がかりとはいえ、レオタイガーと戦う上ではかなりのハンデとなっていた。

 

 二人は魔空間から鋼流球を出しそれらを刃状に変化させる。そのまま16個をまとめて攻撃に転じさせるわけだが……レオタイガーの動きはそれを上回っていた。

 

 ほとんど攻撃が当たらないのだ。命中しても軽傷ばかり……レオタイガーにとって鋼流球の動きを捉えることはさして難しいことではなかったようだ。

 

「グオオ……!」

 

 

 しかし、そこにニルヴァーナからの一撃が入れば簡単というわけにはいかなくなる。レオタイガーも事実上3人を相手にかなりの苦戦を強いられることになった。

 

 

 

「グルルルルルル……!」

 

「はあ、はあ……なんとか互角の戦いは出来ていますか?」

 

「多分……でも、体力差が出てきてしまう時間帯だと思う」

 

 

 それからも攻防は続き、レオタイガーはレナとルナの間合いには入れない状況になっていた。レナ達は必殺の間合いに入らせないことを最優先にしていたというのは大きいが。それでも人間である二人は徐々に体力を消耗していくのだった。レオタイガーは逆にまだまだ行けるといった印象だ。

 

 そして、その状況は現実になってしまう。

 

 

 レナとルナの一瞬の隙を突いてレオタイガーは突進を決め込んだ。渾身の一撃と言えるのかもしれない。とても今の彼女達では防げるものではなかった。

 

「レナ!」

 

 

 ルナの叫びもむなしくレナは、その攻撃をまともに受け……はしなかった。

 

 

「ガ……!」

 

 

 一瞬のところでニルヴァーナからの援護射撃がレオタイガーを襲ったのだ。レオタイガーも疲れから直線的な攻撃になっていた。そこを突いた一撃と言えるだろう。一発でやられはしなかったが、胴を貫かれてよろめくレオタイガー。その隙をレナとルナは見逃さなかった。

 

「今ですわ、ルナ! 全力攻撃を!」

 

「わかってる!」

 

「ガアアアア……!」

 

 

 鋼流球による16連撃……身体中を切り刻まれたレオタイガーは、その攻撃をもって絶命したのであった。結晶石へと姿を変える。かなり巨大な結晶石であった。

 

「はあ、はあ……本当に危なかったですわ。もうすぐで死んでしまうところでした……」

 

「ニルヴァーナのおかげ……良かった」

 

「後でお礼を言わないといけませんわね」

 

「うん」

 

 

 レナとルナはその場に座り込んだ。ランファーリとレオタイガーという自分達よりも強い敵を倒すことに成功したのだ。ニルヴァーナの援護射撃があったとはいえ、上出来と言える戦果となった。加えてほとんどの闇の軍勢も仕留めているのだから。

 

 

「もう数十体しかいないようですわね。闇の軍勢を全滅させましょうか」

 

「疲れた……けど、それくらいならなんとかできそう」

 

 

 かなり疲労している二人だが、残りの闇の騎士達を倒すことはなんとかできそうという認識だ。召喚に頼ることはできないでいたが、ニルヴァーナの援護射撃に頼りつつ任務を遂行したのだった。

 

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