最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~   作:イリーム

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143話 闇の軍勢を倒して…… その1

 

 

「ナンバー4がやられましたか。一筋縄ではいかないようですね」

 

 

 木目調の仮面を外した状態の女性がアルフリーズ近くに立っていた。その顔はランファーリが最後に見せた顔と酷似している。

 

「同時にレオタイガーも死んだ……レヴィンの誇っていた軍隊も滅ぼしてしまうとは。何事も予想通りにはいかないものですね……」

 

 

 淡々と話している女性ではあるが、彼女がランファーリであることはその右手に書かれた「3」という数字が物語っていた。その横には木目調の仮面を被った女性の姿もあった。彼女の右手には「2」と書かれている。その女性も淡々とした口調で話し始めた。

 

「アルカディアでは作戦が順調に進んでいます。私達が急ぐことはないでしょう」

 

「そうですね……急がなくてもマッカム大陸は終わりなのですから」

 

 

 冷静に話しているランファーリと思しき人物達。美しい女性であることは間違いないが、周囲の人々はどこか不気味さを感じ取ったのか、二人に近づこうとはしなかった……。

 

 

 

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「いや~~~驚いたね。まさか、本当にアンバーロードの計画を阻止してしまうなんてな」

 

 

 ギルドマスターのザック・ボンバーディアは信じられないという口調で話していた。闇の軍勢とアンバーロード討伐の報が信じられないというわけだ。

 

 

「いや……運が良かったんだと思いますよ」

 

「春人はそうやって謙虚に振る舞うけど、あなたが強すぎただけの話よ」

 

 

 アメリアの言葉に照れてしまう春人だった。場所はギルド本部の応接室だ。

 

 

「民間人に怪我人が続出したらしいが、死亡者は現在のところいないようだ。よかったな」

 

 

 レヴァントソードのルインスキーの言葉だった。彼らはアンバーロードが各地でテロ行為を行うところを阻止する役目を担っていたのだった。それでも全てのテロを防止できたわけではない。しかし、死者が出ていないだけでも大成功だと言えるだろうか。

 

 

「通信機で話した限りでは北の戦いでも味方側に死亡者は出なかったらしい。それで、ほぼ闇の軍勢を討伐できたんだから……いやはや、奇跡だよね~」

 

「高宮春人以外の面子も化け物揃いということだな。ザック、これはかなり将来安泰な話じゃないのか?」

 

「そうとも言うね。しかし、レヴァントソードのルインスキーともなる男がやけに他人を買ってるじゃないの」

 

「ふん、まあ色々あったからな」

 

 

 少し照れ臭いのか、違う方向に視線をやるルインスキーだった。確かにレヴァントソードの前評判から考えれば、彼の言葉は信じられないということになる。金次第では悪の仕事も平気でやるチームと言われていたからだ。現在のルインスキーは普通に認めてくれる人間といった印象だった。

 

「何を見ているんだ?」

 

「いえ、なんでもないですよ。ルインスキーさん」

 

「ふん」

 

 

 ぶっきらぼうではあるが、春人としてはそんなに悪い人物には見えなかったというのが本音だろう。

 

 

「北に向かった連中はそのうち戻って来ると思うけど……報奨金の方はどうするんだい?」

 

「ああ、そういえば1億5千万ゴールドでしたっけ……」

 

 

 すっかり報奨金のことを忘れていた春人だった。他の連中も同じではあるが。

 

 

「今回はたくさんの人が手伝ってくれたし……山分けって感じで良いんじゃない?」

 

「そうだよね。今回は皆さんが頑張ってもらったんだし……ルインスキーさんもそれでいいですよね?」

 

「ああ、別に構わないぜ」

 

 

 忘れかけていた1億5千万ゴールドの報奨金。結局は山分けという風になるようだ。それでもかなりの金額を貰えることにはなるが。

 

 

「まあ、当人達で納得いくようにしてちょうだいよ。しかし、マシュマトの首都がこんなに混乱したっていうのに、本国の方々は東の港町アーバンスへ行っているというね」

 

 

「それなんですよ。今回、マシュマトの軍隊は出動していないですよね?」

 

「完全に出動していないわけではないけどね。街が破壊されたけど、その後始末は担ってくれているし。でも、主力部隊は動かなかったね」

 

「なにやってんのよ、まったく。アルカディア島が重要だというのは分かるけどさ」

 

 

 微妙に苛立ちを隠せないアメリアだった。マシュマトの主力部隊が動いていれば、もっと事態を安全に終息できたかもしれないからだ。もっとも、レヴィン達はその隙を狙って動いたわけではあるが。

 

 

「戦艦を使った調査船の第一陣が出発する日はもう決まっているようだ。第一陣はマシュマトの軍隊とアルミラージの冒険者パーティで構成されているらしい。第二陣も募集しているところさ。1カ月もかからない内に出発するらしいよ」

 

「大丈夫なんですかね? そんな危険なところに行って……」

 

「危険は承知の上だと思うよ。それよりもアルカディア島の謎を解く方が有益だと考えているのだろうね。資源の宝庫だとする意見も多いし」

 

 

 未知のモンスターだらけの群雄割拠の場所だとする意見がある。そう考えれば結晶石の宝庫であることは間違いないだろう。結晶石は今さらだが様々なエネルギーに転用できる代物だ。

 

「春人、私達は第二陣になるけれど、行ってみない?」

 

「アメリア……行きたいんだ」

 

「興味はあるわ。儲けに繋がるかもしれないしね。でもまあ、春人が決めていいわよ」

 

「う~ん、そうだな……行ってみようか」

 

 

 春人としても興味がないわけではなかった。闇の軍勢の中にいたランファーリのことも気になるからだ。通信機で倒されたと言われていたが、どうにも腑に落ちないことがある。幻影素体という言葉についてだった。ちなみにレナから聞かされた言葉である。

 

「ランファーリのことも気になるしね。文明がどうなっているのかも知りたいし」

 

「ええ、本当にこの大陸が安全になったのかは分からないからね。安全を確認する為にも行った方がいいわね」

 

 

 春人もアメリアも今回の事件が解決されたとは考えていなかった。総本山がアルカディア島になるのかどうかを確認する必要はあったのだ。

 

 

「お前らは意外と物好きなんだな。それとも単なる戦闘狂か……」

 

「なによ」

 

「戦闘狂ってわけではないですよ。俺だって戦いは好きではないですし……ルインスキーさんは行かないんですか?」

 

「興味がない。わざわざそんな危険地帯に行かなくても稼げる場所は知っているからな」

 

「そうですか」

 

 

 レヴァントソードの面々は行かないようだ。そもそも、グリモワール王国との契約があるから簡単には行けないのかもしれないが。彼らはグリモワール王国と専属契約を結んでいるのだ。相当量の金が動いているのだろう。謎の地域探索はグリモワールだけで十分だという認識なのだ。

 

 

「それにしても、アルミラージの面子がマシュマト自身と契約するとはな。第1陣に入れているということはそういうことだろう?」

 

「おそらくそうだと思うね~。詳しいことは分からないけどさ」

 

 アルミラージはレヴァントソードと同じマシュマト王国が誇るSランク冒険者パーティだ。春人達は面識がなかったが、ルインスキーは知っているようだった。

 

「まあ、彼らなら実力的には十分だろう。さて、君たちも行くんだよね?」

 

「はい。そうですね」

 

「気を付けて行くんだよ。レヴィン・コールテスとシルバ・ケレンドを倒した相手に言うセリフではないけどね」

 

「わかりました、気を付けます」

 

 

 春人はザックに頭を下げていた。心配して貰ったことに対するお礼のようなものだ。

 

「春人、一旦、アーカーシャに戻りましょう。エミル達とも会っておきたいでしょ?」

 

「あ、そうだね、アメリア。レナさん達が戻ったら話してみようか」

 

「ええ、それがいいわ」

 

 

 春人とアメリアは一旦、アーカーシャに戻ることで調整を進めるようだった。久しぶりの帰還ということになる。

 

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