最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~ 作:イリーム
「悟はいますか?」
「これは意外なお客さんが来たものだな。悟ならいるぜ」
寄宿舎に入った春人を出迎えたのは、フェアリーブーストのリーダーであるヘルグだった。隣にはラムネの姿もある。
「春人くん、お久しぶりね」
「そうですね、しばらく遠征していましたから」
「春人が居ない間にこっちでは色々あったんだぜ」
ラムネと話していた時に現れたのは悟だった。元気そうな様子だ。
「ラブピースとかいう連中が大変でな。マジで死にかけた」
「話は聞いているけど、大変だったんだな……生きていてくれて良かったよ」
「いろんな人に助けられたよ」
玄関先での会話になっていたので、ヘルグ達に奥へと案内された。談話室で悟と二人きりになる。
「で、わざわざ帰って来て、俺に会いに来たのかよ? お前は」
「まずかったかな?」
「いや、別にいいんだけどよ。もっと、会うべき人はいるんじゃないか?」
「会うべき人にはちゃんと会ってるよ。その一人が悟だったっていうだけさ」
「まあ、ならいいんだけどよ」
悟としてみても春人の行動は理解できなかった。普通に話せるようにはなったとはいえ、地球ではあんなに虐めていた相手なのだから。わざわざ、会いたいとなるだろうか? という話だ。
「俺はお前を虐めてたんだぜ? その恨みはもうないのか?」
「過ぎたことだしね。恨んでいないよ今は」
「切り替えられたのかよ」
「そういうことかな」
「……変な奴」
「悟に言われたくはないけどね」
「はっはっはっはっは……!」
お互いに笑い出してしまったようだ。特に大きな話題があるわけではない二人だが、それぞれの近況について話し始めていた。
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「えっ? じゃあお前はそのアルカディア島に行くのかよ?」
「ああ、そういうことになるかな。戦艦に乗って。東の港町アーバンスから出発するみたいだよ」
「本格的な旅になりそうだな」
「そうだね、フェアリーブーストはどうするんだ?」
「どうするってお前な……いくらなんでも無理に決まってるだろうが」
悟の表情は強張っているように感じられた。流石にレベルが違い過ぎるためだ。
「アルマークとイオの二人も行かないみたいだからね」
「それなら猶更無理じゃないか。ここで細々と冒険者やってるよ」
「うん、わかった。気を付けてね」
「お前が気を付けろよ、マジで」
呆れたように悟は返すのだった。自分達は大したダンジョンには行っていないが、春人は未知の大地に向かうことになる。どちらが気を付けなければならないかは一目瞭然であった。
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その後、春人はバーモンドの海鳴りに戻ることになった。積もる話をするというよりも、様子を見に行っただけといった方が正しいのかもしれない。話は思ったよりも早く終わったのだった。
「やっほ、春人」
「アメリア、待っててくれたんだね」
「まあね。悟と話はできたの?」
「できたよ、特に何事もなく終わったかな?」
「そう、ならいいんだけど。ねえ、春人。私達は東の未知の領域に挑むんだし、景気づけにオルランド遺跡で荒稼ぎしてみない? 記録更新を狙いましょうよ」
アメリアの目はやる気に満ち溢れていた。春人にもそれが分かる。景気づけにオルランド遺跡に行くことでモチベーションを上げる意味合いもあるのだろう。
「面白そうだね、アメリア。じゃあ、明日、早速行ってみようか」
「やる気じゃない春人。そういうノリかなりいいわよ」
春人とアメリアはお互いにやる気に満ち溢れていた。次なる目的地はオルランド遺跡の最下層だ。