最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~   作:イリーム

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148話 久しぶりの帰還 その3

 

「久しぶりに来たのはいいけど……」

 

「なんかレベルアップしてない……?」

 

 

 春人とアメリアの二人は翌日、オルランド遺跡の最下層……8階層へ向かった。彼らなら数時間もあれば到着できる距離である。1~7階層はほぼ素通りになるためだ。8階層で久しぶりにお金集めをしようと考えたわけだが……出て来るモンスターが強力になっていた。

 

 

 ポイズンリザードやマッドゴーレムであれば最早雑魚と言っても差し支えないが、ヘルスコーピオンやパイロヒドラも当たり前のように出て来るのだ。さらにはサイクロプスと鉄巨人まで現れる始末だった。

 

 

「一体、どうなってるの? 前はサイクロプスなんて出て来なかったのに……」

 

 

 最大レベル400の怪物が出て来ても二人は余裕で倒していくわけだが。主に春人が余裕だった。それでもモンスターの強さに驚きを隠せない様子だ。

 

 

「訪れた人間の経験やレベルを感知しているのかもしれませんね。この遺跡全体が」

 

「え? じゃあ、春人のレベルに合わせて出て来たってこと?」

 

「感覚としてはそんな感じです」

 

 

 サキアの言葉には説得力があった。モンスターである彼女ならではの感覚で推理しているのだから当然なのだが。

 

 

「でも、言われれば納得かも。私達が倒したヘルスコーピオンも出て来たから。春人の経験や私の経験を読み取ってモンスターを出しているのかもしれないわね」

 

 

 進化する遺跡と言えば聞こえはいいかもしれないが、やられる方はたまったものではない。進化されることによって難易度が変わる可能性が出て来るからだ。この8階層は鉄巨人まで確認している。ジラーク単体での攻略は難しい段階まで来ていた。それはほとんどの冒険者が攻略できないことを意味するのだから。

 

 

「8階層のレベルが上がってしまったかもしれないわね。まあ、それは後でギルドに報告しておくとして……結晶石の記録更新でもやってみる? 春人」

 

「面白そうだね、挑戦してみよう」

 

 

 二人は怖いことに戦闘狂の一面を覗かせていた。こうなるとまさに無敵と言える力が解放されることになる。二人が協力してモンスター討伐をするのだから。

 

 

「……? 誰かいるみたいだ。あれは……」

 

「嘘……リッカ?」

 

 

 オルランド遺跡にはなんと先客がいたのだ。リッカとタナトスレーグの二人である。

 

 

「フィアゼスの親衛隊が眠っていた場所……なるほど、なかなか濃密な気配が充満しているようです」

 

「ここにはもう用はないんだろう? さっさと帰るぞ」

 

「そうですね……フィアゼスの遺跡巡りはこのくらいにしておきますか。あとは……アルカディア島の恐怖が蔓延すれば……完成です」

 

「……」

 

 

 リッカはリッカだったが話している内容は明らかに違っていた。ランファーリに乗っ取られているのだ。

 

 

「私はここで失礼致します」

 

「えっ……!? ちょっと待ちなさいよ!」

 

 

 その瞬間、リッカは正気に戻ったようだ。いつものテンションで叫んでいた。

 

 

「リッカに戻ったのか」

 

「そうなんだけど……あいつは人の悩みも気にせずに……ふざけるんじゃないわよ! またこんな難易度の高い遺跡に連れて来られてるし……!」

 

 

 タナトスレーグが一緒とはいえリッカはまた見知らぬ遺跡に置いて行かれたのだ。今回は操らている時の記憶は残っていたが。

 

「ここってオルランド遺跡の最下層よね?」

 

「そういうことだな」

 

「ちょっと、どうすればいいのよ!? タナトスレーグがいるからって、私には難し過ぎる遺跡なのに!」

 

 

 リッカは非常に慌てていた。レベル80の彼女にとってはモンスターが現れた時点で負けが確定するようなものだからだ。8階層の平均レベルは100~200になっているためだ。その為、勝手に置いて行ったランファーリを恨んでいた。と、そんなところで……。

 

「リッカ、どうしてこんなところにいるんだい?」

 

「えっ……春人!? どうしてここに……」

 

 

 リッカにとってみれば予想外の人物との再会だった。

 

 

 

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「なるほど、そんな理由でこの遺跡に来たのか」

 

「そうなのよ、本当に迷惑以外のなにものでもないんだけど……! 私の悩みの種でもあるのよね!」

 

 

 突然出て来たランファーリという名前に春人は妙な違和感を感じていた。

 

 

「偶然だとは思えないな。レナさんとルナさんで倒したはずのランファーリ……リッカの中にもいるってのは偶然じゃないはずだ」

 

「よくわからないわよね。ランファーリって一体何者なの?」

 

「それはこっちが聞きたいくらいよ。本当に迷惑しちゃう!」

 

 

 ランファーリという存在の特別性……これは決して偶然ではない。春人は確信していた。そして、その謎がアルカディア島にあることも確信していた。

 

 

「リッカさえよければだけど……マシュマト王国が出している東の島の調査に同行しないか?」

 

「えっ……私が?」

 

「ああ、タナトスレーグも一緒にね」

 

「ふん……」

 

 

 タナトスレーグは面白くなさそうに一言発していた。

 

 

「どうするんだい? 応募はまだ間に合うし、ランファーリのことをもっと知れるかもしれないよ?」

 

「で、でも私のレベルじゃ……迷惑になるかも」

 

「タナトスレーグがいるじゃないか。それに俺だって守るし」

 

「春人……」

 

「ったく、あんたは……」

 

 

 アメリアから軽くつねられる春人だった。しかし、気持ちは分かるだけにそれ以上突っ込むことはしない。悩んでいる様子のリッカを元気付けようと春人はしているのだ。

 

 

「うん、わかった。春人がそう言ってくれるなら……私も参加してみるわ。ナーベルやミーティアには悪いけど、ここは別行動になるわね」

 

「よかった。仲間は多い方がいいかもしれないからね。未知の地域なんだし余計に」

 

 

 リッカは自ら抱いていた悩みが少し晴れたようだった。笑顔になっている。アルカディア島に参戦するメンバーが二人追加されることになった。

 

 

「ところで、あんた達はどうしてオルランド遺跡に?」

 

「俺達の稼ぎの場なんだよ。鉄巨人も出て来るようになったみたいだから、記録に挑戦しようと思ってね」

 

「記録って……」

 

「結晶石の稼ぎの記録よ」

 

 

 リッカを元気付けた春人とアメリアは、その時、モンスターが現れた気配を敏感に感じ取った。

 

 

「じゃあ、行こうかアメリア!」

 

「ええ、春人!」

 

 

 その瞬間から春人とアメリアの結晶石稼ぎレースはスタートするのだった。鉄巨人など強敵を相手に戦い続け……1日ほど潜ったその記録は2000万ゴールドにもなったという。

 

 以前が150万ゴールドだったので10倍以上の記録を打ち立てるに至った……。

 

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