最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~   作:イリーム

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68話 集合 その1

 

「春人……お前はマジで……生命が危なくなるんじゃねぇか?」

「バーモンドさん……割と洒落になってないですよ……」

 

 メドゥの見舞いが終了し、春人達は「海鳴り」の酒場に戻って来ていた。テーブルの1つを借りて、アメリアとサキア、エミルの3人と美由紀の合計4人は女子会のようなものを行っていた。議題は美由紀の今後や、メドゥのことだが……内面は色々と渦巻いている。

 

「おい、春人……なんで委員長まで居るんだ? え?」

「いや……驚きだけど、こっちに転送されてきたらしいんだ」

「そういうことじゃねぇよ! いや、それも驚きだけど……なんで、あの子らの席に一緒に居るんだよ!?」

 

 悟は血の涙を流しそうな勢いで春人の服を掴んでいる。既に涙は流しており、この上ない程の悲しみが彼を襲っていた。彼女らの席に居るということは既に売約済みということが決まっているからだ。

 

 どこから流れた決まり事かはわからないが、酒場の他の冒険者たちもアメリア達の席を見ながら同じようなことをつぶやていた。

 

 

「向こうの世界の人間なのか? なんかあんまりそんなイメージがねぇな。服装は奇抜だが……それ以外は……」

「……?」

「そうですよね~~。委員長は地毛があの髪だから。いや~目立ってましたよ。こっちの世界だと髪の毛の色はカラフルだけど、日本で青はね。なあ、春人」

「う、うん。確かに、そうだね」

 

 少し春人の中に疑問が浮かぶ……その疑問は小さな池に波紋を広げるように周囲に広がった。なんだろうか……? 微かな疑問……日本に居たころも日本人離れした彼女は浮いていた。

 

 確かに外国人の血が混じっているとは聞いていたが……それでもだ。まるでお伽の国から来たお姫様と言われていたほどだ。

 

「でもよ、春人」

「なに?」

「委員長は美人でスタイルもいいから、全然問題ないってかむしろ崇められてたけどよ。あれで見た目が大したことないと大変だったぜ? 男もそうだが、女も外見は重要だからな」

 

 悟はそう言いながら、アメリア達のテーブルを楽しげに覗いていた。4人とも相当な美人と言っても差し支えない。サキアは人間ではないので、厳密に含むのは難しいが。

 

 そんな悟の態度を見て、春人はため息をついた。彼は確かに相当に変わった。おそらく今の発言もそこまで大した意味はない。

 

 だが、彼は半ば春人以上の外見はしている為、無意識に女子を外見で判断してしまうのだろう。

 

 春人にそれを責める気はない……春人自身もアメリアやエミルたちに一目惚れをしなかったかと言えば完全に嘘だ。間違いなく外見から入ったのは否定できない。その後、彼女たちとの触れ合いでより好きになったことは間違いはないが。

 

 春人は生来の臆病さから、悟に注意するべきか悩んだ。今は違うとはいえ悟を憎んでいた時期だってある。さらに、自分が人に説教をできる人物などと間違っても思っていない。そして、嫌われないか……実質問題、悟に嫌われても何も不利益の生まれない春人ではあるが、せっかく育みつつある友情を壊したくはなかった。しかし、春人は敢えて彼に忠告したのだ。

 

「悟、女の子を外見で判断するなよ? 俺が言える立場でもないけどさ。委員長に失礼だろ?」

「あ、そうだったな……済まない。気を付けるよ……」

 

 できるだけフォローを入れたつもりの忠告。悟は嫌な顔を一切見せずに春人に謝った。もちろん、これは春人の実力と美人の女子4人をキープしているという現実から来る説得力があるからだ。

 

 悟は春人を自分よりも格上の相手として見直したからこそ素直に言うことを聞いている側面はある。人間が完全に性格から改変するのはほぼ不可能だろう。彼の本質はまだまだ、変わっていないのだ。それはもちろん、春人にも言えることではあるが。

 

 なにはともあれ、素直に謝った悟に春人は頷き、安心していた。

 

「でも確かに、委員長の外見が普通だったら……」

 

 それは春人にも容易に想像ができた。外見や運動神経なども普通かそれ以下であれば、青色の地毛や瞳は格好の的にされていただろう。

 

 それほどに、彼女の外見は剣と魔法の世界の住人だったのだ。日本の春人と同じような目に遭っていたのかもしれない。そういう意味では、悟の考えも全くの間違いとは言えないだろう。

 

「いや、まさかね……」

 

 再び押し寄せてくるわずかな疑問……春人は無理やりその疑問を振り払っていた。

 

 

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「つまり、アクアエルス遺跡にはヘカーテと呼ばれる指揮官が眠っていたと?」

「そういうことよ。サキア、心当たりはない?」

「いえ……ですが、立場としては間違いなくジェシカ・フィアゼスの側近に該当するかと」

 

 メドゥから詳しい話を聞いたアメリアは、サキアにそのことを伝え記憶との繋がりがないかを確かめていた。

 

 だが、思ったよりはサキアも記憶が繋がらないようだ。アメリアも言葉を濁しており、それ以上の進展がない様子が伺える。完全にその話題には置いてけぼりのエミルと美由紀。だが、アーカーシャの街に脅威が迫る可能性は感じていた。

 

 

「Sランク冒険者の方がやられてしまったんですよね……」

 

 エミルの表情は暗い。「シンドローム」のメンバーとは直接の面識はないが、今までSランク冒険者がやられたとは聞いたことがないだけに余計に不安感がよぎる。その心配の矛先は春人だ。

 

「は、春人は大丈夫なんでしょうか?」

「春人は強いからね、私だって居るし。絶対死なせないわよ」

「アメリアさん……!」

 

 エミルはアメリアの力強い言葉に不謹慎とは感じつつも喜びの表情を浮かべていた。春人自身の強さに加え、アメリアとサキアも居る。エミルとしては信じる以外に出来ることはない状況だが、確かな自信がアメリアから感じ取られ、とりあえずの安心を得たエミルだった。

 

「高宮くんは随分と愛されているのね。それは嬉しいことだけれど……」

 

 そんなとき、美由紀が口を開いた。その目線は真剣だ。

 

「女の子には、だらしなくなってしまったみたいね。垢抜けた原因はそこにあるのかしら」

 

 美由紀はため息をついて話す。まるでお母さんのような印象さえ受ける。

 

「私が見てあげないと駄目みたいね。全く、しょうがないんだから」

 

 ため息をついてはいるが、美由紀の表情からは全く嫌そうな印象は受けなかった。むしろ喜んでいる節さえある。

 

 そんな彼女の言動に冷たい笑顔を向けるのはエミルだ。

 

「あの~美由紀さんでしたか? 特に春人さんのご家族というわけでもないようですし……春人さんのお世話でしたら、私がしますので気になさらないでくださいね?」

「エミルさんだったかしら? 気になるもなにも、私がしたいと思ってるだけだから、あなたこそ気にしないで大丈夫よ?」

「そ、そうですか……うふふ」

 

 エミルは簡単に返されてしまい、さらに冷たい笑顔になっていた。そして、なぜかバーモンドの近くの春人に目線を合わせる。

 

『春人さん、また新しい女性ですね? 随分お綺麗でなによりです。さすが春人さんですね』

 

「え、エミル……?」

 

 エミルは言葉は発していないが確かに目線でそのように伝えていた。春人は敏感にそれを感じ取り、後程、様々な質問が彼女からあるということも確信した。きっとその質問から逃れることはできない……彼の顔からは冷たい汗がこぼれ始める。

 

「まあ、春人。お前も若いんだから今の状況は楽しめ。ただ、死なないようにな」

「バーモンドさん……言ってることが前後で全然違うんですが……」

 

 強面のバーモンドですら、エミルの冷たい表情には固まっているように思えた。春人としてはさらに不安になる。もはやどうすればいいのかわからない状況だ。

 

「春人……そりゃ、お前……あんな綺麗な子たち、キープしてるんだからな~。それ相応の報いはないと……あれ?」

 

 悟は春人の肩をつかみながら、やっかみ半分の言葉を投げかける。

そして、それと同時に酒場の入り口付近に人影が現れたことにも悟は気付いた。春人もそちらの方向に目を向ける。

 

「ああ、丁度よかった。春人やアメリアも居るようだな」

「うふふ、お邪魔いたしますわ」

「あれ……? ジラークさん、それにレナも……!」

 

 アメリアも二人の存在に気付き名前を呼ぶ。ジラークとレナが「海鳴り」へと入って来たのだ。

 

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