最強冒険者コンビの大活劇~パートナー居るのに協力する必要が生まれない~   作:イリーム

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71話 敵戦力

 

「この森も狭くなったね~~」

 

 アーカーシャの街から離れること10キロ……賢者の森の奥地にて、その者達は居た。

 

「まあな、1000年も経過してるんだぜ? えっと、なんて名前が付けられてるんだっけ?」

「は、はい……賢者の森、です……」

 

 青い衣装を纏った獣耳の少女、アテナの質問に答えたのは、たまたまこの森へ足を踏み入れた冒険者グループだ。3人居て、1人は既に首がなくなっている。残りの二人もボロボロになっており、もはや恐怖すら通り過ぎた印象だ。完全に質問に答えるだけの置物と化していた。

 

「アーカーシャとかいう街ができたから、森林伐採とか進んだのか? まあ、どうでもいいや。……ったく、ジェシカ様の大地を踏み荒らしただけじゃなく、遺跡まで侵入しやがるとはな」

「……も、もうしわけありません……お、俺たちが手に入れた物なら、全部お返ししますから……」

「フェンリル、腹減ってないか?」

「ハルル……」

 

 アテナは自らがもたれているフェンリルに話しかける。フェンリルは座った状態でアテナのソファー代わりになっていたが、彼女の顔を軽く舐めた後に立ち上がった。

 

 

「ひっ!? ちょっと待ってくれ! た、助けてくれ、頼む!」

「アルトクリファって国はどこにあるんだ?」

 

 フェンリルは残っている2人の冒険者に照準を定めた。弱肉強食の自然の掟……まさにそれが執行されようとしていた。

 

「この森から北に50キロほど行ったところにあります! その間にいくつか町なども見えます! 頼む、命だけは……!」

「手足失って、それでも生きたいのか? まあいいや、フェンリル」

 

 

 アテナの無情な視線。フェンリルは瞬間的に彼ら2人の頭を刈り取った。冒険者たちは苦痛なき死を迎えることができたのだ。その一点に於いては幸せだったと言えるだろう。

 

「ねね、残ってる身体とかはどうするの? 私がほしいよ~~!」

「ヘカーテ、てめぇは……アクアエルスの方で冒険者食いまくったんだろ? 私のフェンリルをこき使ったから駄目だ。これは焼いて、私とフェンリルでいただく」

「ええ、そんな~~!?」

 

 黄色い衣装のヘカーテが腹を鳴らして懇願をしてきたが、アテナはフェンリルを撫でながら、晩餐の計画を練った。フェンリルも楽しそうに彼女の身体を舐めている。

 

 

 各々の遺跡を出たアテナとヘカーテはお互いの臭いなどから、この賢者の森で久しぶりの再会を果たした。ジェシカの側近であり、双子のような存在……感動の再開……とはならず、眠る際に眷属であるフェンリルを持って行かれたアテナは、ヘカーテに激怒し蹴りまくっていた。

 

 それから、サイクロプス2体、鉄巨人8体も含めて森の内部で生活をしている。ミルドレアが作った小屋や、その脇の池は彼女たちの遊び場になっていた。

 なにも食べなくてもほぼ永久に死ぬことはない彼女らにとっては、現在の冒険者を喰らう行為も単なる趣味の範囲でしかなかった。彼女らの餌食になった冒険者たちは10数名に上っている。

 

「この後、どうしよっか、アテナちゃん」

「とりあえず、アルトクリファとかいう国だな。勝手にジェシカ様を奉ってるとか……殺すか」

「あ、賛成~~!」

 

 アテナは今後の向かう先を話ながら、冒険者の遺体を火にかける。焼き上がった肉はアテナやフェンリルで食べ始めた。

 

アテナはこれ見よがしにケルベロスも呼んで食事は盛り上がるが、ヘカーテだけは呼ばれずに、見張りをしているサイクロプス達の傍で丸くなって悲しんでいたという。

 

 可愛らしい光景ではあるが、強烈な自然の摂理……モンスターに敗北した者達の末路と言えるのだろうか。人間が見れば吐き気を催すような光景は一晩中続いていた。

 

 

 

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「あれって……」

「ポイズンリザードですわね。それとストーンゴーレムも。アクアエルス遺跡の隠しエリア付近に出てくるなんて……不謹慎ですわ」

 

 同じ頃、春人、アメリア、レナの3人はアクアエルス遺跡の最深部に到達していた。メドゥの言う通り、完全に隠し扉は開いている。その付近に現れたモンスターはオルランド遺跡の8階層に匹敵するものだった。

 

「レナさん、大丈夫ですよね? えと、どうなんですか?」

 

 真っ先に前に出たレナ。春人は、彼女の実力を知らない。アメリアの余裕の態度からも負けることはないと踏んではいるが、念の為の確認だ。

 

「大丈夫ですわ、春人さま。怪我をした場合は、春人さまが介抱してくださいますか?」

「え、それは勿論……」

「ちょっと、春人!」

 

 レナの誘うような発言に少し顔を赤らめる春人。すぐにアメリアにつねられてしまった。

 

「いたい、アメリア……!」

「なに赤くなってんのよ、バカっ」

 

 アメリアも本気で怒っているわけではない。ほとんど漫才のようなものだ。レナもそんな様子を笑いながら見ており、彼らの仲が順調に進展していることを感じ取った。

 

 レナの本音としては、自分には彼氏がいない……19歳で処女だ……。初恋の相手はジラークではあるが、恋愛の対象だったわけではない。

 

 そう考えると春人は初めて恋愛的に好きになりかけた相手とも言える。そろそろ、そういった経験もしておきたいレナにとっては惜しいことをしていると考えていた。

 

 これを逃すと次はいつになるかわからない。しかし、親友の初めての大きな恋愛、彼女は自分の淡い感情を押し殺し、アメリアを応援することにした。

 

「まあ、いいですわ。とりあえず一掃いたします。ユニコーン」

 

 そして、レナの掛け声と共に、一瞬の内に姿を現すのは白い巨大な角を有する馬、ユニコーンであった。レベルは330……角より放たれる強力な雷でストーンゴーレムやポイズンリザード達を蹂躙していく。

 

「あんた、やっぱり相当強いでしょ?」

「うふふ、さて参りましょうか」

 

 ポイズンリザード達は黒焦げ状態となりその場に何体も倒れ込んだ。ストーンゴーレムも同じだ。レナはそんなモンスターの結晶石を拾い上げ、上機嫌になりながら、隠しエリアへと足を踏み入れた。春人とアメリアもそれに続いた。

 

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