金で買えないスキルはない ~『外資系投資銀行に勤める俺が、異世界転生して金の力でチートする』~ 作:上下左右(じょうげさゆう)
リストを受け取った俺は、奴隷たちを会議室に集めた。彼らにリスト内容の価格査定をして貰うためだった。
ただリストの資産をすべて入念に調査することは難しい。時間の割き方を工夫する必要がある。
「というわけで、リーゼにはこのリストを価格通りに勝った場合に損する確率を算出して欲しい」
リーゼは『確率判定魔法』を保持している。これを使えば事象の確率を知ることができるのだ。
「……嫌です」
ただ俺の頼みをリーゼは一蹴する。
「あなたは妹を探すと言いましたが、見つかる様子がありません。本当に探しているのですか?」
「部下に命じて探させている。だが奴隷は数が多い。そう簡単には見つからない」
サイゼ王国内にいれば、国王アプリで探すこともできるが、他国の奴隷を探すには、地道に探していくしかない。
「それに今回のリストの中には奴隷もいる。もしかすると妹がいるかもしれないぞ」
「……確率的には一パーセント以下ですよ」
「だがゼロではないんだろ」
なら調査してみる価値はあるのではないかと、説得する。
「仕方ありませんね。調べてあげます」
リーゼが価格通りで問題ない資産と、問題がある資産を切り分けていく。
「損する確率が二割を超えている資産と、それ以外に分けました。前者は価格通りで購入しても問題ないです」
「助かる」
分別された資産を見ると、問題がある資産は全体の一割以下だった。だが問題のある資産の損をする確率はすべて九割を超えている。
「良質な資産の中に、粗悪品を混ぜているわけか。やることがセコイな」
バブル崩壊後の日本でも債権売買時に利用された方法だ。限られた時間の中ではすべての資産を調べることができないため、一部抽出して調査することを逆手に取った手法だった。
「良質な資産だけ購入しますか?」
「それだと売ってくれないだろ」
コスコ公国の狙いはいくつかあるのだろうが、粗悪な資産をなくすことも理由の一つのはずだ。
「例えばこの企業債権、不正の匂いがプンプンする」
「不正ですか?」
「この会社、売り上げなんてほとんどないのに、金貨一万枚も融資して貰っている。調べてみると、この会社の経営者はコスコ公爵の従妹だ」
ちなみに融資されたお金の出所は国民の税金だ。
「つまり税金を融資という形でポケットマネーに変換しているのさ」
もしこんなのが明るみになれば、公爵の地位は揺らぐ。俺に売却することで闇に葬りたいのだ。
「さて問題のある資産を早速調査するか。お前たちは企業債権と奴隷を調査してくれ」
「ダンジョンの調査はどうするのですか?」
「それは俺がやる」
ダンジョンを選んだのには理由がある。
ダンジョン探索のようなRPGっぽいことを一度やってみたいと思っていたのだ。課金パワーでモンスターどもをボコボコにするのが楽しみである。
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