金で買えないスキルはない ~『外資系投資銀行に勤める俺が、異世界転生して金の力でチートする』~   作:上下左右(じょうげさゆう)

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第二章 ~『ダンジョン探索』~

 ダンジョンは薄暗い洞窟で、少し肌寒い。最下層にダンジョンマスターが存在するため、下の階にどんどんと降りていく。

 

 

 

 一階ではスライムが現れ、下の階層に進むほど強い敵が現れる。地下一五階まで到達した俺の前には火を吐くドラゴンがいた。

 

 

 

 課金アプリでステータスを確認してみる。モンスター相手でも確認できるのはありがたい。良い買い物をした。

 

 

 

――――――――――

 

名前:火龍

 

評価:D

 

称号:火龍の子供

 

魔法:

 

・火炎

 

スキル:

 

・なし

 

能力値:

 

 【体力】:140

 

 【魔力】:150

 

 【速度】:130

 

 【攻撃】:150

 

 【防御】:130

 

――――――――――

 

 

 

 イーリスでも楽に勝てるステータスだ。俺はデコピンで火龍の体を吹き飛ばす。火龍は粉微塵になってしまった。

 

 

 

「想像していたダンジョン攻略と違うな」

 

 

 

 俺より強いとは言わないが、互角の戦いができるモンスターたちが襲ってくると思っていた。

 

 

 

「正直ちょろすぎて楽しくない」

 

「旦那様はお強い方ですからね」

 

 

 

 イーリスはニコニコと笑いながら、俺の後ろを付いてくる。

 

 

 

 まるでピクニックに来ているような気分だ。緊張感がまるでない。

 

 

 

「もしかすると魔王もデコピンで倒せるかもな」

 

 

 

 魔王がデコピンで死んだら興ざめだけどな。

 

 

 

「旦那様、金貨を回収しないと」

 

「あ、ああ。そうだったな」

 

 

 

 モンスターは倒すと金貨を落とす。俺が金貨に触れると、金貨は塵となって消え、スマホに金貨百枚を手に入れましたと表示される。

 

 

 

「デコピンで百万円か。ボロイ商売だな」

 

「旦那様が特別なのです。普通はこう上手くいきません」

 

「そうなの?」

 

「はい。子供とはいえ、火龍ですから、普通なら討伐隊を結成し、数十名でようやく倒せるレベルの強敵ですよ」

 

 

 

 俺やイーリスは課金しているから勝てるのであって、無課金なら易々と勝てる相手ではない。

 

 

 

 一階でスライムなどの雑魚を倒し、金を稼いで強くなる。そうして地道に攻略するのがダンジョンなのだという。

 

 

 

 この世界、貧乏人の人生難易度高すぎだろ。

 

 

 

「この調子なら最下層までたどり着けそうだな」

 

 

 

 俺たちはダンジョンの下の階層を目指していく。結局最下層にたどり着くまで、すべてのモンスターをデコピンだけで倒すことができた。

 

 

 

「ダンジョンマスターはせめてデコピンに耐えられる程度の強さが欲しいな」

 

 

 

 最下層を探索していく。火龍やリザードマンなど、雑魚どもが襲ってくるが、すべてデコピンで倒していく。

 

 

 

「ここがダンジョンマスターのいる場所ですね」

 

 

 

 眼前には三メートル程の高さがある大きな扉があった。

 

 

 

 扉を押してみるが、動く気配はない。鍵がかけられているようだ。

 

 

 

「おかしいですね。ダンジョンマスターへの扉は、常に開けられているはずなのに」

 

「普通ではない事態が起きているという訳か」

 

 

 

 リーゼの魔法のおかげで、このダンジョンの経営権を提示された金額で購入すれば損をするということが分かっている。

 

 

 

 損をする理由が、扉が開かないことと無関係だとは思えなかった。

 

 

 

「開かないなら無理矢理こじ開けるか」

 

 

 

 扉を押してみるが、ビクともしない。デコピンで叩いてみるが、それでも壊れない。

 

 

 

「仕方ないな、少し軽めに殴ってみるか」

 

 

 

 俺は腕を振り上げ、拳を扉に叩き付けた。衝撃音と共に、扉が吹き飛ばされる。

 

 

 

 ダンジョン探索、はじめて真面目に攻撃したのが、モンスターではなく、扉だったという事実になんだか笑えてくる。

 

 

 

「ダンジョンマスターが扉より強いと良いのだけどな」

 

 

 

 部屋の中に入ると、そこにはただ広い空間があるだけだった。ダンジョンマスターの姿はない。

 

 

 

「旦那様、この扉少しおかしいです」

 

 

 

 壊した扉を見ると、人の手で溶接された跡があった。

 

 

 

「なるほどな。このダンジョンはすでに攻略済みだった訳だ」

 

 

 

 冒険者たちはダンジョンマスターを倒すことを目的に探索をしている。ならそのダンジョンマスターがいなくなればどうか。当然ダンジョンとしての価値はなくなる。

 

 

 

 つまりコスコ公国は攻略済みのダンジョンを、あたかも攻略されていないように装い、営業を続けていたのだ。

 

 

 

「もし冒険者がここまでたどり着いていたら、どうするつもりだったのでしょうか?」

 

「扉が開かないからばれないと考えたんだろ」

 

 

 

 火龍すら吹き飛ばす俺のデコピンでも壊れなかったのだ。並の冒険者ではこの扉を開けられない。

 

 

 

「そろそろリーゼたちの調査も終わっているだろうし、サイゼ王国に戻るか」

 

 

 

 俺のダンジョン初体験は最低の気分で終わった。この気持ちの責任はコスコ公爵に取らせてやる。




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