金で買えないスキルはない ~『外資系投資銀行に勤める俺が、異世界転生して金の力でチートする』~ 作:上下左右(じょうげさゆう)
俺はため息を漏らす。どうせデコピンで勝てる相手だが、雑魚だからこそ絡まれるとウザイ。
「この誘拐犯がっ」
若い男が青い炎を俺へと飛ばす。それに対して『空間魔法』で次元の裂け目を生み出し、吸い込もうとする。
だが炎は吸い込まれることはなかった。それどころか『空間魔法』の魔力を燃やし、さらに大きな炎となる。
「魔力を燃やすとはこういうことかっ」
同時にこの魔法の弱点が分かった。この炎は魔法を焼いている間、その場で静止する。獲物を食い尽くすまで次の獲物を襲わないのだ。
ならばと『炎弾』を飛ばす。大規模な魔力の弾丸だ。焼き尽くすまでは時間がかかるはずだ。
「どんなに強力な魔法でも、術者が倒れれば消えるだろ」
俺は赤髪の男の背後に一瞬で移動する。音速に近い速度で動く俺を、男は確かに眼で追っていた。
「なんだぁ、てめえ!」
赤髪の男は慌てて振り返る。俺の速度に付いてこれることに少し驚く。一応ステータスを確認しておく。
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名前:シーザー・ド・フォックス
評価:B
称号:フォックス家の養子
魔法:
・幽炎
スキル:
・格闘術(ランクB)
能力値:
【体力】:300
【魔力】:230
【速度】:400
【攻撃】:250
【防御】:230
拡張機能:
・唐沢への愛情(ランクG)
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キルリスと同じく評価Bで、スキルランクBの『格闘術』も習得している。
『格闘術。無手で戦うことで能力値に補正がかかる。スキルランクが高ければ高いほど補正値が高い』
能力値は速度が頭一つ抜けて高い。速度の数値が高ければ高いほど、動体視力も高くなる。格闘術のスキル補正も合わさって、俺の速度を目で追うことができたのだろう。
「ただそれでもデコピンで十分だな」
「誘拐犯のくせに、喧嘩売ってるのかっ!」
俺は男の顔をマジマジと見つめる。肌黒い顔に、燃えるような真っ赤な髪。顔はキルリスと同じく整っている。目つきは鷹のように鋭く、能力値がカンストしていなければ絶対に戦いたくない顔だ。
「年齢から察するにキルリスの兄か?」
ステータスにはフォックス家の養子と書かれていた。血が繋がっていないにも関わらず二人の顔はどこか似ていた。
「兄だとしたらなんだっ」
「俺から説明しても信じないだろうし、面倒だから妹に事情を説明して貰え」
俺はシーザーにデコピンを食らわせる。遥か彼方へと吹き飛んで、道路の上を転がっていく。死んではいないだろうが、意識は失ったはずだ。
その証拠に『炎弾』を燃やしていた青い炎は消えていた。
「なぜ俺はこうも面倒事に巻き込まれやすいんだろうな」
日頃の行いが悪いからか。そんなことないと信じたいが。
気絶したシーザーを妹のキルリスに任せ、俺はこの場を後にする。この出会いが後々大きな事件をもたらすとは、この時の俺は予想すらしていなかった。
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