ほむら「麻帆良学園都市?」 作:なるほむ
「この時期に転校生って珍しいね」
「どんな子が来るのかな」
「朝倉何か知らないの?」
「転校生が来るってのはさっき職員室の前通った時に聞こえただけだから詳しいことは何も」
朝倉和美は教室に入るなり、転校生が来るぞーとクラスメイトを囃し立てた。お祭り好きのクラスメイトが反応しないはずもない。朝から普段以上に騒がしく賑やかだった。
高畑先生が教室に入ってくると一層盛り上がりは増した。
生徒たちが既に知っているのだとわかると、困った表情で転校生を手招いた。
扉が開き転校生である少女が姿を現す。生徒たちの何人かは思わず息を飲んだ。転校生はクールな表情とミステリアスな雰囲気を纏い、一切の緊張感を感じさせず教卓までゆっくりと歩いた。
「さて、自己紹介をしてくれるかな?」
「はい。暁美ほむらです。両親の仕事の都合でこちらへ来ました」
ほむらの人を寄せ付けないような雰囲気に飲まれ教室に一瞬しんとした空気が流れる。
「はいはい! 質問していい? 前はどこに住んでたの?」
朝倉は気後れする素振りもなく、声をかけた。
「前は東京のミッション系の学校に通っていたわ」
「ミッション系? よくわかんないけどかっこいいね!」
「趣味はー?」
「好きな飲み物はー?」
「運動は好き?」
「興味ある部活とかある?」
朝倉の質問を皮切りに怒涛の勢いでほむらへ質問が投げかけられた。しかしほむらは戸惑うことなくそのすべてをクールに捌いて見せた。その手腕にクラスメイトから只者ではないといった視線を向けられることになった。
「特技とかあったりする?」
「ええ、ちょっとした手品ができるわ」
ほむらがふっと口元を緩めて言う。手品という言葉にまたしても教室は沸き立った。ほむらがちらりと高畑先生に目を向けると、実際の年齢の割に老けて見える笑顔で頷いた。
「では少しだけ。目をそらさずにちゃんと見るように」
「おお!! ノリいいねー」
「さてここに高畑先生のたばこがあります」
ほむらがクラス全体に見えるように手に持つたばこを見せた。
「えっ本当に僕の!?」
高畑先生がいそいそと胸ポケットやらサイドポケットを探すがたばこは出てこない。
その反応を見てクラスメイトも既に手品は始まっているのだと気が付く。高畑先生の言うことが本当ならほむらは気づかれないうちにたばこを手に入れているということになる。武闘派連中はその事実に少なからず驚きを見せていた。
ほむらは教卓に近い生徒にたばこが本物かどうかを確認させた。
「本物っぽいよー!」
箱から一本たばこを取り出し、上下から握りつぶすように手の中に隠す。そしてそのままにぎにぎと手を動かしばっと開く。手の中には一輪の花が存在していた。そのままピンと造花を教室の中心辺りに跳ね飛ばした。
「なにそれすごい!!」
「どうやったの??」
「かっけー!!」
賛辞の声にほむらはドヤ顔で決めて見せた。
次にたばこの箱ごと両手で包み軽く上下に振って見せた。両手を開くが見た目には何の変化もない。おもむろにほむらは一本取り出し口にくわえて見せた。
「ああっ!? これは
「ほんとだっ!?
「わけがわからないよ」
くわえたココアシガレットをかみ砕きほむらは満足げに教室を見渡す。
「少しは楽しめたかしら」
盛大な拍手とともにほむらはクラスの一員として受け入れられた。
高畑先生にはココアシガレットが返された。「僕のたばこは」という声は誰にも届かなかった。
休み時間になるとほむらの周りには人だかりができていた。その中でもグイグイと迫っていたのは武闘派である功夫の達人、クーフェである。先ほどほむらが披露したマジックに違和感を覚えていた。見破った訳ではないが直感が良く当たるクーフェはある種の核心を持っていた。
「一度手合わせ願いたいアル!」
その結果が手合わせ。クーフェはこれしか知らない。あえて聞き出そうとは思わなかった。しかし拳を合わせればわかることはある。
対して周囲の反応は芳しくない。ほむらは深窓の令嬢のように華奢だ。勝てるはずがないと誰もが思っていた。