次の日放課後、材木座は計画の為の仕込みを済ませ奉仕部へと顔を出す。
確かに雰囲気が前と違う、空気がやけに重い。
「材木座また来たのか?ちゃんと最後まで書いたものを持ってきたんだろうな?」
そんな雰囲気の中、比企谷が言ったあたりで
「2年F組の比企谷!J組の雪ノ下!今すぐ生徒指導室へ出頭しろ!」
平塚先生がかなりの怒号で放送をかけている
「いったいなんだよ、雪ノ下おまえなんかしたの?」
「いいえわたしにも覚えはまるでないわ。むしろ比企谷くんこそなにかしたのではなくて?」
そう言って二人は出て行った。
この呼び出しをかかるようにしたのは材木座だ、平塚先生がいない間に机の上に
『F組の比企谷とJ組の雪ノ下が校内で人目をはばかるような行為をしていた』
と書いた紙を置いておいたのだ、無論でたらめだが平塚先生の嫉妬心を煽って呼び出しをかけるよう誘導するには十分だ。
材木座は由比ヶ浜と二人っきりの状態で取り残される形となった。
当然由比ヶ浜はまた聞いてくる
「なんだろ、なにかあったのかな?あと中二、聞いてくれた?」
「あ、ああ、聞いてみてるがなかなか難しくてな」
「そっかー」
由比ヶ浜はちょっと暗い顔になる
しばらく無言状態が続く、外からは運動部の掛け声が聞こえている。
あのような信憑性の薄い怪文書なぞ比企谷と雪ノ下の二人にかかれば秒殺で誤解を解いてすぐもどってくるだろうと思い、材木座はドアを開けて廊下の様子を伺う、階段の方から比企谷と雪ノ下の声が聞こえた、どうやら戻ってきたようだが由比ヶ浜は気が付いていない、ちょうどいいタイミングだ。
材木座が口を開く
「あのー由比ヶ浜殿ちょっとこちらへ来ていただけぬか?」
珍しくこちらを向いている材木座に戸惑う由比ヶ浜
「中二どうしたの?なんか目が怖いんだけど」
由比ヶ浜は立ち上がりおずおずと近づく
「実は、由比ヶ浜殿・・・」
そう材木座は言いつつ由比ヶ浜後ろへ回り込みがばっと抱きしめる。
「ちょ、ちょっと中二!やめてよ!どうしたの?!」
「フ、フヒヒヒ、や、やはり由比ヶ浜殿は柔らかいのう」
「いや!離して!」
「離さぬぞ、一目見たときからこうしたかったのだ、フ、フヒヒヒ」
「中二!やめてよ!」
由比ヶ浜は大声で叫んでいたため廊下からバタバタと音がしてガラッとドアが開く
「由比ヶ浜!どうした・・・って材木座!てめぇ何してやがる!」
比企谷と雪ノ下が部室へ入ってきて材木座に詰め寄ろうとするが
「おっと八幡、今から我は由比ヶ浜殿に愛の告白をするところなのだよ、邪魔しないでもらおうか、フヒヒヒ」
「あなた、自分がなにをしているのかわかってるの?」
雪ノ下が材木座を睨みつけるが材木座はそれを無視
「いいから由比ヶ浜を離せ!この豚野郎!」
比企谷はそう言って詰め寄るが材木座に片手で襟首を掴まれそのまま押し出される格好で突き飛ばされる。
「ぐっ材木座てめぇ、正気か?」
「八幡よ、八幡にとって由比ヶ浜殿は『ただの』同じ部活の部員だしクラスメイトなのであろう、だったら我が告白をしてどうこうしても構わぬだろう」
「これが告白するような態度に見えるか!由比ヶ浜が嫌がってるだろ!さっさと離れろ!」
比企谷は激怒してるが
「デュフ、この間由比ヶ浜殿から八幡好みの女になりたいと涙ながらに訴えられたのだ、でもヌシは由比ヶ浜殿をそういう目では見られないようだからな、強引にでも我がいただく、由比ヶ浜殿は我のような者にも優しくしてくれるしな」
「由比ヶ浜・・・なんでこんな奴に相談なんか」
比企谷は絶望的な顔をしている
「だってこんなのゆきのんにも相談できないしヒッキーに聞いてもはぐらかされるし、嫌われてるのかなって、ヒッキーみんなに優しいから仕方なく優しくしてくれてるのかなって、中二はヒッキーのそばにいるから好みとか知っているのかなって思って」
由比ヶ浜の顔からは涙がこぼれる
「んなわけないだろ!嫌ってなんかいない!」
「だってヒッキー、ハニトーのお礼もしてくれないし、手も繋いでくれないし・・・」
涙声になって最後の方はよく聞き取れない
材木座は由比ヶ浜の髪の臭いを嗅ぎ
「由比ヶ浜殿は良い匂いがするし、スタイルもいいし我好みだ、奴のように人の好意を踏みにじるような輩は忘れて我と付き合ってくれないだろうか?由比ヶ浜殿ならばコスプレも似合いそうだし、すーぱーそに子とかどうだろう、ゲフフフ」
そう言って材木座は由比ヶ浜の体をまさぐる
「やめろ材木座!」
「八幡、ヌシにそういう資格があるのか?人の好意をぞんざいに扱うような輩に、それにただの部活仲間でクラスメイトなんであろう?」
ニヤッと笑い材木座は手を由比ヶ浜のスカートへと伸ばす
「やめて、やめてよ・・・」
由比ヶ浜は恐怖で体が震えている
「材木座!てめぇ!俺の女に手を出すな!」
ブチ切れた八幡が材木座の顔面へ殴り掛かる
「ギニャー」
メガネごと顔面を殴られた材木座は床に倒れ悶絶する
「イデデデ、メガネが」
素早く由比ヶ浜を抱きとめる比企谷
「すまん、由比ヶ浜、あんな豚野郎に好き放題させてすまない」
「ヒッキー、怖かった・・・」
由比ヶ浜は泣きながら比企谷へ抱き付く
「俺の女か、八幡、それがおぬしの答えだな?」
材木座は立ち上がる、割れたメガネの破片が顔に突き刺さり変なところから血を流してる
「ああ、俺にとってはこの場所も由比ヶ浜も雪ノ下も特別なんだよ!てめぇのような部外者に渡せるか!」
比企谷は由比ヶ浜を抱きしめ材木座を睨みつける
「左様か、んでは由比ヶ浜殿はおぬしの好みなど聞く必要などなかったわけだ、初めからおぬしの好みだったというわけだな」
「・・・由比ヶ浜は優しくて明るくておれの好きな女の一人だ、分かったらおまえここからすぐ出ていけ、二度と顔を見せるな」
「言われなくても、由比ヶ浜殿、すまなかった」
そういって部室を後にしようとすると後ろから声がかかる
「材木座くん、知り合いのよしみで今回のことは公にはしないわ、でも二度とここと私たちに近づかないこと、破ったらこの学校から追い出すわよ」
雪ノ下から声がかかる、一瞬ビクッとした材木座だったがそのまま一目散にその場を後にした。
「これで由比ヶ浜殿から受けた依頼は達成だな、八幡を挑発し本音を引き出す名付けて怒りの赤鬼作戦、しかし大分やりすぎてしまった、八幡との仲もなんとかなるかと思ったが何ともなりそうにないな、こんなのは二次元で十分だ、それにこの状況では絵本の青鬼みたく八幡とは絶縁しなくてはならなそうだ・・・」
そのまま帰宅する材木座だったがやりすぎてしまった罪悪感から足取りは重かった。