キラワレモノタチ   作:もよぶ

4 / 17
第四話

しばらくしたある日、材木座は葉山に屋上に呼び出される

「久々であるな、しかし我のような輩に何用か?我の今の立場からすると一緒に居られるのを見られるのはまずいのでは?」

「別にみられても構わないよ、どうとでも言い訳が付くし俺は君の理解者ってこと忘れてないか?それに聞いてほしいことがあってね」

 

「うむ、そうであったな、しかし葉山殿ともあろうお方が我に相談事とな?よかろう、話してみよ」

「なんか君と話をしていると調子が狂うな・・・まあゆきのちゃ、いや雪ノ下さんのことなんだけどね・・・」

 

雪ノ下の姉から呼び出された葉山は雪乃に対する愚痴を延々と聞かされて閉口したと伝える。

姉曰く雪乃は修学旅行以降雰囲気が変わってしまい、なんとか比企谷との仲をよくしたいと考えてるようだがうまく言ってないようだ、そもそも自分の思いを伝えられてないようで、比企谷の方もあの性格だからはっきり言わない。

最近由比ヶ浜に告白まがいのことを比企谷がした為由比ヶ浜がべたべたしていて余計に話づらくなっているらしく大変もどかしい、比企谷は由比ヶ浜にはっきり告白したわけではないそうだがうちの妹を選ばないなんてことになったら比企谷を許しておくわけにはいかない、むしろ自分が強引に寝とっちゃおうか等々

 

「・・・なんか後半はずいぶんと物騒なことを言っているように聞こえるが、雪ノ下姉とヌシは知り合いなのか?いったい何者なのだ?」

「実は雪ノ下姉妹とは幼馴染でね、姉は陽乃さんって言うんだけどここの高校のOBだったんだ、いろいろとすごい人だよ、まあ要はゆきのちゃ、雪ノ下さんが」

 

「いや待て待て、幼馴染だと?このことを八幡は知っておるのか?あといちいち氷の女王の名前を言いなおすのはやめてもらおうか、どうせ聞いているのは我だけだ、話しやすい方で話せばよかろう」

 

「すまない、実は雪乃ちゃんって呼び方をやめろって本人から言われていてね、家同士で昔からつながりがあるもんだから家族間で会う時は家族も皆雪乃ちゃんで統一しててね、学校であった時呼び方の切り替えが大変で、あと比企谷も俺と雪乃ちゃんの関係は知っている、過去に色々あって今は嫌われているってこともね」

 

「左様か、まあ知っているなら良いしその辺はあまり深くは問うまい」

「今の俺と雪乃ちゃんはただの幼馴染ってだけでそれ以上でもそれ以下でもない関係なんだ、で話を戻すとだ、要は雪乃ちゃんと比企谷がはっきりお互いに好意を伝えてないってうるさいんだよ」

「んでどうするつもりなのだ?我を呼び出したということは何か仕掛けるつもりなのだろうが、貴殿が何かするほどの義理があるのか?ただの幼馴染とカーストの上下の関係だけであろう」

 

「・・・まあ贖罪ってやつかな、比企谷には借りがあるし、あと、もしかしたら俺は比企谷に惚れているのかもしれん」

どこかのメガネが聞いたら鼻血を間欠泉のごとく吹き出しそうなセリフを吐く。

「え?葉山殿ってそっちの気があるの?マジデ?」

 

「いや、ちがうからな?そういう意味ではなくて、憧れとか尊敬とかそういうものだ」

「奴にそういうのがあるのか?まあ良く考えると我も似たようなものかな?」

 

「それだけじゃないんだけどね、詳しいことはまた話すよ、あと今日の放課後俺は動くつもりだから材木座くんはそばで聞いておいてほしいんだ」

「それぐらいならかまわぬが、我、八幡達に近づいたら学校追い出されてしまうことになっているのだが」

 

「ばれなければ問題ないよ、実は奉仕部の隣の教室を確保している、そこで聞いておいてほしい」

葉山から教室の鍵を受け取った材木座はものすごく不安になるがおとなしく従うのだった。

 

こっそり奉仕部の隣の教室へ入る、奉仕部側の教室の窓を開け話を聞こえやすくして待機する

「葉山殿は一体何をするのであろうか」

そうこうしているうちに隣の教室の扉が開く音がして動きがあった

葉山の声が聞こえる

 

『雪乃ちゃん、この間家族で会食した時の話だけどさ』

『この間の話?なんのことかしら?あとその呼び名はやめてと前話したはずでしょう?頭が悪いのかしら?』

聞き耳を立てている材木座にもはっきりと怒気のようなものが伝わってくる

 

『ほら、俺の親父と君のお父さんが話してただろ、俺と君が婚約すればいいって』

『あれは酒の上での冗談の話でしょう?それを真に受けるなんてあなたはバカなのかしら?』

『ずいぶんと辛らつだね、あのあと俺なりに考えたんだよ、やっぱり将来的に考えると君と俺は一緒になるべきだ』

 

材木座は隣での言い争いを聞いて気が付く、葉山は自分と同じことをしようとしてるではないか?

「葉山殿は一体なにを考えているのだ、そういうことは嫌いじゃなかったのか」

 

隣での言い争いはまだ続いている

『雪乃ちゃんについては特に誰とも噂になってないし何も問題はないだろう?もしかしたらヒキタニくんに気があるんじゃないかと思ってもいたが何も無いようだしね、周囲にも配慮してやったんだ、むしろ感謝してほしいね』

 

『な、何を言っているのかしらこの男は、何故私がこんな目の腐った男に好意を寄せてるなんて思うのかしら、第一由比ヶ浜さんがいるじゃないの、やっぱりあなたは病院に行くべきだわ、そもそも・・・』

『雪ノ下、落ち着け、あと葉山さっきから聞いているとおまえ仕方ないから雪ノ下と婚約してやるみたいに聞こえるんだが』

『これは家同士の問題だからね、雪乃ちゃんの思いはこの際関係ないよ、そもそも雪乃ちゃんは今誰とも交際しているわけではないのだから問題ないだろ』

『おい葉山、聞き捨てならねぇな、雪ノ下はお前の権力に使う人形じゃねぇよ』

 

『はっ、たかが知り合って一年未満程度の君に雪乃ちゃんやそれを取り巻く環境の何が分かるというんだい?そもそも君には関係のない話だろう?君にとってはただの部員と部長だけの関係なんだろ?』

 

『・・・確かにそうだ、俺と雪ノ下は出会って一年も経ってはいない、でもな、雪ノ下のことはてめぇより理解しているつもりだ。成績優秀で毒舌家で一部からは氷の女王なんて言われてるが実は猫とパンさんには目が無くて、何事にも一生懸命で、すぐ自分でなんでも抱え込んじまうそこいらの女よりちょっと美人なだけのただの女の子なんだよ』

 

『ふん、それで?それでヒキタニくん、君はそんな雪乃ちゃんについてどう思っているんだい?』

『俺は・・・そんな雪ノ下を・・・』

『まあ君がどう思おうと勝手だけどね、もっとも君は何もできないし、何もしないんだろうけど、さあ雪乃ちゃん、ここでは落ち着かないから俺の家で話をしようか?今の時間だと父さんもいるころだしちょうどいいだろ』

そう聞こえると机や椅子がぶつかり揉みあうような音が聞こえる

『隼人君!ちょっと変だよ!どうしたの?』

『ちょっとあなた!なにするの離して!』

『おい!葉山!待て!』

比企谷の怒鳴り声が聞こえる

 

『なんだヒキタニくん、まだ何かあるのか?君は何にもできないって言っただろ?』

『葉山、雪ノ下を離せ』

『君にそんなことを言う権利があるのかい?』

『・・・ある、俺にとって雪ノ下は特別で本物の関係を築ける人の一人だと考えてるからだ』

『特別で本物?俺にはよくわからないね、雪乃ちゃんはわかるかい?』

『・・・私にはわかる、あなたが想像もつかないような深い関係よ・・・比企谷くんありがとう、私もあなたとの関係をそう考えているわ・・・』

 

しばらく無言が続く

 

『やれやれ、なんか宗教みたいだね、つまるところヒキタニくんは雪乃ちゃんをどうしたいんだい?』

『葉山、お前見たくてめぇの都合しか考えてないゲス野郎に俺の大事な雪ノ下は渡さないと言ってんだよ!』

『あーヒキタニくん、結衣にも似たようなこと言ってたんじゃなかったっけ?君は堂々と二股宣言しているように聞こえるんだが』

『分かってるよ、自分が二股の最低野郎ってことぐらい、でも俺はこいつらのことが好きなんだ、こいつらといるこの場所が本物なんだよ!』

『それが君の答えか、わかったよ、俺の負けだ、雪ノ下さん迷惑をかけてごめん』

 

隣の教室からドアが開く音が聞こえる、葉山が出てきたようだ。

奉仕部の部室からは3人がお互いの名前を呼び合って感謝や謝罪のような言葉を投げかけているようだが声が小さすぎてよく聞こえない

材木座の携帯に葉山からメールが届く

「終わった、校門の前で待つ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。