実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。   作:田中スーザンふ美子

14 / 63

禁書3期のPVが来ました!
よう実も2期やってほしいな。原作に忠実な脚本で


12話 更に向こうへ! Plus Ultra!!

 翌日。須藤とCクラスの話し合いまであと1日。

 え、あと1日しかないのかよ……。

 今日も一之瀬と一緒に学校へ向かう並木道を歩いている。

 

「今日も暑いねー」

「だな。早く涼しい場所に行きたい」

 

 どうやら一之瀬は元気を取り戻したようだ。

 数分歩いて無事校舎に辿り着いた。

 

「ふぅ、やっと天国に到着したか」

「天国って大げさだよー」

 

 一之瀬が笑いながら突っ込んでくる。

 

「ん?」

 

 上履きに履き替え、教室に向かおうとすると、綾小路の姿が目に入った。

 下駄箱から少し先にある階段の踊り場の掲示板を見ているようだ。

 

「おはようさん」

 

 綾小路の隣に並び、声をかける。

 

「界外か。おはよう」

「なに見てるんだ?」

 

 俺がそう言うと、綾小路は貼り紙を指さした。

 張り紙を見ると、須藤とCクラスに関係する情報を持つ生徒を募集する内容が記載されていた。

 

「これは――――――――」

 

 どうやら一之瀬が動き出してくれたようだ。

 更に張り紙を読み続けると、有力な情報提供者にはポイントを支払う用意があるとまで書かれていた。これなら普段興味を持たない生徒たちも注目するな。

 Dクラスの経済力じゃできない戦法ですね……。

 

「どしたのー?」

 

 少し遅れて一之瀬もやって来た。

 

「今張り紙を見てたんだけど、これは一之瀬が?」

 

 張り紙を指さすと、一之瀬は興味深そうにその張り紙に目をやった。

 

「なるほどなるほど。こういう手もありだねぇ」

「一之瀬じゃないのか?」

「うん。多分、神崎くんかな」

 

 さすが神崎くん。仕事が早い。

 いや、会ったことないんだけどね。

 

「あ、君が綾小路くんだね」

 

 一之瀬が綾小路に声をかけた。

 

「……オレのこと知ってるのか?」

「うん。界外くんの数少ない同性のお友達だよね」

「おい」

「ああ。界外の数少ない同性の友達だ」

「綾小路までディスってくるんじゃねえよ」

 

 なんで朝から友人にディスられないといけないんだよ。

 またトイレに逃げ込んでやろうか?

 

「にゃはは。ごめんごめん。冗談だよ」

 

 一之瀬が笑いながら謝ってきた。

 可愛いから許す。

 

「前に図書室で会ったよね。直接話はしなかったけど」

 

 テスト勉強で須藤たちがCクラスの生徒たちと揉めた時か。

 

「そうだな。あの時は助かった」

「ううん。私の名前は一之瀬帆波。よろしくね!」

「オレのことは知ってるようだが一応言っておく。綾小路清隆だ。よろしく頼む」

 

 うんうん。友人同士が交流を持つのを見るのはいいもんだ。

 俺がほくほくしていると、クール系イケメンが一之瀬に声をかけてきた。

 

「一之瀬。おはよう」

「あ、神崎くん。おはよ。この張り紙って神崎くんでしょ?」

 

 このイケメンが神崎くんか。

 見るからに優秀そうな人だな。

 

「ああ。金曜日のうちに用意して貼っておいた。それがどうかしたのか?」

「ううん、彼が誰がやったのか知りたがってたから」

 

 一之瀬はそう言うと、俺の制服の袖を軽くつまんできた。

 やばい。これだけでもドキドキしてしまう。

 

「紹介するね。Bクラスの神崎くん。こっちはDクラスの界外くんと綾小路くん」

「神崎だ、よろしく」

 

 そんなスマートに握手を求めることが出来るとは……。

 俺と綾小路は順に神崎と握手を交わした。

 

「どう神崎くん。有力な情報はあった?」

「残念ながら使い物になりそうな情報はないな」

「そっか。じゃあ私も例の掲示板見てみるね」

「掲示板? 他の場所にもあったのか?」

 

 綾小路が問いかける。

 一之瀬は薄く笑ってから違うよと否定する。

 

「学校のHP見たことない? そこに掲示板があってね、情報提供を呼び掛けてるの。学校での暴力事件について目撃者がいれば話を聞かせて貰いたいってね」

 

 そう言って俺と綾小路に携帯画面を見せてくれた。

 こちらにも、有力な情報提供者や目撃者には報酬としてポイントを支払う用意があると書かれてあった。

 

「あ、ポイントのことなら気にしないで。私たちが勝手にやってることだから。それに界外くんにはクラス全員が助けて貰ってるしね」

「クラス全員が?」

 

 どういう意味だろうか。

 Bクラスで交流があるのは一之瀬だけなのに。

 

「前に貰った監視カメラの設置リストだよ」

「あれが何でBクラス全員の助けになってるんだ?」

「前にCクラスといざこざがあるって言ったでしょ?」

「ああ」

「それを避けるためになるべく監視カメラがない場所には一人で行かないように呼びかけてるの」

 

 なるほど。そう言うことか。

 監視カメラがない場所だと、Cクラスからちょっかい出されても証拠が残らないからな。

 

「凄い助かってるよ」

「一之瀬の言う通りだ。彼女から礼を言われてると思うが、俺からも言わせてくれ。ありがとう」

 

 神崎が頭を下げてきた。

 そんなかしこまられると照れちゃう。

 

「あ、いや。大したことじゃないから……」

「ふ、謙遜するんだな」

 

 謙遜してるわけじゃないんだけどな。

 あんなの時間と労力をかければ誰でもやれるわけで。

 

「だからポイントのことは気にしなくていいから」

 

 一之瀬がそこまで言うならお言葉に甘えよう。

 

「一之瀬にも渡してたんだな」

 

 綾小路が呟いた。

 

「まあな。綾小路は堀北から貰ってるよな?」

「ああ」

 

 堀北は綾小路にも情報共有はしているようだ。

 

「……あ、書き込み、2件ほどメールが来てる。少し情報があるって」

 

 一之瀬は携帯画面を確認する。

 暫くメールを読んでいた一之瀬だったが、読み終えたのか文章を俺たちに見えるよう携帯を傾ける。

 

「Cクラスの石崎くん、中学時代相当な悪だったみたい。喧嘩の腕も相当立つらしくて地元じゃ有名みたいだよ。同郷の子からのリークかな」

 

 石崎って名字なのにサッカー少年じゃなかったのか。でもあだ名はガッツ石崎に決定だな。てか不良がなんで国立の高校を受験しようと思ったんだよ。しかもなんで受かってるんだよ。須藤みたいにスポーツしてるわけじゃなさそうだし。この学校の合格基準がわからなくなってきた。

 

「興味深いな」

 

 近くで文面を読んだ神崎がそう呟く。

 

「だよな。なんで不良がうちの学校に入学出来たんだろうな」

「いや、俺が思ったのはそれじゃないんだが……」

「え」

 

 どことなく俺たちの間に気まずい空気が流れる。

 

「俺が思ったのは、喧嘩慣れしている奴が、三人がかりで一発も殴れずに返り討ちに遭ったことに不自然さを感じたことだ」

 

 どうやら俺はシュタインズ・ゲートの選択を間違えたようだ。

 

「もしかすると須藤にやられたのはわざとかも知れないな。3人が須藤を罠にハメるために動いたと考えるのが自然だろう」

「さすが神崎くん。ズバリだねっ。後はこの情報の裏付けがしっかり取れれば、須藤くんの無罪に一歩繋がるかもね。でもまだ弱いかな?」

「上手く心証を操作できたとしても半々が良いところだろうな。須藤が一方的に殴ったという事実は重く圧し掛かってくる」

 

 Bクラス二人の話が続いている。

 俺と綾小路はすっかり蚊帳の外だ。

 

「そういえばDクラスに目撃者がいたと聞いているが、そっちの方はどうなんだ? 確実な目撃者だったのか?」

「それは何とも言えないな」

 

 神崎の問いに綾小路が答える。

 

「何か事情でもあるのかな……?」

 

 一之瀬が首を傾げる。

 あまりの可愛さに俺もつられて首を傾げるところだった。

 

「さすがに別の目撃者の報告はないね。やっぱり厳しいかなぁ。もう時間はないけど、ネットや張り紙の方から情報があるのを待つしかないね」

 

 一之瀬の言う通り俺たちは待つしかない。

 正攻法で解決する場合は。

 

「そうだ、情報くれた子にポイントを振り込んであげないと。匿名希望の相手にどうやってポイント譲渡すればいいんだろ? 界外くんわかる?」

「わかるぞ。相手のメアドはわかるんだろ?」

「フリーのだけどわかるよ」

 

 一之瀬はスッと身を寄せて来て、携帯を向けてきた。

 やばい。またもや一之瀬の胸が俺の腕にあたってる……。相合傘をして以来の非常に柔らかい触感により、俺の心拍数が急上昇している。

 

「それじゃポイントの送金画面を開いてくれ。左上に自分のID番号があるだろ」

「えーっと」

 

 一之瀬はスムーズに手を動かし画面を操作する。

 そして一之瀬のポイントページが表示される。

 その画面には、とても一人では獲得できないポイント数が表示されていた。

 

「あったあった。これだね。この後はどうすればいいの?」

「そのID番号から一時的なトークンキーを発行できる。それを相手に伝えれば入金のリクエストがくるはずだぞ」

「なるほどね、ありがと」

「どういたしまして」

「それじゃ遅刻しちゃうし、そろそろ行こっか」

 

 一之瀬が歩き出す。

 俺にあのポイント数を見られて、一之瀬は平気なんだろうか。機会があったら聞いてみるか。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

「ちょっといい?」

 

 教室に入るとすぐに堀北に声をかけられた。

 

「朝からどうした」

「掲示板の張り紙のことで聞きたいのだけれど」

 

 どうやら堀北も張り紙を目にしていたようだ。

 俺は一之瀬と神崎から受けた内容をそのまま堀北に伝えた。

 

「……そう」

「もし他に聞きたいことがあるなら、一之瀬に言っておくけ……ど……」

 

 説明を終え改めて堀北の顔を見ると、そこには見たこともない表情の堀北がいた。

 

「ど、どうした?」

「どうした、とは?」

「いや、なんか物凄い顔してるけど……」

「そう? 別にそんなつもりはないわ。ただ、私には対価を要求したくせに、一之瀬さんには無償で資料を提供するのね。その違いが何なのか、冷静かつ慎重に分析していたところ」

 

 え、気になってるのそこかよ。

 それと冷静かつ慎重と仰る割には、全然そう見えないんだけど。

 

「いや、違いって、あの時は堀北と今ほど親しくなかっただろ? 一之瀬とは友達だったし」

「……つまり今の私とあなたの関係なら、無償で私に資料を提供してくれたと?」

「恐らく」

 

 俺がそう答えると、堀北は「そう」と言い、自席に戻っていった。

 一体なんだったんだろうか。

 

「おはよ、界外くん」

 

 松下が俺の肩を軽く叩きながら挨拶をしてきた。

 

「おはよう」

「朝から夫婦喧嘩?」

「なんで俺と堀北が夫婦になるんだよ」

 

 松下には一之瀬と堀北のことで、ちょくちょくからかわれる。

 

「冗談冗談。それよりあれどうしたの?」

「あれ?」

「堀北さん。凄い見てるけど」

 

 松下の言う通り、堀北がものすごく謎めいた表情を向けて来ている。

 

「堀北さんもあんな顔するんだね」

「あんな顔とは?」

「うーん、嫉妬とか?」

「嫉妬って……堀北が誰に嫉妬してるって言うんだよ」

「一之瀬さんとか」

 

 ちょっと何言ってるかわからない。

 なぜ堀北が一之瀬に嫉妬するんだよ。

 あの2人に接点なんてないだろうし。

 

「馬鹿なこと言ってないで、そろそろ席に座るぞ。チャイムが鳴る」

「はいはい」

 

 はい、は1回でよろしい。

 心の中で松下を注意しながら俺も自分の席へ向かっていった。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 ホームルーム後。

 綾小路と櫛田は、佐倉を連れて茶柱先生に目撃者が見つかったことを報告しに行った。

 結果、審議に佐倉も参加することになったのだが、須藤と二人きりでは彼女が可哀相すぎるため、最大二人まで同席することを許可されたようだ。

 須藤と二人きりとか拷問以外の何物でもないもんね。

 

「ごめんなさい……私が、もっと早く名乗り出てたら……」

 

 櫛田の説明が終わると、佐倉が申し訳なさそうに謝る。

 

「あなたが謝る必要はないわ。目撃者がDクラスだったことが運のツキなのだから」

 

 堀北が、佐倉を庇うように言った。

 本人なりに慰めてるつもりなのだろうか。

 それより正攻法じゃ解決は出来そうにないな。

 

「それから櫛田さん。当日は私と界外くんに出席させて貰えないかしら。あなたが佐倉さんの支えになることは理解しているけれど、討論なら話は別よ」

 

 なんで俺が出席しないといけないんだよ。ここは櫛田か綾小路か平田の出番だろ。

 

「……そうだね。私じゃ、その部分は力になれないと思う」

 

 櫛田もすぐに諦めるなよ。

 ここは櫛田に頑張ってもらわないといけない。

 

「諦めるな櫛田」

「え」

「櫛田なら佐倉を支えるだけじゃなく審議でも力になれるはずだ。Plus Ultraだ」

 

 更に向こうへ! Plus Ultra!!

 

「なぜスペイン国王カルロス1世のモットーを言ってるのかしら」

 

 堀北が冷静に突っ込んでくる。

 くっ、ここに一之瀬か博士がいれば通じるのに!

 

「界外くん、今回の件に協力する気になったのでしょう? なら出席しなさい」

「……はい」

 

 堀北の一睨みにより、抵抗むなしく審議に出席することになってしまった。

 

「佐倉さんも、それで構わないわね?」

「……は、はい」

 

 いや、構うだろ。佐倉からしたら櫛田か綾小路の方が安心するだろ。

 でもこの堀北の前じゃ「はい」としか答えようがないよね。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 昼休み。俺は作戦会議に参加していた。

 隣には不機嫌な表情をした堀北が座っている。

 俺と堀北は、参加を渋ったが、櫛田の泣き落としにより参加することになってしまった。

 しかし、俺がこの場所にいていいのだろうか。

 

「うっ」

 

 池と山内をちらっと見ると目を逸らされた。完全に怖がられてるじゃないか。

 ちなみに須藤は俺と目が合うと舌打ちはするが、視線は以前より柔らかくなった気がする。

 いや、なんでだよ。

 あんな目にあわされたら、以前よりヘイトが溜まると思うんだが。

 

「ねえ、彼らになにかしたの?」

 

 観察力に優れた堀北に早速問いかけられた。

 

「別に。あまり話したことがない俺がいるから気まずいだけだろ」

「そういうことにしておいてあげる」

 

 どうやら堀北は俺の嘘を見抜いていらっしゃるようだ。

 

「明日……須藤くんの無実を証明できるかな?」

「当たり前だろ櫛田。俺は無実なんだからよ。なあ?」

 

 二人はほぼ同時に、堀北へ意見を求める。

 堀北は無視して、無言で卵焼きを口に運んだ。

 堀北の卵焼きって俺の好みの味をしてるんだよな。

 明日は堀北の弁当が食べられるので、今から明日の昼休みが楽しみでたまらない。

 

「おい堀北」

 

 須藤が、堀北の顔を覗き込む。

 

「汚い顔を近づけないで」

「……き、汚くねーよ」

 

 須藤のメンタルポイントが5000は減ったな。あと1回減らされたら死ぬだろう。

 

「あなたが簡単に無実を証明できると思っているのが不思議でならないわ。対抗できる材料があるとしても、まだまだ不利な状況よ」

「目撃者、敵の過去の素行の悪さ。これだけで十分だろ」

「素行が悪いのはお前も同じだろが」

 

 あまりの須藤のブーメランな発言に、つい突っ込んでしまった。

 

「……う、うるせぇ」

 

 俺の突っ込みに対し、須藤は弱弱しく返す。

 

「ご馳走様」

 

 弁当を食べ終え、席を立つ。

 これ以上ここにいても意味がない。

 次の授業まで時間はあるし、新たなベストプレイス捜しにでも行くか。

 自席に戻り、弁当を鞄にしまう。

 

「どこに行くの?」

 

 教室を出ようとしたところで、堀北に呼び止められた。

 

「校舎内で落ち着いて昼飯を食べられる場所を探しに」

「私も行くわ。やはり教室は落ち着かないもの」

 

 どうやら堀北も新たなベストプレイスを求めているようだ。

 

「わかった。行くか」

「ええ」

 

 こうして俺と堀北のベストプレイスを探す旅が始まったのだった。

 30分で終わる旅なんだけどね。





神崎好きだから原作で出番増やしてほしいです
一之瀬から自己主張がなさすぎるて何考えてるかわからないとか言われてるけど……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。