実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。   作:田中スーザンふ美子

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R-15始めました
今回は少しエロい描写あるので苦手な人はあとがきまで飛ばしてください


21話 一之瀬帆波:ライジング

 入学式当日を迎えた。

 彼は通学中に偶然私と出会ったと思っているのだろう。違うよ。君が来るのをずっと待ってたんだよ。始発から私は最寄り駅にいて、偶然を装って君に声をかけたの。

 君に声をかける時は凄い緊張したんだよ。1年間もこの時を待ってたんだもん。声をかけられた君は私に見惚れてくれてたよね。200おっふは固かったかな。凄い嬉しかった。

 学校に着くまで彼と2人で過ごす時間は幸せだった。このまま時間が止まってしまえばいいとさえ思った。

 降車駅から学校まで2人で歩いたよね。君の隣で歩く。ただそれだけのことが私にとってどれだけ嬉しかったのか君は知らないでしょ?

 

 学校に到着して私は絶望してしまった。理由は彼と違うクラスだったからだ。彼もショックを受けていたのは嬉しかった。

 彼と別れてから私はしばらくトイレの個室にこもった。

 なんで私と彼が違うクラスなの! 1年も我慢したのになんで!

 一気に心の中で負の感情を爆発させた。5分ほどして心を落ち着かせる。そして私は決意した。

 もう運命なんて頼らない。運命なんて私と彼が出会ったことだけで十分。これからは私の力で彼を手に入れてみせる。

 そうだ。今朝だって計画通り彼と接触して親しくなれた。違うクラスになっても問題はない。私はそう自分に言い聞かせ、自分が配属されたBクラスへ向かった。

 

 入学式が終わるとクラスメイトからカラオケに誘われた。少し心苦しかったけど先約があると嘘を言って断った。

 教室を出てすぐ彼を探しに行った。スーパーで彼を探してたところ、彼から声をかけられた。

 その後、彼と一緒に店内を見て回った。買い物中に彼から教室に監視カメラが設置されてることを教えられた。また支給ポイントの変動など彼の考えも聞けた。

 学力に優れていたのは知ってたけど、ここまで頭が切れる人だと思ってなかった。

 やばい、ますます惚れちゃったよぉ……。

 

 買い物を終えて寮に帰る道で私は彼にあるお誘いをした。彼はすぐに了承してくれた。

 あるお誘いとは一緒に登校することだ。彼と一緒に登校するのには、2つの大きな理由がある。

 一つ目は単純に私が彼と一緒にいたいから。

 二つ目は私と彼が親しい関係であることをみんなにアピールするため。

 これも入学前から私が考えた計画の一つだ。入学して間もない生徒が異性と一緒に登校をする。嫌でも目立つ。私だってそんな生徒がいたら気になっちゃうもん。

 

 入学2日目。寮の玄関ホールで待ち合わせをして彼と一緒に学校に向かった。

 なんと彼は30分も早く待ち合わせ場所に来てくれていた。彼は早く来たのを否定したけど私は知ってるんだよ。携帯の位置情報サービスで君がどこにいるのか確認してるもん。ちなみに今も常に確認してるよ。

 私との登校をそんなに楽しみにしてくれてたんだね。この時は嘘をつく彼が愛おしくて仕方がなかった。

 

 教室に着くと案の定彼についてクラスメイトから質問された。私は地元が一緒で仲良くさせてもらってると答えた。頬を紅く染めながらね。

 これで勘のいい女子は気づいただろう。私が彼に気があることを。

 入学2日目で私と彼の関係性をアピールできたのは大きかった。これで彼を狙う女子が減るだろうと私は思った。

 だけど私はそれで満足しなかった。より確実性を高めるために、私個人の存在をアピールすることにした。この時の私はただの一生徒に過ぎなかった。なので私は学級委員長に立候補した。

 Bクラスの学級委員長。頼れるリーダー。教師からも信頼される生徒。

 一之瀬帆波というブランドが確立するのにそう時間はかからなかった。

 いつしか他のクラスからも注目をされるようになった。まあ、クラスのリーダーを務めれば嫌でも注目されるよね。

 ともかく、これで私を敵に回してまで彼に手を出す女子はいなくなるだろう、とその時の私は思った。

 

 入学してから1か月。

 彼の所属してるDクラスのクラスポイントが0になってしまった。

 この時、私は決心した。もし今後もクラスポイントが増えないようなら私が彼を養うと。

 結局、彼は自力でボーナスポイントをゲットした。有言実行で学年1位を取るなんてかっこよすぎるよぉ……。

 中間テストが終わり、私は彼と2人で打ち上げをした。初めて彼から誘ってくれた。

 初めての打ち上げ記念に2人で写真を撮った。初めての彼との2ショット。もちろん携帯の待ち受けにしている。笑顔でピースする私と照れてぎこちなく笑う彼。この待ち受けを見るだけで私の心は物凄く満たされる。

 

 今の私は携帯の待ち受けを見ながら自身の目標を再確認する。

 目標はもちろん彼と恋人関係になること。

 私が告白すれば彼は受け入れてくれるだろう。でも私も女の子。告白は彼からしてもらいたい。

 恐らく彼も私に好意を持ってくれている。でもそれじゃ足りない。私の彼に対する愛と比べたら、彼の私に対する好意なんて小さいものだ。

 なので私は、彼が私のことをもっと好きになってくれるように仕掛けることにした。

 

 まずは相合傘。学校にわざと傘を置き忘れて彼の傘に入れて貰った。

 彼と相合傘をして登校する。私の願いが一つ叶った瞬間だった。

 私は自身の願いを叶えてくれたお礼に、ブレザーの胸元を思い切り盛り上げている大きな塊を彼の腕に押し当てた。

 ううん、お礼なんて嘘。私の女の部分を感じて貰いたかっただけ。胸を当てられた彼は顔を赤くして凄く照れていた。凄い可愛かった。

 そんな彼だけど私に気づかれないように距離を取った。駄目だよ。私が気づかないと思ったのかな。私は強引に彼を引き寄せた。もっと私を感じて貰わないと。逃がさないんだからね。

 そして学校に近づくにつれて密着度を増せた。理由はもちろん他の生徒に私と彼の関係をアピールするため。

 ここまでは計画通りだった。自分の欲求を満たしつつ、彼に私を意識させる。さらに他の生徒に私と彼の相合傘を見せつける。

 学校まであと数分のところで想定外のことが起きた。

 落雷。私は雷が苦手だった。

 雷の音が鳴った時、自然に彼の腕に抱きついてしまった。彼は私が落ち着くまで雨の中動かないでいてくれた。あの時の彼は頼もしかったなぁ……。

 

 7月に入るとDクラスにトラブルが起きた。須藤くんの暴力事件だ。

 私は彼に事件の詳細を聞いて、すぐにCクラスの罠だと確信した。

 私は彼に協力を申し出た。彼は須藤くんを助けるのを渋っていたが、私が上目遣いでお願いをしたらすぐに了承してくれた。もう本当にチョロいんだからぁ!

 ともかくこれでやっと彼の役に立てる。彼には助けられてばかりだったので、どんな形であれ彼の役に立てるのは嬉しかった。

 

 その日の翌日。思わぬトラブルが起きた。なんとクラスメイトの千尋ちゃんからラブレターを貰ったのだ。

 女の子からラブレターを貰ったのは初めてだったので非常に困惑した。もちろん私は彼一筋なので千尋ちゃんと付き合うつもりはない。

 彼女は仲が良い友達だったので、あまり傷つけずに断る方法を考えた。

 そして私は最低最悪な方法を考えついてしまった。

 彼に彼氏役になってもらい、千尋ちゃんの告白を断る。そのまま疑似の恋人関係を続けて、彼との距離を縮めて本物の恋人になる。

 最悪だ。私は友達の好意までも利用して彼の特別になろうとした。

 何より最悪だったのは罪悪感を感じなかったことだ。

 クラスメイトのことは好き。一緒にAクラスに上がれたらいいと思っている。

 でも私の本質はそれじゃない。

 きっと私は彼のためなら平気でクラスメイトを裏切ることができるだろう。

 頼れる学級委員長。クラスのリーダー。善人。

 みんな、私のことをそう評してくれるけど全然違う。

 私は最低最悪な学級委員長だ。善人でもない。彼に壊れてるだけの醜悪で腹黒な女だ。

 結局、彼は彼氏役を引き受けてくれなかった。でもいい。彼が真剣に私のことを考えてくれた。私はそれだけで嬉しかった。

 千尋ちゃんとは多少ギクシャクしたけど、今は仲良く友達を続けている。

 

 須藤くんの事件が解決した翌日、新たなトラブルが発生した。

 佐倉さんがストーカーに襲われたのだ。

 彼は綾小路くんを追っかけて現場に向かい、私も彼のGPSを辿って現場に駆け付けた。

 そしてあろうことか彼は刃物を持ってるストーカーに立ち向かっていったのだ。

 この時の私は彼が心配で心配で仕方なかった。なぜなら彼は一度同じような状況で切り付けられたことがあったから。

 私は彼が切り付けられたシーンをフラッシュバックしてしまい、私の中を恐怖が埋め尽くした。

 結局、彼は無傷でストーカーを退治した。

 私は夢中で彼を抱きしめた。そして泣きながら本気で彼を怒った。

 けれど私の怒りはすぐに収まった。

 彼が私の頭を撫でてくれたからだ。

 あの時、私は彼の胸元に顔を埋めて悶えていた。

 だって撫で方が官能的だったし、時折髪を耳にかける際に彼の指が敏感な私の耳に触れるんだもん……。

 そんな発情してしまった私に止めを刺したのが彼の下着姿だった。

 その日の夜は彼に撫でられた感触と彼の下着姿が頭から離れず、悶々として中々寝付けなかった。

 

 人間は欲深い生き物だ。

 期末テストに向けて、彼と二人きりの勉強会をすることになった。

 入学して3か月。とうとう私は彼の部屋に上がった。

 彼の部屋は綺麗に整頓されていて、目立つところと言えば本棚に並べられている大量の漫画とライトノベルくらい。

 生まれて初めて入る異性の部屋にどぎまぎしつつ、テスト勉強を開始した。

 勉強中、欲求が高まっていくのがわかった。

 原因は壁に掛けられた彼のブレザー。前日に私はあのブレザーに顔を埋めていた。もう一度あのブレザーに顔を埋めたい。そして彼の匂いに包まれたい。でも今の状況でそれをするのは難しい。勉強中にいきなりそれをしたら変態だと思われちゃう。

 私は帰る際にわざと彼のブレザーを手に取った。気づかれるかドキドキしたけど彼が気づくことはなかった。

 無事に彼のブレザーを持ち帰った私はすぐにシャワーを浴び、それに顔を埋めながらベッドに横になった。

 この時の私は彼の匂いに包まれながらならぐっすり眠れると思った。

 でもそれは大きな間違いだった。

 時間が経つにつれて体が疼いていくのがわかった。

 彼のブレザーを手放せば落ち着いたんだろうけど、私は手放すことができなかった。

 完全に本能が理性を上回ってしまった。

 そして疼く身体をおさめるために自分を慰めた。

 息を乱しながら彼の名前を連呼する。

 私が抱きしめてるそれを彼が身に纏うことを考えると余計に指が動いた。

 翌朝。罪悪感で一杯の私は彼と会うのが非常に気まずかった。

 でも私が一晩中抱いたブレザーを彼が着た時は少し興奮してしまった……。

 私って本当にいやらしい女なんだ、と実感させられた朝だった。

 

 その後、2週間彼との勉強会が続いた。

 初日にやらかしてしまった私だけど、彼へのアピールは続けた。

 いつも通り胸の感触を与えたり、立派に育った逸品を見せつけたり、透けブラをしてみたりした。

 意識はしてくれてるんだろうけど、彼が私に手を出すことはなかった。

 そして勉強会を重ねていくうちに、私の中の欲望が再燃してしまった。

 もう一度彼の匂いに包まれて眠りたい。

 またもや理性が崩れた私は仮眠をしたいと嘘を言って彼のベッドで寝ることにした。

 彼は何度か私を起こそうとしたが、私は寝たふりを続けた。だって彼が寝静まってくれないと本格的に匂いが嗅げないから。

 私を起こすのを諦めた彼は電気を消して風呂場に行った。数分経ってもシャワーの音が聞こえないので様子を見に行ったところ、浴槽で寝ている彼の姿があった。

 申し訳ない気持ちで一杯になったけれど、私は自分の欲求を満たすため再度彼のベッドで横になった。

 枕。タオルケット。シーツ。すべて彼の匂いが染みついたものだ。

 私はそれらに顔を埋めたり、抱きしめたりなどして彼の匂いを堪能した。

 さすがに彼の部屋で自分を慰めることはしないだろう。

 そう思っていた私だったけど、理性を崩壊させた私は止まらなかった。

 彼にばれないように声を押し殺して自分を慰めた。

 どのくらい続けていたかわからない。指だけじゃ満足できなくなった私は枕を股に挟み、下着越しに秘部を枕に擦りつけた。そして声が出ないようにタオルケットを思いっきり噛んだ。

 彼の部屋で自慰をしてしまっている罪悪感と彼にばれてしまうのではないかという緊張感が私をさらに燃えさせた。

 恐らく寝返りをうってたのかな。時折お風呂場から物音がしたときは心臓が跳ね上がった。それでも私はやめなかった。むしろ物音がする度に性的興奮が高まっていった。

 何度果てたかわからない。気づいたら朝を迎えていた。

 私は彼が起きる前に汚してしまった枕カバーとシーツを洗濯した。本当は私の匂いを染み込ませてそのまま彼に使って貰いたかったんだけど……。汚してしまったので仕方ないよね。

 洗濯機を回す音がうるさかったのか彼が起きてきた。なんで洗濯してるのかと聞かれたけどシャワーを浴びないで寝てしまったからと誤魔化した。ちなみに私の唾液が染み込んだタオルケットは洗濯していない。

 枕カバーとシーツをベランダに干してから彼の部屋を後にした。……若妻気分が味わえて最高だったなぁ……。

 彼の部屋を出てエレベーターに乗り込むとクラスメイトと遭遇した。完全に彼の部屋から朝帰りする女に見られたと思う。いや、実際そうなんだけど……。気が利く子だったので誰にも喋らないよと言ってくれた。私としては言いふらしてもらってもよかったんだけど。

 

 7月20日。16年生きてきた私だけれど人生最良の日が訪れた。

 彼が私に誕生日プレゼントを贈ってくれたのだ。

 可愛らしい箱の中身は置き時計だった。以前彼とデートをしていた時に雑貨屋で私が置き時計が欲しいと呟いたのを覚えていてくれたらしい。

 彼に初めて貰ったプレゼント。

 私は嬉しさのあまり泣いてしまった。

 この時の私は世界一幸せな女の子だったと思う。

 この置き時計は一生大切に使うつもり。

 そして近い将来、目覚ましが鳴った時に彼と手を重ねて一緒に目覚ましを止める日が来ることを願った。

 

 そんな彼との幸せな日々を満喫している私には嫌いな女子が1人だけいる。

 彼女の名前は堀北鈴音さん。彼と同じDクラスに所属する女子で、私の次に彼と仲が良い女の子。

 堀北さんは学年でも1,2位を争う美少女だ。容姿だけでなく学力、運動能力にも優れている。

 彼女を知ったのは入学して1週間が経ったころ。きっかけは彼と一緒に食堂でランチをしているのを見かけたからだ。

 私は急いで彼へ堀北さんについて質問をした。彼女との関係や一緒に食事をした経緯を聞いて私は一安心した。

 その後、図書室で彼女を何度か見かけた。歯に衣着せぬ発言をしてクラスメイトを怒らせてた時はびっくりした。

 暫く彼女をスルーしていた私だけれど、いつの間にか堀北さんは彼と親しい関係になってしまっていた。

 気づいたのは中間テストが終わって2週間くらい経った頃。

 久しぶりに彼のストーキングがしたくなった私は昼休みに彼を尾行した。学校から支給された端末の位置情報サービスのおかげで彼のストーキングがしやすくなったのは有難かった。

 彼は部室棟近くのベンチでお昼を食べていた。……堀北さんと一緒に。

 2人の関係が気になった私は友達付き合いの合間を縫って彼の尾行を続けた。

 彼女は彼と一緒に学校帰りにスーパーによく寄っている。私と違って彼と遊んだりはしないみたいだった。ただ彼に荷物持ちをさせてるのは少し苛立った。

 そして私をもっと苛立たせる出来事があった。なんと彼女が彼にお弁当を作ってきていたのだ。

 私だって彼にお弁当を作ったことがないのに……。

 もし私が彼の好きなアニメやラノベのヒロインなら他の女子と仲良くしている彼に怒りをぶつけるのだろう。でも私はそんなことはしない。だって今の私は彼の彼女じゃない。そんな私に彼を怒る資格なんてない。

 けれど堀北さんには激しく嫉妬した。嫉妬するのに立場や資格など関係ないからね。

 

 それから暫く私は堀北さんを観察した。ストーカー一之瀬帆波の本領発揮だよ!

 彼女を観察してわかったことがいくつかある。一つ目は彼女が彼にしか気を許していないこと。これは彼と彼以外の人間と接する時の彼女の顔を見てすぐにわかった。

 二つ目は堀北さんが尽くすタイプだということ。これは彼に手作り弁当を作ってきてるのを見れば明らかだ。彼が美味しそうにお弁当を食べてるのを見る堀北さんの顔は女の私でも惚れそうなくらい可愛かった。

 三つ目は彼女が自分の気持ちを理解していないことだ。堀北さんは彼に好意を抱いている。でも本人はそれに気づいていない。彼の隣が居心地いい位しか思っていない。噂だと堀北さんは昔から一人ぼっちだったらしい。そのため好きという感情がよくわかっていないんだと思う。

 最後に厄介なのが彼女がどんどん彼に依存していることだ。堀北さんの行動をすべて把握しているわけじゃないので断言はできない。できないけれど明らかに彼と一緒に行動する回数が増えている。櫛田さんに堀北さんについて聞いたところ、何かあると彼の後をついていくことが多いとのことだった。

 依存体質。悪く言えば寄生虫。これが私の堀北さんに対する評価だ。

 私は堀北さんを観察するのをやめた。これ以上観察する必要がなくなったからだ。

 堀北さんは自分の気持ちに気づくのに大分時間がかかるだろう。もし自分の気持ちに気づいたとしてもプライドの高い彼女のことだ。自分から告白はできないんじゃないかな。私はそう判断した。なら彼女は私の敵じゃない。

 そして私は堀北さんを利用することにした。彼女には彼の女慣れするための道具になって貰う。……いい踏み台になって貰うよ堀北さん。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 7月某日。

 今日は愛しの彼とデートの日だ。デートと言ってもケヤキモールなんだけどね。

 

「おはよ」

 

 私は朝起きて必ずすることがある。それは彼の写真に挨拶をすることだ。写真は日替わりで枕元に置くようにしている。ちなみに今日は彼の中学時代の写真だ。金木くんのコスプレをしていた時だね。多分恋愛補正が入ってるからだろうけど、彼は金木君にどことなく似てると思う。だから私は金木くんが好きなんだろうな。アニメで金木くんがヤモリに拷問された時は初めて二次元のキャラに殺意を覚えてしまった。

 

「今日も一日頑張ろうね」

 

 写真に向かってそう言い、私は浴室へ向かう。

 高校に入学してから朝シャンは欠かせなくなった。だって少しでも清潔な状態で彼に会いたいから。

 シャンプーやリンスも高めのものを使用している。彼はわかってないだろうけど、この髪質をキープするのに結構努力をしている。

 シャワーを浴び終え、鏡に映る自分の裸体を見る。幸い私は太る体質ではなかったので体型をキープするのには苦労しなかった。

 苦労しているのは必要以上に大きくなった胸だ。彼好みの大きな胸に育ってくれたのはいいけど、可愛いデザインのブラが少ないので選ぶのに苦労する。

 

 待ち合わせまでまだ1時間はある。やることがなくなったので彼の位置情報を見るために端末を操作する。

 

「まあ、部屋にいるに決まってるよね」

 

 私の予想通り彼は自室にいた。こうして彼の位置情報を見ながら、彼が何をしているのかを想像するのが楽しみだったりする。

 

「あぁ、早く会いたいよぉ……」

 

 そう。夏休みに入ってから彼とは今日初めて会うのだ。と言っても夏休み4日目なので彼と会わない期間は3日間だけだったんだけど。

 それでも今までは土日以外は毎日会っていたので、3日も彼と会わない日が続くのは今回が初めてだった。

 ちなみに私は3日連続でクラスメイトとお買い物したり遊んだりしていた。彼は何していたのかな。今日教えてくれるのかな。

 

「……あ、部屋を出た」

 

 まだ約束の時間まで30分もあるのに彼は待ち合わせ場所に向かったようだ。

 そんなに私とのデート楽しみなのかな。

 私の好きな人が可愛すぎる。なんで君はこうも簡単に私をキュンキュンさせちゃうの?

 

 それから20分ほどしてから私も部屋を後にした。

 もちろん髪型や服装はばっちりだ。

 私の恰好を見て、可愛いと褒めてくれるだろうか。私はそんなことを思いながらエレベーターに乗り込んだ。

 そしてすぐに1階に到着した。

 エレベーターを降り、玄関ホールに向かう。毎日登校でも待ち合わせをしているお馴染みの場所だ。

 愛しの彼は携帯を弄りながらそこに佇んでいる。

 私は駆け足で彼のもとに向かった。

 そして満面の笑みを浮かべて声をかける。

 

「界外くん、お待たせ!」

 

 界外帝人くん。

 私の最愛の人。

 未来の彼氏さん。

 そして未来の旦那さん。

 あぁ、早く彼と結ばれたい……。

 1日でも早く彼が私に告白してくれるよう今日も頑張ろう。

 私と結ばれたらあの世まで離さないから覚悟しておいてね?

 

 帝 人 く ん。

 

 

 





少しマイルドな感じになりました。
次から無人島編です。
次回タイトル「頭が高いぞ」
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