実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。   作:田中スーザンふ美子

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今回も少しエロい描写入ってるのでご注意を


24話 理性は次々死んでいく

 仮設トイレ購入の話を終えた俺たちDクラスは森の中を突き進んでいた。ちなみに池や須藤の一部の男子たちはキャンプ地とスポットを探しに別行動をしている。

 先頭は平田と軽井沢グループ。俺と堀北は後方を歩いていた。後方には他に綾小路、佐倉、長谷部もおり、静かに前方のグループを追っている。

 堀北は時折立ち止まるような仕草を見せては歩き出すのを繰り返している。

 

「大丈夫か?」

「……問題ないわ」

「ならいいんだけど」

 

 問題なさそうに見えないんだけど。……まあ、ベースキャンプ地を決めてから安静にさせればいいか。

 

「それよりこの試験は憂鬱ね」

「島での原始的な生活が嫌なのか?」

「それもあるけど、何より一人じゃないってところがね」

 

 まぁ、団体行動と堀北は縁遠い存在だからな。そういえば長谷部もぼっちなんだよな。見た目はリア充っぽいのに意外だ。

 

「今回は学力以外の能力が問われそうね。それと他のクラスの動向も気になるわ」

「そうだな。とりあえずBクラスとは協力関係が続いているから、色々と情報交換をしたいところだな」

 

 情報交換を理由にして一之瀬と会おう。1週間も一之瀬と会えないなんて発狂しそうだ。

 

「ま、情報交換は俺に任せてくれ」

「その時は私も行くわ」

「え」

「なにか問題でも?」

 

 堀北が少し睨むような目で見てきたので、わかったと答え視線から逃げた。

 ふと振り返ると綾小路と佐倉が仲良くお喋りをしていた。長谷部はその2人に興味はないようでマイペースに歩いている。

 程なくして平田たち一行が立ち止まった。

 

「ここなら日差しも遮れるし、他のクラスの人に話を聞かれる心配もなさそうだね」

 

 平田は話の続きを再開した。

 

「えっと、池くんたちがベースキャンプ地を捜しにいってくれてるけど、僕らも探索するべきだと思う」

 

 それからすぐに志願者を募るも男子2人だけで思ったように人数が集まらない。

 ま、暑いしなるべく動きたくないよな。

 

「この中にサバイバルに精通した人とか……いないかな?」

 

 一縷の望みをかけて平田が聞く。

 しかし現実はそう甘くない。名乗る者は誰もいなかった。

 

「あの、私でよかったら行くよ」

 

 この嫌な空気を払拭すべく、自ら志願したのは櫛田だった。その姿を見て、櫛田狙いの男子たちが次々に志願する。

 結果、12人が集まった。そして3人4チームで15時まで行動することになった。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 探索組がここから離れて10分が経った。

 俺は日陰で腰を下ろして一休みしている。

 

「あなたは行かなくてよかったの?」

 

 隣に座る堀北が聞いてくる。

 

「ああ。何人かは男子も残ってた方がいいだろうし」

 

 居残り組の男子は俺と博士と幸村の3人。博士と幸村は体力を使い果たしたようで、ぐったりしている。

 

「それに堀北も心配だったし」

「え」

 

 さすがに風邪引いてる堀北を置いていけないからね。俺がいないところで倒れたりしたら嫌だし。

 

「……あ、ありがとう」

「おう」

 

 堀北も素直にお礼が言えるようになってきたな。

 堀北と話してると、視線を感じた。

 松下、佐藤、篠原の3人がこちらをにやにやしながら見ている。もうその視線には慣れたぜ。

 20分ほどすると堀北が寝息を立て始めた。俺はそっと堀北から離れる。

 

「博士、生きてるか?」

 

 グロッキー状態の博士に声をかけた。

 

「仙豆が欲しいでござる」

「カリン塔に行って貰ってこい」

 

 どうやら冗談が言えるくらい回復したようだ。

 時計を見ると14時を過ぎた頃だった。

 

「15時までまだ1時間あるし、博士も昼寝したらどうだ?」

「確かに午眠は学校が推奨してたでござるな」

 

 もうそのアニメは終わったよ。それに給食改善も午眠もされなかったよ。

 博士も寝始めたので、俺はその場から離れた。

 誰もいない日陰の場所に行こうとすると、松下たちに手招きをされた。

 

「なんだよ」

 

 俺は素直に松下たちの元に向かい声をかける。

 

「特に。暇だから呼んだだけ」

「おい」

「いいじゃん。時間あるんだしお喋りして待ってようよ」

 

 確かにやることはない。あと1時間も何もしないで過ごすのも苦痛だ。俺は松下の誘いに乗り、腰を下ろした。

 

「ねえねえ、トイレの話の時に池に何を吹き込んだの?」

 

 篠原が身を乗り出して聞いてきた。

 

「私もそれ気になった!」

 

 続けて佐藤が言う。

 

「仮設トイレ購入を支持した方が、女子の好感度が上がると言っただけだ」

 

 俺が答えると、女子3人から「単純」と声があがる。池に限らず男って単純な生き物なんだよ。

 

「そういえば界外くん、平田くんからマニュアル受け取ってたよね」

 

 思い出したように松下が問う。

 

「ああ。見るか?」

「うん」

 

 鞄からマニュアルを取り出し、松下に渡す。

 女子3人は興味深そうにカタログのページを見ている。

 

「色々あるんだね。ウォーターシャワーってなんだろ?」

 

 佐藤が疑問を言う。

 

「わかんない。篠原さん知ってる?」

「ううん。界外くんはわかる?」

「わかる」

 

 よくぞ聞いてくれた。ゆるキャンの影響でキャンプ道具の知識はそれなりにあるのだ。ほとんどグー○ル先生に聞いたんだけどね。

 

「簡易シャワーだ。給水口に水を入れて、コックをオンにするとシャワーヘッドから水が出るんだよ。いいやつだとお湯が出るものもある」

 

 俺が説明を終えると、女子3人が「おおー」と言いながら拍手をし出した。照れるからやめて。

 

「界外くんってこういうの詳しいんだね」

 

 いつの間にか隣に座っている借金ガール軽井沢が言う。軽井沢だけでなく、いつの間にか俺は居残り組の堀北と長谷部以外の女子全員に囲まれていた。

 これがハーレムと言うやつか……。

 だめだ、落ち着かない。ワンサマーは毎日こんな思いをしているのか。けっこう精神的に疲れるなこれ……。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 時刻は15時半。俺たちDクラスは池が見つけた川沿いにあるスポットに移動していた。

 静かに流れる川は幅10メートルほどの立派なものだった。周囲は深い森と砂利道に囲まれているが、この場所は整備されるように開けていた。

 やはり学校側が事前に整備したんだろうな。なら川の水も飲めそうだな。

 俺は周囲を確認するため、綾小路と一緒に川辺を歩きながら森の方へ向かった。

 

「川を利用できるのは俺たちだけみたいだな」

 

 木の立て看板を見て綾小路が言う。

 

「まあ、こうしないと他クラスと揉めそうだもんな」

「揉め事はなるべく避けたいからありがたいな」

「それ皮肉で言ってる?」

 

 船でAクラスと揉めたことを遠まわしに言われてるのだろうか。

 

「違うぞ。考えすぎだ」

「それならいいんだけど」

 

 周辺を軽く見て回った俺たちは、平田たちのもとへ戻った。

 

「ここをベースキャンプにするのは確定として、問題は占有をどうするかだね」

「しないなんて選択肢あるか?」

 

 平田の問いかけに池が反応する。

 

「あるよ。スポットの更新の操作の際に見られてしまう可能性がある。ここは周りが森だから茂みにいたらわからないからね」

「そんなの囲むようにして隠せばいいだろ」

 

 ここは池に賛成だな。川が独占できるのは大きなメリットだ。

 その後、平田が多数の意見を拾い集め、この場所をベースキャンプ地にすることが決まった。

 

「次は誰がリーダーをするかだ。肝心なのはそこだからね」

 

 リーダーか。そんな重役誰もやりたがらないよな……。

 俺もやりたくない。だから俺を突っつくのをやめてくれ松下。

 松下に抵抗していると櫛田が皆に集まるように言い、円を作らせると小声で話し出した。

 

「色々考えてみたんだけど、平田くんや軽井沢さんは嫌でも目立っちゃう。でもリーダーを任せるなら責任感のある人じゃなきゃダメでしょ? その両方を満たしているのは堀北さんだと思うんだけど、どうかな……?」

 

 一斉に堀北にみんなの視線が集中する。いや、堀北も目立つ存在になってると思うんだけど。龍園に宣戦布告されてますしおすし。それに風邪引いてるんだけど。

 俺が心配そうに堀北を見ると、彼女と目が合った。

 数秒見つめ合うと、堀北が口を開いた。

 

「わかったわ。私が引き受ける」

 

 引き受けちゃうのかよ。大丈夫だろうか。

 堀北の言葉を聞いた平田はすぐに茶柱先生に報告をしに行った。

 

「おい」

 

 集団から離れた堀北に声をかける。

 

「なに?」

「リーダー引き受けて大丈夫なのか?」

「問題ないわ。体調だって随分よくなったもの」

「ならいいけど……本当に大丈夫か?」

「し、心配しすぎよ……」

 

 堀北の顔をよく見るとまだ顔が赤い。やはり無理しているのだろうか。

 

「まあ、無理はするなよ。リーダーだからと言って更新の操作以外は仕事増えるわけじゃないんだからな」

「ええ」

 

 引き受けてしまったものは仕方ない。全力で堀北をサポートするだけだ。

 程なくして平田が戻ってきて、堀北にカードを渡した。もちろん誰かに見られてる可能性を考慮し、全員それとない動作で装置に触れて誰がリーダーかわからないようカモフラージュした。

 

「ねえ、平田くん。私たち居残りしてる間に購入したい物を取りまとめたんだけど聞いてくれる?」

 

 篠原が平田に言う。

 

「取りまとめ?」

「うん。界外くんがキャンプ道具に詳しくてね。マニュアル見て必要なものを選んだの」

「そうなんだ。うん、教えてくれるかな」

 

 平田は俺を一瞥し答えた。

 篠原は俺たちで取りまとめたリストを平田に伝えた。ちなみにリストに上げたのはテント、ウォーターシャワー、調理器具、釣竿、食料、調味料だ。

 案の定、ウォーターシャワーについてみんなに質問されたので俺が答えた。篠原、さっき説明したばかりなのにもう忘れたのかよ……。

 

「うん、いいんじゃないかな」

 

 平田が納得するように言う。他の生徒たちも文句はないようだ。ちなみに一番文句が言いそうな幸村に関しては居残りしてる間に説得済である。

 

「それとシャワーを浴びるのを女子は見られたくないと思うから、簡易トイレとセットで渡されたワンタッチ式テントと組み合わせればシャワールーム代わりになる」

 

 補足で説明する。

 

「なるほど。凄い詳しいんだね」

 

 平田が感心するように言う。

 

「キャンプが題材のアニメを見てたからな」

 

 ドヤ顔で言うと、博士が近づいてきて俺に続けて言った。

 

「我々アニオタ勢の知識も中々でござろう。まあ、ゆるキャンではなくがちキャンなのは嫌でござるが……」

「そ、そうだね……」

 

 さすがにこれには平田も苦笑いである。

 

「ただ俺も博士も知識だけだから。後はボーイスカウト経験者の池に任せる」

「え、俺?」

 

 いきなり名前を言われて驚く池。俺は池に近づき耳元で囁く。

 

「後は頼んだ」

「え、でも俺キャンプ経験者なだけでボーイスカウトはやってないんだけど?」

「細かいことはいいんだよ。ボーイスカウトやってたと言った方がみんな言うこと聞いてくれるから」

「そ、それでいいのか……?」

「いいんだよ。それにここでリーダーシップを発揮すれば櫛田の好感度が急上昇するぞ?」

「そ、そうか……。よし、頑張るぜ!」

 

 これ以上自分が頼られないように池のやる気スイッチを押しておく。

 もちろん頼られるのは嬉しいけど、頼られ過ぎると平田みたいに単独行動が出来なくなる。それはさすがに困るので池にバトンタッチしたのだ。池なら道具にも詳しいだろう。

 購入する物が決まり、議題は川の水が飲めるかどうかになった。池が綺麗な水だと説明するも、女子たちはなかなか受け入れなかった。結局、男子たちが川の水を飲んで様子を見ることになった。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 テントとシャワールームの設営を終えた俺は森の中を一人歩いていた。迷子にならないように木の枝を折りながら突き進む。

 目的はほぼ空白の島の地図を埋めるため。もちろん俺一人だけで完成できるとは思っていない。あいつと2人で完成させるつもりだ。

 10分ほど歩くと、とあるクラスのベースキャンプに着いてしまった。

 やべえ、スパイだと思われたらどうしよう。

 とりあえず木に隠れて様子を伺ってると、後ろから気配を感じた。勢いよく振り向くとそこには……

 

「界外くん……?」

 

 愛しの一之瀬の姿があった。

 

「こんなところでどうしたの?」

「いや、一人で探索してたらここに辿り着いて……」

「そうなんだ。危険だから森の中を一人で行動しちゃ駄目だよ。めっ」

 

 一之瀬に怒られてしまった。小さい子を怒るような言い方に頬が緩んでしまう。

 

「……ああ、気をつけるよ」

「むぅ。反省してないでしょ?」

「してるしてる」

「絶対してなーい!」

 

 ああ、一之瀬と一緒にいるだけで癒されるなぁ……。

 このままBクラスのテントで寝泊まりしちゃおうかな。……冗談だけど。

 

「あ、そういえば界外くんってゆるキャン見てたよね?」

 

 急にアニメの話になってしまった。まさか一之瀬もアニメが見れなくてストレスが溜まってるのだろうか。

 

「見てたけど」

「キャンプ道具に詳しかったりする?」

「そこそこ」

「なら教えてほしいものがあるんだけどいいかな?」

 

 どうやらBクラスにはアウトドアに詳しい者がおらず、マニュアルに載っているキャンプ道具で仕様が不明なものが複数あるようだ。

 もちろん一之瀬からのお願いなので秒で了承した。

 俺は一之瀬に導かれ、Bクラスのベースキャンプに足を踏み入れた。

 一之瀬はマニュアルを取ってくる、と言い俺から離れて行った。

 つーか、一之瀬にほいほい着いてきてしまったけど、ここ違うクラスのベースキャンプなんだよな。

 ……凄い見られてる。早く戻ってきてくれ一之瀬!

 

「すまない。力を借りさせてもらう」

 

 アウェイ感を感じてると、神崎が声をかけてきた。

 

「Bクラスとは協力関係だからな。いちいち謝る必要ないぞ」

「そうか。助かる」

 

 神崎は本当に真面目だな。

 少しして一之瀬がマニュアルを持って戻ってきた。

 

「えっと、まずこれなんだけど」

 

 一之瀬はそう言うと、マニュアルを開き俺に該当のページを見せた。

 一発目はDクラスも購入したウォーターシャワーだった。

 俺はウォーターシャワーの仕様とシャワールームの作り方を説明する。

 

「なるほどね。そういうものだったんだ」

「これなら仮設シャワーより断然お得だな」

 

 一之瀬と神崎が納得したように言う。

 5分ほどして、一之瀬からの質問が終了した。

 

「ありがとう。凄い助かったよー」

「一之瀬の言う通りだ。感謝する」

 

 2人から感謝の言葉を頂戴する。

 お役に立てたようで何よりだ。

 

「神崎、ちょっといいか?」

 

 神崎がクラスの男子に呼ばれる。

 

「すまない。呼ばれてしまったので俺は失礼する」

 

 神崎はそう言うと、男子生徒の元に向かっていった。

 

「ねえ、界外くん」

「なんだ?」

「明日以降会える場所と時間を決めない?」

「え」

「私たち、協力関係を結んでるでしょ。だから情報共有しておきたいなって思って」

 

 なるほど、そう言うことか。てっきり一之瀬が俺に会いたいのかと勘違いするところだった。

 

「そうだな。時間と場所は一之瀬に合わせるぞ」

「そう? それじゃ――――――」

 

 一之瀬から時間と場所を指定され、俺は了承した。

 

「人数は多いと目立っちゃうから私と界外くんだけでいいよね?」

「そのことなんだけど……」

「なに?」

「堀北がBクラスと接触する時は自分も連れていけと言っていてな……」

 

 せっかく、一之瀬と二人きりになれるチャンスだったのに……。

 まあ、堀北も風邪引いてるのでそばに置いていた方がいいか。

 

「……そうなんだ。堀北さんがね」

「一之瀬、堀北とあまり絡んだことないだろ。どうする?」

 

 一之瀬と堀北と仲がいい俺だけど、一之瀬と堀北が話してるのを見たことがない。

 須藤の事件で審議の帰りの際に会ってはいるが、堀北が抜け殻だったので会話はなかった。

 さすがの一之瀬も話したことがない子を連れてくるのは嫌だろう。

 

「……うん、いいよ」

「え、いいのか……?」

「うん。前から堀北さんとは話してみたいと思ってたし」

 

 さすが一之瀬。コミュ力の申し子だ。コミュ力の反逆児の堀北と接触してどうなるのか。

 

「そうか。それじゃ明日連れてくる」

「うん。私も神崎くんに付き添ってもらうから」

 

 妥当だな。俺の中で神崎はBクラスのナンバー2のイメージがついてる。あとナンバー2の人って苦労人が多いイメージだ。

 

「それじゃそろそろ帰るよ」

「うん。見送りだけさせて」

 

 一之瀬はそう言い、先ほど出会った場所までついて来た。

 木の枝を折っておいてよかった。これでお互い迷わずに相手のベースキャンプに行けるだろう。

 

「……あれ?」

 

 何かに気づいたように言う一之瀬。

 

「界外くん、指から血が出てるよ?」

「血?」

 

 一之瀬に言われ確認してみると、右手の人差し指から血が流れていた。恐らく枝を折った際に切ったのだろう。

 

「指を切ったみたいだな」

「ちょっと貸して」

「ん?」

 

 いきなり一之瀬に右手首を掴まれてしまった。

 

「消毒してあげるから指伸ばして」

 

 俺は言われるがままに人差し指を伸ばす。一之瀬は消毒液を携帯してるのか。さすが学級委員長だ。

 そう感心した直後、指先に衝撃が走った。

 

「はむっ」

 

 一之瀬が俺の指をくわえたのだ。そして指をしゃぶりだした。

 

「んぶぅ、んっ……」

 

 あまりの出来事に俺は指をしゃぶる彼女を茫然と見つめることしか出来ない。

 消毒すると言われて、まさか指をしゃぶられるとは思わなかった。

 一生懸命消毒してくれてる一之瀬。

 あろうことか俺はそんな彼女を見て、なんてエロい顔をしてるのだろうと思ってしまった。

 目を瞑って消毒している一之瀬だが、時折目を開けて俺のことを見てくる。その表情がとてつもなくエロいのだ。

 

「んぐっ……!?」

 

 そんな一之瀬を眺めてると急に彼女の目が見開いた。

 驚いたような表情で俺を見つめる。急にどうしたんだろうか。

 つーか、指を奥までくわえすぎじゃないか。いつの間にか俺の人差し指は根元まで一之瀬の口内に包まれていた。

 奥までくわえてるせいだろう。一之瀬が苦しそうな表情をしている。

 だが一之瀬はそのまま俺の指をしゃぶり続ける。

 じゅぼじゅぼといやらしい音が響く度に、俺の理性が次々死んでいくのがわかる。

 やばい。こんなことをされ続けたら理性に定評がある俺でも堕ちてしまう。

 

「ぷはぁっ……」

 

 直後、俺の指が一之瀬の口から解放された。

 危なかった。もう少し続けられてたら……。

 

「けほっ、ごほっ」

 

 軽く咳き込む一之瀬。咳き込むくらいなら奥までくわえなければよかったのに。

 

「……なにしてんの?」

 

 平常心を取り戻した俺は一之瀬に問う。

 

「えっと、まだ綺麗な水がないから。だから舐めて消毒しようかなって……」

 

 目を逸らしながら答える一之瀬。息遣いが荒くなってる。

 

「い、嫌だった……?」

 

 不安そうに俺を見つめてくる。

 嫌なわけない。ただ俺の理性が崩れるのが怖かっただけだ。

 

「いや。いきなりされたから驚いただけだ」

「そ、そうだよね……。いきなりされたらびっくりするよね……」

「あ、ああ……」

「次は前もって言っておくね」

 

 次ってまた指切ったらしゃぶってくれるのだろうか。なら毎日指を切らなくては。

 一之瀬が消毒してくれた人差し指を見る。そこには彼女の唾液がびっしり付着している。

 やばい。また興奮してきた……。

 

「それじゃクラスに帰るよ。また明日な」

「うん、また明日」

 

 理性が崩壊する前に一之瀬に別れを告げ、Dクラスのベースキャンプに向かった。

 道中、何度も俺の指をしゃぶる一之瀬の顔を思い浮かべてしまった。

 あんなエロい表情の一之瀬を見るのは初めてだった。

 それより俺は何で一之瀬が苦しそうな表情をしたのに指を抜かなかったんだろう……。

 一之瀬の苦しんでる表情を見続けたかったのだろうか。

 いや、違う。俺はそんな歪んだ性癖は持ち合わせていない。きっとあまりの出来事に固まって動けなかっただけだ。

 自分にそう言い聞かせ、ふらふらしながら歩き続けた。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 Dクラスのベースキャンプに帰る彼の背中を私は眺めている。

 本当はもう少し一緒にいたかったけど時間も時間だし仕方ないよね。

 

「それにまた明日会えるもんね」

 

 声に出し自分に言い聞かす。

 試験が始まった直後は1週間も彼と会えなくなってしまうのかと不安になったけど、そんなことはなかった。

 試験初日から偶然出くわすなんて……。やはり私と彼は運命の赤い糸で結ばれてるんだ。

 

「早く明日にならないかなぁ」

 

 明日が待ち遠しい。早く彼と会いたい。会いたいけど……

 

「堀北さんって本当に寄生虫なんだね」

 

 本当は二人きりで会いたかったのに。まあ、この団体生活じゃ彼に寄生しないと彼女は生きていけないんだろうね。

 そんなことより今日は初日から攻め過ぎたかもしれない。

 彼の指が切れてるのは初めから知っていた。ただ二人きりになれる場所じゃないとあんなこと出来なかったので帰る間際に指摘した。

 消毒と言う名目で彼の指をしゃぶった。しゃぶっただけじゃない。彼に見えないことをいいことに舌で舐めまわしたりもした。

 この指しゃぶりも以前から彼にしたいと思ってたものの一つだ。

 ネットで調べたけど、男性は自分の指を舐めさせる事で興奮を覚えるらしい。理由は顔や舌の動きがエロいからだけでなく、擬似○ェラをさせている気分になるようだ。もちろん恋人でもないのに○ェラするのはありえない。だからそれに近い気分を味わって貰おうとしたのだ。

 なので私は頑張ってエッチな顔をして彼に奉仕した。消毒も奉仕の一つだもん。

 効果は抜群だった。

 彼は今までで一番顔を赤くして照れていた。理性も崩壊寸前だったんじゃないかな。

 だって彼……私の喉奥まで指を突っ込んだからね。

 あの時は凄い驚いた。とうとう彼もその気になってくれたのかと思った。

 けど違った。彼の顔を見てすぐにわかった。彼は無意識にやっていたのだ。無意識にそれをするなんて彼って実はドSなんじゃないかな。

 私は苦しいのを我慢して、しゃぶり続けた。

 ともかく、彼の新しい一面も見れて私は大満足だった。後は彼が私をおかずに使ってくれたら文句なし。他の子に欲情しちゃ駄目なんだから。

 そんな彼におかずを提供した私だけど、実は彼からもおかずを提供されている。

 そのせいで私の体が疼いている、

 彼から提供されたおかずを飲み込んだからだ。

 おかず。……それは彼の血液。

 最初は興味本位で飲み込んだだけだった。でも私の体内に彼の血液が流れ込んでくると思うと体が疼いていくのがわかった。

 やばい、私どんどん変態になってる……。

 彼のせいだ。

 彼のせいで私はどんどん壊れていってる。

 でもそれでいい。

 ううん。それがいい。

 彼に壊されていく私。

 もっと私を壊してほしい。

 そして壊れた私を受け止めてほしい。

 受け止めてくれるなら乱暴でも優しくてもどっちでもいいから。

 だから早く私を君のものにしてよ。

 待ってるからね。

 

「……それよりこの疼いた体、どう処理しよっかなぁ……」





おかしいな。なんでこんな変態になっちゃったんだろう
最近読んでるラノベのヒロインが変態が多いからかな……
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