実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。   作:田中スーザンふ美子

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お盆休みでラノベ10冊以上読みました
一気に消化出来てよかったです


25話 萌え袖女子

「地図、全然埋められてない……」

 

 一之瀬に骨抜きにされた俺は肝心な目的をすっかり忘れていた。

 時計を見ると時刻は16時半を過ぎた頃だった。

 陽が落ちるまで多少時間はある。もう少し探索してからベースキャンプに戻るとするか。

 俺は進路方向を変え、森の中を歩き続けた。

 10分ほど歩くと、なんとスイカ畑に辿り着いた。

 スイカを用意してくれるとは、学校もいいところがあるじゃないか。

 

「とりあえず2玉収穫するか」

 

 スイカを見つけたことだし、地図を埋めるのは明日頑張ればいいだろう。

 それと一之瀬にもこの場所を教えてあげよう。見た感じ沢山あるからBクラスと分け合えても問題ないだろう。

 俺はスイカを両腕で抱えながら、ベースキャンプに戻っていった。

 

 ベースキャンプに戻ると多くのクラスメイトが俺に群がってきた。

 お目当てはもちろん両腕に抱えたスイカだ。

 

「スイカだ! 凄いじゃん!」

 

 佐藤が興奮気味に言う。

 

「どこで見つけたの?」

「森の中にスイカ畑があった。まだ大量にあるから明日以降も食べれると思うぞ」

 

 松下の質問に丁寧に答える。

 

「とりあえず川で冷やしてくるよ。綾小路、1玉持ってくれないか?」

「ああ」

 

 俺は遠目にいる綾小路にお願いをした。

 2人で川辺を歩く。ちょうど流されないような場所を見つけスイカを川に漬けた。

 

「まさかスイカを持ってくるとはな」

 

 綾小路が感心したように言う。

 

「おかげで地図は全然埋まってないけどな」

「まだ初日だ。明日以降埋めていけば問題ないだろう」

「だな」

「それより山内が厄介な人物を連れてきてしまった」

「厄介な人物?」

 

 一体誰だろうか。しかも山内が連れてきたのかよ。

 

「Cクラスの伊吹って女子だ」

「なんでCクラスの女子を?」

「クラスで揉めて追い出されたようだ。顔には殴られた跡もあった」

 

 なにそれ怖い。最近の女子って殴り合いの喧嘩をするのか。

 まさか男子に殴られたってことはないよね……。

 

「ちなみにスパイの可能性は?」

「さぁな。ただ一つ気になることがあってな」

 

 綾小路が意味深げに言う。

 

「今日はもう遅い。明日付き合ってくれないか」

「わかった」

 

 綾小路のことだ。何か証拠に近いものでも見つけたのだろうか。

 まあ、伊吹が仮にスパイだとしても俺と綾小路がいれば何とかあるだろう。

 綾小路清隆。

 俺の相棒の名前だ。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 あれは夏休み2日目のことだった。

 俺は自室で綾小路と夏目友人帳を鑑賞していた。

 綾小路は相変わらずクールな表情で見ている。表情には出てないが面白いと思ってくれてると思う。じゃなきゃ3時間も見続けないだろう。

 

『界外。真面目な話をしていいか?』

 

 俺がディスクを替えようとしたタイミングで綾小路がややかしこまった口調で聞いてきた。

 

『いいけど』

『実は本格的にAクラスを目指さないといけなくなってしまった』

 

 というと、今まではそこまでAクラスを目指していなかったということか。

 それは俺も同じなので別に責める気はない。

 

『事情が変わったということか?』

『そうだ』

 

 綾小路ははっきりと答えた。

 

『詳しい内容は聞かない方がいいか?』

『その方が助かる』

 

 少々気になるが本人が望んでいないのならば聞かないでおこう。

 しかし、綾小路はなぜこのタイミングで俺に話したのだろうか。

 

『それでお前に頼みがある』

『俺に頼み?』

『ああ。お前にしか頼めないことだ』

 

 その言い方はずるい。そんなこと言われたら嬉しくなっちゃうだろ。

 

『頼みって?』

『次の試験からオレは本気を出すことにした。ただオレは目立つのが嫌いだ』

『……俺に隠れ蓑になってほしいってことか?』

『そうだ。よくわかったな』

 

 監視カメラの件からなんとなくわかってたよ。

 綾小路は暗躍したいタイプなんだって。

 それより俺を指名してくれたのは嬉しいけど理由を聞いておくとするか。

 

『それでなんで俺なんだ?』

『それはお前がDクラスで一番優秀だからだ』

 

 おぉ、ストレートに褒められちゃったよ……。

 

『学力、運動能力は申し分ない。少し抜けてるところがあるが頭も切れる方だ』

 

 少し抜けてて悪かったな。

 

『そしてオレが一番評価したのは度胸だ』

『度胸?』

『ああ。佐倉のストーカーと対峙した時、相手が刃物を向けたのにも関わらず突っ込んでいっただろ』

 

 懐かしいな。あの時は一之瀬を泣かしてしまったので反省してるんだよ。

 

『あんなこと普通の人間には無理だ』

 

 いやいや、あれくらいで普通のカテゴリから外されたら困るんだけど。上条さんだって普通の男子高校生なんだぞ。

 

『あれは以前に銃を向けられたことがあったから。ナイフ程度じゃ怖がらなくなっただけだ』

『銃だと?』

 

 綾小路が少し目を見開きながら問う。

 

『ああ。ハワイの射撃場で薬物中毒の男が乱入してきて。……あの時は怖かったぞ……』

 

 あれ以来海外に行ってないんだよな。あの薬物中毒野郎め。お前のせいでトラウマになったんだぞ。

 

『なぜハワイの射撃場に?』

『工藤新一が行ってたから俺も行きたくなって親に頼んだ』

『工藤新一?』

 

 おいおい、まさか工藤新一も知らないのかよ。どうやら綾小路は一般常識が大分欠けてるようだ。

 

『まあ、漫画のキャラだよ』

『そ、そうか……』

 

 あれ、若干引かれてるような……。でも工藤新一に憧れてる男子って結構いると思うんだよな。

 

『まあ、いい。理由はどうであれオレはお前の度胸を一番評価した。……いや、違うな。一番評価したのは料理だな』

『おい』

『お前の料理は絶品だ。弁当もそうだったが昼に頂いた料理も最高だった』

 

 褒めてくれるのは嬉しいけど、ここで言う必要ある?

 

『それに口も堅い方だ。なのでオレはお前を信用することにした』

『ど、どうも……』

 

 ストレートに言われると照れるな……。

 人から信用するなんて言われたの初めてだぞ。こんな時どんな顔すればいいかわからないの。

 

『だからオレに協力してくれないか?』

 

 綾小路が俺を見据えて言う。

 

『……わかった。協力してやるよ』

『助かる』

『違うぞ、綾小路。こういう時はありがとうって言うんだよ』

 

 協力ついでに綾小路は若干ずれてるところがあるのでそこを直していこう。

 

『ありがとう。これでいいのか?』

『ああ。それと確認なんだけど……』

『なんだ?』

『えっと、つまり、俺はお前の相棒で、お前は俺の相棒ということでいいんだろうか?』

 

 恐る恐る聞いてみた。綾小路は考え込んでるようだ。

 そしてゆっくり口を開いた。

 

『そうだな。そういうことになるな』

 

 綾小路の答えを聞いた瞬間、俺は歓喜した。

 長く部活動に励んでいた俺だけど相棒がいたことはなかった。……いや、サッカーをしていた時はいたか。でもあれは10年近く前だからな。

 ともかく俺はずっと相棒が欲しかったのだ。

 影山にとっての日向。ユージオにとってのキリト。岬くんにとっての翼。

 綾小路ならきっと俺を活かせてくれるだろう。

 

『それじゃ改めてよろしく頼む』

 

 俺は久しぶりに出来た相棒へ握手を求める。

 

『ああ』

 

 綾小路は俺の手を力強く握った。

 こうして俺と綾小路は協力関係を結ぶことになったのだ。

 とりあえず俺は綾小路が暗躍しやすいよう、自分の存在をアピールすることにした。

 船上でのAクラスへの挑発もその為だ。

 ちなみに堀北には話していない。綾小路から堀北には黙っていて欲しいとのことだった。

 観察力に優れた堀北のことなので、いずれ気づくかもしれないけどね。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 時刻は18時を回った。

 俺は須藤たちが釣り上げたニジマスを調理している。

 今日のメニューはニジマスのムニエルだ。

 正直、調理器具や調味料の少なさに不満はあるが仕方ない。この悪条件でも美味しい料理を提供するのが料理人ってものだ。

 

「界外くんって料理上手なんだね」

 

 隣に立つ補助の櫛田が俺の腕前に感心しているようだ。

 

「料理好きだからな。櫛田も自炊してるんだろ?」

「うん。でも界外くんには敵わないかな」

 

 当たり前だろ。こちとら第一席だ。そこら辺のJKには負けない。

 しかし、今日は櫛田に話しかけられる回数が多いな。補助役も自ら立候補してたし。

 

「そういえば池くんを説得してる時に私の方を見てたよね? あれ何だったのかな?」

 

 なるほど。それが聞きたくて補助役に立候補したのか。

 ここは素直にお前を餌にして池のやる気を出させたと言った方がいいのだろうか。

 いや、ここは誤魔化しておこう。爆弾を抱えてる櫛田に素直に話すのは得策じゃない。

 

「えっと、櫛田は可愛いなって2人で盛り上がってたんだよ」

「え」

「クラスで一番可愛いのは誰だって話になってな。それで櫛田を2人で見ていたわけだ」

 

 思いっきり嘘である。でも本人が褒められる話であれば悪い気はしないはず。これ以上突っ込まれることはないだろう。

 

「な、なんであのタイミングでそんな話をしていたのか疑問だけど、その、ありがとう……」

 

 櫛田が顔を赤くして礼を言う。

 堀北や綾小路から櫛田のことを聞いていなければ、素直に心をキュンキュンさせていただろうな。

 

「それで界外くんも私が一番可愛いと思ってるのかな?」

 

 正直どうなんだろう。以前、一之瀬にDクラスで一番可愛いのは堀北と言ったことがある。

 今も堀北がDクラスで一番だと俺は思ってる。だが櫛田の顔をしっかり見たことがないんだよな。

 俺は櫛田の顔をまじまじと見る。

 こうあらためて見るとなるほど。確かに非常に整った顔をしている。表面だけ見れば櫛田は紛れもなく美少女と言えるな。

 

「え、あの、その……」

 

 しまった。調子に乗って見すぎた。

 気づいたら櫛田の顔がゆでだこ状態になってる。

 

「……悪い」

「う、ううん! それでどうかな……?」

 

 とりあえず堀北と同じくらい美少女なのは間違いない。なので……

 

「そうだな。櫛田が一番だな」

「……っ」

 

 もちろん堀北と櫛田以外にもDクラスには美少女が沢山いる。やはりこの学校は顔で選んでるだろ。

 

「それよりそろそろ調理を再開するか。櫛田、サラダ油を取ってくれ」

「は、はい……」

 

 なんで敬語なんだ。照れてるのだろうか。櫛田なら可愛いなんて言われ慣れてるだろうに。

 まさか照れてる演技か? だとしたら恐ろしい子だぜ櫛田。俺以外の男子なら簡単に虜になっていただろう。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 調理を終えた俺はみんなと少し離れたところで夕食を食べている。

 今日のメニューはポイントで購入した栄養食、ニジマスのムニエル、クロマメノキ、アケビ、デザートのスイカだ。この調子なら明日以降は栄養食を購入しなくても食べていけるかもしれない。

 夕食をつまみながら今日の出来事を振り返る。いや、出来事と言っても一之瀬の指しゃぶりが強烈すぎてそれしか思い出せない。

 あれは本当にやばかった。女の子に指をしゃぶられただけであんな興奮するものなのだろうか。

 

「隣いいかな?」

 

 体が悶々としてきたところで平田が声をかけてきた。

 

「ああ」

「それじゃ」

 

 平田はそう言いながら俺の隣に腰を下ろす。

 

「今日はありがとう」

「え」

「界外くんのおかげでここまで順調にこれたよ」

 

 なんて爽やかな笑顔でお礼を言いやがる。綾小路の棒読みすぎるお礼とは大違いだ。

 

「いや、俺だけの力じゃないけどな」

 

 須藤と池の活躍も大きいだろう。3馬鹿のうち2人は活躍してるのに面倒事を持ち込んだ山内ぇ……。

 

「それより平田は伊吹のことどう思う?」

「伊吹さん?」

「ああ。平田もスパイであることを疑っているんだろ?」

 

 伊吹を受け入れることを決めた平田だが、完全に彼女の話を信用しているわけじゃないだろう。

 

「その可能性は否めない。ただ女子一人で野宿させるわけにはいかないからね」

 

 確かにその通りだ。いくらスパイの可能性があるからと言って、ここから追い出すのは心苦しいだろう。

 

「とりあえず堀北と松下あたりに注意するよう伝えておくよ」

 

 全員に注意を促しても変な雰囲気になるだけだ。この2人なら問題ないだろう。

 

「ありがとう。僕も軽井沢さんに言っておくよ」

 

 軽井沢か。居残りしてる間にやたらボディタッチが多かったな。彼氏がいるのにあれでいいのだろうか。いや、一之瀬はもっと凄いことしてくるのを考えるとあれくらい普通なのだろうか。……そうだ。平田にあの件について相談してみよう。

 

「平田、相談があるんだが聞いてくれるか……?」

「もちろんだよ。界外くんから相談だなんて珍しいね」

 

 珍しいどころか初めてじゃないだろうか。

 

「彼女持ちのお前にしか聞けないことなんだ」

「なにかな?」

「実は今日一之瀬に(指を)しゃぶられたんだけど……」

「え」

 

 平田は驚いたような声をあげた。

 

「し、しゃぶられた……?」

「ああ」

「ち、ちなみにどこでされたのかな……?」

「森の中で」

「森の中っ!?」

 

 何だろう。俺が答えるたびに平田がリアクションをとってくれてるんだけど。……平田ってこんなキャラだったけ?

 

「いきなり(指を)くわえられてな。そのまましゃぶられたんだ。根元までしっかりと」

「い、一之瀬さんからしたんだ……」

「ああ。急にされたからびっくりしたよ」

「それはびっくりするよね。……界外くんは一之瀬さんと付き合ってるのかな?」

「残念ながら付き合ってないんだ」

 

 本当は早く付き合いたいんだけどね。告白して振られるのが怖いんだよね。

 

「付き合ってもないのにそんなことを……っ!?」

「やっぱり付き合ってないとおかしいことなのか?」

「そ、そうだね。……ちなみに今回が初めてなのかな?」

「ああ。またしてくれるみたいなこと言ってたけど」

「え」

 

 今度は固まってしまった。平田ってこんな面白い奴だったのか。

 

「つ、つまり、それって、せ、セフ……」

「セフ……?」

 

 セフって何だろうか。俺が知らないリア充語か何かか。

 

「い、いや、何でもないよ。……一之瀬さんってそんなエッチな子だったんだ」

 

 平田が何か呟いたようだが聞き取れなかった。

 

「それより僕に相談したいことってなにかな?」

「あー、平田も軽井沢に(指を)しゃぶられたことあるのかなと思ってな」

「……」

「もしあるのならどんな気持ちになったのかと思って」

 

 数秒経っても反応がないので平田の顔を覗いてみると顔が真っ赤になっていた。

 

「あ、いや、僕と軽井沢さんはピュアな関係で……」

 

 俺が数秒見つめると答えが返ってきた。

 平田、その言い方だと俺と一之瀬の関係がピュアじゃないと言ってるようなもんだぞ。

 

「だから僕はされたことはないかな」

「……そうか。変なこと聞いて悪かったな」

「いや。ちなみにこのことは僕以外に相談はしない方がいいと思うよ」

「ああ。元から平田以外に相談しようとは思ってない」

 

 うちのクラスの男子で彼女持ちと親しい女子がいるのは平田と綾小路だけだからね。ちなみに綾小路に相談しても参考にならなさそうなので彼に聞くつもりはない。

 

「ならよかったよ。……えっと、他の人に見られないように気をつけてね?」

「……わかった」

 

 平田は俺に忠告をすると、顔を赤くしたまま去っていった。

 食事を済ませ、点呼の夜8時まで何して時間を潰そうか考えてると堀北がやって来た。

 

「隣座ってもいい?」

「ああ」

 

 俺がそう答えると、堀北はゆっくりと腰を下ろす。

 シャワーを浴びたのか、若干髪が濡れている。

 

「あなたの作ったニジマスのムニエルだったかしら? 美味しかったわ」

「お粗末!」

「は?」

 

 やっぱり堀北には通じないか。

 何言ってんだこいつみたいな顔をしてるよ……。

 

「なんでもないです」

「そう。……ねえ」

「ん?」

「いつも私が作ってばかりで不公平だとは思わない?」

 

 恐らく料理のことを言ってるのだろう。

 遠まわしに俺の料理が食べたいと言いたいのかな。

 

「俺の手料理食べたいのか?」

「そ、そこまでは言ってないわ。ただ私ばかり作るのはどうかと思うのだけれど」

「そうか。でも俺は自分の料理を食べたいと思わない人に作る気はないんだよ」

「そ、それは……」

 

 少し堀北を困らせてみた。

 料理のことくらい素直に言ってほしい。食べたいと言ってくれればいつでも振る舞うのに。

 

「……そうね。ここで意地を張っても仕方ないわね。私はあなたの手料理が食べたい。これでいい?」

 

 ここまでストレートに言ってくれるとは。第二席にここまで言われちゃ作るしかないな。

 

「ああ。次の勉強会の日は俺が夕食を作るよ」

「約束よ」

「あいよ」

 

 俺がそう返事をすると堀北は満足そうな表情を浮かべた。

 

「そういえば櫛田さんと随分楽しそうに調理してたわね」

 

 表情を一変させ、ジト目で睨んできた。

 

「見てたのかよ……」

「何を話してたの?」

「他愛もないことだよ。俺が料理上手だって煽ててくれたんだよ」

「……そう。その割には長い間喋ってたようだけど」

 

 どんだけ俺と櫛田のこと見てたんだよ。

 

「それに彼女照れていた様子だったわ。何か変なこと言ったんじゃないのかしら?」

「言ってない。そもそも堀北に中学の時の話を聞かされてから警戒心MAXでそれ所じゃなかった」

「……ならいいけれど」

 

 どうやら堀北は俺のことを心配してくれてるようだ。まったく過保護だな。

 

「それより体調はどうだ?」

「少し寒気はするわね。……だからもう少し上着借りてていい?」

 

 上目遣いで聞いてくる堀北。

 そんな堀北は俺の上着を着ているので袖が手の甲まで覆っており、袖から覗くその華奢で儚い細い指を見ると余計可愛く見える。これが萌え袖女子ってやつか。破壊力がやばいな。

 それになんだか堀北を守ってあげなきゃいけないという気持ちに駆られる。

 

「いいよ。何なら試験終わるまで着てていいぞ」

「ありがとう」

「……そうだ、堀北に大切なことを言うの忘れてた」

「なに?」

 

 俺は堀北にBクラスと情報交換するための時間と場所を説明した。

 また面子が俺と堀北と一之瀬と神崎であることも合わせて伝えた。

 続けてCクラスの伊吹を警戒するようお願いをした。まあ、堀北なら言わなくてもわかってるだろうけど。

 

「伊吹さんね。あなたはどう思う?」

「今のところ何とも。とりあえずお前がリーダーであることは絶対悟られるなよ」

「わかってるわよ」

 

 堀北とそうこう話してるうちに点呼の時間を迎えた。

 何だか一人足りないような気がするんだけど……。

 

「お前たちに報告することがある。高円寺が体調不良でリタイアした」

 

 茶柱先生がそう言うと、怒号が飛び交った。

 高円寺のことなので恐らく仮病だろう。まったく本当に体調が悪い堀北が頑張ってるというのに。

 こうして俺たちは生徒一人のリタイアにより30ポイントを失ってしまった。

 




オリ主が綾小路の胃袋を掴みました
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