実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。 作:田中スーザンふ美子
翌日の放課後。
ラノベの新刊を入手するため、俺は本屋に足を運んでいた。あまりポイントを使用したくないがラノベは小説と違い図書室に置いていないので、こうして購入するしかない。
ちなみに一之瀬との娯楽費も必要経費だ。
それより今日は一段と池と山内の質問攻めがうざかった。しかもその2人だけでなく女子からも質問された。
どうやら昨日の一之瀬との放課後デートを一部の生徒に見られてしまったようだ。
まあ、質問してきた女子3人の名前を覚えられたからよかったけど。
ちなみに名前は松下、佐藤、篠原だ。見た目は怖そうだったけど、話してみると意外に気さくな人たちだった。
本屋での買い物を済ませて、寮までの帰り道を歩いていると、両サイドお団子ヘアーの女子がうずくまっているのを見つけた。
普段なら声をかけるのに躊躇するが、気分がよかった俺は迷わず声をかけた。
「あの、大丈夫ですか?」
「は、はい。ちょっと足を挫いてしまって……」
「よかったら病院か保健室まで連れて行きましょうか?」
「い、いえ。さすがにそれは……」
申し訳なさそうな声を発しながら、お団子ヘアーの女子が振り返り、俺と目が合う。
またしても美少女だった。この学校は顔で女子を選んでるに違いない。
それより大分痛そうだ。ひと目で痛みを我慢しているのがわかる。
「でも寮まで遠いし、連れて行きますよ。ここで会ったのも何かの縁でしょうし」
「……それじゃ保健室までお願いできますか」
「はい。それじゃどうぞ」
「すみません」
お団子ヘアーの女子に肩を貸し、ゆっくりと保健室に向かい歩く。
本当はお姫様だっこやおんぶの方が負担が少ないんだろうけど、俺にはそれを実行する勇気がなかった。
まあ、女子の方も初対面の男子にお姫様だっこなどされたくないだろ。
ただ肩を貸すのも一つ問題があった。
胸が腕に当たってる! ヤバイ! 柔らかい! 右腕に全神経が集中してしまう!
落ち着け、俺。
Be Cool……フラットに行こうじゃないか。
よし、とりあえず自己紹介でもしておこう。
「えっと、俺の名前は界外帝人です。1-Dに所属してます」
「君が界外くんですか!?」
自分の名前を告げたところ、お団子ヘアーの女子が驚嘆している。
俺のこと知ってるのか。
「俺のこと知ってるんですか?」
「はい。入試の主席合格者なので」
「俺、主席だったんですか?」
「え、知らなかったんですか?」
「はい。担任からも何も聞かされてないです」
「そ、そうなんですか。あ、私は3-Aの橘茜です」
やはり先輩だったか。スクールバッグが少し年季が入ってたからな。
それよりなんで俺の入試の成績を知っているんだろうか。
「先輩でしたか。それじゃ橘先輩って呼ばせてもらいますね」
「はい」
「それで橘先輩。なんで俺が入試の主席合格者だって知ってるんですか?」
「それは私が生徒会の役員だからです」
「生徒会ですか?」
「はい。ちなみに書記を任されています」
生徒会役員だったのか。入試の情報って教師陣しか把握していないイメージだったけど、この学校は違うのか。
その後、雑談をしつつ10分ほど歩き、保健室に到着した。
「誰もいないですね」
「そうですね……」
保健室に到着したものの、肝心の養護教諭がいなかった。
室内にある衛生品を勝手に使っていいのかどうか。
「橘先輩。保健室にあるものって勝手に使用しても問題ありませんか?」
「は、はい。使用目的があれば問題はありませんけど……」
「それじゃ俺が処置しますね」
「え」
「安心して下さい。スポーツ経験者なので、応急処置も習ってるんですよ」
「そ、そうなんですか。それじゃお願いします」
俺は素早く応急処置を行った。
橘先輩の靴下を脱がす際に、少し興奮してしまったのは秘密である。
現在はアイシングで患部を冷却している。
「どうです?」
「はい。少し感覚がなくなってきました」
「そうですか。これで痛みは治まると思います」
「ありがとうございます」
「いえ。あくまで応急処置なので、腫れが引かない場合は病院に行ってくださいね」
「はい。わかりました」
さてどうするか。やはり養護教諭が来るまで待った方がいいんだろうか。
怪我をしてる女子を置いていくのもしのびないし。
俺が色々考えていると、橘先輩が声をかけてきた。
「界外くんに大変お世話になっちゃいましたね」
「い、いえ」
「何かお礼させてください」
「お礼ですか……」
お礼か。律儀な先輩だなあ。
橘先輩のおかげで、お団子ヘアー=アホの娘、というイメージが覆ったよ。
生徒会役員だし成績もいいんだろうなあ。それに学校事情にも詳しいだろうし。
……よし。決めた。
「それじゃ……連絡先を交換してもらえませんか?」
「連絡先ですか?」
「はい。実はこの学校のことよくわかってなくて……色々と教えてほしいんです」
「なるほど……」
あれ、駄目か。確かに初対面の男子に連絡先を聞かれたら警戒するよな。
これがアホの娘ならすぐにOK貰えるんだろうけど。
せっかく勇気を出して聞いたのに……。
よし。ならばこの技を使おう。
「えっと、先輩は生徒会役員ですし、なんか頼りになりそうだったので」
「わ、私がですか?」
「はい。知り合いの先輩もいないですし、橘先輩にしか頼めないかなって」
「……いいでしょう。私が色々と教えてあげます!」
やった。入須先輩が、『わたし、気になります』の人に伝授していた方法で上手くいった。
やっぱり人は、他人から頼られると嬉しいものなんだな。
てか、この先輩、動作もいちいち可愛いな。強く胸を叩きすぎたのか、咳き込んでるし。
「ありがとうございます」
「でも校則上教えられないこともあるのでそこは勘弁して下さいね?」
「もちろんです」
こうして俺は橘先輩という貴重なコネクションを手に入れた。
橘先輩に学校のことを色々と教えてもらい情報を手を入れていこう。
きっと大きな武器になるはずだ。
ちなみにその日の夜は、橘先輩の胸の感触、靴下を脱がした際の背徳感を思い出し、悶々としてなかなか寝れなかった。
東京喰種の月山と高円寺は気が合いそう