実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。   作:田中スーザンふ美子

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原作4巻分完結です!
感想少ないとやらかしてしまったのかと不安になっちゃう……


38話 特別試験終了

 試験最終日に突入した。と言っても俺のグループは2日目で試験が終了しているので3日目以降とやることは特に変わらない。

 それより残り3つのグループの試験終了の通知が届いていない。龍園のことだから日付が変わる0時に最低2つのグループの試験を終了させると思ったんだけどな……。

 

「最後までやらせるつもりなのか。それともやる気がなくなったのか」

 

 俺の予想が正しければ龍園はDクラスの優待者の情報を得ているはずだ。なので試験を終了させることは出来るはず。

 

「……ま、考えても仕方がないか。シャワーでも浴びよう」

 

 その後、シャワーを浴び終えた俺は制服に着替え、ビュッフェレストランに向かった。

 

「おはよう、界外くん!」

「おはよう」

 

 レストランに着くと、一之瀬が挨拶をしてきた。

 今日も一之瀬と一緒に朝食をとることになっている。

 お皿に適当に料理をよそい、空いてる席に座る。

 

「やっと試験最終日だね」

 

 パンをかじりながら一之瀬が言う。

 

「ああ。あっという間の2週間だった」

「私もあっという間に感じだよ。多分楽しかったからかな」

 

 だろうね。楽しいと何で時間を早く感じるんだろうか。

 

「界外くんも楽しかった?」

「楽しかったぞ」

 

 一之瀬と一緒に過ごす時間が多かったからね。

 

「またこういう旅行があるといいね」

「なるべく試験なしでな」

 

 あってもいいけど、他クラスと交流できる試験でお願いします。

 

「にゃはは。この学校にそういうのは期待しちゃ駄目だよー」

「だよな」

「それに旅行なら……卒業したら二人で行こうよ」

「え」

「……駄目かな?」

「全然駄目じゃない」

 

 まさかの一之瀬から二人きりの卒業旅行のお誘いである。

 

「よかった。と言ってもまだ二年半もあるんだけどね」

「二年半か」

 

 その頃には俺たちDクラスはAクラスまで上がっているのだろうか。

 今は目の前の特別試験に集中しているけれど、これからは先のことを考えながら試験に挑まないといけないだろうな。

 

「……そうだ。これ返すの忘れてた」

 

 ポケットからヘアピンを取り出す。

 

「昨日はありがとな」

「ううん。また寝ぐせある時に貸してあげるね」

「その時は頼む」

 

 その後、朝食をすませた俺は一之瀬と別れ、部屋に戻った。

 

「櫛田との待ち合わせは9時半だったか」

 

 この日は、午前中に櫛田、午後に堀北と遊ぶ予定になっている。櫛田は試験が残ってるのに大丈夫だろうか。

 暫くベッドでゴロゴロしていると、綾小路が戻ってきた。

 

「よう。遅かったな」

「試験の為に準備をしてきた」

「準備って昨日言ってた作戦か?」

「ああ」

 

 作戦か。俺は優待者の法則性を導き出した後に、自クラスの優待者を守る方法を考えていた。

 しかし、龍園がDクラスの優待者の情報を得ているようだったので、櫛田と南にその方法は伝えなかった。その方法とは……

 

「携帯を交換したのか?」

「正解だ。よくわかったな」

 

 恐らく綾小路は結果1に導くよう見せかけ、メールの見せ合いをさせるつもりなのだろう。優待者を綾小路か幸村に見せかけ、裏切り者を出させて、結果4で試験を終了させる狙いだ。

 

「履歴やデータは移動させてるんだろ?」

「ああ」

 

 それで大丈夫だろうか。一之瀬がどれほどの切れ者かわからないけど、端末の交換なんて見抜く人がいそうな気がする。

 ……いや、綾小路のことだ。そんな単純な作戦で試験に挑むわけがない。

 

「……そうか。SIMロック解除をして、二重に端末を交換したのか」

「今思いついたのか?」

「ああ。お前が端末の交換だけなんて単純な作戦で試験を乗り切るとは思わなかったからな」

 

 学校支給の携帯のSIMカードは端末ごとにロックされており、入れ替えても通話は出来ない。入れ替えて使用するにはポイントを払って『SIMロック解除』をする必要がある。

 

「ちなみにSIMロックの解除やカードの入れ替えについては博士から教えて貰ったことがある」

「博士か」

 

 博士って勉強は出来ないのに、ハッキングや機器に関しては膨大な知識を持ってるんだよな。

 

「綾小路も前に頼ったことがあっただろ?」

「監視カメラだな」

「ああ。博士も結構頼りになるんだぜ」

「そうだな」

 

 そういえば氷菓を持ってきたのも博士だ。博士が氷菓を持ってこなかったら、俺も優待者の法則性を導きだせなかったかもしれない。今回のMVPは博士か。

 

「界外」

「ん?」

「端末の入れ替えについてはお前の指示で行ったことにするがいいか?」

「いいよ。ていうか俺か堀北の指示ってことにするしかないもんな」

 

 綾小路は暗躍したいボーイだからね。表に出てきちゃ駄目だもんね。

 

「助かる。それじゃ少し出てくる」

「どこに行くんだ?」

「軽井沢と軽く打ち合わせだ。……お前も来るか?」

「いってらっしゃい」

 

 どうやら綾小路は俺と軽井沢をどうしても接触させたいらしい。

 

「行ってくる」

 

 綾小路はそう言い、部屋を後にした。

 その後、俺は予定通り9時半に櫛田と合流し、午前中いっぱいプールで遊んだ。ちなみに櫛田の水着は黒のビキニで中々エロかった。

 午後は堀北とシアターで映画鑑賞をした。ちなみに作品は『ショーシャンクの空に』だった。

 映画を見終わった後は、カフェで2時間ほど雑談をし、解散した。……いや、雑談長すぎだろ。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 時刻は午後9時。試験終了時刻だ。

 

「みんな、上手くいったかな?」

 

 平田が心配そうに言う。

 

「どうだろうな。とりあえず綾小路と博士が戻ってくるのを待とう」

 

 試験終了後はすぐに自室に戻らないといけないようなので、そろそろ帰ってくるだろう。

 

「ただいまでござる」

 

 直後、博士が戻ってきた。

 

「お疲れ様、博士くん」

「お疲れ。綾小路は?」

「綾小路殿は、一之瀬殿と何か話してたようでござるよ」

 

 一之瀬とか。もしかしたら作戦を見破られたのだろうか。

 

「……どうだった?」

「恐らく綾小路殿を優待者と勘違いしてくれたと思うでござる」

 

 どうやら作戦は上手くいったようだ。

 

「まず端末の交換に気づいたのが一之瀬殿でござった。最初はフェイクで拙者が優待者とみな信じていたでござるが、一之瀬殿が綾小路殿に電話をしたのでござる」

「それで博士の携帯が鳴ったわけだ」

「さよう。結果、綾小路殿が優待者という認識で解散したのでござる」

「そっか。なんで一之瀬と綾小路が残ってるか知ってるか?」

「知らんでござる」

 

 だよね。知ってたら聞く前に教えてくれるよね。

 

「ふぅ。疲れたでござる」

 

 博士はそう言い、ベッドに腰を下ろす。

 その直後、携帯に学校からの通知がほぼ同時に2件届いた。

 

「蛇と馬グループに裏切り者が出たようだね」

 

 平田が携帯の画面を見ながら言った。

 

「もしかして優待者を見抜かれたでござるか?」

「それは結果発表をされないとわからないだろ」

 

 博士の問いに答えるが、恐らく見抜かれているだろう。

 少し時間が経って、再度携帯に学校からの通知が届いた。

 

「兎グループも裏切り者が出たか」

 

 他の2グループより遅いタイミング。これで兎グループの裏切り者がCクラスじゃなければ、俺の嫌な予想が当たることになる。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 深い闇夜の海に浮かぶ船は、どこか寂し気な様子だった。

 しかし午後11時が近づくにつれ段々と人の気配が増えていく。気がつけば静まり返っていたカフェは大盛況を見せ次々と席が埋まっていく。

 早い段階の元で6人席を確保していた俺と綾小路の元に、一人の少女が近づいてくる。

 

「……お待たせ」

 

 遠慮がちにやって来たのは、借金ガール軽井沢だった。なんか表情がいつもと変わってる気がする。

 

「遅い時間に呼び出して悪かったな」

 

 綾小路が全然悪くなさそうに言う。

 

「ううん、それはいい……界外くんもこんばんは」

「お、おう……」

 

 しおらしい軽井沢にたじろいでしまう。

 

「……ねえ、本当に上手くいったの?」

「問題ない。間違いなくAクラスの生徒がオレの名前を書いてメールを送ってる」

 

 軽井沢の問いに堂々と答える綾小路。

 

「試験お疲れ様三人とも。座ってもいいかな?」

 

 平田が微笑みながら近づいてきた。

 

「もちろんだ」

 

 なんか平田が来てから軽井沢が居心地悪そうだな。

 

「遅くなってごめんなさい」

 

 平田に続いて堀北もやって来た。

 

「佐藤さんに捕まってしまって遅くなったわ」

「そうか。仲良いようで何よりだ」

「一方的に絡まれてるだけよ」

 

 ぶっきらぼうに言う堀北。

 

「それよりも、2件同時に届いたメールだけれど……」

「多分Cクラスがメールを送ったんだろうな」

 

 堀北の問いに答える。

 

「なんでCクラスなの?」

「龍園が俺に言ってきたんだよ。全クラスの優待者を把握してるって」

「ウソっ!?」

 

 俺の答えに驚愕する軽井沢。さっきのしおらしい態度は何処へ……。

 

「だから俺は早めに優待者を見つけ出し、クラスの皆に裏切ってもらったんだ」

「あれってうちのクラスがメール送ってたの!?」

「ああ。……そっか、軽井沢は知らなかったのか」

「知らなかった」

 

 そう言えば軽井沢はあの場にいなかったもんね。知らないのも当然だ。

 

「ていうか、どうやって優待者を見抜いたわけ?」

「それは後で説明するよ。そろそろ結果発表のメールが届く時間だよ」

 

 俺の代わりに平田が答えてくれた。

 

「11時だ」

 

 俺がそう言うと、一斉に携帯にメールが届く。

 俺たちは結果を知るべく視線を落とした。

 

鼠―――結果3

牛―――結果3

虎―――結果3

兎―――結果4

竜―――結果3

蛇―――結果3

馬―――結果3

羊―――結果4

猿―――結果3

鳥―――結果3

犬―――結果3

狸―――結果3

 

 以上の結果から本試験におけるクラス及びプライベートポイントの増減は以下とする。

 cl、prという単位がポイントの後ろについてあるが、これはそれぞれクラスポイントとプライベートポイントの略称である。

 

Aクラス……マイナス200cl 変動なし

Bクラス……マイナス50cl プラス50万pr

Cクラス……マイナス50cl プラス100万pr

Dクラス……プラス300cl プラス450万pr

 

「うちのクラスの圧勝……?」

 

 信じられないような表情をしながら軽井沢が呟く。

 

「これで2学期からCクラスね」

 

 反対に堀北は満足そうな表情をしている。

 

「やったね、界外くん」

「ああ」

 

 無人島試験と同じように平田とハイタッチを交わす。……綾小路が羨ましそうに見ている。

 

「ほら、綾小路も」

「お、おう……」

 

 綾小路も俺、平田とハイタッチを交わす。

 

「これでクラスポイントは627になるわ。Bクラスが773clだから射程圏内と言ってもいいわね」

「つまり近々Bクラスに上がれるかもしれないってわけ?」

「ええ」

 

 軽井沢の問いに堀北が凛として答える。

 

「ま、誰かしら問題起こしてクラスポイントを減らさなければの話だけどな」

 

 今のクラスなら大丈夫だろう。須藤も夏目のおかげですっかり人格が変わったからな。

 

「結果もわかったことだし、俺は戻る。夜更かしは肌荒れの原因だからな」

「肌荒れの原因って……」

 

 軽井沢が何か呟いているが無視する。

 この試験が始まってから寝る時間が遅くなってるんだよ。睡眠不足で肌の調子が悪い気がする。

 

「待って。私も行くわ」

「ん。それじゃおやすみ」

 

 俺はそう言い、堀北と連れてカフェを後にした。

 

「まさか2学期からCクラスに上がれるとは思ってなかったわ」

 

 隣を歩く堀北が言う。

 

「ああ。特別試験が2回もあったおかげだな」

「それもあるけれど、界外くんが優待者を見つけ出したからでしょ?」

「……堀北も法則性は導き出してただろ」

「そうだけれど」

「なら堀北も今回の勝利の立役者だと思うぞ」

 

 もしかしたら堀北の方が早く優待者の法則性を導き出してたかもしれない。

 

「そ、そうかしら……」

「ああ」

 

 それに今回は坂柳の協力が大きい。運もよかった。

 

「病み上がりなのに頑張ったな」

「あっ」

 

 やばい。つい勢いで堀北の頭を撫でてしまった。

 

「悪い」

 

 すぐに手を引っ込める。

 

「……別に怒っていないわ。むしろもう少し撫でてもいいのだけれど」

「え」

「私、頑張ったのよね?」

「あ、うん。でも人前ですることじゃないから……」

「なら人がいないところに行きましょう」

 

 堀北はそのまま人気のないところに俺を連れ出した。

 

「ここなら問題ないわよね?」

「そんな撫でて欲しいの?」

 

 俺の問いかけに顔を赤くしながら頷く堀北。

 もしかしたら兄貴や両親に褒められたことがないのかもしれない。なら俺がしっかり褒めてやらなければ。

 

「それじゃ……」

 

 ゆっくり堀北の頭に手を乗せる。そして優しく撫で始める。

 

「んっ……」

 

 やっぱり堀北の髪って綺麗だよな。ちゃんと手入れもしてるんだろうな。

 

「撫でるの上手ね」

「そうか?」

 

 一応、一之瀬の頭なら2回撫でたことあるからね。……そういえば、堀北も耳が弱いのだろうか。少し触ってみるか。

 撫でてる手をゆっくりと耳の近くに移動させる。

 

「……んぁっ……」

 

 小指が堀北の耳に触れた瞬間、彼女の体がビクンと反応した。

 どうやら堀北も耳が弱いようだ。

 

「あっ……あぅ……」

 

 そろそろやめよう。これ以上堀北の変な声聞いてると、今夜も眠れなさそうだ。

 

「もういいだろう。そろそろ部屋に戻ろう」

「あっ……」

 

 堀北が名残惜しそうにこちらを見るが心を鬼にして無視する。

 

「…………そうね。もうこんな時間だものね」

 

 髪をかきあげ、吐息を漏らしながら堀北が言う。……エロい。

 

「ああ。……それと明日寮に戻ったら俺の部屋に来てくれないか?」

「いいけれど」

「大事な話がある」

「……わかったわ」

 

 堀北にも伝えておかねばならないだろう。うちのクラスに本当の裏切り者がいることを。

 

 堀北を部屋に送り届け、自室に向かう途中に葛城と遭遇した。

 

「よう」

「……界外か」

 

 酷い顔してるな。仕方ない。無人島試験に続いて、今回の試験も惨敗したんだ。

 

「悪いが今回も一人勝ちさせてもらったぞ」

「そのようだな。……だが2学期以降はこう上手くいくとは思わないことだ」

 

 強がりを言いやがる。冷静に装ってるつもりだろうが、その目は何だよ。弱弱しすぎるぞ。

 

「だろうな。2学期以降はAクラスに勝利するのは難しくなるだろ。なにせ……坂柳が指揮するんだからな」

 

 俺がそう言うと、葛城は苦虫を噛み潰したような顔を見せた。

 

「葛城。お前は2回も特別試験で結果を残せなかった。同じ派閥の生徒からの信頼も相当薄まったんじゃないか?」

「お前には関係ないだろ」

「関係あるさ。なにせ今後の葛城の立場によって、潰すか潰さないか検討しないといけないんだからな」

「お前に俺が潰せるとでも?」

「思ってるさ。実際、お前は無人島試験でも今回の試験でも俺に勝てなかった」

 

 本当は綾小路と坂柳の助力があったから勝てたにすぎないんだけどね。

 

「そういえば無人島試験の結果発表の時のお前の顔、傑作だったな」

 

 坂柳からの依頼は葛城を叩き潰すこと。ならサービスしておいてやろう。 

 

「なんだと……っ!?」

「希望から絶望に叩き落とされるその表情……最高にいい気分だった」

 

 うーん、今の俺って悪役にしか見えないだろうな。

 

「今回の試験の結果発表、クラスメイトと見てたんだが失敗したな。お前の近くにいればよかったよ。お前の近くにいれば、もう一度絶望に叩き落とされた顔が見れたんだからさ」

「下衆め……っ!」

「下衆? Cクラスと手を組んで、結果を残せずにクラスに迷惑を掛けた無能なリーダーに言われたくないな」

 

 ごめんね。坂柳からの依頼だから仕方なく心をへし折ろうとしてるだけなんだ。

 

「……気づいていたのか?」

「ああ。ま、素人にスパイみたいな真似をさせた龍園の無能っぷりも笑えたけどな」

「どうやら俺は完全に見誤ってたようだ。他クラスの最大の注意人物は一之瀬や龍園でもない。界外、お前だったようだ」

 

 いや、見誤ってないと思うぞ。一之瀬は相当頭切れるみたいだし、龍園はなんかしつこそうだ。ガンダムXのフロスト兄弟なみにしつこそう。

 

「それはどうも。クラスメイトにも言っておくんだな」

 

 俺はそう言い残し、葛城の横を通り過ぎていく。

 気分は某大罪の団長さんだったけど、上手くいったようだ。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 翌朝。俺は朝食をとるため、カフェ『ブルーオーシャン』のテーブル席に座っていた。

 

「今回もDクラスの一人勝ちだったねー」

 

 テーブルの向かい側に座る一之瀬が言う。

 

「悪いな」

「ううん、全然悪くないよ。真剣勝負の結果なんだから」

「そう言ってくれると助かる」

 

 ま、一之瀬がそんなことで怒るとは思ってないけど。

 

「それにしてもやられたよ。まさか2日目で優待者全員把握してるなんてさ」

「氷菓見て、頭が冴えてたからな。すぐに優待者の法則性を導き出せたぞ」

「それ他の人に言っちゃ駄目だよ」

「なんで?」

「私は界外くんが本気で言ってるのがわかるからいいけど、他の人が聞いたら馬鹿にされてると思うからだよ」

 

 そうなのか。事実を言ってるだけなのに……。

 

「ただでさえ、私たちって悪目立ちしてるじゃない?」

「そうだな……」

「だからそこら辺は気をつけたほうがいいかなって。必要以上にヘイトを集めないって言えばいいのかな……?」

 

 一之瀬が言いたいことはわかる。けど昨日葛城にやらかしてしまったんだよね。

 

「……わかった。気をつけるよ」

「うん。なんか偉そうなこと言ってごめんね」

「いや、心配してくれたんだろう。ありがとな」

「……うん」

 

 頬を染め、軽く視線を落とす一之瀬。

 

「それと界外くんに確認したいことがあるんだけど」

「なんだ?」

「今回の試験でDクラスはCクラスに上がるでしょう?」

「夏休み中問題を起こさなければな」

 

 今のところ問題起こしそうなのは山内くらいか。

 

「Bクラスとの協力関係についてなんだけど。……私は界外くんたちがCクラスになっても続けたいと思ってる」

「俺もだ。もちろん今回の試験のように戦う時は戦うけど」

「よかった。Dクラスとは必要以上に争いたくないからね」

 

 一之瀬は優しいな。ただその優しさにつけこむ輩がいるかもしれないから気をつけてほしい。

 

「後で平田にも言っておくよ」

「うん!」

「それじゃそろそろ戻るか」

「え……待ってっ!」

 

 立ち上がろうした瞬間、一之瀬に袖を掴まれた。

 

「ここで朝食をとれるの最後なんだよ。……もう少し一緒にいよ?」

「そうだな。なんだったら港に着くまでここにいるか」

「うん! そうしよっ!」

 

 冗談で言ったのに本気にされてしまった。

 まあ昼前には着くみたいだからいっか。

 それより相変わらずの俺のチョロクオリティ。

 一之瀬の上目遣い+涙目のコンボには勝てなかったよ……。

 

「この2週間、色々あったよね……」

「そうだな」

「界外くんとも沢山思い出が作れたと思う」

「そうだな」

 

 俺も一之瀬との思い出が沢山作れた。指をしゃぶられたり、膝枕されたり、一緒に昼寝したり、変な噂流されたり、性感帯を見つけたり、腕組みしたりと色々あった。

 

「学校に戻ってからも沢山思い出作ろうね」

「ああ」

 

 卒業まで二年半もある。これからも沢山一之瀬との思い出は作れるだろう。けれどその為には邪魔な人間を排除しなければならない。

 一之瀬をターゲットにすると公言した龍園、そしてクラスの裏切り者。裏切り者の意図はわからない。けれどそれが俺の邪魔をするようなら全力で排除するしかない。

 俺と彼女の学校生活を脅かす存在は駆逐してやる。……本当、俺ってアニメに影響されやすいな……。




クラスポイント一覧

Aクラス: 924
Bクラス: 773
Cクラス: 292
Dクラス: 627

次回は久しぶりの橘先輩メイン回になります!
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