実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。 作:田中スーザンふ美子
ついに体育祭当日を迎えた。ジャージを身にまとった全校生徒一同が練習通り行進して入ってくる。行進と言っても大半の生徒は普通に歩いてるだけなんだけどね。
「五和のおっぱいがたまらんでござるな」
真後ろを歩く博士が興奮気味に言う。
「だから言っただろ。五和は隠れ巨乳設定なのに隠れてない巨乳なんだよ」
俺たちは真面目に歩くふりをしながら禁書について語り合っていた。
「お前たちは何を話してるんだ……」
綾小路が呆れたように言う。
「仕方ないでござる。禁書は拙者と界外殿を二次元の世界に引き込んだ作品でござるからな」
「そうそう」
「そうか」
なんて興味なさそうな顔をしやがるんだこいつ。
博士と話しながら整列するとやがて開会式が始まった。グラウンド周辺には見物客の姿が見受けられる。恐らく敷地内で働く大人たちだろう。親交のある生徒がいるのか、笑顔や手を振る様子も見られる。
一方星之宮先生以外の学校の教師たちは笑顔ひとつなく生徒たちを見守っていて、医療関係者と思われる大人の姿も見受けられた。また20人ほど入れるコテージが作られている。ちなみに競い合う赤組と白組はトラックを挟みあって向かい合うようにテントが設置されている。そのため競技中以外は接触出来ないような作りになっている。
「用意周到ね。結果判定用のカメラまで設置されているわ」
堀北の言う通り、最初の100メートル走に備えてゴール地点と思しき場所にカメラが見受けられる。
「本当だな。さすが国立」
「そうね。ここまで用意されてるとは思わなかったわ」
だろうね。これじゃ競馬と同じだよ。ハナ差やクビ差でも勝敗をつけるんだろうな。
開会式が終わると、俺たち1年男子はすぐに競技のためグラウンドに向かった。
100メートル走などの競技は全て1年生から順番に行う。1年の男子から始まり3年の女子まで走って一つの種目が終わる。途中休憩を挟んでからは、1年の女子から始まり3年の男子で終わる逆パターンに切り替わる。各クラスが事前に提出した参加表を基に決められた組み合わせ通り競技がスタートしようとしていた。各クラスから2人ずつ選出された計8人が一直線に並ぶ。俺の出番は6組目。1年男子は全部で10組だ。
1組目を走る平田の出番が来た。Dクラスの生徒が固唾を呑んで見守る。
「平田は大丈夫そうか?」
須藤が心配そうに言う。
「大丈夫だろう。俺の情報が正しければこの組に平田より足が速い生徒はいない」
恐らく平田がミスをしなければ1着でゴール出来るだろう。
結果、平田は圧倒的大差でゴールをした。出だしから身体一つ抜け出し、そのまま突き放すように駆け抜けていったのだ。
「すげぇな。圧勝じゃねえか」
「だな。まあ組み合わせに恵まれたのもあるけどな」
俺たちが感想を言い合ってるとすぐに次の組のスタート合図がされる。合図は20秒間隔くらいで行われる。
2組目がスタートしたので、3組目がぞろぞろとスタート地点に入る。
3組目には神崎と葛城の姿が見受けられた。
神崎と葛城が戦うことになったか。
俺たちCクラスの3組目には高円寺を割り当てたはずだが姿が見受けられない。
「界外、あれ」
須藤が指さしたのはコテージの方角。室内で髪を整える高円寺の姿が見えた。
「不参加のようだな」
開会式には参加していたが、結局競技には不参加のようだ。
まあ高円寺が不参加なのは想定内なので驚きはしない。ただ最下位でも貰えるはずの点が入らないのは痛い。
スムーズに競技は進行していった。
次々と組が消化されていき、あっという間に6組目の出番がやってくる。
4コースに入った俺と、その隣5コースの博士。その他のメンバーにはBクラスの的場がいたが、あとは殆ど面識のない男子だ。要注意人物も見当たらない。
この日のためにコンディションを整えてきた。これで負けたらしょうがない。
スタートの合図がされた。
俺はスタートダッシュを決め、独走態勢に入る。そして周りを突き放したままフィニッシュした。博士は案の定最下位だった。
「博士、大丈夫か?」
息切れする博士に声をかける。
「……ふぅふぅ、回復魔法をはよ……」
「それくらいふざけられるなら大丈夫だな」
俺と博士は急いでコースから出てテントへと戻る。
1年男子の100メートル走が終わった。1位でフィニッシュしたのは俺、平田、綾小路、須藤の4人だった。上々の滑り出しだ。
席に戻った大半の男子たちは食い入るように女子たちの走りに注目をしていた。
「おっぱい! 揺れるおっぱい!」
性欲丸出しの山内が叫んでる。
山内の処理を須藤に任せ、俺はコテージに向かった。
「高円寺、怪我でもしたのか?」
「今日は体調不良でね。迷惑をかけないために辞退したのさ」
体調不良ねぇ。絶対仮病だろうな。
「そうか。なら競技は俺たちに任せて、お前はワインでも飲みながら優雅にくつろいでてくれ」
「ふむ。そうさせてもらおうか」
そうしちゃうのかよ。未成年飲酒は駄目だぞ。
「界外ボーイ」
コテージを出ようとしたところ、高円寺に呼び止められた。
「なんだ?」
「随分らしくないことをしてるようだね」
「……らしくないとは?」
「君なら力でねじ伏せて従わせる方が合ってるんじゃないか?」
「……どうだろうな」
力でねじ伏せて従わせるか。小学生の時にやってたけど、高円寺は知ってたのだろうか。
テントに戻ると、ちょうど5組目の堀北がコースに入るところだった。
「他の組はどうだった?」
平田に問う。
「小野寺さんが1位。櫛田さんは2位だったよ」
「そうか」
女子の方も上々の滑り出しだ。
堀北を見てると、競技を終えた櫛田が戻ってきた。
「ごめんね。1位取れなかったよ……」
申し訳なさそうな顔で謝罪する。
「2位だったんだろ。十分だぞ」
「そ、そうかな……?」
「ああ」
「ありがと。私の走ってるところ見ててくれた?」
「悪い。高円寺の様子を見に行ってて見てないんだ」
「……そっか」
俺の答えを聞いて明らかに沈んだ顔をする櫛田。
「……次はちゃんと見てるよ」
「ほんと?」
「本当。だから今はクラスメイトを応援しようぜ」
「うんっ」
今度は満面の笑みが浮かべる。コロコロ表情が変わる櫛田を見るのは面白い。
そして裏切り者の櫛田の心がどうなってるのか考えるのはもっと面白い。
俺が順番を変えて参加表を提出したと告げた時の櫛田の顔を思い浮かべると今でもゾクゾクする。あんな青ざめた表情を見せてくれる女子は初めてだった。
櫛田がクラスを裏切るのはこれで2回目だ。どうやら一度裏切ったやつは何度でも裏切るから信用するな、と言うのは本当らしい。
「次は堀北さんだね」
「そうだな」
「堀北さんなら相当足が速いから1位取れるんじゃないかな」
櫛田はどんな思いで嫌いな人物を褒めているのだろうか。
実はものすごいストレスを抱えてるのかもしれない。
「組み合わせ次第だろうな。櫛田は同じ組に運動部に所属してる女子がいたのか?」
「うん。陸上部の子がね……」
仏の顔も三度まで。俺は綾小路と櫛田の処理について改めて話し合った。もし櫛田が次も裏切り行為をするようなら、無理やりにでも裏切り行為をやめさせる。もちろん退学もさせない。卒業までクラスに貢献してもらう。
「それはついてなかったな」
「だね。次は1位取れるように頑張るねっ」
「ああ。お互い頑張ろう」
櫛田がクラスを裏切る理由が少し気になるが仕方ない。
「櫛田。堀北と同じ組で足が速い女子っているか?」
「うーん、運動部に所属してる子は何人かいるけど、足の速さまではわからないかな」
「そっか」
「ごめんね」
「謝る必要はないぞ」
俺と櫛田が見守るなか、堀北の組がスタートした。
堀北は好スタートを切り、綺麗なフォームで加速していく。中盤でBクラスの女子に並ばれそうになったが、そのまま逃げ切り見事1位でゴールインした。
「堀北さん、1位とったねっ」
「そうだな」
1年の100メートル走を終えたところで、お互いが結果を報告しあう。
この場所にはノートも携帯もない。ある程度競技の結果を口頭で伝えあったとしても全てを把握するのは難しい。つまり他クラスの状況を把握するのはもっと難しい。
俺はテントに戻ってきた堀北に声をかけた。
「危なかったな」
「……そうね。スタートダッシュは文句なしだったのだけれど、まさか追いつかれるとは思わなかったわ」
「でも1位だ。よくやったな」
「ありがとう。……後でちゃんと褒めてね」
期待を込めたまなざしで俺を見つめる。恐らく頭を撫でて欲しいのだろう。
「昼休みな」
「ええ」
約束を取り付けたことに満足したのか、堀北は松下たちの下に向かった。
堀北がいなくなったので、間もなく始まる3年生の競技に目を向ける。
お目当てはもちろん橘先輩だ。3組目でスタートを切った橘先輩は3位でゴールしていた。
真面目に走る橘先輩可愛いなぁ……。
全学年で100メートル走が終了すると、その集計に入った。
次の競技が始まる前に赤組白組最初の点数が発表される。
赤組1891点、白組2011点。
赤組負けてるし。2,3年の赤組もっと頑張れよ……。
♢♢♢♢♢♢♢
2種目の競技はハードル。この競技には2つのルールがあり『ハードルを倒す』『ハードルに接触』の2つにタイムのペナルティが付けられる。ハードルを倒した場合は0.5秒。ハードルに接触した場合は0.3秒ゴールしたタイムに加算されてしまう。
この種目では、俺は最後の組でスタートすることになっている。
「リラックスしていこうぜ」
運動が苦手な生徒たちに笑顔で声をかける。
「最下位をとっても俺たちが点数を稼ぐから安心していいぞ。特に須藤は運動でしか貢献出来ないからな」
「おうよ!」
なに嬉しそうな顔をしてるんだこのゴリラは。
「安心なされ。拙者には秘策があるのでござる」
「秘策?」
「名付けてブルドーザー作戦!!」
「……あー、うん。無理に跳んで怪我するよりマシだな」
「その憐れむような顔はやめるでござる!」
ならそんな下らないことを言うなよ。まあ博士のおかげでみんなリラックス出来てるようだけど。
「博士」
審判に呼ばれた博士に声をかける。
「なんでござるか?」
「体育祭が終われば禁書の放送が待ってるぞ」
今日は金曜日。つまり禁書の放送日だ。
「……何だかやる気が出てきたでござる」
「おう。頑張って来い」
苦しみを乗り越えた先にアニメの放送が待っている。それだけでアニオタは頑張れるのだ。……いや、俺と博士だけかもしれないが。
結局博士はハードルを全て手で倒しながら最下位で完走した。「拙者の肥満体に常識は通用しねえ」と叫びながら。まだアニメ放送前のネタだよ博士……。
「お、次は綾小路と神崎の対決か」
なかなか魅力的な組み合わせだ。二人とも100メートル走では圧勝してたからな。
結果は僅差で綾小路の勝利だった。ただレース終盤は流していたように思える。今後の競技に向け体力を温存したのだろう。
「今のところいい組み合わせだね」
「そうなのか?」
他クラスをよくしった平田が組み合わせを見ながら言った。
「うん。特にDクラスの足が速い生徒たちがいる組には、言葉は悪いけどうちのクラスは運動に自信がない生徒たちが同じ組が多いよ」
「なるほど」
「それとDクラスのそれなりに足が速い生徒たちがいる組には、僕たちがいる」
僕たちとは、Cクラスの運動能力に優れた生徒たちのことを言ってるのだろう。
「だからDクラスは思うように点数を稼げていないってことか」
「そうだね。……もしかしてこれを狙っていたのかい?」
「狙っていたとは?」
「参加表を紛失させたことだよ。わざとDクラスの教室の前に落としたんじゃないかと僕は考えてる」
まさか平田に見破られるとは。ただ惜しいな平田。参加表はシュレッダーにポイしただけだ。
「……正解だ」
「そっか」
「平田にとってはあまり好ましくない戦法かもな」
「ううん。リーダーは界外くんなんだ。君のやり方に文句を言うつもりはないよ」
「助かる。この体育祭でDクラスを突き放しつつBクラスに迫るぞ」
「そうだね!」
審判に呼ばれた俺は平田との会話を終わらせコースに入った。4コースにはガッツ石崎の姿があった。
「よう界外」
「久しぶりだな。元気してるか?」
「そこそこな」
噂によるとガッツ石崎はクラスで孤立しているようだ。審議で自分のクラスを裏切ったのだ。当然の結果だろう。
「雫――佐倉は元気か?」
「ああ。楽しく学校生活を送ってると思うぞ」
「そうか」
それを聞いた石崎はとても穏やかな表情を浮かべた。……まさかこいつも夏目を見てたりしてないよね?
「とりあえず今はハードル走に集中しようぜ」
「おうよ。俺のガッツ見せてやるぜ!」
結果は俺が1位でガッツ石崎は7位だった。お前のガッツ見せてくれるんじゃなかったのかよ……。
テントに戻った俺は女子の競技を注視する。ハードルも100メートル走と同じように次々にスタートされていく。
結果、Cクラスで1位を取った女子生徒は堀北、小野寺、櫛田の3人だった。
「界外くん、1位とったよっ」
息を切らしながら櫛田が戻ってきた。
「ああ。凄かったぞ」
「ありがとう。次のレースも頑張るね!」
裏切り者の櫛田だが、競技は真面目に参加してるようだ。
櫛田の運動能力があるのは皆が知ってるので、恐らく手を抜けないのだろう。
次の競技は『棒倒し』シンプルながらも荒々しく少々危険な競技だ。男子も女子と同じ玉入れがよかった……。
「Dクラスの連中がばれないように暴力を振るってくるかもしれないから怪我だけには気をつけよう」
俺は反対側にいるDクラスの連中にも聞こえるように大声でCクラスとBクラスの男子に注意喚起をした。
「界外の言う通りだ。競技は『棒倒し』だけじゃない。無理はしないでいこう」
隣に立つ神崎が言った。
「神崎、作戦通り頼むぞ」
「任せろ」
試合のルールは2本先取した組の勝ち。俺と神崎は事前の話し合いで、オフェンスとディフェンスをクラス毎に交互にすることを取り決めていた。その方がわかりやすいし連携もとりやすいからだ。
Cクラスが先に攻撃陣に回り、Bクラスが棒を守る役目を引き受ける形だ。この攻守の形で先制を取ることに成功した場合は流れを優先し攻守を変更しない予定になっている。
「綾小路、頼んだぞ」
「善処はする」
この『棒倒し』と来週の球技大会のため、綾小路にある技を取得してもらった。
相手のAクラスとDクラスの生徒たちには、体格がいい生徒が多い。恐らくフィジカルではこっちが不利だろう。だが勝ち目がないわけではない。
そのための綾小路である。
「須藤、三宅、博士は思いっきり暴れてくれ」
「おうよ!」
「わかった」
「わりぃが、こっから先は一方通行でござる! 大人しく尻尾巻きつつ泣いて、無様に元の居場所に引き返しやがれでござる!!」
うん。競技が始まってから言おうね。
心の中で博士に突っ込んでると試合開始の合図が鳴った。
「いくか」
対戦相手であるAD連合もこちらと同じく攻撃と守備でクラスが綺麗に分かれていた。
1戦目、本陣の棒を守るのはAクラスのようだ。目の前にはAクラスの連中が待つ。
ちなみに攻撃陣と攻撃陣がぶつかり合うことは禁止されている。
あくまで攻撃陣は防御陣へ攻めなければならないのだ。
「ニャンコ先生! 俺の勇姿を見ててくれ!」
ニャンコ先生にアピールしながら須藤が相手防御陣に突っ込んでいった。続いて三宅と博士も突っ込んでいく。
「止めろー! 須藤を止めるんだー!」
そんなAクラスからの叫びに合わせディフェンス一部が須藤一人を取り囲む。
「争いはやめろー! 俺たちは話し合えばわかりあえるはずだー!」
支離滅裂なことを言いながら須藤が防御陣を切り裂いていく。三宅と博士は上手く須藤をサポートしている。
防御陣が須藤たちに注目していくなか、一人の生徒が防御をしているAクラスの生徒たちに捕まることなく、ひょろひょろと棒に近づいていく。
「やべえぞ界外! Bクラスが! 山田何とかってハーフが大暴れしてやがる!」
池の声に振り返ると、Bクラスの守る赤組の棒が少しだが斜めに傾きかけていた。
「大丈夫だ。問題ない」
「問題ないって?」
「あれを見ろ」
白組の棒を指差す。刹那、ホイッスルが鳴る。
「……え? いつのまに……?」
そこには無様に倒れた白組の棒があった。
「予定通りだ」
Dクラスの山田アルベルトがこの競技で脅威になることはわかっていた。Bクラスの生徒たちで太刀打ち出来ないこともわかっていた。だから速攻で試合を終わらすことにしたのだ。
「お疲れさん」
「ああ。思ったより使えるな」
「だろ」
綾小路は新たに取得した技に手応えを感じたようだ。
「綾小路が倒したのかっ!?」
「ああ。運がよかった」
「運で倒せるもんなのか……?」
倒せないよ。綾小路の実力と存在感のなさがあったからだ。
そう。綾小路に取得してもらったのは『ミスディレクション』
黒子のバスケの主人公の技だ。
まさか現実で『ミスディレクション』を見れるとは思わなんだ……。
「怪我したくないから2本目もさっさと終わらせよう」
俺はそう言い、Dクラスの生徒たちがいる方を向く。Dクラスの生徒たちもあっさり決着が着いたことに信じられないような顔をしている。
そしてそのクラスをまとめるリーダー、龍園は後方から俺を睨んでいた。
俺はその睨みを不敵な笑みで返す。
「あまり挑発しない方がいいんじゃないか?」
「そうだな」
綾小路に言われ、素直に従う。
「なあ、オレまで龍園に目をつけられることはないよな?」
「大丈夫。龍園はお前の敵じゃないよ」
「そういうことじゃなくてだな……」
確かに綾小路が目をつけられる可能性はあるかもしれない。ただ龍園の標的は俺と一之瀬。俺たちを潰さないかぎり他の生徒を獲物にすることはないだろう。
「俺が潰されないかぎり大丈夫だ。だから次も頼んだぞ」
「……明日の夕食は親子丼で頼むぞ」
明日の夕食のリクエストを言いながら、綾小路は元のポジションに戻っていった。ちなみになぜ今晩でなく明日の夕食をリクエストしたかというと、今日は一之瀬と打ち上げをするためだ。前もって綾小路に今晩は夕食を振る舞えないことは説明している。
結局2本目も綾小路のおかげで赤組の勝利で終えた。
試合終了後、神崎と柴田に話しかけると、Dクラスの生徒から反則すれすれの肘打ちなど浴びせられたと告げられた。
「そうか。よく守ってくれたな」
「いや。すぐに試合が終わったからな。そこまで大変じゃなかったさ」
「俺も一度でいいから攻撃したかったぜ……」
柴田が不満そうに呟く。
「仕方ないだろ。勝ったんだから我慢をしろ」
「へいへい」
神崎が諭す。どうやら神崎は男子たちの保護者的役割も果たしてるようだ。
「それじゃまた後で」
「ああ」
「競技で一緒になったら容赦しないからな!」
「俺も負けるつもりはないぞ」
なるべく柴田とは同じ組になりたくないな。
陣営に戻ると、綾小路が男子たちにもてはやされていた。
「凄いよ、綾小路くん」
「本当だぜ」
「まさか綾小路殿が幻のシックスマンだったとは」
綾小路は相変わらず無表情な顔で受け答えをしている。
暗躍したい綾小路には好ましくない状況だろうけど、俺は素直に嬉しく思った。
Cクラスのクラスポイント計算間違ってて修正しました
正しくは627でした