実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。 作:田中スーザンふ美子
夜冷えるから風邪には気をつけましょうね!
東京喰種のカットの嵐が凄いw
時刻は10時半過ぎ。体育祭の種目は順調に消化されていった。女子限定の玉入れ、男女別綱引きを終えた俺たちは障害物競争を迎えていた。
「やっとお前と戦えるな!」
俺の隣で準備体操をしている柴田が言う。
「柴田とはやりたくなかったよ」
「そんなつれないこと言うなよ!」
痛い痛い! 競技前に肩を叩くな!
「……ま、単純な走力ならお前の方が上だと思うけど、障害物競争なら負ける気はしない」
「言ってくれるじゃんか」
「それに一之瀬も柴田じゃなくて俺を応援してくれてるだろうし」
「お前ムカつくなっ!」
だって事実だもの。無人島でのランニングでもそうだったけど、好きな女の子の前でかっこ悪いところは見せられない。
「お前を倒して最優秀生徒に選ばれるのは俺だ」
「俺だっつーの」
睨みあいながらスタート位置につく。
そして前の走者たちが走り終えたことで、俺たちの組のレースが始まった。
俺と柴田は共に好スタートを切り一番最初の障害である平均台へと向かう。バランス感覚は俺の方が勝ってたようで、柴田より早く渡り終えた。
直後の短距離で並ばれてしまったが、網くぐりで再度突き放した。最後の障害物であるズタ袋に両足を入れて飛び跳ねる。背後から迫る柴田が距離を縮めてきたが、そのまま逃げ切り1位のテープを切った。
「くっそー! 負けたー!」
「惜しかったな。俺相手によくやったと思うぞ」
「上から目線もムカつくー!」
危なかった。走力はやはり柴田が上だったか……。
「お疲れ様」
テントに戻ると平田が労ってきた。
「おう。お互い1位を取れたな」
「うん。綾小路くんと須藤くんも1位だったし、今のところ順調だね」
「そうだな」
俺、綾小路、平田、須藤の4人は今のところ3連続で1位を取っている。団体競技も全て赤組が勝利しているので、順調すぎると言っていいくらいだ。
男女別綱引きでは龍園が早々に試合を放棄していたので楽勝だった。
少し休憩をとり、俺たちは二人三脚のための準備に入った。その間も1年女子の障害物競争は着々と進んでいた。
「堀北も1位をとりそうだな」
「そうだね」
堀北も俺たちと同じく3連続で1位をとれそうだ。堀北の高い運動能力もあるが、組み合わせに恵まれたことにより後続を引き離している。一緒の組の佐倉は4番手で頑張っている。
堀北はそのまま1位でゴールイン。佐倉も前の走者が転倒したことにより3位入賞を果たした。
「佐倉さん、凄いね」
「ああ。……綾小路、佐倉が帰ってきたら褒めてやれよ」
「なぜオレが?」
「親子丼」
「わかった」
まさかそんな素直に言うことを聞いてくれるとは思わなかったよ。俺に餌付けされすぎだろ……。
「次は櫛田さんと王さんだね。それに一之瀬さんもいるよ」
「お、おう……」
親切に出場生徒を教えてくれる平田。一之瀬のことは気にしているから気づいてたよ。特にこの種目はね。
スタートすると知らない女子が抜け出し、櫛田が2番手で追走する。一之瀬は4番手。そのまま順位は変わらずズタ袋に辿り着こうとしている。
最後の50メートルを全員が全速力で駆け抜ける。櫛田は2番手のまま。一之瀬は3番手に順位を上げている。だが一之瀬の様子がおかしい。後ろから迫る生徒が気になるのか、チラチラと後ろを小刻みに振り返る。そのせいか、その生徒に並ばれる一之瀬。次の瞬間、抜き去るべく走っていた一之瀬と追いついた生徒が絡まるようにして共倒れする。
「平田、一之瀬と一緒に倒れた生徒が何組かわかるか?」
「……え? ああ、斎藤さんだね。確かDクラスだったと思うよ」
Dクラス。つまり龍園が仕掛けてきたってことか。……あまりにも予定通りで笑えてくるな。
「それがどうかしたの?」
「いや」
結局一之瀬はそのハプニングが響き7位でフィニッシュした。一緒に倒れた斎藤は怪我をしたようで競技続行不可能ということで最下位に終わった。
テントに戻った一之瀬はクラスメイトに心配されてるようだった。足は引きずっていないので怪我はしてないようだ。
俺は一之瀬に目配せをして、テントから少し離れた場所に移動した。その後一之瀬もすぐにやって来た。
「お疲れ様。怪我はしてないか?」
「うん。少し擦りむいたくらいだよ」
「そっか。……それで上手く出来たか?」
「もちろん。……界外くんの役に立ちたいから」
頬を染め上目遣いで一之瀬が見てくる。
「お、おう……。でも一之瀬がこの作戦に乗ってくれるとは思わなかったよ」
「龍園くんにはうちのクラスの子が何人も傷つけられてるからね」
「なるほど。クラスメイトの敵討ちってわけだ」
「そうそう。あ、これどうしよっか?」
一之瀬はそう言うと、ポケットからある物を取り出した。
「一之瀬が持っててくれ。いつ必要になるかわからないからな」
「りょうかいっ」
「それと休み時間になったら保健室に行って、手当てをしてもらった方がいい」
「わかった。界外くんも一緒に来てくれる……?」
「いいぞ」
ドSになった俺だけど、相変わらず一之瀬の上目遣いには弱いままだった。
「それじゃまた後で」
「うん。この後の競技も頑張って。応援してるね」
「他クラスの生徒を応援してもいいのか?」
「Bクラスの学級委員長としてじゃなくて、一人の女の子として応援するから大丈夫だよっ」
やばい。愛しすぎて保管したい。
一之瀬との話を終え、俺は次の競技二人三脚の準備に入った。
「一之瀬さん、大丈夫そう?」
遠目に様子を確認していたのだろう。平田が心配そうに声をかけてきた。
「大丈夫だ。擦りむいた程度だって」
「そっか。それはよかったよ」
紐を結び合いながら、そんな風に小さい会話を繰り返す。
程なくして1年男子の二人三脚が始まった。続々とスタートを切っていく。
この体育祭は学校の徹底管理もあり無駄なく競技が進行している。プログラム表の予定時刻ともほぼ差異がない。
二人三脚は必然的に2人1組となるため、一度に走る人数は4組と少ない。
「そろそろ僕たちの出番だね」
「ああ。1位をとるぞ」
「もちろん」
その言葉と共に平田とスタートを切った。同じ組でめぼしい面子もいなかったので、後続を大きく突き放し、1位でゴールインした。
「きゃー! 平田くんかっこいい!」
「ついでに界外くんも!」
俺はついでかよ。まあ一之瀬が応援してくれてるから別にいいけど。
それから女子の二人三脚が始まり、2組目の堀北小野寺ペアが準備を始めた。
Cクラスの女子でトップクラスの運動能力を持つ2人だ。練習でも好タイムを出していたので、転倒しなければ1位をとれるだろう。他の生徒たちも俺と同じことを思っているのか、安心した様子で見守っている。
スタートダッシュを決めた二人は、後続をどんどん突き放していく。
「いけ堀北、小野寺!」
須藤が大声で声援を送る。ちなみに須藤はテントにいる間はずっと声援を送っている。今日は応援団長も兼ねてるようだ。
「楽勝だな」
「おうよ!」
結果は俺の予想通り堀北小野寺ペアの圧勝で終わった。2位に5秒以上も差をつけての圧倒的勝利だ。このペア下手したら男子より速いかもしれない。
♢♢♢♢♢♢♢
10分間の休憩時間になり、各々トイレや水分補給を行う。俺は一之瀬と校内へ向かった。目的は保健室で一之瀬の手当てをしてもらうためだ。
保健室に入ると星之宮先生が迎えてくれた。
「あら、二人してどうしたの? 保健室デートかしら~?」
にやにやしながら俺と一之瀬を見てくる。……うざい。
「い、いえ。私が転倒して膝を擦りむいてしまったので。……彼は付き添いです」
「ふ~ん。それくらいの怪我で付き添うなんて、界外くんは優しいのね~」
「はい。俺は優しい男なんで」
「自分で言っちゃうんだ……」
「それより一之瀬の手当てをしてくれません?」
「あ、そうだったわね。一之瀬さん、ジャージ捲ってくれる?」
「はい」
治療をしている星之宮先生は珍しく真剣な表情をしている。初めて星之宮先生の真剣な顔を見たかも……。
数分で手当てを終えた俺たちは、星之宮先生に礼を言って、保健室を後にした。
「それじゃテントに戻るか」
「その前にちょっといいかな……?」
「ん?」
「こっちこっち」
一之瀬に腕を引かれて廊下を突き進んでいく。辿り着いた場所は廊下の踊り場だった。
「こんなところに連れて来てどうしたんだ?」
「えっと、作戦通りに出来た私を褒めて欲しいなって……」
「頭を撫でればいいのか?」
「えっと、その、……抱きしめてほしいです……」
チラチラ俺を見ながら一之瀬がお願いをしてきた。
「時間少ししかないけど……」
「少しでもいい。……駄目かな?」
「……わかったよ」
俺はそう言いながら、優しく一之瀬を包み込んだ。
「……私、頑張ったよ……?」
「そうだな。よくやった」
「うんっ!」
俺に褒められて上機嫌な一之瀬。先ほどの愛しい感情が復活し、抱きしめる力が強くなる。
「あっ」
「苦しいか……?」
「ううん。もっと強く抱きしめて……?」
「大丈夫か?」
「大丈夫。私が苦しくなるくらい強く抱きしめて」
やっぱ一之瀬ってマゾなんじゃ……。そう思いながら彼女を思いっきり抱きしめようとしたところ……
「なにをしてるんですかっ!?」
聞きなれた天使の声が耳に入ってきた。
恐る恐る振り向くとそこには、顔を真っ赤にした橘先輩の姿があった。
「か、界外くん……っ!?」
「た、橘先輩……」
どうやら後ろ姿では俺だと気づかなかったようだ。
「あ、あなたは学校で何をしてるんですっ!?」
「す、すみませんっ!」
橘先輩に怒鳴られ、一之瀬を引き離す。
「え、えっと、すみませんでした……」
恐る恐る俺の隣に並ぶ一之瀬。
「二人ともそこに並んでください」
もう並んでるけど俺と一之瀬はそれに突っ込むことはしなかった。
「まったく二人は何をしてるんですか! ここは学校ですし、今は体育祭中ですよ!」
「お、仰るとおりで……」
「すみません……」
やべえ。橘先輩が激おこぷんぷん丸でござる。
「……いいですか。別に二人にいちゃつくなとは言いません。ただ時と場所を考えて欲しいんです」
「はい」
「特に校舎では誰が見てるかわかりません。二人を好ましく思わない生徒が発見したら、大変なことになるかもしれませんよ」
どうやら橘先輩は、校則というより俺たちの身を案じてくれてるようだ。
「界外くんは、彼女さんをそんな目に合わせたくないですよね?」
「は、はい……」
確かにその通りだ。一之瀬をそんな目に合わすのは俺だけでいい。
一之瀬をチラッと見ると「彼女」と顔を赤くしながらずっと呟いてる。
「ならいいです。大声を出してしまいすみませんでした」
「い、いえ。俺たちが悪いので。謝らないで下さい」
「……わかりました。……もう休憩時間も終わりですね。私からのお話も終わりです。二人とも、グラウンドに戻りますよ」
「はい」
「は、はぃ……」
橘先輩の頼もしい背中を見ながら俺と一之瀬はグラウンドに向かった。
橘先輩に怒られたのはショックだったが、それ以上に俺たちのことを思ってくれてるのがわかって嬉しかった。
休憩時間が終わると競技の順番が一時的に逆転し、女子騎馬戦が幕を開ける。1年の女子たち全員がグランドの中央に集まる。当然ここもBC連合対AD連合の対決だ。
騎馬戦のルールは男女ともに同じ時間制限方式だ。3分間の間に倒した敵の騎馬と残っていた騎馬の数に応じて点数が入る仕組みだ。騎馬は4人1組。それぞれのクラスから4つの騎馬が選出され8対8の形になる。1騎馬につき50点、クラス毎に1騎馬だけ大将騎が存在し大将は100点を保持している。これは生き残っても入る点数で、相手のハチマキを奪うことでも同じ点数が手に入る。ちなみにCクラスで騎手を務める一人は堀北。下を支えるのは小野寺、小宮、近藤と機動力としては悪くない。他の騎手には櫛田、軽井沢、佐藤が選出されていた。
問題は運動が苦手な生徒たちで構築された佐藤の騎馬だろう。狙われれば真っ先に敗れる可能性が高い。あえてその弱い騎馬を大将とすることで戦いに参戦はさせず、それを守る形で3つの騎馬が囲む作戦を展開するようだ。攻めてきた相手を返り討ちにする狙いだろう。
試合の合図とともにAクラスとDクラスの騎馬が静かに距離を詰める。
「おいおい何だよあれ!?」
隣に立つ池が叫んだ。
Dクラスは俺たちCクラスを相手にせず、Bクラスの大将騎である一之瀬の騎馬だけを取り囲んだ。どうやら一之瀬潰しは障害物競争だけじゃないようだ。
4つの騎馬が一之瀬に襲いかかる。
「完全に一之瀬さんに狙いを絞ってるね」
「そうだな」
平田が心配そうに言う。いつも心配してくれてありがとう。
「龍園くんの指示だよね……?」
「だろうな」
「障害物競争みたいにトラブルが起きなければいいけど……」
「本当にな」
もし一之瀬に大怪我でもさせてみろ。お前の肩を脱臼癖にさせてやる。
「軽井沢さんたちが救援に向かったね」
軽井沢だけじゃなく、佐藤の騎馬を守るフォーメーションを保ちながらCクラスの面々が一之瀬の救援に向かった。既にBクラスの騎馬も救援に向かっており、大分混戦になっている。
「すっげーな!」
歓声が沸く。最初は4つの騎馬に取り囲まれた一之瀬だったが、機動力と味方の救援のおかげで、包囲網を突破しAクラスの大将騎のハチマキを奪取したのだ。
堀北、軽井沢も敵の騎馬のハチマキを1枚ずつ奪っている。
AD連合と違いBC連合の騎馬はしっかり連携が取れている。これも合同練習の賜物だろう。
そして試合終了の笛がなった。BC連合は2騎失っただけで、AD連合は全滅。つまりBC連合の圧勝である。
満足げな表情で女子たちが陣地に戻ってきた。
「お疲れさん」
「ありがとう。思ったより弱かったわね」
堀北が対戦相手を酷評した。
「お前たちが強かったんだと思うぞ」
「……そ、そうかしら……?」
「ああ」
「界外くん、やったよっ」
俺と堀北が話してると、櫛田が乱入してきた。
「櫛田もお疲れ様」
「うん。堀北さんもお疲れ様」
「ええ」
櫛田が話しかけた途端、面白くない表情をする堀北。
「界外くんも頑張ってね!」
「ああ。勝ってくるよ」
「気をつけていってらっしゃい」
櫛田と堀北に見送られながらグランドに向かう。
男子の騎馬戦が始まる。俺は大将騎の騎手を務める。構成は右方に綾小路、左方に平田、須藤が真ん中で俺を支える。前方と後方がいれば神の右席なのに惜しい……。
「神崎、よろしくな」
「ああ」
Bクラスの大将騎の騎手を務める神崎に声をかける。
「とりあえずAクラスから攻めるか」
「そうしよう。龍園の騎馬は後回しでいいだろう」
「だな。しかしあれだな」
「どうした?」
「龍園って悪ぶっててもこうして普通に競技に参加するんだな」
俺がそう言うと、全員吹き出してしまった。
「……そうだな。ああ見えて真面目な男なんだろう」
「だよな。無人島試験でも一人で頑張ってたし」
龍園も俺と同じで勝負事には人事を尽くすタイプだと分析している。ただ一之瀬潰し関しては私情を挟んでるように見えるが……。
「それじゃ行きますか」
試合開始の合図と共に、俺と神崎の指示の下、BC連合はAクラスの騎馬たちに襲いかかる。
相手はいきなりの攻撃に戸惑ってるようだ。Dクラスが救援に来る様子はない。
先手必勝。
俺、神崎、柴田の騎馬が1枚ずつハチマキを奪い取った。Aクラスの残り1騎はDクラスがいる方に逃げていく。
「よし。次はDクラスとAクラスの生き残りだ」
Dクラスの面々へ向かっていくBC連合。騎馬の数は7対5で俺たちが有利だ。
「よっしゃー!」
柴田が騎手を務める騎馬が先陣を切った。俺たちもそれに続く。Dクラスの騎馬は龍園を守るように囲っていたが、次々と撃破していった。ちなみにAクラスの騎馬は騎手がお腹が痛くなったようでリタイアしたようだ。
残った敵は大将騎、龍園のみ。一方でこちらは俺、神崎、柴田の3騎が生存している。
「これで3対1だぜ! この勝負は貰ったな!」
須藤が興奮しながら言う。
俺は神崎と柴田に目配せをし、騎馬3つで龍園を囲んだ。1つハチマキを奪っているところを見ると、龍園もただ守られてたわけじゃなさそうだ。だが多勢に無勢だ。
だが龍園に慌てる様子は見られない。むしろこのピンチを楽しんでるように見える。
「確か須藤とか言ったな」
「あん?」
「知ってるか? 馬を見下ろすのは中々気持ちいもんだぜ」
「そうか。馬に乗ってる方が偉いとは限らないけどな」
「へぇ……だったらタイマンでもしなきゃ意味ねーな」
「お?」
「いや、お前が3対1じゃなきゃ俺に勝てないって言うなら仕方ない。だが『勝ち』ってのは基本的にタイマンで勝ってこそ意味がある。挟み撃ちで勝って気取る気か?」
「お?」
須藤を挑発させタイマンに持ち込むつもりか。だが残念だな。今の須藤は昔の須藤じゃない。何故なら夏目を見てるからな!
「さっきから何言ってんだこいつ? タイマンより仲間と力を合わせて勝った方が意味あるじゃねえか。な?」
「…………あん?」
「そもそもチームスポーツをしてる俺に何を言ってんだ?」
「…………………」
須藤の正論に黙ってしまう龍園たち。
「須藤、いいこと言うじゃねえか!」
「だろ?」
柴田は須藤の言葉に共感したようで、笑顔でサムズアップをしている。
「悪いな龍園。今の須藤にそれは通用しない」
「チッ」
龍園は諦めたようでなんと騎馬から降りてしまった。観客からは奇妙な光景に映っただろう。
刹那、試合終了の合図が鳴った。
仲間たちとハイタッチを交わし、テントに戻ろうとすると龍園に声をかけられた。
「ようすけこまし野郎」
猿野郎からすけこまし野郎に呼び名が変わったようだ。誰がすけこましだコラ。
「……何だよ?」
「そう邪険にすんなよ。……なあ参加表を無くしたのはわざとか?」
「いや。本当に無くしたんだよ。俺って落とし物が多いからさ」
「……そういうことにしておいてやるよ」
そう言うと龍園は去っていった。どうやら俺がわざと参加表を無くしたと疑ってるようだ。いや確信してるのかもしれない。
テントに戻ると女子たちが笑顔で迎えてくれた。
「お疲れ様。これで騎馬戦も男女とも圧勝ね」
「ああ」
「界外くん、お疲れ様っ」
「お疲れさん」
堀北、櫛田が順に俺を労う。
「二人とも怪我はしてないか?」
「ええ、もちろん」
「大丈夫だよ」
「そっか」
男女とも主力メンバーに怪我もなくここまできている。
順調だ。恐らく俺たちの一番の敵は油断だろう。ただでさえうちのクラスは調子に乗る生徒が多い。後でクラスメイトに油断しないよう注意してもらおう。
それと一番気になるのが一之瀬。龍園は完全に一之瀬を潰そうとしている。Cクラスに関してはリークされた順番と違う時点でターゲットから外したのだろう。
そうだ、昼休みに一之瀬にBクラスの点数を聞いてみよう。Cクラスと同じようにBクラスの参加表がリークされてるかもしれない。
何気に主人公が最初におっぱいの感触を味わったのは橘先輩