実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。 作:田中スーザンふ美子
オリジナルの球技大会編です
コミカライズ7巻の表紙は一之瀬と軽井沢ですね
月曜日のホームルーム。今日は球技大会の種目別の参加メンバーを決めることになっている。
「先週の体育祭はご苦労だった。学年で1位だ。よくやった」
2学期初日と同様に素直に褒めてくれる茶柱先生。心なしか表情も1学期より穏やかになってるような気がする。
「今週は球技大会がある。スポーツイベントが続くがみんな頑張ってくれ」
俺みたいにスポーツ好きの生徒にとっては嬉しいだろうが、運動が嫌いな生徒には地獄だろうな。
「それでは球技大会の資料を配るからよく目を通すように。質問がある生徒は挙手しろ」
前の席からプリントが回ってきた。すぐに目を通すと以下の内容が書かれていた。
・球技大会の種目
男子:バスケット、ソフトボール
女子:バレーボール、ソフトテニス
・大会方式
学年別の総当たりのリーグ戦
・順位が与える影響
各球技で1位を取ったクラスにはクラスポイントが50与えられる
各球技で2位を取ったクラスにはクラスポイントが30与えられる
各球技で3位を取ったクラスにはクラスポイントが10与えられる
各球技で4位を取ったクラスにはクラスポイントは変動されない
「球技の詳細なルールは裏に記載してある」
ふむふむ。バスケは1ゲーム2クォーターか。1クォーター10分だから1ゲームで20分。1日で3試合と考えると妥当か。
「体育祭より分かり易いだろう」
「先生質問いいですか?」
一つ気になることがあるので今のうちに質問しておこう。
「界外。なんだ?」
「今回は体育祭と違って最優秀選手賞とかってないんですか?」
「ない。今回はチームスポーツだからな」
ということはプライベートポイントの付与はなしってことか。
「わかりました。ありがとうございました」
「他にいないか?」
茶柱先生が問いかけるが他に質問がある生徒はいないようだ。
「よし。それじゃ次に球技別の参加者を決めてくれ。参加表の提出は大会前日までだが早くメンバーを決めて球技別の練習に専念した方がいいぞ」
球技大会まで5日間しかない。1日2時間の授業が割り当てられるが、メンバーは今日中に決めたほうがいいだろう。
「界外くん、堀北さん。今回は2人が仕切ってくれないかな?」
平田が席を立って言ってきた。今回も俺かよ。平田はそんなに疲れていたのか……。
「……わかった。堀北は?」
「構わないわ」
そう言い、俺と堀北は教壇に立った。教壇に立つと身長が大きくなったような気がして少し優越感を得られるのは内緒だ。
メンバーの割り当てはスムーズに決まった。男子はバスケットに運動能力に優れた生徒が集まった。女子は均等に分かれたようだ。ちなみに男子バスケのメンバーは俺、綾小路、平田、須藤、三宅、池、本堂、博士の8人。博士は安西先生のポジションを希望のようだった。
ホームルーム2時間目。俺を含めたバスケに参加する生徒は体育館に来ていた。
「まずみんなの実力を確認したい。バスケ経験者はいるか?」
「おう!」
須藤が元気よく挙手した。知ってるからお前は手を挙げなくていいんだよ。
「……いないか」
経験者は俺と須藤の2人だけだった。まあ綾小路、平田、三宅の3人は運動能力に優れているので問題ないだろう。
「それじゃ基礎練習から始めるか」
「基礎練習でござるか?」
「ああ。とりあえずボールハンドリングからだな」
ボールハンドリング。簡単に言うとボールを手に馴染ませることだ。ボールハンドリングをたくさん練習することでドリブルやシュート、パスなどが自分のイメージした通りにボールを扱えるようになる。
「須藤は俺と一緒にみんなのをチェックしてくれ」
「わかったぜ」
ボールハンドリングの練習法は大きく分けて5種類ある。最初にみんなに行って貰ってるのは『ボディーサークル』。ボールを頭・お腹・足の順にグルグル回す。重要なのはなるべく体を動かさずにボールを回すこと。
「うん。博士以外はオッケーだな」
「むほーんっ!」
博士が奇声をあげてるが無視する。
結局、1時間ずっとボールハンドリングの練習に費やした。
「ドリブルやパスの練習はしなくてよかったのかい?」
教室に戻る途中で平田が聞いてきた。
「ああ。ドリブルやシュート、パスなどのレベルを上げるためにはまず、ボールのコントロールが必要だからな。次回からはドリブルやパス練習をするつもりだ」
「そっか。何事も基礎が大事ってことだね」
「そうだ。基礎がしっかりできていないと試合で力を発揮することは難しいからな。サッカーも同じだろう?」
「そうだね」
「まあ平田は十分基礎出来てるから個別に練習してもらいたいメニューがあるんだけど」
チラッと平田を見ながら言う。
「するよ。球技大会に勝つためだからね」
「部活は大丈夫なのか?」
「うん。それで僕は何をすればいいのかな?」
「それはだな―――――――――――」
♢♢♢♢♢♢♢
昼休み。俺はいつものように堀北とベストプレイスで昼食を共にしていた。
「堀北はバレーだったか」
「ええ」
もしソフトテニスがシングルスのみだったらソフトテニスを選んでいたのかな。
「お互い1位が取れるといいな」
「何を言ってるの。そっちは楽勝でしょ」
「どうだろうな。バスケ経験者が2人しかいないからな」
謙遜したが堀北の言う通り負ける可能性は低いと思う。他のクラスにもバスケ部の生徒がいるが須藤より優れた選手はいない。その須藤に1on1で勝てたのだ。体力も堀北とのランニングのおかげで大分戻っている。後は試合勘だけだ。
「そう。……実は界外くんにお願いがあるのだけれど」
「なんだ?」
「あなたバレー経験者でしょ」
「そうだけど」
「手が空いた時で構わないから、私たちを指導して欲しいのよ」
バレーの指導か。確かうちのクラスにはバレー部が一人もいないんだっけか。
「わかった。バスケの練習が優先だから、あまり時間は取れないがそれでいいか?」
「ええ。よろしくお願いするわ」
よろしくお願いされました。しかしバスケとバレー同時に指導か。今週も疲れそうだ……。
「もちろん対価は支払うから」
「また手料理でも作ってくれるのか?」
「ええ。どうかしら?」
「よろしくお願いします」
堀北の手料理は最近ますます磨きがかかってるからな。俺も追いつかれないように頑張らないと。
「それと一つ聞きたかったのだけれど」
「なんだ?」
「あなた、いつまで綾小路くんにお弁当を作ってあげるの?」
「今週までだ」
綾小路に球技大会も本気を出すようお願いをしている。対価は俺の手作り弁当だ。
「……そう。彼も随分と餌付けされたものね」
「言い方」
俺の料理が出来上がるのを待ってる綾小路を見て、犬みたいだと思ったことが何回があるけれど。
「ねえ」
「ん?」
「今回もクラスで打ち上げするつもりなの?」
「……いや。土曜にしたばかりだし、今回はしないつもりだけど」
さすがに2週連続はないでしょ。疲れるし。
「そうね。……土曜は予定空いてるのかしら?」
「空いてるけど。漫画喫茶でも行きたいのか?」
問いかけると堀北はゆっくりと頷いた。
「わかった。付き合うよ。今度は何の漫画を読みたいんだ?」
「幽遊白書よ。前に界外くんが勧めてくれたでしょ」
「そうだったな」
スラムダンクに続きジャン○黄金期の漫画か。
「それじゃ約束よ」
「ああ」
そういえば堀北会長は漫画読まないのだろうか。共通の趣味が出来れば仲良く出来ると思うんだよな。
放課後。俺は球技大会の練習用に開放された第2体育館で自主練習に励んでいた。館内には俺と平田の2人しかいない。平田は俺に命じられたスリーポイントシュートの練習をしている。
「平田、まだ初日なんだから無理しなくていいからな」
「うん。でもコツが掴めてきたような気がするんだ」
「え」
まだ初日なのにもうコツ掴めそうなの? これだからハイスペック野郎は……。
「サッカーでもロングパスが得意なんだ。それと少し似てるかもね」
そういえば平田はボランチでプレイしてると言ってたか。恐らく守備より攻撃に秀でたボランチ。ロングパスが得意ということは、中盤の底で長短のパスを使い分け試合を司ってるのだろう。
「そっか。確かに似てるかもしれないな」
手と足じゃ全然違うけどね。本人がそう感じて上手くいってるのなら問題ない。
1時間ほど練習をし、俺は体育館を後にした。平田に声をかけたがもう少し練習するとのことだった。
「やほー。お疲れ様」
更衣室に向かうと、一之瀬が待っていた。
「お疲れ。もしかしてずっと待ってたのか?」
「まあね。はい」
一之瀬はそう言うと、タオルとスポーツドリンクを渡してきた。
「あ、ありがとう……」
「えへへ。なんだかマネージャーっぽいね」
一之瀬みたいなマネージャーがいたら、どんな部員も毎日練習頑張れそうだ。
「そうだな。着替えるからもう少し待っててくれ」
「うん」
タオルで汗を拭い、スポーツドリンクを飲み干してから着替える。制汗スプレーを思いっきりかけ更衣室を出た。
「お待たせ」
「ううん」
「タオル洗って返すよ」
「私が洗濯するからそのままでいいよ」
「え、でも……」
「いいから返して」
「は、はい……」
今の一之瀬ちょっと怖かった……。
「それじゃ帰ろっか」
「ああ」
体育館から下駄箱まで移動し靴に履き替える。
「ふふーん♪」
鼻歌をしながら履き替える上機嫌な一之瀬。
「何かいいことあったのか?」
「なんで?」
「何か機嫌がよさそうだから」
「……うん。いいことあったよ」
満面の笑みを浮かべて答える。
「バスケをしている界外くんが見れたから」
「……俺?」
「そうだよ。……カッコよかったよ」
「そ、そっか……」
好きな子にカッコいいと言われると照れるな。何回言われても照れる。
「球技大会も楽しみにしてるね」
「ああ。一之瀬はバレーとテニスどっちに出るんだ?」
「バレーだよ」
一之瀬がバレー。何だろう。急におっぱいバレーっていう映画を思い出してしまった。
「どうしたの?」
「いや、なんでもないっ」
「そう? そろそろ出ようよ」
「そうだな」
一之瀬に促され玄関を出て寮に向かった。
いつも通り彼女の歩幅に合わせて歩いてると、急に一之瀬が首を突いてきた。
「な、なんだよ……?」
「それ。虫に刺されたの。消えないね」
「あ、ああ。そうだな」
一之瀬とカラオケに行った時に虫に刺されたのだが跡が消えない。寝てる時に引っ掻いたのかもしれない。
「カラオケの部屋に悪い虫がいたんだろうね」
「そうだな。一之瀬は刺されなかったのか?」
「うん。……本当は私も刺されたかったんだけどね」
「……なんで?」
「界外くんとお揃いになるから」
にへへと笑みを浮かべながら言う。一之瀬の愛らしさにメロメロしてしまう。
「お揃いって……。馬鹿なこと言うなよ」
「あはは。ごめんごめん」
うん。今日も一之瀬を苛めたいという衝動はやってこない。いい感じだ。
「それより10月ってイベントが続くよね」
「そうだな。体育祭、球技大会、中間テストもあるな」
「その中間テストなんだけどね」
「ん?」
「また二人でテスト勉強しない?」
一之瀬と二人きりのテスト勉強か。期末テストの時もしてたけど、一之瀬が無防備な姿を晒したり、熟睡して泊まらせてしまったり、色々あったな。
「どうかな?」
「いいぞ。またクラスの勉強会が終わった後になると思うけど」
「うん。それじゃよろしくね」
「あいよ」
そんなわけで、一之瀬との勉強会が決まったのだった。
♢♢♢♢♢♢♢
「ふんふーん♪」
その日の夜。私は鼻歌を歌いながら帝人くんコレクションをベッドに並べていた。下着、ワイシャツ、ジャージ、靴下、そして今日収穫したタオル。
「帝人くんの汗が染み込んだタオル……」
昼休みにチャットで彼から放課後に体育館で球技大会の練習をすると聞いてすぐにタオルを用意した。運動部に所属していない彼の使用済タオルを手に入れる。こんなチャンスは滅多にない。毎朝彼と一緒に走ってる堀北さんならチャンスはあるだろうけど、彼女は私みたいな変態じゃないから思いつかないだろうな。
「お風呂入っちゃったけど、少しくらいなら……いいよね?」
風呂上がりなので我慢しようかと思ったが、我慢するのは身体によくないもんね。
そんな言い訳をしながら、私は彼の使用済タオルに鼻を押し当てた。
「ん……」
1時間以上バスケの練習をしていたからだろう。しっかりと彼の汗の香りがする。
「なんだろ、下着じゃないのに……これも変な気持ちになる……」
ぼーっと頭が熱くなって、体がふわふわするような奇妙な感じだ。
「……帝人くん、帝人くん……帝人くぅん……っ」
こんな風に匂いを感じてると、大好きな帝人くんに抱きしめてもらってるみたいで、幸せな気持ちになれる。
「まあ、エッチな気持ちにもなっちゃうんだけど」
どうしよう。入浴中に3回しちゃってるし、今日もやめておこうかな。でもムラムラしてきたし……。
「……うん。やっちゃおうっ!」
結局、1時間後にもう一度お風呂に入ることになった。
お風呂からあがり、髪を乾かし、洗濯物を干し終えると時刻は11時を過ぎていた。この時間だと彼はもう寝てるだろう。
「私と付き合っても寝る時間は変わらないのかな」
ちなみに私は毎日0時に就寝している。時折彼を思って自分を慰めたりして1時や2時に寝ることもある。夜更かししても肌は荒れないので今までは気にしていなかったけど、彼と付き合ったら彼の就寝時間に合わせないといけない。だって毎日彼の部屋で寝ることになるから。
「またテスト勉強中に寝たふりして泊まろうかな」
今日は彼と中間テストの勉強会の約束を取り付けた。1学期の期末は4位だったので、今回は2位を取れるように頑張ろうと思う。でも彼と一緒だと勉強に集中出来ないんだよね。彼はどうなんだろう。私と一緒にいても勉強に集中出来てるのだろうか。
「今回も色々と攻めてみようかな」
前回は谷間や透けブラを見せたけど、今回は別の方法で攻めようと思う。テスト勉強が始まるまでに考えないとね。
「……そうだ。画像フォルダの整理をするの忘れてた!」
いけないいけない。彼と先日カラオケに行った時の写真をPCに取り込むのを忘れていた。写真の内容は眠ってる彼の画像が100枚ほど。半分は下着を晒した私と寝そべってる写真だ。これを堀北さんと桔梗ちゃんに見せたらどんな反応するんだろう。
「まあしないんだけどね」
そんなことをしたら彼に私が変態だとばれてしまう。私が変態だと暴露するのは彼と付き合ってからだ。そうすれば彼も遠慮なく私を苛めてくれると思う。ドSの彼とドMの私。絶対相性抜群だよね。
「帝人くん帝人くん」
彼の名前を連呼しながら画像をPCに取り込む。内臓HDD以外にバックアップ用に外付けHDDにも画像を保存する。中学時代の画像を合わせると容量は10GBを超えていた。これが彼への愛の容量だ。付き合ったらもっと容量は大きくなるだろう。
「久しぶりに中学時代の彼の画像を見ようかな」
0時までまだ1時間はある。今日は昔の彼を目に焼き付けてから寝ようっと。
中2の終わりから中学卒業までの彼を順に見ていく。上条さんの真似や金木くんの真似をしていた頃の彼を見る。……さすがに白髪はやり過ぎだと思う。カッコいいからいいんだけど。
「もしかして彼が髪を綺麗に手入れしてるのって、髪ダメージを気にしているからかな」
ネットで調べたけど彼は小学生時代に髪を赤く染めてたようだ。そして中学で白髪。だいぶ髪を痛ませたと思う。だから高めのシャンプーやトリートメントを使ってるのかもしれない。
「本当帝人くんは可愛いところあるよね」
この前はデート中にシアバターが配合されてるハンドクリームを買ってた。彼曰く凄くしっとりしていて匂いもいいようだ。そこら辺の女子より美容に気を使ってる……。
「肌スベスベだったなー」
カラオケで彼の肌を堪能した。私の唾液も染み込ませたのでより綺麗な肌になってると思う。私も彼に舐められたい。もちろん顔だけじゃなくて色んなところを。……しまった。想像したら涎が垂れてきちゃった。
この日は寝るまでに5回も果てたので、布団に入ってからは体が疼くことはなかった。
明日からBクラスも放課後に球技大会の練習を始めるのでよかった。
でも練習に集中は出来ないだろうな。だって近くで彼が練習してるんだもん。絶対彼に目を奪われてしまう。
練習に集中してなかったら冴木さんに怒られそう。
冴木さん。
Bクラスの裏切り者。
彼女が龍園くんと繋がってると気づいたのは無人島試験の時だ。
金田くんと冴木さんが二人で行動してるのを気づかれないように後をつけたのだ。1年以上ストーカーをしている私にとって尾行はお手の物だ。
冴木さんが私を嫌ってるのは入学当初から知っていた。
彼女は私と学級委員長を争った仲で、投票で私が学級委員長に選ばれたのがいまだに納得していないんだろうね。後は彼女の大好きな神崎くんと一緒に行動してるのも気に入らないのだろう。
もちろん私は愛しの彼がいるので、神崎くんに恋愛感情はない。けれど恋する乙女にはそんなのは関係ないのだ。私も恋する乙女だから彼女の気持ちはわかる。
なので彼女に関してはしばらく静観するつもり。龍園くんにうちのクラスの情報を流す程度なら許してあげる。
ただ私と彼の仲を邪魔するなら容赦はしない。
その時は退学に追い込んであげるから気をつけてね。
球技大会編は次の話で終わりです