実力至上主義の学校に入学する。そして美少女と出会う。   作:田中スーザンふ美子

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ワールドカップ開幕しましたね。



7話 堀北のお兄様はDV野郎だった

 その日の夜。

 俺はなぜか夜風に当たりたい気分になり、寮の周りを適当に散歩をしていた。

 30分ほど散歩を満喫し、寮に戻る道の途中で男子生徒に襲われている綾小路を発見した。すぐ近くに堀北もいる。

 俺は気配を殺し、綾小路を襲っている男子生徒の背後にそっと近づき、そして……

 

「おらっ!!」

 

 思いっきり股間を蹴り上げた。

 

「ぐっ」

 

 急所を蹴られた男子生徒は、うめき声をあげ跪いた。

 

「な、なんだ、お前は……」

 

 男子生徒が俺に問いかける。

 俺は問いかけを無視し、男子生徒に向けて言い放つ。

 

「一体いつから……敵が綾小路だけだと錯覚していた?」

 

 男子生徒は俺の問いかけを無視する。そこはのってほしかった。

 

「綾小路、大丈夫か?」

「あ、ああ……」

「堀北も怪我してないか?」

「……」

 

 綾小路と堀北が唖然としている。

 後は俺に任せろ。先生に報告して処分を受けさせてやるぜ。

 携帯を取り出そうとポケットに手に入れたところ、痛みが少しは治まったのか、男子生徒が俺の方へ振り返った。

 

「……あれ? 生徒会長さん?」

「そうだ。ちなみに堀北の兄貴らしい」

 

 俺の疑問に綾小路が答える。

 そうか。堀北と兄妹だったのか。名字が同じだからまさかとは思ってたが。

 しかしこの人が橘先輩の尊敬する生徒会長か。

 理由はわからないが生徒会長が暴力を振るうとはショックだなあ……。

 

「まさか俺が気配に気づけないとはな」

「はぁ。とりあえず茶柱先生に報告していいですか?」

「好きにしろ。ただここに監視カメラはないぞ」

「知ってますよ。でも証人が3人もいれば問題ないでしょ。な?」

 

 綾小路と堀北に同調を求める。

 

「いや、俺は一発も殴られてないからな。それに面倒くさそうだし、先生に言わないでくれると助かる」

「私からもお願い……。このことは誰にも言わないで……」

 

 ええ、なぜに……。まあ、2人がいいならいいけど。

 

「2人に感謝することですね。それと橘先輩が尊敬している会長さんなんだから、あまり後輩をがっかりさせないで下さいよ」

「……そうか、お前が橘が気に入ってる界外か」

「どうも」

「鈴音、お前に友達が居たとはな。正直驚いた」

 

 俺と堀北が友達? この会長さんは何を言ってるんだ。手作り弁当に白米だけ渡してくる女子と友達になれるかよ。

 

「彼らは……友達なんかじゃありません。ただのクラスメイトです」

「そうです。俺と堀北が友達なんてありえない。ただのクラスメイトです」

「仲がいいんだな……」

 

 生徒会長の眼鏡は曇っているようだ。

 

「まあ、いい。鈴音、孤高と孤独を相変わらず履き違えているようだな。それからお前。綾小路といったか。お前ら2人がいれば少しは面白くなるかもしれん」

 

 そのまま生徒会長は、俺たちの横を通り過ぎ、股間を押さえながら内股で闇へと消えていく。

 上半身はカッコいいのに下半身がかっこ悪いですよ、会長。

 

「俺は寮に戻るけど、綾小路と堀北はどうする?」

「堀北。助けてくれた界外に経緯を説明した方がいいと思うんだが、どうだ?」

「……そうね。ただ他の人には言わないで……」

 

 どうやら今回の件について教えてくれるようだ。

 それよりこんな弱弱しい堀北を見るのは初めてだな。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 場所を俺の部屋に移し、綾小路と堀北から生徒会長に襲われることになった経緯を聞いた。

 おいおい、あの会長さん、堀北に暴力を振るおうとしてたのかよ……。

 やはり茶柱先生に報告すべきだったか。

 実の妹に暴力を振るう兄貴って……。某魔法少女の兄貴と同じサイコパス野郎なのか。

 あんな特殊性癖の兄貴を持つなんて堀北もついてないな。

 

 時間が経ち、話題は堀北主催の勉強会に変わっていた。

 堀北は完全に須藤たちを切り捨てたようだ。須藤ならスポーツ関連の行事でクラスに貢献してくれそうだが、堀北にとっては彼はもう不要な存在なのだろう。

 綾小路は堀北の考えを否定している。綾小路も自分の意見を押し通すことがあるんだな。

 2人の話を黙って聞いてると、2人が出会ったバスの出来事を話し出した。2人とも、老人に席を譲る気なかったのかよ……。

 そして綾小路は、堀北の欠点を指摘し出した。他人を見下す考え方こそが堀北がDクラスに落とされた決定打、だと。

 そうだろうな。その考え方が原因で協調性もなくなってしまったのだろう。俺も人のこと言えないけど。

 俺もそろそろ会話に参加するか。

 

「堀北」

「なに? あなたまで綾小路くんと同じことを言うつもり?」

 

 おお、堀北が今まで一番苛立ってらっしゃる。

 綾小路もよくこの状態の堀北相手に意見言えたな。

 

「最近入手した情報なんだが」

「情報?」

「自身が所属している部活動で結果を残すと、プライベートポイントに反映されるようだ」

「そうなのか?」

 

 綾小路が確認をしてくる。彼も初耳だったんだろう。そりゃそうだ、俺が今でっち上げたからな。まあ、確認すれば事実かもしれないけど。

 

「ああ。確か須藤って1年生でベンチ入りしてるんだろ?」

「そうだな」

「プライベートポイントを多く持っておくことに越したことはない。必ず自身やクラスメイトの役に立つはずだ」

 

 この情報を聞いて堀北が少しは落ち着いて客観的に考えてくれればいいんだが。

 正直、須藤たちが退学しても俺はどうも思わない。須藤に関しては入学当初から俺のことをよく睨んでくるので、むしろいない方が落ち着くまである。

 ただ、須藤たちが退学になると綾小路を悲しませちゃうことになるからな……。これくらいなら助け船を出してやろう。

 

「まだあいつらを切り捨てるのは早いんじゃないか?」

「……そうかもしれないわね。でも池くんと山内くんはどうなの?」

「え」

 

 どうしよう。あの2人のことは全然わからない。うざいイメージしかない。

 

「池はお前たちにないコミュニケーション能力を持っている」

 

 綾小路が池の魅力について説明する。

 なんで俺を含めた。

 

「山内は……山内はだな……」

 

 山内アウトー。どうやら友人の綾小路でも山内のいいところは見つからなかったようだ。

 

「……もういいわ。私は私自身の為に須藤くんたちの面倒を見る。これから先有利に運ぶことに期待しての打算的な考え。それでもいい?」

「いいんじゃないか。なあ、綾小路」

「そうだな。その方が堀北らしい」

 

 こうして無事に堀北への説得は成功し、再度、堀北主催の勉強会が開かれることになった。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 綾小路、堀北との話し合いから3日が過ぎていた。今日も俺は平田主催の勉強会に参加している。

 どうやら堀北主催の勉強会は、順調に回っているようだ。これでまた崩壊したら笑うしかないもんね。

 

「界外殿、わからないところがあるでござる」

 

 口調が特徴的な外村から声をかけられる。リアルに侍口調を使うやつっていたんだな。確か博士ってあだ名で呼ばれていた気がする。俺も博士って呼んだ方がいいのかな。

 

「あー、ここか。この数式はだな―――――――ん?」

 

 ふと外村のスクールバッグを見ると、俺の好きなアニメのキーホルダーがぶら下がってるのがわかった。

 

「外村もアニメ好きなんだな」

「もしや界外殿もでござるか!?」

「ああ。ゼロツー可愛いよな」

 

 そのまま俺と外村改め博士は、勉強をするのを忘れてしまうほど、熱いアニメトークを繰り広げた。おかげで篠原に注意されてしまったが気にしない。

 まさか、クラスメイトにアニオタがいたなんて。しかも同性。これは大きい。一之瀬ともアニメの話はするけど、ちょっとエッチな作品の話は避けていた。女子とおっぱいドラゴンの話なんて出来ないからね。

 その日は博士とアニメ鑑賞会の約束をしたところで勉強会はお開きとなった。

 あ、肝心なものを平田に渡すのを忘れてしまった。まあ、翌日に渡せばいいか。

 

 

 

 翌朝。俺は自席に堀北と平田を呼び出していた。

 

「朝から悪いな。これを勉強会で使ってほしくてな」

 

 俺はそう言うと、鞄から封筒を取り出し、2人に一部ずつ渡す。

 昨日は渡すのを忘れてしまったので、朝のうちに渡すことにしたのだ。

 

「これはなにかな?」

「中間テストを想定して作った模擬問題だ。全教科分入ってる」

 

 平田と堀北が、封筒から中身を取り出し確認し始めた。

 

「凄い。いつの間にこんなの作ったんだい?」

「一週間前からちょくちょくな。使うタイミングは任せる」

「わかった。それとありがとう。非常に助かるよ」

 

 平田はそう言って、俺の手を握ってきた。やだ、ちょっと照れちゃう。

 

「これは使えそうね。よくやったわ。さすが私の助手」

「おい、俺がいつお前の助手になったんだ?」

「協力をお願いした日からよ。気づいてなかったの?」

 

 相変わらずの堀北の上から目線に少し腹を立ててしまう。平田の爪の垢を煎じて飲んだ方がいいんじゃないかな。

 

「……まあ、いいけど。助手よりテストの点数が低い堀北先生」

「喧嘩売ってるの?」

「俺は事実を言ったまでだ」

 

 俺と堀北がにらみ合い、火花を散らす。

 

「2人とも、喧嘩はよすんだ。仲良くしよう、ね?」

 

 平田が焦って仲裁に入る。だが俺と堀北が仲良くというのは無理な話だ。

 堀北は、もう少し他人を思いやる気持ちを持った方がいいと思うんだ。

 

「とりあえず、あり難く頂戴するわ。それじゃ」

 

 堀北は平田の仲裁を無視して、去っていった。

 

「悪いな、平田」

「いや。堀北さんももう少し丸くなってくれたらいいんだけど」

「それは無理だろうな」

「だよね……」

 

 平田がため息をつくと同時に始業のチャイムが鳴った。

 平田は「それじゃ」と言い、自席へ戻っていく。

 その後、俺は真面目に授業を受けながら、疑似問題のおかげで赤点を回避したクラスメイトたちから感謝される、という妄想にふけていた。

 しかし、その妄想が現実になることはなかった。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

「え、テスト範囲が変わった?」

 

 中間テストを一週間後に控えたある日、事件が勃発した。

 茶柱先生が中間テストの範囲が変更されたことを俺たちに伝え忘れたらしい。

 あの先生、なにやらかしてくれてんの?

 

「うん。疑似問題を作ってくれた界外くんには申し訳ないんだけど……」

 

 本当だよ。俺の一週間は何だったんだろう。なんか急にやる気なくなったな……。

 そういえば櫛田と話すのはこれが初めてなような。

 

「櫛田さんが謝ることじゃないよ。ね、界外くん」

 

 平田が俺を見ながらそう言う。確かに櫛田が謝る必要はない。むしろ言い辛いことをよく言ってくれたと思う。

 櫛田もいい子だなあ……違う、この子は問題児だった。

 

「そうだな。また勉強を頑張るしかないしな」

「うん。まだ一週間あるから頑張ろ!」

 

 櫛田はやる気ありますアピールなのか、握りこぶしを前に突き出した。……あざとい。

 この後、櫛田から連絡先交換の申し出があり、俺の携帯に新たに連絡先が1件追加された。

 

 

 

 木曜日の放課後。

 明日はいよいよ中間テストである。金曜じゃなく月曜にテストを実施してくれたらいいのに。そうすれば土日使ってじっくり勉強出来るんだけど。

 各自、帰宅の準備を始めようとしたところで、櫛田がクラス全員に向けて、声を発した。

 

「皆ごめんね。帰る前にちょっと話を聞いて貰えないかな?」

 

 櫛田を見ると、大量の紙の束を持っていた。

 もしかして、新たに疑似問題を作ったのか?

 

「明日の中間テストに向けて、今日まで沢山勉強してきたと思うんだ。そのことで、少し力になれることがあるの。今からプリント配るね」

 

 櫛田は列の一番前の生徒たちに人数分の問題、回答用紙を配っていく。

 

「配ってるのは過去問なんだ。昨日の夜に、3年の先輩から貰ったの」

 

 過去問か。でも同じ問題が出るものかねえ。

 

「実は一昨年の中間テスト、これとほぼ同じ問題だったんだって。だからこの過去問を解けば、本番で役に立つと思うの」

「うおお! マジかよ! 櫛田ちゃんサンキュー!」

 

 感激してテスト用紙を抱きしめる池。池と同じく小テストが赤点だった博士を見ると、櫛田を拝んでいた。

 

「何だよ、こんなのあんなら勉強しなくてよかったな。それに界外の作った疑似問題も必要なかったな」

 

 かちーん。確かにそうだけど、他人から言われるとプラチナむかつくな。

 てか、ほぼ同じ問題って何だよ。教師陣、仕事しやがれ。

 

「山内くん、それは界外くんに失礼だよ」

「だよね。それによく見れば被ってる問題もあるし」

 

 平田と松下が俺をフォローしてくれる。やはり持つべきは友達だな。……連絡先交換したから2人とも友達だよな? 急に不安になってきた。

 山内が「悪かった」と謝罪してきたが、耳に入ってこなかった。

 とりあえず明日から始まる中間テストに集中しよう。俺が気持ちを切り替え、教室を出ていった。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

「欠席者はなし、全員揃っているようだな。調子はどうだ?」

「そうですね。このクラスで赤点を取る生徒はいません」

 

 中間テスト初日の1時間目。不敵な笑みを浮かべる茶柱先生の問いかけに、平田が自信満々に答えた。

 

「そうか。もし、今回の中間テストと7月に実施される期末テスト。この二つで誰1人赤点を取らなかったら、全員夏休みにバカンスに連れてってやる」

 

 バカンスってどうせ学校の行事だろ。バカンスと言いつつ、無人島に連れていかれたりしてな。

 

「バカンス! 水着! ひと夏の経験! 皆、やってやろうぜ!!」

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

 池の台詞にクラスメイトの咆哮が続く。振り向くと綾小路も叫んでいた。あいつも健全な男子高校生だったんだな。

 やがて全員にプリントが回ってきた。そして先生の合図と共に一斉に表へと返した。

 

 

 

「博士、赤点は回避出来そうか?」

「もちろんでござる。全教科60点以上は取れそうでござるよ」

 

 休み時間。俺は博士の様子を伺いに来ていた。

 

「界外殿は?」

「今のところ全部満点だな」

「さすがでござるな」

「ああ。ボーナスゲットしたら一緒にいくら丼食べに行こうぜ」

「もちろんでござる。ちなみに界外殿の驕りで?」

「当たり前だろ。いくらでも食えよ。遠慮はいらねえさ」

「ふひっ」

「ふふふ」

 

 クラス内で俺と博士の2人しかわからない会話を交えてると、池と山内の驚くような声が聞こえてきた。

 須藤が寝落ちしてしまい、英語の過去問に手をつけていなかったようだ。

 

「須藤殿、大丈夫でござろうか?」

「さあな。てか、博士は人の心配してる場合じゃないだろ?」

「た、確かに」

「ちゃんと問題をよく読むんだぞ。ひっかけ問題にも注意だからな」

 

 博士への忠告を済ませ、俺は自席に戻った。

 5万ポイントゲットまでもう少し。焦らずいこう。俺はそう自分に言い聞かせ英語のテストを迎えた。

 

 

 

「マジヤバイんだけど」

「え、やばいって駄目だったのか?」

 

 テスト終了後。俺は英語を教えた佐藤の席に来ていた。

 

「違う違う。いい意味でのヤバイだって」

「あー、そっちね。驚かすなよ……」

「ごめんごめん。赤点は余裕で回避できたと思うよ」

「そっか。よかった」

「界外くんはどうなの? 1位取れそう?」

「多分な」

「マジ? ならなんか奢ってよ!」

 

 なんで俺が佐藤に奢らないといけないんだよ。俺は博士にいくら丼を奢らないといけないんだ。それにこのボーナスは一之瀬と遊ぶ時の軍資金として貯めておかねば。

 

「後ろ向きに検討しておくわ」

「奢る気ないじゃん」

 

 ないよ。

 そういえば須藤は大丈夫だったのだろうか。後で綾小路に聞くとするか。

 それより佐藤からこれ以上たかられる前にトイレに逃げよう。逃げるためにトイレに行くのも久しぶりだな。

 





来週の東京喰種は闇カネキが見れますね!

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