少し行き詰っている、変にアイディアが出て来て怖い。
ならば発散しよう、そんな感じで出来上がったのがこのお話です。
主に気まぐれ更新、ヒロインというか奥さんは決まっています。
一見、可憐な少女にしか見えない外見をしていた。
平安京の都を守護する侍の一人は視線を一人の少年に目を向けていた。
その体躯はどう見ても童のもので、年齢だって明らかに子どもだ。腕は硝子細工のようにか細く、少し力を入れただけで砕けてしまいそうな程だった。とても強そうには見えない、というか本当に子どもにしか見えない。
だがその実態はあの大陰陽師である安倍晴明、蘆屋道満に並ぶ大陰陽師であるのだ。
その証拠として少年の足元には数多の鬼の死骸が転がっていた。
鬼種と言うものは強大な力を秘めた存在である。
かつて大江山に住んでいた酒呑童子とその配下達を打倒する際に毒酒を仕込んで騙し討ったという話があるように、人間と真っ向から闘う等無謀にも程がある。
だというのにこの少年はその鬼の群れをいとも容易く滅ぼして見せたのだ。
「これが、これがあの博麗霊夢の実力か――――!」
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転生、この言葉は本来ならば仏教圏の言葉である。
ヒンドゥー教の言葉にも同じように存在するが違いはそこまで無いので同じとする。
基本的に転生という言葉の意味は生まれ変わり、死後新たな命になって別の生を送ると言う事である。
近年では神様転生と言う、チートを授かって新しい命を受けると言うのが存在するが割愛しておこう。
そして僕は文字通り転生したのだ。
ただ一つ、いや、三つばかり問題がある事を除けば僕もそこまで気にはしていなかっただろう。
一つ、それは前世の記憶を引き継いだまま今生を手に入れたことだ。
ぶっちゃけた話、前世の記憶なんか持たないままの方が良かった。だって無ければ現在、こうしてその事で気にすることも考えることも無かったのだから。
おかげで僕は赤ん坊の頃の時間を恥辱と後悔に塗れた生活を送ることになったのだから。
二つ、それは僕が『博麗霊夢』の性別以外の全てを持って産まれてしまった事だろう。
博麗霊夢――――それは東方projectの主人公の一人であり『楽園の素敵な巫女』と言う二つ名を持っている幻想郷と呼ばれる特殊な場所に結界を張っている存在だ。
詳しくは知らないが『空を飛ぶ程度の能力』という能力を持っており、僕は第二の生で自分の意思で空を飛行することが出来る。
正直な話、これは素直に嬉しかった。今生の外見が何処からどう見ても美少女にしか見えないという事さえ無ければ、空を自由に飛び回ることが出来るのだから。
空を飛ぶことは人間の夢の一つであるのだから。
他にもそれだけじゃない気がするが
三つ目、これこそが最大の問題にしてどうしようもない現実。
そう、僕が転生したこの世界は『Fate/』シリーズの世界であることだ。
どうしてこの世界がそうだと分かったのかについては、僕の養父が明らかにその作品のキャラだったからである。
その上、今の年代は現代と呼べるものではない。大昔、平安時代と呼ばれていた頃の日本なのだ。
所詮よくある、英霊達が生きていた時代に転生すると言う奴なのだろう。
とは言え、過去の記憶過ぎて『Fate/』の内容なんざ殆ど覚えちゃいないが。
と、以上がこの世界に生きることになった僕の事情である。
産まれた直後に口減らしとして捨てられ、龍神に育てられた後、今の義父に拾われた。
普通ならばとっくのとうに餓死している流石は博麗霊夢、並外れた幸運の持ち主である。
外見が女っぽくなってしまったが性別は男だし、むしろ生前よりも良くなったのではないだろうか。そう考えるとこの転生後の状態と言うのも案外捨てたものではない。
「おのれ、おのれぇ博麗霊夢!! 許さん、許さんぞ…………! この恨み、子々孫々の代まで決して忘れはせんぞ!!」
ただし修羅を地で行くこの世界で生を受けなければの話だが。
場違いなことを考えながら、ついこの間買った大陸からの渡来品である白い刃と黒い刃の夫婦剣で鬼の首を刎ねる。
太極図が刻まれているこの剣によって首を落とされた鬼の肉体と頭部は地面に落ちた瞬間、蒼い炎に飲まれて消え去った。
確か干将・莫耶と言ったか、この剣かなり便利だ。僕が使う術を使う際の補助も出来るし。
弱点を強いてあげるとするならば刀身が短い事だろう。双剣なんだからそれで十分だが。
「ん、鬱陶しい呪いだな。邪魔邪魔」
自らの身体に纏わりつく邪悪な呪いを手で払い除ける。
ついでに鬼の死骸で汚染されたこの場所の呪いを自らの魔力で祓い、浄化する。
「―――――お見事です」
「良いよ。当たり前のことをしただけだし」
護衛として着いてきた侍の人が驚愕に満ちた表情を浮かべながら、お世辞でも無い賛辞の言葉を言う。
別に護衛なんかいらないと言うのに勝手について来たのだ。いや、僕の事を心配してくれるのは素直に嬉しいがだからといって要らないものは本当に要らないのだ。何かの間違いがあって死なれたら大変だ。元の時代に比べて人の命が塵芥のように軽いこの世界でも、人の死は出来得る限り見たくはない。
「一応言っておくけど僕だけがこんな事を出来るわけじゃ無い。似たようなことを出来るのは他にも京の都に居るよ。晴明や道満とか」
「…………それは殆どの陰陽師が出来ないと言っているようなものじゃないですか」
「いやいや、誰だって頑張れば出来ると思うよ?」
そんな風に会話しながら残った鬼の角にお札を張り、箱の中にしまう。
いかに浄化や退魔の力を持った武器で命を奪い、その死骸を残さないように燃やし尽くしても僅かな欠片が残ることはよくあるのだ。
邪悪な気は完全に消失している為、最早害なんて欠片も存在しないが念の為だ。
世の中には外道と呼ばれる存在が居る(主に道満)。
そんな奴等の手に渡ったら何するか分からない。
いくら邪気が無くなろうとこれは鬼の角であることには変わらないのだから。
「さて、鬼退治も終わったしそろそろ京の都に帰ろうか」
護衛の侍にそう告げて来た道を戻って都の方に戻ろうとする。
すると甲高い声を上げながら子ども達が僕の前に駆け寄って来た。
子ども達は喜びと尊敬に満ちた目で僕を見上げ、笑顔で感謝の念を告げる。
「すっげぇ!! ねえちゃん、あの鬼達をたおしたのか!?」
「わたし知ってる! おねえさん、おんみょーじって言うんでしょ!」
「ありがとうおねーさん!!」
天真爛漫、純真無垢、無邪気の三つの言葉を併せ持った子ども達から向けられる尊敬の視線に思わずたじろいでしまう。
「おいコラ! 貴様等、このお方を誰だと思って」
「良いよ。気にしなくて」
怒鳴り声をあげて子ども達を散らそうとする護衛の人を手で静止し、その場にしゃがみ込んで子ども達の頭を撫でていく。
「もう大丈夫だよ。きみ達に悪さをする鬼は僕がやっつけたからね」
微笑みながら優しくそう言うと子ども達は満面の笑みを浮かべる。
この世界は人間に対してあまりにも無慈悲で、時代は人間の命をゴミ屑のように吹き飛ばしていく。
人々は日々の生活にだって困ることが多く、恵まれた生活を送っていることが時折辛くなることがある。
それでも子どもの笑顔だけは何一つ変わらない。
貧しくとも辛くても、この子ども達の笑顔だけは奪われないようにしなくちゃいけないのだ。
だから僕は決めたのだ。例えこの力が誰かから貰った文字通りの授かりモノだったとしても、この力で救える人は救って見せようと。
そんな事を考えながら毎日を過ごし、文字通り有言実行していたらいつの間にかあの晴明と道満に並ぶ陰陽師になっていたのは正直やり過ぎたと思っている。
と、いうか僕陰陽師じゃなくて一応侍なんだけどなぁ。
乾いた笑みを浮かべながら子ども達をあやす。
今日もいつもと変わらない、騒がしい一日だった。
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これは『博麗霊夢』の力を持って平安時代に転生した少年の物語である。
平安時代の日本において様々な問題とぶつかりあったり、普通じゃあり得ない経験をする。
そして後に英霊となり、西暦最後の神殺しと呼ばれることになる物語である。