すみませんが、この仕事辞めていいですか?……ダメですか(ただいま期間未定の休み中です!   作:白桜

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始まり

 「廃校ですか?」

 

 向かい側に座る女の子は、私が言ったことに対して少し困惑の表情を浮かべ聞き直す。

ここは日本の省庁が集まる霞が関、その中にある文部科学省の学園艦教育局室内に黒いメガネにスーツ姿の男性と小柄な活発そうな制服を着た女の子が向かい合って座っている。

 

 「えぇ、廃校です。3年後に廃校、来年度からは新入生の受け入れを行わないとするのが本来ですが再来年度前には廃校となります」

 

 「廃校の理由に納得いきません。それに廃校と言われてもいささか急ではないですか?」

 

 自身の通ってる高校が廃校と聞いても落ち着いてるとは、変に取り乱されるよりはましか。

 

 「先ほど申した理由に納得していただくしかありません。急だと言うのも分かりますがそちらも納得していただきたい」

 

 「あとできれば今年度中に納得していただきたい。納得していただいた後、来年度中に在校生の受け入れ先を決めていきますので。」

 

 「安心してください、在校生全員の受け入れ先は必ず決めてからになります。あと単位等の違いで受け入れ先で進級や卒業できないと言うことにはならないようにしますので」

 

 「廃校の撤回はできないのですか?」

 

 「残念ながら。私としては、昔は戦車道が盛んだった大洗が廃校となるのは残念ですが」

 

 「戦車道……じゃあ、戦車道の大会で優勝したら廃校を撤回に?」

 

 「……もし、そうなったらありえるかもしれませんね。高校戦車道大会で優勝できるほどの実力校の廃校には反対が多いでしょうし。その状況になれば撤回の検討もあるでしょう」

 

 「なら見ててよ、戦車道を復活させて私たちが優勝するから。大洗を廃校させないよ」

 

 「まぁ、頑張ってください。廃校については待ちましょう、帰りも送らせますので」

 

 「ありがとうございます。では」

 

 女の子は立ち上がり部屋を出る直前に、私は声が出ていた。

 

 「貴女方に少しでも良き未来ががありますように、祈ってますよ」

 

 

 

 扉が閉まり部屋には私1人のみ、冷たくなったお茶に口をつける。

これから大洗まで帰る彼女のことを少し思いつつ、なんで私が廃校なんて伝えることになったのか思い出すことにした。

 

 

 

 

 もう少しで第62回の戦車道全国高校生大会というとても忙しいなか、それは突然だった。

 

 「私が……局長にですか?」

 

 「そう、君がね。まぁ、今までの局長が戻ってくるまでの間だけど」

 

 話を聞くと私の上司にあたる局長が今入院しており退院し職場復帰するまでの間、私が局長になるとのこと。

そう言えば最近、局長を見てないよねって皆の話題になってたけど入院とは……まさか、何かやらかしたんじゃないよな?

嫌な疑問はおいといて、局長になれるなんてとてもの出世だが私はそこまで能力は無いぞ。

今まで頑張って同僚に遅れまいと必死にしてて余裕はなかったんだと、言いたくても言えなかった。

目の前の雰囲気というか圧と言うか、これは決まり事なんだって分かってしまう。

これでは何も言えない小心者の私である。

 

 「局長については分かりました」

 

 「お!そうかい、それは助かるよ。話が分かるの部下を持って前の局長も幸せ者だねー」

 

 じゃあ、いろんなことは後々に通達がくると思うからよろしくっと、いい笑顔で去っていくのを見てなんで私がっとまた思う。

 

 

 

 ここで代理的に局長となる私について説明しとこう。

生まれは近江の国、赤備やとある猫で有名な町で年齢は28くらいとしとこう。

普通に義務教育を終え、高校も高くもないし低くもない。

今となっても何故かは思い出せないけど大学だけは頑張った、死に物狂いで勉強したのとちょっとした趣味が助けになり思ってたよりいい大学に入ることができた。

その大学で仲良くなった先輩からお声がかかり今の職業につくことができた。

あーひとつ言っておくが不正的な入り方はしてないことはしてないぞ!

……あんまり使われない採用試験方法だったのは認めるけど、しっかり認められてるものだからな!

入省後、学園艦に関する全てを担当する学園艦教育局に配属され今に至る。

 

 学園艦教育局を少し触れておくと、学園艦に関する以外にも担当してることが。

それは戦車道である。

戦車道については少しややこしく、学園艦教育局か他の省庁なのか時たま迷うことがあると聞く。

簡単に言うと、中学校から大学等の戦車道は学園艦教育局。

それ以外の社会人の戦車道は他のところでいいと思う。

あー小学校についても学園艦教育局となってる。

小学校の学園艦はないけど小学校と中学校で別々なのはっていう感じらしい、詳しいことは他に聞いてくれ。

 

 最後に、実家と家族について。

両親に妹が2人で私となり、両親以外は実家以外で暮らしている。

実家については特に何もないけど、複数の戦車はなぜか持っている。

細かい名前は省くけど、家より戦車置き場の方が広いってどうなのかと今でも疑問だが。

そんな訳で私含めて兄妹は幼きころより戦車にかなり触れてきた。

外で遊ぶと言えば戦車に乗り、疲れたからと休むと言いつつ戦車掃除やちょっとした修理をするといった記憶で溢れる子供時代。

今でも時間や休みが合えば共に戦車で走り回ってる、戦車は癒しだな。

 

 そう言えば、妹達は仲良く同じ高校に進学したとメールで知ったなー

後、寮生活するからと荷物と一緒に戦車持っていった妹達、戦車道する気満々だな。

大会あれば見に行かねば……休めるといいが。

 

 今では趣味となってる戦車乗り、そのおかげで大学入試と採用試験が助かったものだ。

両方とも技能試験的なものがありその中には戦車もありそれを受けた私、頭が微妙でもそっちがよく合格もらえたものよ。

なので、入省後は戦車道に関わることが決まってたんだけど……

 

 思ったより長くなった私の説明はここらへんで、なんで長くなったのかこれまた疑問。

 

 

 

 

 局長になるように言われてからはや数カ月、年が変わっても仕事が忙しいのは変わらないようだ。

この数カ月の間は私にとって休む暇がない日々であり、とても頭が痛くなることもあった。

局長うんぬんの日から間があかずに局長になるのを改めて言われて、夢でなかったのかと思いつつも局長としての仕事を始めた。

その最初は開催が迫ってた戦車道の全国高校生大会、関係各所に局長が変わったとの連絡をしつつ部下からの書類に判子押したりおかしいところが無いか見たりしていた。

……部下がすごすぎて私のやることが無いなと何度も思ったのは内緒だ。

大会に関してはさらっと。

それまで9連覇してた高校が敗れて10連覇にならなかったとだけ。

 

 大会後のエキシビションマッチを仕事としてとはいえ見に行けたのは嬉しかったな、昨年まではそんな暇なかったからな……局長になれてよかったと思えたひとつになっている。

 

 他には各地にある学園艦を見て回った。

その結果、ある程度の学園艦が老朽化の問題になっており、これらを直すのにいくらかかるんだと頭を抱えることに。

部下にもしも直すならと費用計算させその結果を見て、これは無理だろうと思えてしまったのはここだけの内緒。

以前から学園艦教育局内では、学園艦の統廃合について何度も話題に出ており実際どうなってるのか気になっていた。

見て回って感じたことと費用を見て、いくつかはする必要があるなと局内で候補となる学園艦を決め、慎重に局内で話しを進めることに。

 

 そうそう、他にもうちの局外から流れてきた仕事があった。

3年後にある戦車道の世界大会の誘致に向けて国内プロリーグをという流れが出来てるらしく、上からプロリーグ設置委員会を作れと。

局内は手が余って無いなかこちらもなんとか進めてる。

 

 そんなこんなで慌しい日々、気づけばお正月になっていた。

お正月休みが欲しいと願いつつ帰り支度をする私、おせち買って帰るかと心に決める。

帰り道に立ち寄ったお店で残ってたおせちを買った直後、スマホが鳴っているのに気付く。

慌ててスマホを確認するとメールが届いており、内容は数時間後にとある場所に来るようにとのこと。

 

 「これは……面倒事にしか思えんぞ」

 

 すぐさま返信メールを送り、スマホをしまう。

面倒事と分かっても行かないといけない、ため息が出る。

 

 「ん?いつの間に雪が……積もる前に帰れるといいな」

 

 

 何とか雪が積もる前に帰宅できた。

雪が積もって電車が遅れましたなんていやだったからホッとする。

さっさと呼び出し前に買っていたおせちを食べるために洗濯やお風呂等をすませねば。

そうそう、さっきあった呼び出しの内容は。

 

 「どこから学園艦統廃合なんて知ったのやら。まだ他には出してないが」

 

 そう、局内のみで出ている統廃合について上から指示と言えるのがきた。

私としては候補艦のなかからゆっくり絞っていき決め外にと思っていたんだが……

霞が関、やっぱこえーわ。

いやだわー

 

 「で、なんで統廃合候補第1号に大洗女子学園なんかね?あそこも確かに候補内であったが……」

 

 確かに大洗は候補内にはあった。

あったが、相当下の方にしておりそんなに重視してなかった。

それなのに上が突如に大洗を指名とは、それに不可解なことに速く進めろとも言ってきた。

さすがにそれは無理とは言っておいたが、上はいったい何を考えてるのやら。

 

 「まぁ、上からのことだし無視はできん。大洗とする案と引き続き他を探すのも同時に進めるとしよう」

 

 

 

 呼び出しから1ヶ月経ち、世間はチョコをどうするかで賑わってるなか私たち学園艦教育局はなんとか大洗の学園艦統廃合についての案がまとまった。

他のも探すのも一応進めているが、それは後々でもいいので大洗の方を優先してきた。

 

 統廃合となる為に大洗の学園艦は廃艦、学園艦内にある大洗女子学園は同時に廃校に、現在いる在校生は皆どこかに転校する流れとなった。

 

 「さてさて、後はこのことを大洗の生徒会長さんに伝えるだけか」

 

 ひとまず、私が居る学園艦教育局室まで来てもらってそのなかで伝えたらいいか。

日時はこちらで指定と、部下に話があるから来るようにと大洗生徒会長宛てに郵送するように指示する。

 

 「後は、当日まで話す内容まとめておくかもう一度」 

 

 

 

 

 回想モードになっていた私、部下からの声で意識を今に戻す。

どうやら、大洗の生徒会長さんを無事に東京駅に送ったと聞き、私はホッとする。

車内での彼女の様子を聞くと落ち着いた感じとのこと、おそらくだが大洗に戻って他の生徒会のメンバーに今回のことを話すのであろう。

廃校については限られた人のみと言っておいたから広がることは無いだろう。

すんなり廃校になれば上にとってはいいんだろうが、私は大洗がこれからどう進むのか見てみたい。

 

 「そうだ。大洗の戦車道授業を復活するためいろいろな書類がいるだろうし、今から用意はしておくか」

 

 大洗から何かあれば対応できるように部下に指示しとき、ちょっと溜まっていた書類確認を始める私であった。

 

 

 





(こぼれ話)

大学卒業後の進路としては文部科学省の学園艦教育局ともうひとつあった。
それは日本戦車道連盟である。
以前と違い最近は戦車道に興味を持つ男性も多く、連盟内スタッフでの男性も増えてきている。
戦車に幼き頃から触れておりその関係上、戦車道にも詳しい上に実際に乗ったりするため連盟にとっても戦車道のさらなる普及のためぜひとも入って欲しかったようだ。
なお、文部科学省と日本戦車道連盟に先輩または長年の知り合いがいるため就職先にどうかと声がかかったのであった。

妹たちは兄より戦車の腕が上であるが昔、小学校時代までは兄のほうが上であった。
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