雪の華   作:ウメ、

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旧一話を二つに分けました。
内容はほとんど変わりません。


第二話

 

 

*****

 

 

 

それからは毎日が充実していました。

爽先輩指導の下、取材に向けて練習をしていく日々。インタビューもきちんと答えられるようになりました。

実際の取材では見事揺杏先輩の作った衣装が採用され、カメラマンの方からは大好評でした。

私の特集記事が載ったWeekly麻雀todayが発売されるととても大きな反響があり、学校と出版社に私へのファンレターまで届きました。

 

「まさかファンレターまで来るようになるとは」

「本物のアイドルみたいです!」

「ユキはもう読んだのか?」

「全部では無いですが。“好きです”みたいな内容が多かったですね」

「今度はサイン練習でもするか?」

「サイン!?カッコいいです!」

 

少しずつアイドルに近づいていることに実感が沸いてきます。

私はもっと成果を出そうと躍起になり、その後も先輩たちとサインやダンスなどの練習を続けました。

爽先輩との最後の3ヶ月はそうして過ぎていきました。

 

 

しかし本来なら楽しいはずの時間でも私は心は霧がかかったように、彷徨い続けています。

理由ははっきりしています。爽先輩が進路を教えてくれないのです。

麻雀部の中でも気を使ってなのか、進路の話は誰もしません。

疎外感や孤独感が私を苛みます。直ぐそばにいた先輩たちが遠く離れてしまったような、そんな心境です。

 

 

 

卒業式が間近に迫ってもそれは変わりません。いつもと同じように普通に過ごします。

先輩たちのその様子は

「別れることが当然で誰も気にしていない」

私の目にはそんなふうに写ります。

 

私にとって有珠山高校麻雀部は、この5人は特別です。

それをありふれたものだと言われているようで。

ついに私は我慢ができなくなりました。

 

 

 

ダンッ

 

「何故ですか!?」

 

突然の大きな音に注目が集まったところで、感情の勢いに任せて捲し立てます。

 

「みなさんは気にならないんですか!?」

「どうしたのユキ?落ち着いて」

「この麻雀部は、5人での活動は終わってしまうんですよ?なのにどうして普通にしていられるんですか!?」

「なにもずっと会えなくなるわけでもないし」

「爽先輩はどこに行ってしまうかもわからないんですよ!!」

「会いたいと思った時に会えれば大丈夫です」

 

私との温度差に愕然としますが、改めて考えてみたら当然のことでした。

この1年だけの付き合いの私と、それぞれ長い付き合いのある先輩たちでは考え方が違うのは当たり前です。

先輩たちには一度別れても必ず再会できる、それだけの積み重ねがあるのだと思わされます。

 

「爽先輩はどこに行くかも分からないのに・・・会いたい時になんて会えません!!」

「そっ、そんなことないんじゃない?」

「あります!一度別れてしまったら二度目は無いかもしれない!」

「爽がユキをほったらかしにすると思うか?」

「それじゃあ毎日会いに来てくれますか、爽先輩?」

 

ここまで1人黙っている爽先輩に直接問いかけます。

 

「・・・・・・」

「なぜ黙っているんですか?」

「・・・・・・」

「私には話言葉もありませんか?」

「・・・ユキに行く大学言ってなかったっけ?」

「へっ・・・?」

 

前に何度かはぐらかされてから、直接は聞いていませんでした。部活中も皆が避けていましたし、触れてはいけないのだと思っていました。

もしかして・・・

 

「私は誓子と同じ近くの大学に行くぞ。会おうと思えば毎日でも通える距離だな」

 

先輩はアハハとわざとらしく笑っていますが、私の中で歓喜、驚愕、疑惑などいろいろな感情が入り乱れます。

 

「・・・本当なんですか?」

「もちっ!」

「ゆ、ユキちゃん勘違いしてたんですかー?」

「さっきのユキはなかなか迫力あったな」

「もうどうなるかと思ったわよ」

 

部室が安心感で包まれていきます。

私の中から喜びが溢れだし他のモノを押し流していきましす。

自然と零れ落ちる涙を止める術がわかりません。

 

「ユキちゃん泣いてるんですか?」つハンカチ

「どうしたユキ?私が遠くに行かないことがそんなに嬉しいか」

「あまりにも呆気ない事実で呆れたんでしょ」

「爽は遠くにいても近くにいてもあんまり変わらないもんな」

「それはどういう意味かな?」ムム

 

先輩たちの言葉が少し怪しかったことも、もうどうでもよくなっていました。それよりもこれからも一緒に過ごして行けるのだという事実だけで私はいっぱいです。

 

「爽先輩は卑怯です」ヒクッ

「ユキまで!?私に味方はいないのか?」

「今回は爽が悪いわね、ちゃんとユキに伝えないから」

「そうです。私に謝ってください」アハハ

「だー!もう。申し訳ありませんでしたー!」

 

 

部室はいつも通り笑顔に包まれます。

先輩たちはいつも通りで、なにも変わりません。

私が勝手に思い違いをしていただけです。いつでも私の大好きな先輩たちです。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

卒業式の日まで、いえ卒業式が終わっても変わることのないまま、爽先輩と誓子先輩は卒業していきました。

 

有珠山高校麻雀部はこれからも変わらず活動を続けていきます。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

結局あの出来事はただの勘違いでした。

でもあの時私は気づいたんです。

獅子原爽という人間が私の大事な部分をどれだけ占めているのか。

私が気づかないうちにそれはとても大きく広がっていました。

 

 

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