東方十能力   作:nite

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どうやら今回で総投稿数が100らしいです。ここまで書き続けていられているのも読者がいらっしゃるおかげです。ありがとうございますm(_ _)m


九十七話 進軍

ヤマメたちを救出して三日ほど。

ペットたちの情報が全て敵の情報というわけではないので連戦連戦というわけではないので疲労度合いはそこまでだが、その分得ることも少なかった。

そもそもこの三日間一度としてこいしの情報を得ることができなかったのだ。

さすがにここまで動けば相手も俺たちの目的を知って、俺たちに情報を渡さないように画策したのかもしれない。

俺たちは毎日会議をして、どうすれば見つけられるのかを話し合っていたがまともな案も出ず、実は地上にも捜索の範囲を広げていたが地上部隊からの報告は皆無だった。

そして今日。既に恒例となっている作戦会議に赴くために食堂へと向かう。朝食を食べながら会議をして、食べ終わったらすぐに準備ができるようにしているのだ。帰ってきたら夕飯を食べながらの会議、昼食は食べない時の方が多く食べたとしても情報を整理しつつという全く余裕がなかった。

 

「おはようございます」

「ああ、おはよう」

 

さとりたちとは挨拶をするだけ。

地底に来たときは他愛のない世間話などもしていたが、こいしがいなくなってからはしなくなった。それだけ精神的な面で疲れているのだろう。

さとりとて地霊殿で待っているだけではなく、ペットたちに指示を出したり自らも周囲の捜索をしたりで俺と同じ、若しくはそれ以上疲れている。

 

「それでは今日の会議を…『定晴はいるかー!?』」

 

さとりがいつものように始めの言葉を言おうとしたら地霊殿の玄関から俺を呼ぶ声がした。

この声は俺を気絶させた勇儀のもので違いないだろう。

さとりの声は確かに小さい方ではあるが、ここから玄関ホールまではそれなりに距離がある。それでもさとりの声をかき消すとは相当な声量の持ち主だな。

いつの間に向かったのか、しばらくしたらお燐が勇儀を連れてきた。俺に用があるらしいが…

 

「定晴。私としては再戦したいところだが、今はそれどころじゃなくてね。旧都に…地上侵略派の軍勢が急に現れた。数千…一万以上いるかもしれない。こちらとしても変なことして地上の奴らに目をつけられたくないし止めようとしているのだが、どうも数が多くて…」

「さすがの俺も数千単位の敵を相手にするのは不可能だ。第一俺の能力は対軍に向いてない」

「それは分かってる。私達も協力はするから、できる限り手伝ってもらえないかい」

「こちらも一人ではないなら…取り敢えず現場に向かおうか」

 

どうやら旧都に突然の出現。

フラッシュモブのように少しずつ増えたのか、パッと急に現れたのかは定かではないが、よく数千の軍勢を誰にもバレずに仕込めたもんだ。

 

「こっちだよ!」

 

勇儀の案内で移動する俺たち。

というのも何かあった時のために残したペット数匹とさとり以外の全員が向かっていた。俺と鬼たちだけでは防ぎきれない。そう思ったからこそのさとりの配慮だ。俺の心を読んで合わせてくれたのかもしれないが。

地霊殿にいたヤマメたち三人も同行してくれるようで、旧都がめちゃくちゃになったり地上から目をつけられて四六時中監視されるのは嫌だとのこと。

 

「うわぁ…」

 

そう声を漏らしたのは誰だっただろうか。

しかし目の前には声を漏らしたくなるほどの惨状が広がっていた。

ここは既に軍団が通ったあとなのか道はボロボロになり、止めようとしたのであろう妖怪たちが道端に倒れている。

同行しているペットの内数匹を介護にまわし道を突き進む。どれだけ隠してきたにせよ、多くの兵を内包する軍が通る道は一つしかない。

地底と地上を繋ぐ、妖怪の山に存在している穴。パルスィがいたあの橋やヤマメたちの家があるあの縦穴だ。

あそこを行くのであれば色々と合点が付く。

まず地底の端の隠れていた敵の数の多さ。彼らはきっと見張りだったのではないだろうか。俺たちのような通行者を監視し、問題があれば報告する。そんな仕事を持つ奴らだったのではないか。

また、ヤマメたちの家を乗っ取ろうとした妖怪二人組。彼らはきっと休息地点を作る係だったのではないか。あの縦穴には多くの横穴がある。大きな縦穴を昇ることはそれなりに大変なことであるし、もし敵に襲われたときのためなどに休む場所を作ろうとしたのだろう。

きっと俺たちが見つけたのはたまたまで、他の横穴も別の妖怪が身を潜めていたのではなかろうか。

 

「なんて酷いやつらだ…」

 

隣で飛ぶ勇儀が歯を食いしばりながら悔しそうな顔で呟く。

地底でも相当な実力者がなぜ俺のところに来たのかと言うと、確実に俺に連絡するためだそうで、途中でやられでもしたら俺たちは気付かずに、ペットと一緒にこいし捜索をしようとした時に全てが終ったあとの地底を見るだけだっただろう。

そんなことしたら依頼を受けた者として紫に合わせる顔がない。

 

「お兄さん、あれ!」

「あれか!」

 

お燐が声をあげる。どうやら軍の最後尾のようだ。

しかしここで戦うわけにはいかない。後ろを攻撃したところで最前線の妖怪たちは先に進むだろうから。

軍団の頭上を飛行し無視する。一部俺たちに気付いて撃ち落とそうとした妖怪もいたが、最後尾にいるのは所謂下っ端でありそこまで強くない妖怪だ。

俺たちを撃ち落とすことが出来ず、逆にペットたちからの攻撃によって気絶させられた始末。しかも前の妖怪たちにも期待されていないのか振り向くことすらされず放置された。そのお陰で俺たちは見つかることなく飛んでいくことができた。

 

「あれが先頭かな…?」

「そうだろうよ…一部鬼が混ざってるな」

 

さとりの話では鬼は力を貸していないとのことだったが、やはり全員が全員そういった思考ではないため一部侵略軍に手を貸した鬼もいるようだ。

勇儀も悲しそうな顔をして先頭集団を眺めている。

 

「一番前に躍り出て止まれって言うか?」

「一応他の鬼たちもここら辺に待機させてある。呼べば来るだろうが…」

 

はたしてそれで敵う相手なのだろうか。

しかし援軍を呼びに行く暇はない。というよりも呼ぶ援軍がない。

現在この地底では三つのグループに分かれていて、侵略派、穏便派、傍観派の三つだ。そして侵略派はここにいる奴らでほとんどだろう。そして穏便派、俺達のことだが、ここら辺に待機している妖怪と既にやられた妖怪の二組に分けられる。傍観派に援軍は見込めないだろうし、穏便派は既にここにいる。

この状況で更なる援軍は望めそうもなかった。

 

「俺が…行くよ…」

「定晴…私たちも後ろで待機しとくからな」

「頼む」

 

今なお進軍している妖怪たちの前に降り立つ。

すると軍団の先頭は足を止め俺を見た。

さすがにここまでの数を相手にしたことはなく内心冷や汗をかいている。しかしここで怯むわけにはいかない。ここで弱気になれば瞬く間に飲み込まれてしまうだろうから。

 

「やはり来たか。地上の者。お前なら来ると思ったよ」

 

軍のリーダーのようなやつが話す。

俺のことはとうの昔に調べられ、俺のことは正直眼中にないという。

 

「お前の武器は知り尽くしてる。諦めて指をくわえて見ているか、俺達によって殺されるか。選べ」

 

多分、前者を選択しても俺は死ぬのだろう。

眼中にないとはいえ、勇儀と力比べでそれなりに拮抗した俺はそれなりに脅威としているらしい。そもそもそうでなければ俺のことは調べないだろうけど。そんな奴らが俺の事を放置するだろうか?まあ前者をとるという選択は元より俺の中にはないが。

 

「引かない、ということは死にてえようだな。お前ら、俺達の脅威をこの世間知らずのガキに教えてやんな」

 

リーダーは動かず、周囲にいた砲撃隊と思われる妖怪たちが妖力を集めだした。

どうやら多くの妖怪の妖力を一点に集めて放出する技のようだ。先頭集団にいるのはエリート。素早くチャージを終え俺に向かって射出される。

その速度、威力、範囲、どれをとっても最高級。

そして俺は刹那の内にその砲撃に飲み込まれたのだった。




お待たせしました。きりがいいところで終わろうとしたら3000文字となりました。申し訳ない
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