魔理沙、萃香と闘ってから二日たった。
昨日は色々霊夢のところで仕事をさせられて一日を過ごした。
霊夢に俺の料理を食べさせたところ、毎日作りに来なさい!って言われたので丁重にお断りしておいた。
今日は少し周囲の散策をしようと思い、家から出てきた。武器もあるし、妖怪に襲われても大丈夫だろう。
そして家を出てから三十分たった。
特にこれと言ったものはなく、ただひたすらに森を歩く。基本俺は空を飛ぶより地面の上を歩きたい派なので、能力を使わずに歩く。広い幻想郷じゃ飛ぶことが多くなりそうだがな。
暫く行くと、横の茂みの方から物音が聞こえてきた。
がさがさ
がさがさ
がさがさ
がさがさ
がさがさ
「何だ!」
凄い勢いでなにか近付いてくる音がする。しかも、確実に俺の方に向かってきている。素早く輝剣と結界を出し、臨戦態勢を取る。
がさ
出てきたのは、黄色い髪にリボンを付けた女の子だった。しかし感じるのは、確実に妖力。妖力を持つというのは妖怪である証。一部例外もあるが、幻想郷で妖力を持つ存在に会えば大体妖怪だと思って問題ない。
それにしても小さな妖怪だ。人里の子供と同じくらいの背である。妖怪は人間とは違う成長の仕方をするうえ、妖力量によっても変動する。彼女は生まれたばかりの妖怪なのだろうか。
「とても美味しそうな霊力なのだー」
俺の霊力を嗅ぎ付けて来たのか。
確かに霊力の量には自信があるのだが、それを妖怪に渡すつもりはない。それにしても、直ぐに襲ってこないところはそこら辺にいる獣みたいな妖怪とは違うようだ。
まずは会話をしてみる。俺は断じてコミュ障じゃないからな。
「なあ」
「ん?何の用なのだー?」
「いや、お前って妖怪でしょ?」
いつまで経っても襲ってこない彼女に質問。妖怪というのは基本的に人間を襲う。そこを否定しては妖怪としてどうなのだろうという意見だ。
「うん、そうなのだー」
「そして俺は人間だぞ?」
「それも分かっているのだー」
「じゃあ何で襲わないの?」
「へ?」
「へ?」
変な空気が流れる。
いや、だって、妖怪だよ?普通人間を襲うものだし、そんな疑問形で返されても困る。
「あ!あなたは食べて良い人間?」
「いや、駄目だけど」
「そうなのかー」
思い出したように聞いてきたが、俺が断ると直ぐに諦めた。いや、待て。それで良いのか妖怪。
「なあ、名前何て言うんだ?」
「私はルーミアっていうのだー」
「じゃあルーミア、そんな風に簡単に諦めても良いのか?それじゃ生きていけないんじゃないのか?」
これは人間である俺達、特に現代に住む人間にとっては分かりにくいものだが、妖怪の元となる妖力は人を驚かせるとかの感情もそうだし人間自体を食べることでも増える…が妖力が増えるだけではなく空腹が満たせるのだ。逆に言えばそうでもしないと食料は手に入らない。
「人里に行けば食べ物は手にはいるのだー。それに…」
「それに?」
「…いや、なんでもないのだー」
あそこは平然の如く妖怪が歩いているしな。ルーミアみたいな妖怪はけっこう多いのかもしれないな。人間のご飯で妖怪も腹を満たせるのか疑問ではあるが、そういうものなのかもしれない。俺は妖怪の生態を調べているわけでもないし、そこまで詳しいことは知らないのだ。紫に訊けば判明しそうな気もするけども。
「向こうから美味しそうな匂いがするのだ。それじゃ、ばいばーい。えっと…「堀内定晴だ」…定晴ー!」
「あ、ああじゃあな」
こんな優しい妖怪もいるんだな…優しいんだよな?
紫が目指していた【人間と妖怪の共存】には、人間を積極的には襲わない妖怪も必要なのだろう。紫自身も人間を襲うことは少ない(神隠しとかは普通にする)のでそこらへんは如何に本能を抑えられるのかがかかってくるのかもしれない。
俺も特に襲ってこなければ反撃するつもりは無いし、幻想郷には弾幕ごっこという老若男女出来る決闘方法がある。まだそこまで経験があるわけではないが、殺し合いというわけでもないしただの遊びとしてやってることも多いと聞く。
「外の世界とは大間違いだな…」
外の世界の醜さを思い出して一言。人間同士ですら滅ぼし合うのだ。幻想郷にそれが一切ないとは言わないが、人間同士で殺し合いなんてことにはなっていない。
散策した結果はルーミアに会ったぐらいで、それ以外には特に面白い物は無かった。案外俺の家の周囲は平和なのかもしれない。
刺激を求めるなら遠くに行くべきなんだろうなー。遠くにある山…とかな。
そんな事を思いながら家に向かった。
これにて一章終了です。
これから多くの住人と絡めていくつもりです。
これからも読んでくださると嬉しいです。