さっきの衝撃のせいかは分からないが何故か弾幕の密度が上がり俺の方に飛んでくる弾幕の量が増えている。
ただその目は未だに狂気に染まっているし、思考もまた混乱状態になっている…んだと思う。
だが、時折ハッとなるような素振りを見せ、しばらくしたらまた狂乱するという謎の行動が起きている。先程俺に投げかけてきたのは突発的なものではあったが、少しずつルーミアもあいつがしたよく分からないものに抵抗しているのかもな。
封印の準備をさるという霊夢は一度博麗神社に帰った。最初はここらへんで済まそうとしたようだが、俺とルーミアはずっと戦闘しているし、封印用の道具やらなんやらは神社に置きっぱなしだということで神社でしっかりと準備を整えたら戻ってくると言っていた。
つまりこの戦闘は霊夢が戻ってくるまでの時間稼ぎでよい。そう考えれば幾分か気持ちにも余裕が生まれるというもの。先程よりも損傷が少ないまま霊夢が去ってから十五分が経過していた。
この戦い方ならまだそれなりに耐え続けることは可能だが、出来る限り早くルーミアを楽にさせたい。なので霊夢には頑張れという念を飛ばし始めた頃に霊夢は手に今までルーミアが付けていたリボンより一回りほど大きいリボンを持って俺の近くに着地した。
霊夢は手に持つリボンを俺に見せびらかすように持って説明をする。
「このリボンは妖怪の力全般を封じることが出来る効果があるわ。ただこのルーミアは風見幽香くらいには強そうだから動きを止めるとか抑えつける程度しか出来ないと思うわ」
「それで?どうやってそれをルーミアに付けるんだ」
「簡単よ。今のルーミアはどうやら定晴さんばかり意識して他の事にはあまり注意していないみたいなの。だから定晴さんはそのまま戦っていて、私が後ろから無理やりにでも付ければ成功よ」
つまり俺は囮ということだな。
霊夢は作戦を伝えるとさっさと飛び上がりルーミアの背後の茂みに飛び込んだ。だがルーミアは気付いていないようだ。
このままスペルの一つでも発動させればきっとルーミアは俺に全意識を向ける。そこが狙い目だ。
適当に魔術のスペルを発動させる。威力も範囲も劣ってはいるが、現在ルーミアが意識しているのは【俺がスペルカードを使った】ということだけだろう。
ルーミアの攻撃が全て俺に向いたのを確認した後…霊夢が飛び出した。慎重に、でも大胆に。
そのままリボンを付けることができるかと俺がちらりと霊夢を見た瞬間…霊夢が倒れた。
まさか攻撃されたのかと思ったが、霊夢に攻撃が向いている様子はない。だが霊夢はルーミアの攻撃で倒れたと言ってもいいかもしれないな。
霊夢は腹部から血を流していた。
今すぐに介抱すべきなのだろうが、俺が霊夢の元に移動するだけで霊夢をルーミアの攻撃下においてしまう。誰か通り過ぎないかとも期待したが、生憎魔理沙が来るのももう少しあとの時間帯だ。
だがこのまま霊夢を放置すれば悪化する可能性もありえる。となれば…
「ぬおおおおお!」
「ヒッ」
突然の俺の大声にルーミアが一瞬驚く。
その瞬間俺は霊夢の元に駆け出し、ルーミアに背を向ける形で霊夢を抱きかかえ茂みに隠れる。
そして茂みに隠れつつ奥の方へ移動し、霊夢を木に腰掛けさせる。片腕が欠損しているせいで運び方が雑になってしまったが、その間はずっと再生をかけていたのでチャラということにしていただきたい。
霊夢が起きる様子はない。幻空から布を出して出血部をやや強く押し付けながら巻く。所謂圧迫止血だ。
他にも外傷はないかと確認したが、目で見える範囲では視認出来なかった。流石に相手が女子なので怪我しているからといって服を脱がすわけにはいかない。幸い命に大きな影響があるような怪我の具合ではないので今回はこの手当てで終わりにしよう。
ルーミアとのあれこれが終わればいくらでも再生をかけるタイミングはある。先にそちらを片付けてしまおう。
「さてと…」
元の場所に戻ることにしたのだが、現在俺は茂みの中にいる。ここからならばルーミアにバレにくい状態で相手を見極めることができると考えたのだ。
ルーミアは俺を探しているのか周囲をキョロキョロ見回している。
リボンは回収しそこねた為先程霊夢が倒れた場所に落ちているままだ。だがリボン自体の封印はきちんと効果を発揮しているらしく、ルーミアは触ることが出来ないようだ。
ここからの流れは…よし。
リボンを走りながら回収し、そのままルーミアに付けるというのが理想的のようだな。片手でリボンが付けられるのかは分からないが、もしもの時は結界も使って無理矢理にでも固定させるしかあるまい。
ルーミアがこちらに背を向けた瞬間、俺は茂みを飛び出した。霊夢の時とは違いなぜかルーミアは俺にすぐ気付き弾幕を展開してきた。
だが一拍遅い。リボンを回収することに成功したら、身体強化と風を使い一気に距離をつめてルーミアに接近。
そのままの勢いでルーミアの頭にリボンをタッチすることに成功したのだった。