東方十能力   作:nite

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二章 幻想郷探索
十一話 人里にて


現在俺は人里に来ている。

先日ルーミアに会った俺は人里が今どんな状況か気になったのだ。俺が家を立てる場所を探しにきたときに断れたあと殆ど訪れていなかったので今どのような状況なのかイマイチ分かっていない。

人里には比較的すんなり入れたが、慧音が言っていたように人里は人口が増えているようだ。商売の声や子供の遊び声などなど…。とても活気付いていて、人里が平和な感じがよく分かる。人口増えすぎ問題以外は特に平和そのものだ。

 

「おや、定晴じゃないか」

「慧音か。どうしたんだ?」

「いや、まあ、その…あの後、家に行けなくてすまなかったな。折角人里に来てくれたのに…」

 

もし俺が普通の人間であれば慧音は多少無理をしてでも人里に引き止めたのだろうが、紫を連れている人間が普通の人間であるはずがないという判断で断ったそうだ。

俺を見たときに霊力量が多かったことも一因しているらしい。

 

「別にいいんだ。特にこれといって問題なかったしな」

「最近寺子屋への加入が多くてな。あまり他のことに時間を割けないんだ」

 

慧音は寺子屋をやっていたのか。人里の守護もやっているのに大変だな。人里の平和を守りつつ子供達の面倒を見るとは…さすがに一人で寺子屋をやってるわけではないだろうが相当な負担になっているはずだが…疲れてはいるが嫌そうな気配はしない。自分の仕事に誇りを持っているのだろう。

 

「それで?人里には何の用で来たんだ?」

「今の人里はどんな感じなのか気になってな」

「見ての通り活気溢れているよ。一気に店とかも増えて凄く経済的にも発展している」

 

商人が声を張り上げ子供が駆ける。現代の外の世界ではもうあまり見ることができない光景が、確かにここにあった。

ついでにちょっとタブーな質問もしてみる。

 

「妖怪達は?」

「いつも通りぶらぶら歩いているよ。例えば、ほらそこに…」

 

そう言って慧音が子供集団を指さした。妖怪であるとバレず、人間に人里内で手を出さないならば妖怪もチラホラと人里の中にいる。

 

「「「「こんにちはー!」」」なのだー」

「うお!元気だな~。俺はもうそんなに大声だせるほど元気無いわ」

 

丁度通りかかった子供達が俺達に挨拶してきた。

バリエーションも豊かで、羽が付いている妖精や鳥、虫、そしてルーミアだ。先日森で会ったばかりなのだが、無事人里で食事にありつけたようである。

 

「おー、定晴なのだー」

「なに?ルーミア、この人間と知り合いなの?!」

「そうなのだー」

 

ルーミアが俺を見て反応したのを見て水色の子供がルーミアを見る。この力は…妖精か?珍しいものだが、幻想郷には結構いるらしい。とはいえ基本的に悪戯くらいしかしてこないので人里にいるのは不思議なのだが。

 

「チルノちゃん、いきなり[この] 扱いは酷いと思うよ?」

「大ちゃんが優しすぎるんだよ。あたいより弱いのは確かなんだから、下に見ても大丈夫大丈夫」

「でも…」

 

子供一人一人の名前を覚えないとな。最初は一番近くにいるチルノと呼ばれた子供から順番に声を掛けていく。皆は仲良しなのか、いつも固まっているようである。妖怪と妖精のコンビというのは変な感じだ。

 

「君たち、名前を聞いてもいいかな?」

「あたいはサイキョーの妖精チルノよ!」

「大妖精です…」

「ルーミアなのだー」

「リグル・ナイトバグです」

「ミスティア・ローレライです」

 

いや、名前知ってるしルーミアには訊いていないのだが…まあ良い。リグルって子やミスティアって子は苗字まであるように感じるのだが、ルーミアやチルノには無いのかな?いや、ミスティアたちのは種族名の可能性もある。妖精は一つにまとまったものではないからチルノたちにはないのかもしれない。

 

「俺は堀内定晴だ。宜しく」

「あなた礼儀正しいわね!あたいの部下にしてあげる!」

「いや、いいかな」

 

急に傘下への参入を打算されたが丁重にお断りする。残念ながら俺は年下の子供に偉そうにされて喜ぶ性癖は持ち合わせていない。

だがチルノはそれが気に入らなかったのか…

 

「あたいの折角の誘いを断るのね!なら此処で始末してあげる!」

「えぇ…」

「来なさい!」

 

半ば強引にチルノに引っ張られてしまった。見かけに寄らず力が強いな。勿論この程度ならば簡単に振り払えるのだが、子供を怒らせてもあまりいいことが無いからな。とりあえず言われたとおり一緒に行くことにした。

 


 

チルノに引っ張られた先は空き地だった。

 

「さあ、勝負しなさい!」

「いや、別にわざわざ勝負しなくてもよくね?」

「なにー!」

 

戦いといってもなぁ、未だに力の調整の加減が難しくて妖精相手じゃ消滅させてしまう恐れがあるのだ。流石に全力で、なんてことにはならないけど少し自信がない。

妖精だからしばらくすれば復活するから良いのだけど、人里でやりたいこともあるのであまり時間をかけて戦闘はしたくない。

 

「チールーノーちゃーん!」

「どうしたの大ちゃん?」

 

怒った顔をしている大妖精。それを見てチルノはきょとんとした顔で応える。何故この状況で疑問に思えるのだろうか。

 

「どうしたの?じゃないよ!初めて会った人なのに突然戦闘仕掛けちゃ駄目じゃん!」

「だって、こいつあたいの誘いを断ったのよ!」

「チルノちゃんのバカー!そんな些細な事でこんなことしなくても良いじゃん!」

 

至極ごもっともなことを言うな、大妖精。言いにくいし大ちゃんでいいか。いやいや、彼女らの中での愛称だし俺が言うのも変か。

あの子供グループの中で一番まともなのは大妖精なのかな?リグルやミスティアとは話していないから性格は分からないが、あまり大妖精ほど積極的に行くタイプでもないようだ。

大妖精の気迫に怯むチルノだったが、負けじと言い返そうとするが大妖精の言葉は止まるところを知らない。悪口にも聞こえるが、大妖精は随分と口が回るんだな。

 

「でも…」

「でもじゃないよ!自分の私情で初めて会った人に迷惑掛けちゃ駄目なんだよ!慧音先生に教わったでしょ!…すみません定晴さん、チルノちゃんの」

 

チルノの代わりに大妖精が謝った。本当によくできた妖精である。

 

「別に気にしてないから大丈夫だよ」

「行くよチルノちゃん!」

「むー、ここは大ちゃんに免じて助けてやるけど、いつかやっつけてやっつk…「早く行くよ!」…むー」

 

大妖精はチルノの保護者みたいな役回りなのかな?

随分と手慣れているみたいだったし、ルーミア達もこの一連の流れを慣れたように振る舞っていたからな。

今後チルノに会ったら毎回戦いを挑まれるのか…面倒だな。何度も相手するのは不必要だ…

 

「ばいばーい」

 

別れ際にルーミアたちが手を振った。一番の問題児がチルノといったころか…

子供達と別れた後、人里で料理に使う食料と面白そうな食材を買って家に帰った。

色々と珍しい食べ物があったので買ってみたのだが、苦かったり、辛かったり、硬かったり…しかも極端。

そりゃ外の世界から忘れ去られるわ。

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