東方十能力   作:nite

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百十九話 犠牲の塚

ルーミアとともに空を飛ぶ。

ルーミアに三途の川についてのことを色々聞いたのだが、大体のことは俺が知っていることと同じだった。

新しく知ったこと…というか思い出したことと言うべきか。閻魔たちが働いているのは彼岸であり、冥界とは違うまた別の死後の世界だという。

まあ妖怪にとっては基本的に縁のない場所だ。人間のための場所だといっても過言ではない。

 

「ずっと飛んでるのもあれだから太陽の花畑からは歩くけどいいか?」

「ん、いいよ。私は基本的に反論する気ないし」

 

ルーミアの了承を得て地上に降りる。

地底でのあれこれをしている間に向日葵が見事に咲き誇る季節が過ぎてしまった。見れるのは来年だな。

季節的には…秋なのかな。段々と分からなくなってきた。まあ秋真っ盛りになれば秋姉妹も活動しだし山々は紅く染まるのだろう。日本ならではの光景だな。幻想郷は異質な感じがするため分からなくなりがちだが、四季があったり日本家屋であったりを見るとやはり日本なのだなと感じる。

 

「三途の川はこっちだよ」

「ほう…」

 

夏の盛りを過ぎて元気の無くなった向日葵を背にすると見えるのはなんとも殺風景な道。なんとも言えない空気が流れている。

なんというか…本当に死んだ様な錯覚を得る道だな。花畑が近いせいか更に殺風景に見える。

俺が立ち止まっているとルーミアに腕を引かれる。

何も言わないルーミアだが、早く行こうという気持ちを伝えようとしているのか。

俺とルーミアはその殺風景の道をあるき出した。

そしてなんとなく開けた所に出ると、突然獣型の妖怪が俺を襲ってきた。開けた所で待ち伏せだなんて…とは思うが何故かここは若干霧が出ていて姿が見えにくいというのも事実。普通の人間ならば奇襲をかけられて死ぬだろう。そう、普通の人間ならな。

 

「おらっ!」

「がふぁ!?」

 

輝剣を召喚し斬る。

群れで動いている妖怪のようで、霧の中から現れたのは五匹。問題はないが少し面倒だな…そうだ。

 

「ルーミア、手伝ってくれないか?」

「私は…あなたの式神よ。そんな風に疑問系じゃなくて、命令をしなさい」

「え、えっと…ルーミア、やれ!」

「ふふっ、了解!」

 

ルーミアが弾幕を展開する。

今の封印はそこまで強いものではないから開放状態の時と同じように闇は操れるという。力が抑えられているから致死性のものは出来ないらしいが、弾幕ごっこが主流となっている幻想郷ならば問題ないだろう。

また目の前にいる弾幕ごっこを理解する事のできない妖怪もいるにはいるのだが、その程度の妖怪にルーミアは負けないので封印の有無はあまりルーミア自身重要視していないようだ。

ただ…

 

「ふふふ…ほらほら、避けないと死ぬわよ?」

 

なんか戦っているときのルーミアが怖い。

狂気の色は見えないのだが、なんとも言えない悪寒が走る。

相手はそこまで強くない妖怪が数匹、多いため面倒ではあるが俺一人でも問題なく対処が可能な相手。そのせいかルーミアはずっと弾幕を撃って踊らせている。死ぬとか言ってるけど致死性じゃないよな?致死性のは封印状態じゃ撃てないって前言ってたよな?

数分もすれば相手も体力がなくなり弾幕に次々とヒット、気絶してしまう。一応俺は人間だから妖怪退治という名目で息の根を止めてしまってもいいのだが、今回は見逃してあげよう。必要以上の殺生はしたくないのだ。

妖怪達を隅の方に移動させてから思っていたことをルーミアに伝える。

 

「ルーミア、戦っているとき性格変わってないか?」

「大丈夫よ大丈夫。日頃のストレスとかをあれで発散してるだけよ。チルノたちがいる前ではあんなことしないし、ご主人様が安全だと判断したうえよ」

 

性格が変わっていることは否定しないルーミア。

いや、あれは性格が変わっているのではなく素に戻っているのかもしれない。ルーミアの素がいまいちまだ分からないのだが、まあ妖怪らしいと言えば妖怪らしいのだろうか。

落ちついたルーミアがここの説明をしてくれる。

 

「ここは無縁塚よ。色々なものが外の世界から流れてくるの。物だったり、人だったりね」

「人?」

「ええ、幻想入りした人間の運によってここに流れてくるの。ただもう一か所の流れつきやすい博麗神社周辺より人は断然少ないし、妖怪の強さもこっちの方が強いからまず生きてられないでしょうね。たまに香霖堂の店主がここに来るから運よく見つけてくれればまだ可能性はあるけどね」

 

そうか…やはり幻想郷でも流れ着きやすいのは博麗神社だけじゃなかったか。

幻想郷の端に存在する博麗神社はどうしても外の世界からの外来人が多く流れ着く。そのため霊夢も慣れているのだ。

俺はそのことを初めて聞いたとき、それならば幻想郷に流れ着いても大丈夫だ、と思っていた。しかし実際は幻想郷のどこに流れ着くかは分からないし、こういった流れ着きやすい場所も一か所ではない。故に幻想郷による神隠しが度々起こっているのだろう。

霖之助が運よく見つけてくれればいいのだが…

 

「なんというか…あまりいたくない場所だな」

「でしょ?だからあまり外来人も見つけられないのよ。三途の川はもう少し歩いた所よ。行きましょ」

 

ルーミアに腕を引かれる。

俺が数歩歩くと何か硬いものを踏んだのを感じた。

俺が足をどけて見てみると割れたおもちゃの指輪。割れているのは俺が踏んだからであろう。

だがこんなものを持ってここに来るような人は幻想郷にはいないだろう…ということは…

俺はおもちゃの指輪を見ながらこれを持っていた子供か、それとも子供のために買ったものかは分からないが…静かに黙祷した。

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