東方十能力   作:nite

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百二十一話 人里への道中

「ルーミア、命蓮寺ってどんなところなんだ?」

「そうねぇ…お墓があるとこね。名前の通り寺よ。仏教って言えばいいのかしら?その寺にも妖怪が住んでいるから挨拶すると良いわ」

 

寺に妖怪…?確かに中国にはキョンシーとかいうのがいるとは聞いたが…それって祓われる対象じゃないのか?

幻想郷では妖怪と共存しているからこそかもしれないが。

三途の川から人里まではそこまで遠くはない。二人で並んで歩く。俺は元々飛ぶよりも歩く派なのでいいが、ルーミアは大丈夫なのだろうか。無理をしているようには見えないが…

 

「あー、ルーミア?歩くのが辛いなら言ってくれよ。俺だって強要してるわけじゃないしさ」

「別にそれに関しては問題ない…のだー」

 

ルーミアが突然口調を変える。

俺が顔を前に向けるとそこにはいつもの二人組。チルノと大妖精だ。そういえば幽香がたまに妖精の相手をしているとかなんとか言っていた気がする。

太陽の花畑に向かう途中なのだろう。

 

「お、部下を二人発見!」

「チルノちゃん。そんなこと言ったらまた消されちゃうよ?」

「前回はたまたま運が悪かっただけ。次はあたいが勝つに決まってる!任せて大ちゃん!」

 

チルノの謎の自信とそれに困惑する大妖精の二人組。いつもの光景だな。場合によってはここにリグルとミスティア、更にはルーミアも混じるのだが…そういえばこの時にルーミアは演技だったな。大変だっただろう、特にチルノに合わせるのは。

チルノはそのまま俺たちにずんずん近づいてきた。俺たちが二人でいることには何も疑問に感じていないようだ。

そしてチルノは俺に見下した態度のまま話しかける。

 

「さあ!今度こそボコボコにしてやるからかかってきなさい!」

「あーはいはい。今日は俺の負けでいいから終わりでいいよ」

 

ここで変に時間を取られるのも面倒だし軽くあしらうとチルノは俺が負けを認めたにも関わらず不満であったのか攻撃してきた。

 

「いいから戦いなさーい!凍符【パーフェクトフーズ】!」

「ちょ、チルノ!」

 

チルノの十八番、パーフェクトフリーズ。

全体に弾幕が広がり尚且つそれが壁のように動きを阻害するためとても面倒なスペルだ。

しょうがない。一撃でチルノを気絶させてやろう。元より俺は勝負を素早く終わらせるタイプだ。即効性の高い技で…

 

「食らえ、剣技【一閃斬り】!」

「ふみゃあ!?」

 

突然俺は攻撃に出たせいかチルノは反応することができずクリーンヒット。見事に一撃必殺が決まった。

そしてそのままチルノは少し吹き飛ばされ地面に転倒。気絶。

気絶して起きられないチルノに大妖精が慌てて駆け寄る。

 

「もう~だから言ったじゃんチルノちゃん!」

「ふにゃらへにゃ~」

 

チルノはまともに話すことができないようだ。まあここまですれば暫く喧嘩を吹っかけてくることも無いだろう。今後の事も考えた上での最善手といえよう。

取り敢えず軽く再生をかけてあげる。これでしばらくすればチルノも目が覚めるだろう。そもそも妖精は例えオーバーキルしたところでどこからかまた復活するのだから多少のやりすぎは問題がないとされている。確かチルノは既に霊夢や魔理沙に何度か吹き飛ばされているとか聞いたことがあるが…

にしても本当に妖精って不思議だな。外の世界では会わなかったし基本的には隠れているんだろうな。いつか妖精の生態について研究するのも面白いかもしれない。

面倒なチルノを片付けて歩き出す。すると大妖精の横を通る時に話しかけられる。

 

「そういえば何で今日は定晴さんとルーミアちゃんは一緒にいるんです?そこまで親しい間柄じゃなかった気がするんですけど…」

 

うーん、やっぱり大妖精には疑問か。

そりゃそうだよな。大妖精はチルノたちとは違って断然大人びている所があるしいつもの遊び仲間の中でも一番の常識人なのだろう。

俺が返答に困っているとルーミアが代わりに答えてくれる。

 

「たまたまなのだー」

 

うん、それが一番無難だな。

どうも俺はあまり誤魔化すのが得意ではないようで嘘をすぐに見破られてしまうので助かった。

だが大妖精はそれを聞いてもまだ少し納得していないようだ。どうしたのかと思っていたら大妖精の方から話してくれた。

 

「うーん、それにしてはルーミアちゃんが気を許しすぎてる気がするなぁ…何かありました?」

 

おっと、大妖精が思いのほか鋭い。

俺もルーミアが前よりも俺に気を許しているのを感じている。ただチルノたちと会ってからはほぼルーミアは話していないしどこで気が付いたのだろう。

その疑問をまたしてもルーミアが訊いてくれる。

 

「どうしてそう思うのだー?」

「だって…ルーミアちゃんいつも私達と遊んでいる楽しいっていう気持ちよりも幸せって気持ちの方ができている気がするんだもん。それに距離も近いし…」

 

ルーミアの気持ち?なんでそんなことが分かるのだか。もしかしてさとりと同じような能力が…いや、ルーミアたちが言うには大妖精は固有の程度の能力は持っていないという。

妖精として瞬間移動したりなんてことは出来るがそれは妖精で力があるやつならそれなりにできる妖精も多いというし、特別強いわけでもないらしい。

 

「気のせいなのだー」

「そっか、まあいっか。私はチルノちゃんのこと見ときますので気にせず行って下さい。申し訳ありません、毎度毎度チルノちゃんが迷惑をかけて」

「いや、いいよ。こういうのは慣れっこだ」

 

それにチルノはこういうことを俺以外にも普通にしてるというし別に驚くことではない。

それよりもこんなことが起きるたびに謝罪役に回る大ちゃんが可哀そうだ。大妖精は大妖精で妖精の本能なのか悪戯は普通にするらしいが、多分大妖精はチルノの保護者としての役の方が強い。

チルノの看病をすることになった大妖精を後目に歩き出す俺たち。

にしてもルーミアと俺の関係って傍から見ても分かりやすいものなのだろうか。

俺は人里に向かいながら考えた。

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