東方十能力   作:nite

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百ニ十七話 魔術適正

「ほら、そこに立って」

 

パチュリーに促されるまま魔法陣の中心に立つ。

魔法陣の節々からは魔力を感じるし、外の世界では魔術を使う人に会ったことがないのでここまで本格的な魔術初めてだ。一番よく話す魔法使いは火力ばかりのレーザーぶっぱ少女だから本格的なことに少し興奮している。

しばらくするとパチュリーから魔力が送られだし、魔法陣が起動する。

それと同時に俺の中を得体の知れないものが流れていくのを感じた。どうやら俺の中の魔力の一部を奪い調べているようだ。

パチュリーから何の指示もないのでこのまま立ち尽くす。少々手持ち無沙汰だが、パチュリーのことだしすぐに終わらせるだろう。

俺が思っていたとおり診断は三分もせずに終わった。微妙な顔をしているパチュリーに結果を聞く。

 

「えーと、分かりきってはいたけど適正は風。能力の中に組み込まれているくらいだから当然ね。風ほどではないけど光にも適正があったわ。浄化能力の影響かしら。ただ…」 

「ただ?」

「それ以外の適正がほとんどないわ。全くないと言ってもいいかもしれないわね。普通の魔力を持たない人間よりもこの二つ以外の適正がないわ。どういうことよ?魔術という能力なんだからもっと色々と適正があるのだと思っていたのだけど?」

 

なんとなく分かっていたことではある。

というのも俺の魔術は同時に何種類も展開できる代わりに個々の力がとても弱い。葉っぱに火を付けたりタオルを濡らしたり、その程度のことしかできないのだ。

紫は幻想郷ならそれぞれの能力が強くなると言われたのだが、どうも魔術だけは全く変わらなかったらしい。なんとなく使える種類が増えたような…いや、変わらないか。

取り敢えずパチュリーの質問に答える。といっても推測に過ぎないものだが。

 

「多分俺の適正、風を百としたらそれ以外は一くらいしかないだろ?俺の魔術は特殊でな、様々な属性が使える代わりにどれも弱いんだよ。それのおかげで普通なら相殺される属性同士も同時に使えるんだけどな」

「知れば知るほど分からなくなるわね…貴方は…」

 

うーん。自分でも分からんのだししょうがないとは思っている。

というのも俺の能力がいつ生まれていつから使い出したのか、そういった能力関係の記憶が全く無いのだ。狂気に聞いても知らんと首を振るだけだし…

俺の知らないところで俺を憎んでいる俺とルーミアを攻撃したあいつが後々関係してくるのだろうか。絶妙にベクトルが違う気もするが。

俺が魔法陣の中央で立ち尽くしているとパチュリーから指示される。

 

「もう降りていいわよ。まあ、そうねぇ…貴方みたいな人は正直適正のあるものを上達させるべきだと思うのだけどどうする?」

「パチュリーが良いと思う方法で頼む。自分は魔術に詳しくないのでね」

 

俺がそう言うとパチュリーはそう。と言って魔法陣を片付け始めた。どうやら即席で作ったものだったらしい。確かにこれが裏庭にずっとあるわけもないし当然か。

 

「そんじゃ魔術の練習をしましょうか。何か風の魔術を使ってみて」

「了解」

 

パチュリーに言われた通り風を使う。いつも移動に使っている俺の周囲を風で覆い浮く魔術だ。慣れてくれば高速で動けるし地上でも使用可能。ただし地上の場合は調整を間違えると飛んでしまったり地面にぶつかる可能性もあるそれなりに難易度の高い魔術。

俺の魔術を見たパチュリーが何かを考えだした。いつまでこの魔術は続ければいいんだ?

この魔術はよく使うし外の世界でも色々と役に立ったので魔力消費は最低限になるまでは使い慣れている。そのため数時間使い続けても影響は然程ないが…

思考が終わったのかパチュリーは俺に顔を向けて今後について話し出す。

 

「そうね…風は相当相性がいいみたいね。私が知っている風魔術ならどれでも使えるようになりそう。後で光属性も見せてもらうけど、取り敢えず風は貴方が覚えたいって言ったやつをすることにするわ」

 

確かに俺の能力の一派である風を使えば風魔術はどれでも覚えられそうだ。簡単なものならば他の属性魔術とも同時使用ができるだろうし、戦略が広がるというもの。喜ばしい限りである。

その後光属性魔術も見せたが、こちらはあまり強くないそうで簡単な初級から覚えることになりそうだ。一応適正からすれば中級魔術までならば使えるようになりそうとのこと。他の属性は初級でもあまり覚えられないというのだから驚きだ。

ここで少し魔法使いの話をしよう。

魔法使いは俺とは違って、多少の得意不得意はあれどもどの属性にも一定以上の適正がある者のことを言うらしい。その中でも魔法を極めて探求し、老いやライフラインの殆どを魔法で補う者を種族としての魔法使いと呼ぶ。前者は魔理沙、後者はアリスやパチュリーだな。

魔理沙は魔法使いとなる素質は十分にあるらしく、パチュリーはともかくアリスは魔理沙が魔法使いになると決めれば補助をするらしい。しかし魔理沙はライバルの霊夢に合わせる為なのか頑なに人間であることをやめないのだと言う。勿論理由はアリスたちの予想ではあるのだが、いつもの様子を見ていたら大きな相違はないだろうとのこと。

対して俺は自分自身なることができない存在として見ているが、パチュリーが言うには能力に魔術を使うことが入っているのなら可能性は零ではないらしい。というのも魔理沙もアリスもパチュリーも、詳しい部分や正式名称は違えどどれも魔法を使う程度の能力としてまとめられるとかなんとか。そのため魔術が使えることを能力にしている俺にも素質は素質は十分にあると考えていいそうだ。魔術には瞬間移動とか念話とか色々と使えたら便利そうなものがあるし使えるなら使ってみたいものだ。

閑話休題

今後のことも考えるため今日は教練はしないと言われた。その分待ちぼうけでいるであろうフランと遊んであげてというのは小悪魔の弁。

特にすることも無くなってしまったのでフランと遊ぶためにいつも姉妹が食事などを摂る部屋に向かう。途中で妖精メイドが像にぶつかってしまい倒れそうになった像を支えてあげたり(妖精メイドはぶつかった衝撃でピチュンした)しながら部屋に到着した。

中から話し声が聞こえる。あまり時間も経っていないしまだどら焼きを食べているのだろう。

ドアをノックして一応の確認。

 

「入っていいかー」

「あ、お兄様!いいよ!」

「あ、ちょっ」

 

レミリアの声が聞こえたが既にドアを開けている。

そこには楽しそうなフランと顔中粉まみれのレミリアがいた。

笑ってはいけない。もう一度念じる、笑ってはいけない。

 

「小麦粉があったから少しだけ取って置いといたら見事にお姉様ったらコケちゃって!あはは、変なの〜」

「あんたのせいでしょフラン!」

 

…顔中が粉まみれの状態で怒るレミリアが面白くて…

 

「…っくく」

「な!?」

 

笑ってしまった。

ああ、紅魔館は今日も平和だな〜…

グングニルが飛んできたのは言うまでもない。

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